こんにちは。はーねうすです。

今回は、クレイグ・レオン氏のプロデュースによる「バッハ・トゥ・モーグ」を紹介します。

ロバート・モーグ博士が開発したシンセサイザーであるモジュラー・システム「モーグ」で、ヨハン・セバスティアン・バッハの楽曲を再現したアルバムですね。クラシック音楽へのアプローチとしてとても意義深いですね。

全編シンセサイザーの「モーグ」だけで構成されているわけではなく、ヴァイオリニストのジェニファー・パイク氏とシンフォニエッタ・クラコヴィアとの「共演」になります。

なお、アルバムの原題は「BACH TO MOOG / A REALISATION FOR ELECTRONICS AND ORCHESTRA」です。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

おっと、クラシックCDの紹介としては変わり種ですね。

こういったアルバムに出会うと興奮するな。

【着想】時代を超越したアンサンブル。

「クレイグ・レオン バッハ・トゥ・モーグ」のコンテンツです。

「クレイグ・レオン バッハ・トゥ・モーグ」です。
クレイグ・レオン バッハ・トゥ・モーグ レーベル[SONY CLASSICAL]

ヨハン・セバスティアン・バッハの有名な楽曲で構成されています。そのため、純粋に「シンセサイザーで演奏するバッハの音楽」を堪能できます。もし、馴染みのない楽曲で構成されていると、その差異がわかりにくくなると思いますね。
なお、No.12は日本盤のボーナストラックです。

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第3番 ホ長調前奏曲BWV1006
2ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ハ短調シチリアーノBWV1017
3カンタータ 第147番「心と口と行いと命」コラール「イエスは変わらざる我が喜び」(主よ、人の望みの喜びよ)BWV147
4トッカータとフーガ ニ短調BWV565
5カンタータ 第156番「我が片足は墓にありて」シンフォニア(アリオーソ)BWV156
6ブランデンブルク協奏曲 第4番 ト長調第1楽章 アレグロBWV1049
7ブランデンブルク協奏曲 第4番 ト長調第2楽章 アンダンテBWV1049
8ブランデンブルク協奏曲 第4番 ト長調第3楽章 プレストBWV1049
9管弦楽組曲 第3番 ニ長調第2曲 エア(G線上のアリア)BWV1068
10ゴールドベルク変奏曲アリアBWV988
11ゴールドベルク変奏曲の主題に基づく14のカノン第1曲 ~ 第14曲BWV1087
12目を覚ませと呼ぶ声が聞こえBWV140
ジェニファー・パイク(ヴァイオリン) シンフォニエッタ・クラコヴィア

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.4」:「トッカータとフーガ ニ短調」

とても有名な楽曲で、冒頭から「おおっ」と感嘆します。

アレンジとしては、ヴァイオリンとシンセサイザー「モーグ」との掛け合いがとても素敵ですね。

もとはオルガン曲なので、アンサンブルとして聴くと、また一風変わった独特の音響を堪能できますね。

ライナーノーツ(クレイグ・レオン氏著/安江幸子氏訳)によると、「もともとはソロ・ヴァイオリン向けに書かれたものだと理論立てる分析家も数人存在するが、バッハの作品であること自体を疑問に感じる者もいる。」と記しており、曰くのある楽曲であることが伺えます。面白いですね。

<おすすめ度★★>

「No.5」:「シンフォニア(アリオーソ)」

天上に昇る気分になる素敵な楽曲です。シンセサイザー「モーグ」で奏でられると、より幻想的な雰囲気が強調されます。

「No.6」:「ブランデンブルク協奏曲 第4番 ト長調 第1楽章」

強烈にファンシーな曲調になっています。素敵ですね。

<おすすめ度★>

「No.9」:「管弦楽組曲 第3番 ニ長調 第2曲」

「G線上のアリア」としても大変有名な楽曲です。そのため、ヴァイオリン曲という印象が強いかも知れませんね。シンセサイザー「モーグ」とのサンサンブルも良いですね。

映画「セブン」(デヴィッド・フィンチャー監督/アメリカ/1995年)で使用されていましたね。


全編が楽しく、素敵にアレンジされた楽曲ばかりです。是非ともオリジナルと聴き比べたいですね。

「クレイグ・レオン バッハ・トゥ・モーグ」です。
クレイグ・レオン バッハ・トゥ・モーグ レーベル[SONY CLASSICAL]

バッハのシンセサイザー・アレンジって、他にもありますかね。

「スイッチト・オン・バッハ」があるな。「バッハ・トゥ・モーグ」はそのオマージュの意味合いも兼ねているぞ。

【観想】オリジナルとの対比。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

シンセサイザーに限らず、他楽器へアレンジした楽曲については、オリジナルの編成が気になるところです。
折角なので「バッハ・トゥ・モーグ」の楽曲についても調べてみました。出典は「クラシック音楽作品名辞典<改訂版>」(井上和男[編著] 三省堂)

