こんにちは。はーねうすです。

今回は、「交響戦艦 ショスタコーヴィチ ヒーロー風クラシック名曲集」というコンピレーション・アルバムを紹介します。

前回までロシアものが続いたので、この辺りでひとつ変わり種を持ってきました。といってもアルバムタイトルに「ショスタコーヴィチ」が入っているので、「やっぱりロシアものじゃねぇか」とお叱りを受けそうです。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

確かに変わり種って感じのタイトルですね。

典型的な企画物だが、とても秀逸だぞ。

【着想】企画の大勝利。

「交響戦艦 ショスタコーヴィチ」のコンテンツです。

「交響戦艦ショスタコーヴィチ」の画像です。
交響戦艦 ショスタコーヴィチ ~ヒーロー風クラシック名曲集 レーベル[NAXOS]

兎にも角にも企画の大勝利ですね。「ヒーロー風」というコンセプトの元に集められた楽曲の数々は、前に向かって突き進みたくなる衝動を掻き立てられる、破壊力満点の作品ばかりです。

No.作曲家曲名作品番号
1ショスタコーヴィチ交響曲 第5番 ニ短調「革命」 ー第4楽章(抜粋)Op.47
2ワーグナー楽劇「ワルキューレ」 ーワルキューレの騎行
3ラヴェル「ダフニスとクロエ」第1組曲 ー戦いの踊り
4ヴェルディレクイエム ー怒りの日
5ワーグナー歌劇「ローエングリン」 ー第3幕への前奏曲
6芥川也寸志交響管弦楽のための音楽 ー第2楽章
7ハチャトリアン組曲「ガイーヌ」 ー剣の舞
8ウォルトンスピットファイアの前奏曲とフーガ
9クニッペルポーリュシュカ・ポーレ
10マーラー交響曲 第1番 ニ短調「巨人」 ー第4楽章(抜粋)
11プロコフィエフスキタイ組曲「アラとロリー」 ー邪神チュジボーグと魔界の悪魔の踊りOp.20
12ショスタコーヴィチ交響曲 第8番 ハ短調 ー第3楽章Op.65
13オルフカルミナ・ブラーナ ーおお、運命の女神よ
14ホルスト組曲「惑星」 ー火星:戦争の神
15ストラヴィンスキーバレエ音楽「火の鳥」 ー終曲
16エルガー行進曲「威風堂々」第1番(合唱編)
*: ページの都合上、各曲の演奏家/楽団の記載は省略させていただきます。ご了承ください。

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

なんといっても「すべて」です。お腹いっぱいです。強いてあげるなら…

「No.8」:ウォルトン「スピットファイアの前奏曲とフーガ」

勇ましさと優雅さを兼ね備えた楽曲で、なんとも心地の良い音楽空間に誘ってもらえます。(元は映画のサウンドトラックのための曲だそうです。)

「No.13」:オルフ「カルミナ・ブラーナ ーおお、運命の女神よ」

一聴して「おおっ」となる有名曲です。

ライナーノーツによると「バイエルン州の修道院*で発見された歌曲集のことで、この詩をもとにオルフが世俗カンタータを作曲」したとのこと。一度聴いたらいつまでも記憶にへばりつくインパクトがあります。(*: 南ドイツにあるベネディクト派の修道院のこと)

「No.16」:エルガー「行進曲『威風堂々』第1番(合唱編)」

イギリスを代表する有名曲で、まるで国歌かと勘違いするほど「英国」の雰囲気にマッチしています。

<おすすめ度★★>

「No.1」:ショスタコーヴィチ「交響曲 第5番 ニ短調「革命」 ー第4楽章(抜粋)」

CDタイトルにもなっているショスタコーヴィチの交響曲です。

このアルバムのテーマを統一する、圧倒的な支配力を持った管弦楽曲です。とても分かりやすいフレーズが、いかにもショスタコーヴィチらしさを備えています。
「第4楽章」のしかも「抜粋」なので、是非交響曲全編を聴きたいですね。

<おすすめ度★>

「No.15」:ストラヴィンスキー「バレエ音楽『火の鳥』ー終曲」

全編を聴いてこその音楽ですね。「No.16」の「行進曲『威風堂々』」と同様に、ディズニーの映画「ファンタジア2000」(ドン・ハーン監督 / アメリカ / 2000)でアニメーション化されていましたね。

「No.7」:ハチャトリアン「組曲「ガイーヌ」 ー剣の舞」

ハチャトリアンを代表する楽曲ですね。ティンパニの連打に惹き付けられる楽曲です。

「交響戦艦ショスタコーヴィチ」の画像です。
交響戦艦 ショスタコーヴィチ ~ヒーロー風クラシック名曲集 レーベル[NAXOS]

