こんにちは。はーねうすです。
今回は、「ドヴォルザーク&シューマン チェロ協奏曲」を紹介します。
ドヴォルザークとシューマンはともに、チェロ協奏曲を1作品のみ世に出しているので、このアルバムは両作曲家のチェロ協奏曲の全集といってよいでしょう。やったね。
チェロ独奏は、ミッシャ・マイスキー氏です。
ドヴォルザークのチェロ協奏曲、とても有名です。
他にもピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲があるが、チェロ協奏曲がとりわけメジャーだな。
目次
【着想】勇壮な協奏。
「ドヴォルザーク&シューマン チェロ協奏曲」のコンテンツです。
あまりにも有名なドヴォルザークの作品と、他楽曲と比すると幾分名がしられていないシューマンの作品のカップリングですね。作品の規模も前者はかなり大きく、後者は控えめですね。
No. | 作曲家 | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1* | ドヴォルザーク | チェロ協奏曲 ロ短調 | 第1楽章 Allegro | Op.104 |
2* | ドヴォルザーク | チェロ協奏曲 ロ短調 | 第2楽章 Adagio, ma non troppo | Op.104 |
3* | ドヴォルザーク | チェロ協奏曲 ロ短調 | 第3楽章 Finale. Allegro moderato | Op.104 |
4** | シューマン | チェロ協奏曲 イ短調 | 第1楽章 Nicht zu schnel | Op.129 |
5** | シューマン | チェロ協奏曲 イ短調 | 第2楽章 Langsam | Op.129 |
6** | シューマン | チェロ協奏曲 イ短調 | 第3楽章 Sher lebhaft | Op.129 |
**: レナード・バーンスタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.1」:ドヴォルザーク「チェロ協奏曲 第1楽章」
チェロと管弦楽による協奏曲という形式の魅力が、これでもかというほど詰め込まれています。
単純なモチーフでありながら印象深く記憶に刻まれる陰鬱な第1主題。牧歌的でありながら高らかに歌い上げるかのような第2主題。そして締めくくりの結尾も合奏の爽快感。これらが、管楽器、弦楽器、オーケストラ、そして独奏というバリエーションで提示されます。
展開部の後、チェロのカデンツァから流れ込むように再現部に入ります。そこでは、第1主題が省かれ、第2主題が感動的な合奏で表われます。そして第1主題の変形型のコーダで締めくくられます。
<おすすめ度★★>
「No.3」:ドヴォルザーク「チェロ協奏曲 第3楽章」
ドヴォルザーク節が炸裂していますね。
重厚感のあるキャッチな曲想。管弦楽による重量のある音響と、チェロ独奏による寂寞とした音響の対比がとても美しいです。
コーダがいいですね。今にも消え入りそうな独奏が、最後に管弦楽と渾然一体となる様は感動と幸福をもたらすパワーがあります。
<おすすめ度★>
「No.4」:シューマン「チェロ協奏曲 第1楽章」
チェロが先導的な位置にある風変わりな協奏曲です。
チェロによって提示される陰鬱な主題。いかにもロマン主義の権化である、シューマンらしい形式と曲想ですね。
「No.6」:シューマン「チェロ協奏曲 第3楽章」
前2楽章と比較して、明らかに劇的で熱情的な楽想です。
チェロ独奏の起伏に富んだ曲調も含め、全体的に華やかな印象のある楽曲です。
ドヴォルザークの作品は、その民族音楽的な曲想に魅力があります。が、それにも増して、どこを切り取っても記憶に残る鮮明な旋律の数々が、鮮烈な印象となっていますね。
一方、シューマンの作品は、控えめなイメージがありますね。規模が小さいということもあると思いますが、どこか抑制を効かせた感がありますね。
ライナーノーツ(近藤憲一氏著)には、「管弦楽の伴奏を伴ったチェロのための演奏会用作品」と記されたシューマンの作品目録を紹介しています。
協奏的な華やかさよりも、チェロと管弦楽の対話に重点がある作品と言えそうですね。
