こんにちは。はーねうすです。
今回は、「ドヴォルザーク 協奏曲集」を紹介します。
このアルバムには、ドヴォルザークの主要協奏曲をすべて収録されています。全集という括りになりますね。
加えて、シューマンのピアノ小協奏曲という珍しい楽曲も収められています。素敵ですね。
・CD2枚組のボリュームになります。
ドヴォルザークの協奏曲ですね。チェロ以外は全く知りません。
チェロ協奏曲が有名すぎるからな。ヴァイオリン協奏曲は、隠れた名曲といてるだろう。
目次
【着想】独奏と管弦楽の妙。
「ドヴォルザーク 協奏曲集」のコンテンツです。
ドヴォルザークの協奏曲と言えば、「チェロ協奏曲 ロ短調」がまず初めに思い当たるでしょう。「ドボコン」という愛称で呼ばれる場合の協奏曲も、この楽曲を指すのが大半だと思います。
それに引き換え、ヴァイオリンとピアノの協奏曲の存在は影を潜めた感がありますね。だからといって、ドヴォルザーク作品の魅力が損なわれているわけではありません。
CD1
No. | 作曲家 | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1* | ドヴォルザーク | チェロ協奏曲 ロ短調 | 第1楽章 アレグロ | Op.104 |
2* | ドヴォルザーク | チェロ協奏曲 ロ短調 | 第2楽章 アダージョ・マトロッポトロッポ | Op.104 |
3* | ドヴォルザーク | チェロ協奏曲 ロ短調 | 第3楽章 フィナーレ(アレグロ・モデラート) | Op.104 |
4** | ドヴォルザーク | ヴァイオリン協奏曲 イ短調 | 第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ | Op.53 |
5** | ドヴォルザーク | ヴァイオリン協奏曲 イ短調 | 第2楽章 アダージョ・マトロッポトロッポ | Op.53 |
6** | ドヴォルザーク | ヴァイオリン協奏曲 イ短調 | 第3楽章 アレグロ・ジョコーソ・マ・ノン・トロッポ | Op.53 |
**: ルッジェーロ・リッチ(ヴァイオリン) サー・マルコム・サージェント(指揮) ロンドン交響楽団
CD2
No. | 作曲家 | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | ドヴォルザーク | ピアノ協奏曲 ト短調 | 第1楽章 アレグロ・アジタート | Op.33 |
2 | ドヴォルザーク | ピアノ協奏曲 ト短調 | 第2楽章 アンダンテ・ソステヌート | Op.33 |
3 | ドヴォルザーク | ピアノ協奏曲 ト短調 | 第3楽章 アレグロ・コン・フオーコ | Op.33 |
4 | シューマン | ピアノ小協奏曲 ト長調 | 序奏とアレグロ・アパッショナート | Op.92 |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
なんといっても「CD1_No.1」~「CD1_No.3」のドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調」ですね。全編がドヴォルザーク節で、キャッチな旋律、独奏と管弦楽の妙に聴き惚れます。
「チェロ協奏曲 ロ短調」については、当ブログ「ドヴォルザーク&シューマン チェロ協奏曲」で取り上げさせていただいていますので、そちらも合わせてご覧いただけると嬉しいです。
「チェロ協奏曲 ロ短調」以外で述べさせていただきますね。
「CD1_No.5」:ドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲 イ短調 第2楽章」
第1楽章からは切れ目がないのかと錯覚するほど、自然な流れのシームレスを感じさせる導入が魅力です。
全般に感傷的でセンチメンタルな旋律が魅力です。とりわけ、ヴァイオリン独奏と管楽器の対話は聴き入りますね。そしてドラスティックな転化と中間部の甘い旋律の歌が一層この楽章を魅力的な作品に仕上げています。
また、終始ヴァイオリンが主導的な立場にあるのも特徴でしょう。
「CD1_No.6」:ドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲 イ短調 第3楽章」
前2楽章から一転して、軽快なサウンドが印象的です。
ヴァイオリン独奏の妙技、オーケストラとの掛け合いといった協奏曲の醍醐味が満載です。
また、躍動的な主要主題と、中間部に登場する民謡調の悲哀に満ちた主題とのコントラストが明確で面白いですね。
加えて、結尾近くのヴァイオリン独奏の、何かしら迷いのあるような同じ音型の繰り返し箇所が印象的ですね。
<おすすめ度★★>
「CD2_No.1」:ドヴォルザーク「ピアノ協奏曲 ト短調 第1楽章」
曲想、曲調、そして形式が古典主義に準拠していますね。
幾分しつこく感じる同じ音型の繰り返しや、ピアノ独奏によるカデンツァは古典派の作品を想起させます。安直な表現でいうと「ベートーヴェンっぽい」ですね。
<おすすめ度★>
「CD2_No.4」:シューマン「ピアノ小協奏曲 ト長調」
シューマンの作品でも情報として滅多に見かけないですね。
夢想的な主題、変化に富む曲想、控えめで主張しすぎないピアノ・パートといった抑制の利いた楽曲です。主張が長調であることを忘れそうになる曲調もシューマン作の特徴ですね。
