こんにちは。はーねうすです。

今回は、ショパンの「24の前奏曲 作品28」を紹介します。前奏曲は、この曲集以外にも独立した2曲があるようですね。残念ながら前奏曲の全集という枠には入りませんが、1つの曲集を全点カバーしたアルバムです。素敵ですね。

ピアノ演奏は、マウリツィオ・ポリーニ氏です。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

ショパンの前奏曲ですか。雨だれが有名ですよね。

そうだな。前奏曲は比較的に短い曲が多いのも特徴だな。

【着想】調性を全網羅

「ショパン 24の前奏曲 作品28」のコンテンツです。

「ショパン 24の前奏曲 作品28」です。
ショパン 24の前奏曲 作品28 レーベル[Deutsche Grammophon]

バッハの平均律クラヴィーア曲集に代表されるように、24の調性をすべて使用する作品があります。練習曲集や前奏曲集などが当てはまりますね。必須ではありませんが、ひとつの様式美になっていると思います。
ショパンの前奏曲では、24の調性を網羅していますね。

No.曲名(1)曲名(2)作品番号No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1前奏曲第1番 ハ長調Op.2813前奏曲第13番 嬰ヘ長調Op.28
2前奏曲第2番 イ短調Op.2814前奏曲第14番 変ホ短調Op.28
3前奏曲第3番 ト長調Op.2815前奏曲第15番 変ニ長調「雨だれ」Op.28
4前奏曲第4番 ホ短調Op.2816前奏曲第16番 変ロ短調Op.28
5前奏曲第5番 ニ長調Op.2817前奏曲第17番 変イ長調Op.28
6前奏曲第6番 ロ短調Op.2818前奏曲第18番 ヘ短調Op.28
7前奏曲第7番 イ長調Op.2819前奏曲第19番 変ホ長調Op.28
8前奏曲第8番 嬰ヘ短調Op.2820前奏曲第20番 ハ短調Op.28
9前奏曲第9番 ホ長調Op.2821前奏曲第21番 変ロ長調Op.28
10前奏曲第10番 嬰ハ短調Op.2822前奏曲第22番 ト短調Op.28
11前奏曲第11番 ロ長調Op.2823前奏曲第23番 ヘ長調Op.28
12前奏曲第12番 嬰ト短調Op.2824前奏曲第24番 ニ短調Op.28

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.11」:「前奏曲 第11番 ロ長調」

とにかく優しげで、愛くるしい小品です。軽快なテンポと優美な旋律が合致していて、聴き惚れてしまいます。

「No.16」:「前奏曲 第16番 変ロ短調」

派手です。勢いのある下降型の序奏な後に続く、迫り来る無窮動の波動に圧倒されてしまいます。やけでも起こしたのかと勘ぐってしまうような目まぐるしい音の連なりです。それでいて爽快な印象も、ある何とも不思議な楽曲です。

<おすすめ度★★>

「No.15」:「前奏曲 第15番 変ニ長調『雨だれ』」

言わずと知れた、雨だれのプレリュードです。主要主題の可愛らしい旋律と、対照的に中間部のおどろおどろしくて重苦しい音響の対比が素敵ですね。

<おすすめ度★>

「No.24」:「前奏曲 第24番 ニ短調」

前奏曲集を締めくくるのに相応しい劇的な楽曲です。豪快で熱情的でありながら、何処か感傷的なフレーズが印象的です。
ライナーノーツ(岩井宏之氏著)には、「どこか練習曲『革命』を思い出させる要素があり、堂々と力強く曲集を閉じて、聴き手に十分な満足感を与えてくれる。」と評しています。

「ショパン 24の前奏曲 作品28」です。
ショパン 24の前奏曲 作品28 レーベル[Deutsche Grammophon]