あれ?。シューマンの速度表記ですが、珍しくドイツ語のようですね。
そこ気になっちゃう。確かに珍しいな。まぁ、全楽章をシームレスに演奏する作品でもあるので、慣例から離れたのだろう。因みに上から「速くならないように」「ゆっくりと」「極めて生き生きに」という意だ。
【観想】望郷の緩徐楽章。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
ドヴォルザークの緩徐楽章には、牧歌的な楽想がとても印象深く配置されています。
有名どころでは、「交響曲 第9番」の「第2楽章」ですね。
さてチェロ協奏曲の緩徐楽章である、「No.2」の「チェロ協奏曲 第2楽章」も多分に漏れず、牧歌的な楽想を持った美麗な楽章です。
管による夢見る心地になるような第1主題。独白のようなチェロの追想。中間で唐突と表われる劇的な合奏。チェロのオーケストラの掛け合い、呼応が絶妙な楽曲です。
ライナーノーツ(近藤憲一氏著)でも、「ドヴォルザークがこの協奏曲に込めた望郷の思いがもっとも表明された抒情的な緩徐楽章。」と評しています。
ドヴォルザークのチェロ協奏曲は、ニューヨークのナショナル音楽院で教鞭を執っていた、1895年に完成された作品です。
故国チェコへの望郷の念が、緩徐楽章の抒情的で牧歌的な曲想となって表出したと言えるでしょう。
音楽家の略歴です。
<略歴> アントニン・ドヴォルザーク 【チェコ】1841-1904 チェコ国民楽派最大の作曲家。国民音楽の創造に腐心していたスメタナから強い影響を受けた。1875年、オーストリア政府奨学金を獲得、その審査員の一人のブラームスの知遇を得て、作品が世に知られるようになり、また作風にもブラームスの影響が強く表われるようになった。しかし、これらを包含して国民主義的傾向はされに深められ、晩年に向けて一連の傑作を生む。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
ドヴォルザークって、アメリカに渡っていたんですね。
そうだ。そのアメリカ時代に「交響曲 第9番」などの傑作を残しているな。
【追想】協奏曲の譜面。
ソロ・パートの譜面に興奮です。
「ドヴォルジャーク チェロ協奏曲 ロ短調 作品104」(渡鏡子[解説] 全音楽譜出版社)です。
やはり、音楽を聴きながら楽譜を追いかけるのは楽しいですね。特に独奏楽器を含む協奏曲の楽譜は、ソロ・パートの登場箇所で興奮しますね。
ドヴォルザークのチェロ協奏曲の「第1楽章」は、古典の作品と同じく、管弦楽による第1主題と第2主題の提示後、満を持して独奏が登場します。なので、楽譜も83小節目でようやく「Vlc.Solo」が登場します。(実際の演奏を示す音符は、87小節目)
待ちに待ったという感で、興奮しますね。
また、本書では作品の紹介として、成立の背景や位置づけを記載しています。曲の分析も合わせて13ページもあり、読み応えは抜群です。
面白いエピソードとして、「『こういうチェロ協奏曲が書けるものだとどうして知らなかったのだろう。知っていたら私もずっと前に書いただろうに!』とブラームスをして嘆ぜしめたこの協奏曲」(5ページ抜粋)とあり、ブラームスとドヴォルザークの関係性が伺えて面白いですね。
ブラームスの嫉妬が可愛いですね。
結局、ブラームスはチェロ協奏曲を作曲していないしな。
【雑想】下手の横好き。(第46弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
DAW(Digital Audio Workstation)でクラシック音楽を打ち込んだDTM(DeskTop Music)の作品を制作しています。
DAWで音楽を制作するDTMの楽しさが伝わればと思います。
下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
引き続き、ドヴォルザーク編でした。
満を持してのチェロ協奏曲ですね。ドヴォルザークの魅力がてんこ盛りです。いつまでも聴いていたいという衝動に駆られます。
古今のチェロ協奏曲きっての、比類のない名曲と言えますね。
では、また。
ドヴォルザークのチェロ協奏曲、素敵ですね。
円熟期の作品だしな。集大成感も半端ないな。