ライナーノーツ(寺西基之氏著)には、「壮年期の1849年に作曲された単一楽章の作品。~中略~ 愛するピアニストの妻クララのために作曲されたものと推測」とあります。「ピアノ協奏曲 イ短調 第1楽章」の第1主題の扱い*を含め、如何にもシューマンらしいエピソードですね。
*: クララの名を音名に当てているという逸話
ドヴォルザークとシューマン、ともにメジャーとはいえない楽曲を聴くことができるのも、全種アルバムの魅力ですね。
プレイヤーが豪華ですね。指揮者と管弦楽団も独奏楽器で異なります。
そうだな。独奏楽器が異なる協奏曲を、全集として組み合わせたというのも理由のひとつだろう。また、指揮や管弦楽団にもソリストとの親和性みたいなものが影響しているのかもしれんな。
【観想】同曲異演とライブ録音。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
ドヴォルザークの「チェロ協奏曲 ロ短調」ですが、当ブログ「ドヴォルザーク&シューマン チェロ協奏曲」でも取り上げさせていただきました。
このように、同作品を異なった演奏家や演奏楽団の演奏で聴く「同曲異演」もまた、クラシック音楽を鑑賞する醍醐味ですね。(「同曲異演」という表現が適切かはさておきです。)
とりわけ、協奏曲ではソリストの独奏パートを聴き比べるのも面白いですね。ロマン主義以降ではほぼなくなりましたが、古典主義の時代では、カデンツァと呼ばれる独奏箇所はフリーパートでした。そのため、ソリストによって異なるのが明確なのですね。素敵です。
そして、今回紹介したアルバムの面白い点は「ライブ録音」という点ですね。
「CD1_No.4」~「CD1_No.6」と「CD2_No.1」~「CD2._No.4」が相当します。一種独特な緊張感がありますね。
特に、「CD2_No.3」の「ピアノ協奏曲 ト短調 第3楽章」の演奏終わりには、観客の拍手も録音されていて、否応なくライブ感が伝わりますね。
同曲異演、ライブ録音など聴く楽しみは尽きませんね。
音楽家の略歴です。
<略歴> アントニン・ドヴォルザーク 【チェコ】1841-1904 チェコ国民楽派最大の作曲家。国民音楽の創造に腐心していたスメタナから強い影響を受けた。1875年、オーストリア政府奨学金を獲得、その審査員の一人のブラームスの知遇を得て、作品が世に知られるようになり、また作風にもブラームスの影響が強く表われるようになった。しかし、これらを包含して国民主義的傾向はされに深められ、晩年に向けて一連の傑作を生む。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
ライブ録音ですか。実際のコンサート・ホールで収録されたのですね。
指揮者の息づかいや、掛け声のようなものが録音されたアルバムもあるらしいぞ。
【追想】弦楽器の協奏。
多角的な読解の魅力です。
「ヴァイオリン/チェロ名曲名演奏 弦楽器の魅力をたっぷりと」(渡辺和彦[著] 音楽之友社)です。
この書籍では、ドヴォルザークの弦楽器の楽曲として「チェロ協奏曲 ロ短調」と「ヴァイオリン協奏曲 イ短調」が紹介されています。
「ヴァイオリン協奏曲 イ短調」については、「特に第3楽章が、チャイコフスキーやグラズノフ、ハチャトリアンでおなじみのスラブのローカル・カラーで彩られ、フリアント、ドゥムカなどチェコの踊りのリズムが躍動する。」(152ページ抜粋)とあり、楽曲への理解について大変勉強になります。
また、「チェロ協奏曲 ロ短調」では、第2楽章と第3楽章に「逝去した初恋の女性への、切々とした思い」が隠されているとあります。「第2楽章中間部のト短調に転じてからのチェロの歌」、「終楽章後半でチェロの主題を引き継ぐ形で出るヴァイオリン・ソロ(コンサートマスターが弾く)」については、その女性への思いの現出だとのことです。(153、154ページ抜粋、編集)
多角的に楽曲について知ることのは、音楽作品を聴く上での醍醐味のひとつですね。
作品にまつわる作曲のエピソードって面白いですね。
そうだな。本質ではないのかも知れないが、楽曲を鑑賞する上での理解の助けなるのは事実だな。
【雑想】下手の横好き。(第47弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
DAW(Digital Audio Workstation)でクラシック音楽を打ち込んだDTM(DeskTop Music)の作品を制作しています。
DAWで音楽を制作するDTMの楽しさが伝わればと思います。
下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
引き続き、ドヴォルザーク編でした。
ドヴォルザークとしては珍しい、ヴァイオリン協奏曲とピアノ協奏曲を収めた全集でしたね。
このような、メジャー作家のレア作品を収録したアルバムに出会うと大変興奮しますね。
また、チェロ協奏曲は、当ブログ「ドヴォルザーク&シューマン チェロ協奏曲」でも取り上げていますので、演奏家違いの「同曲異演」を楽しむ回でもありましたね。
さて、ドヴォルザーク編ですが、今回で一区切りです。交響曲については、別の機会にまとめて紹介する運びとなりそうです。(おそらく指揮者括り)
次はどの作曲家のアルバムを紹介しようかと勘案中です。
では、また。
ドヴォルザーク作品の紹介は、ひとまず区切りがついたみたいですね。半端な感じがしますが…。
棚卸しが目的だからな。CDの整理が行き届いていないのも理由だろう。交響曲については、多分カラヤン氏の括りで登場すると思うぞ。