ところで、前奏曲って何ですか。本編の曲があるのでしょうか。

元は導入の要素を持った曲だな。ただ、19世紀のロマン主義の時代になると、即興的な意味合いのある自由な性格的商品として独立したぞ。

【観想】珠玉の小品。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

ショパンの前奏曲は、小節数の少ない楽曲が多いです。また、練習曲に比べると譜読みが楽で、ピアノの初学者でもチャレンジできるような小品がありますね。

例えば、「No.7」の「第7番 イ長調」。とても可愛らしい楽曲で、たったの16小節です。
某整腸薬のCM曲で有名です。また、「レ・シルフィード」というショパンの曲を管弦楽に編曲したバレエがあり、その序奏として登場しますね。
楽曲はゆっくりとした速度であり、リズムも平板なので演奏しやすいです。
楽譜では、最高潮の箇所で右手がオクターブを超える和音を弾く箇所があります。指示では、親指1本で黒鍵二つを引きます。面白いですね。

それから「No.4」の「第4番 ホ短調」。物悲しい旋律と、重厚な和音の伴奏が印象的な楽曲で、25小節です。速度も遅めです。
「ショパン プレリュードとロンド」(上代万里江[解説] 全音楽譜出版社)によれば、「パリのマデレーヌ寺院で行われたショパンの葬式の際、オルガンにより演奏された。」とあります。陰鬱な曲想と重苦しい伴奏は、葬送の曲としての雰囲気を纏っていますね。

反して、「No.8」の「第8番 嬰ヘ短調」「No.16」の「第16番 変ロ短調」のような、剛速球の楽曲もあります。
何かに急き立てられたのかのように、目まぐるしく駆け巡る音型がとても印象的です。

緩急や難易の落差を楽しめる曲集ですね。

音楽家の略歴です。

<略歴> フレデリック・フランソワ・ショパン
【ポーランド→仏】1810-1849
ワルシャワ音楽院でJ.エルスネルに学び、ピアニスト、作曲家として成功し、1830年ウィーンに演奏旅行。その直後ワルシャワに独立運動が起こったため、帰国せず、パリに出、以後もっぱらフランスを中心に活躍。ロマン派音楽におけるサロン風ピアノ作品を新しい境地に開拓して<ピアノの詩人>と呼ばれる。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

某整腸薬のCM曲って…。

そこ気になっちゃう?。株式会社 太田胃散の胃腸薬のCMだな。

【追想】イメージの付随。

エピソードと曲調の産物です。

「ショパン プレリュードとロンド」です。
ショパン プレリュードとロンド 上代万里江[解説] 全音楽譜出版社

「ショパン プレリュードとロンド」(上代万里江[解説] 全音楽譜出版社)です。

解説にピアニスト、アルフレッド・コルトーの各曲の印象を載せているのが良いですね。
例えば、前奏曲の一推しとして【着想】で挙げさせていただいた「No.11」の「第11番 ロ長調」のイメージは、「少女のあこがれ」のようです。

また「No.15」の「第15番 変ニ長調『雨だれ』には、音楽学者フレデリック・ニークスの言葉を引用しています。
「中間部の嬰ハ短調の楽節は、ヴァルデモーザ僧院の回廊と陰気な祈とうを提唱しながら、深夜に彼らの他界した同僚を最後の安息所に運んでいる僧侶たちの行列を見ているようである。~中略~ 幻想のこれらの恐怖ののちにおいてのみ、そのすがすがしい美しさは満喫されるのである。」という言説には、楽曲創作の背景としてのエピソードと、楽曲の曲調の持つ印象が重ねられており、面白いですね。

確かに、雨だれの楽曲には鬱々と清々の様相がありますね。

言語化するのが難しい「音楽」という作品において、イメージや心象を言葉にして表現(解説)するのは、ひとつの手段だな。

【雑想】下手の横好き。(第38弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したショパンの「前奏曲 第11番 ロ長調」です。

作曲家:フレデリック・フランソワ・ショパン 作曲年:1836 ~ 1839

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

引き続き、ショパン編でした。

ショパンの前奏曲は、練習曲ほど堅固なイメージはありませんね。
どこか「気ままにスケッチを楽しんでいたら、24の調性の分量で仕上がっていた」という、自由な雰囲気を感じさせられます。無論、ブログ管理者の見解です。

可愛らしい小品も多いので、気負いなく楽しめますね。

では、また。

小規模な楽曲も多いですね。練習曲とは異なった「軽さ」のような印象を受けます。

気負いの差なのかもしれないな。似たような構造や構成であっても、どこか対極的な面が含まれているのかもしれないな。