クラシック音楽の鑑賞初心者には、かなりクセが強い気がしますね。

確かにな。ただ、クラシック音楽に持つある種のバイアスを取り除いてくれるアルバムには違いないぞ。

【観想】騒々しくて華々しい曲群。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

物騒な曲名が目立ちますが、曲の持つ破壊力を端的に表しているといっても過言ではないでしょう。頭から尾っぽまでエネルギーに満ち溢れています。

すべてが管弦楽曲(合唱も含む)なのでとても華やかです。加えてテンポの速い曲が多いので賑やかさもあります。かなり高揚感をもたらしてくれますので、落ち込んでいるとき、凹んでいるときには特にお勧めです。

このような曲群の中にあって、まったく引けを取らないのが「No.6」の「交響管弦楽のための音楽 ー第2楽章」で芥川也寸志作です。作曲者名を伏せて聴くと「現代ロシア作曲家の作品?」と思えるほどに、ロシアロシアしています。

それもそのはずで、ライナーノーツによると「ソビエト連邦に傾倒するあまり単身で密入国してしまう程」で、「ショスタコーヴィチやハチャトリアンといったソビエト連邦の作曲家から強く影響を受けていて、ショスタコーヴィチの交響曲 第4番の日本初演を指揮した」という。

曲の持つ独特のリズムは、ロシア音楽に影響を受けた芥川也寸志の音楽を特徴付けているといえるでしょう。このようなコンピレーション・アルバムがなければ、聴く機会はなかったのかもしれません。まさに企画様々で、僥倖の極みです。

音楽家の略歴です。

<略歴> 芥川也寸志
【日】1925-1989
1949年東京音楽学校研究科卒
主要作品ー交響三章、交響管弦楽のための音楽、弦楽のための三楽章、交響曲第一番、エローラ交響曲、オペラ「ヒロシマのオルフェ」、弦楽オーケストラのための「陰画」、オスティナータ・シンフォニカ、チェロとオーケストラのための「コンチェルト・オスティナート」
(「芥川也寸志著 音楽の基礎 岩波新書」より)

まったく知りませんでした。その外の作品も気になりますね。

そうだろう。このように企画されたアルバムで、偶然出会い、幅を広げていくというのも醍醐味のひとつだ。

【追想】文豪のご子息。

音楽家の綴る文章も素敵です。

「芥川也寸志著 音楽の基礎 岩波新書」の画像です。
芥川也寸志著 音楽の基礎 岩波新書

芥川也寸志のお父上は、かの文豪芥川龍之介です。文豪のご子息という訳だけではないでしょうが、音楽だけでなく文章もとても優れています。

「音楽の基礎」(芥川也寸志[著] 岩波新書)にはその才能を遺憾なく発揮されています。「楽典」に属するものなので、その堅苦しさは免れませんが、芥川也寸志の熱意を端々に感じ取れます。特に「Ⅲ 音楽の形成」の「1 リズム」は熱情に溢れています。この節の末尾には「リズムは生命に対応するものであり、リズムは音楽を生み、リズムを喪失した音楽は死ぬ。リズムは音楽の基礎であるばかりでなく、音楽の生命であり、音楽を超えた存在である。」(104,105ページ抜粋)と綴っています。

この節を読んで、改めて「「No.6」の「交響管弦楽のための音楽 ー第2楽章」を聴くと、その熱の真意が伝わってくる気がします。

書籍全体を通しては、古代ギリシャの説(ピタゴラスやプラトンなど)から現代音楽理論までの音楽史を縦断横断していて、作曲家ならではの博識に驚かされます。

とても博識ですね。このように捉えると、哲学者の言及に耳を傾けるのは面白そうですね。

無論だ。プラトンで言えば、「饗宴」などが美学上の課題に触れているぞ。

【雑想】下手の横好き。(第6弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★>で紹介したハチャトゥリアンの「剣の舞」のピアノ独奏版です。

作曲家:アラム・ハチャトゥリアン 作曲年:1939 – 1942

・楽譜の紹介です。

「全音ピアノピース  No.274 剣の舞」です。
全音ピアノピース No.274 剣の舞 全音楽譜出版社

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

前回からのラフマニノフ編を休止し、風変わりなコンピレーション・アルバムを紹介しました。今後は、通常回5+変則回1の割合で当ブログを運営する予定です。

さて、今回紹介したような企画物のアルバムに出会うと、大変興奮しますね。

とくにコンセプト色が強く、方針に迷いがないアルバムは安心して聴けますし、何より楽しいですね。

このアルバムに収録されていた作曲家の作品は、別のアルバムで紹介する機会もあると思います。なので、このような変則回でスポットを当てるのは、紹介する機会の少ない作曲家にしようと企てています。

では、また。

変則回って扱いですね。

クラシックCDには、風変わりな企画物もあって面白いぞ。CDショップで物色する目的のひとつにもなるな。