こんにちは。はーねうすです。
今回は、ドヴォルザークの「ピアノ三重奏曲 第1・2番」を紹介します。
ドヴォルザークといえば交響曲や協奏曲といった、管弦楽曲を多く手掛けた作曲家というイメージがありますね。でも、室内楽曲も多数残していて、なかでもピアノ三重奏曲は、弦楽四重奏曲に次いで重要なポジションにあったようです。
演奏は、スーク・トリオです。
ドヴォルザークですね。交響曲 第9番の「新世界より」は知っていますが、室内楽はあんまり…。
交響曲のような派手さはないが、深みのある作品が多いぞ。
目次
【着想】正統の手法。
「ドヴォルザーク ピアノ三重奏曲 第1・2番」のコンテンツです。
ドヴォルザークはピアノ三重奏曲を4曲を残しています。このアルバムに収録されている2曲は、ドイツの古典主義やロマン主義などの作曲家に倣った正統的な手法で書かれていますので、幾分ドヴォルザーク特有のスラヴィックな雰囲気は希薄になっています。
おっと、CDケースにひびがはいっていますね。すみません。
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調 | 第1楽章 Allegro molto | Op.21 |
2 | ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調 | 第2楽章 Adagio molto e mesto | Op.21 |
3 | ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調 | 第3楽章 Allegretto scherzando | Op.21 |
4 | ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調 | 第4楽章 Finale; Allegro vivace | Op.21 |
5 | ピアノ三重奏曲 第2番 ト短調 | 第1楽章 Allegro moderato | Op.26 |
6 | ピアノ三重奏曲 第2番 ト短調 | 第2楽章 Largo | Op.26 |
7 | ピアノ三重奏曲 第2番 ト短調 | 第3楽章 Scherzo; Presto | Op.26 |
8 | ピアノ三重奏曲 第2番 ト短調 | 第4楽章 Allegro non tanto | Op.26 |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.2」:「ピアノ三重奏曲 第1番 第2楽章」
なんとも感傷的なサウンドです。
ピアノ、ヴァイオリン、チェロの順に奏でられる、ほんのり暗い、落ち着いた旋律が印象的です。他楽章が全般的に明快なので、一際その悲愴感のある曲調が引き立てられています。
「No.4」:「ピアノ三重奏曲 第1番 第4楽章」
ピアノと弦の掛け合いの序奏、力強い主題がピアノで提示されるのが特徴です。そして、終楽章らしく、コーダではすべての楽器によって歌い上げられて閉じます。
<おすすめ度★★>
「No.7」:「ピアノ三重奏曲 第2番 ト短調 第3楽章」
インパクトがあり引き込まれます。
急き立てられるかのようなチェロによる主題は、スタッカート風に刻まれて躍動感があります。反して、中間部では一転して長閑な牧歌風で奏でられます。
<おすすめ度★>
「No.8」:「ピアノ三重奏曲 第2番 第4楽章」
豊富な曲想が魅力的な楽曲ですね。
力強い重厚な合奏による序奏、その後に続く特徴的なテーマによって構成されています。目を見張るのは、コロコロと変わる曲調ですね。ソナタ形式という枠にはまらない多様でバラエティに富んだ曲想に魅せられます。そして、華やかに閉じます。
全体としては、ドヴォルザークを特徴付けるスラヴ的な香りは希薄です。しかし、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの特色を存分に発揮した、濃厚な室内楽曲に変わりはありません。
ドヴォルザークのピアノ三重奏曲も、各楽器が歌っていて良いですね。
各楽器の特色を生かた役割配分が見事といえるな。
【観想】伝統と民俗。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
ドヴォルザークのピアノ三重奏曲「第1番」と「第2番」ですが、全般にドイツ音楽の正統な手法に則って作曲された室内楽という印象ですね。
ライナーノーツ(門馬直美氏著)には、「ドヴォルザークのピアノ三重奏曲は、いわばドイツ音楽の正統派の音楽に接近していたことで生まれたものである。」とあります。
また、「第1番」についてはその書法から「ドヴォルザークが敬愛していたシューベルトとシューマンからの影響を濃くみせる。」と評しています。
しかし、ドヴォルザークの特色を思わせるボヘミア的で、スラヴ的な曲調も幾分かは滲ませています。
「No.3」の「ピアノ三重奏曲 第1番 第3楽章」は、軽快な2拍子のダンス・ミュージックと言った印象を受けます。ライナーノーツ(門馬直美氏著)では、「民俗舞曲のポルカに近い」と示唆しています。
また「No.5」の「ピアノ三重奏曲 第2番 第1楽章」では、古典主義的なソナタ形式に倣いながらも、曲想や曲調の面では、幾許か脱する様相が伺えます。
とりわけ主題の扱いですね。第1主題は民族音楽的な旋律です。また第2主題もわかり易く扱われています。それらが展開部で劇的に変化するため、形式の面ではドイツの伝統、曲想の面では作曲家の民族性が伺えて面白いです。
19世紀、西洋音楽が世界中に広がり、その土地、その土着といった風土と馴染ませていく音楽史というものも感じさせられますね。
音楽家の略歴です。
<略歴> アントニン・ドヴォルザーク 【チェコ】1841-1904 チェコ国民楽派最大の作曲家。国民音楽の創造に腐心していたスメタナから強い影響を受けた。1875年、オーストリア政府奨学金を獲得、その審査員の一人のブラームスの知遇を得て、作品が世に知られるようになり、また作風にもブラームスの影響が強く表われるようになった。しかし、これらを包含して国民主義的傾向はされに深められ、晩年に向けて一連の傑作を生む。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
ところで、ポルカって何ですか。
ボヘミアを起源にする民俗舞曲だな。2拍子のリズムが特徴的だな。
【追想】作品と生涯。
作曲家の作品と生涯を学べます。
「大作曲家 ドヴォルザーク」(クルト・ホノルカ[著]/岡本和子[訳]/音楽之友社)です。
今回紹介したアルバムに収録されている「ピアノ三重奏曲」の「第1番」と「第2番」は、ドヴォルザークの作曲家業としては「擬古典主義」の様式を盛んに取っていた時代のもののようですね。
また、巻末にある「証言」も面白いです。
例えば、ブラームスの言。「あの男は、我々の仲間の誰よりも発想が豊かである。彼の捨てた素材をかき集めるだけで、主題をつなげていくことができる。」(207ページ抜粋)とあります。
そして、ヤナーチェクの言。「ドヴォルザーク氏の作品が対位法技術の傑作であることを確信している。~中略~ ドヴォルザークは、一つの声部が描き出す音型を、うんざりするまで展開させるようなことはしない。一つの音型が紹介されたかと思うと、すぐに次のが顔を出す。聴く者は、常に心地よい興奮を覚えるのである。・・・・・・」(208ページ抜粋)とあります。
これらの「証言」から、いかにドヴォルザークの曲想がバラエティに富んでいたかが伺えます。加えてその潤沢な音楽性については、他作曲家から憧憬、羨望と嫉妬の念も向けられていたことも知ることができますね。
そういえば、ドヴォルザークの曲って、メイン以外の箇所のメロディーもオシャレな感じがします。
主題と主題の間を繋ぐ経過句でも、絶妙な旋律が採用されているため、飽きることがないんだな。
【雑想】下手の横好き。(第43弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
DAW(Digital Audio Workstation)でクラシック音楽を打ち込んだDTM(DeskTop Music)の作品を制作しています。
DAWで音楽を制作するDTMの楽しさが伝わればと思います。
下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
今回からはドヴォルザーク編になりましたね。
ドヴォルザークといえば、交響曲作家というイメージが強いですが、室内楽でも素敵な楽曲を多く残しています。
とりわけ、ピアノ三重奏曲と弦楽四重奏曲には力を入れていたようですね。
弦楽四重奏曲については、余り蒐集していません。そのため、他作曲家の弦楽四重奏曲のアルバムを紹介する際に、カップリングとして登場すると思います。
では、また。
ドヴォルザーク編が始まりましたね。正直なところ、室内楽はあまり聴いたことがありません。
交響曲ほどには知られてはいないが、一度聴けばクセになる曲が多いぞ。