No.曲名楽器編成
1無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第3番 ホ長調ヴァイオリン
2ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ハ短調ヴァイオリン
3カンタータ 第147番「心と口と行いと命」声楽(ソプラノ、アルト、テノール、バス、コーラス)、オーボエ、オーボエ・ダモーレ、オーボエ・ダ・カッチャ、ファゴット、トランペット、ヴァイオリン、ヴィオラ、ヴィオローネ、通奏低音
4トッカータとフーガ ニ短調オルガン
5カンタータ 第156番「我が片足は墓にありて」声楽(アルト、テノール、バス、コーラス)、オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音
6 ~ 8
ブランデンブルク協奏曲 第4番 ト長調ヴァイオリン、ブロックフレーテ、ストリングス(ヴァイオリン、ヴィオラ、ヴィオローネ、チェロ)、通奏低音
9管弦楽組曲 第3番 ニ長調オーボエ、トランペット、ティンパニ、ストリングス(ヴァイオリン、ヴィオラ)、通奏低音
10ゴールドベルク変奏曲クラヴィア
11ゴールドベルク変奏曲の主題に基づく14のカノンクラヴィア
12目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ声楽(ソプラノ、テノール、バス、コーラス)、オーボエ、オーボエ・ダ・カッチャ、ヴィオリーノ・ピッコロ、ヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音

各パートの音を、シンセサイザー「モーグ」の電子処理によってどのように再現されているのかに注力して聴くのも一興ですね。

それにしても、ヨハン・セバスティアン・バッハの曲は時代を超越していますね。どのようにアレンジされても、揺るがない「バッハの音楽」がありますね。

音楽家の略歴です。

<略歴> ヨハン・セバスティアン・バッハ
【独】1685-1750
200年間にわたり音楽家を輩出したバッハ一族の中の最大の音楽家、またバロック音楽の頂点に立つ作曲家として、<大バッハ>の名で呼ばれる。当代におけるもっともすぐれたオルガニストであり、とくに即興演奏の大家として知られた。プロテスタントの立場でドイツ・バロック音楽を集大成し、歌劇以外のあらゆる分野の作品を残した。

ところで、通奏低音って何ですか。

伴奏形態のひとつだな。主に鍵盤楽器用で演奏されが、楽譜には低音部の旋律やのみが記載されていて、演奏家はそれを元に和音を奏でるぞ。

【追想】バッハの生涯。

図版が多くて助かります。

「カラー版 作曲家の生涯 バッハ」です。
カラー版 作曲家の生涯 バッハ 樋口隆一[著] 新潮文庫

「カラー版 作曲家の生涯 バッハ」(樋口隆一[著] 新潮文庫)です。ヨハン・セバスティアン・バッハの生涯を、豊富な図版の資料とともに読むことができます。

また、10名の音楽家によるエッセイが間に挟み込まれています。そのため、一辺倒に生涯を追うだけでなく、色々な「バッハ礼讃」も交えているので、とても読み応えがあります。

巻末には、「BWV」で知られるシュミーダー編の「バッハ作品主題目録」が番号順に記載されているので、とても重宝しますね。

また、「バッハ一族略系図」が見開きで掲載されているので、眺めるだけでも面白いです。

BWVってよく目にしていましたが、単なる作品番号という意味ではなかったのですね。

ヴォルフガング・シュミーダーが整理したバッハ作品の目録のことだな。因みにBWVはドイツ語で「Bach Werke Verzeichnis」の頭文字だ。

【雑想】下手の横好き。(第48弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★>として紹介したJ.S.バッハの「管弦楽組曲 第3番 ニ長調 第2曲 Air (エア)」です。
「Magical 8bit Plug 2」(YMCK) を使用した、アレンジになっています。

作曲家:ヨハン・セバスティアン・バッハ 作曲年:1729 ~ 1731
(編曲:HARNEUS)

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

定例の変則回でした。

何とも変わり種のアルバム紹介になりましたが、シンセサイザーを使った楽曲は面白いですね。

ヨハン・セバスティアン・バッハについては、色々とアルバムを保有しているので、改めて紹介させていいただきますね。

特に、ピアニストであるグレン・グールド氏のアルバム紹介に偏ることになりそうです。

さて、次はどの作曲家のアルバムを紹介しようか、考え中です。

では、また。

お楽しみの変則回でしたね。シンセサイザーを楽器編成に持ち込んだ楽曲ってありますか。

メシアンのトゥーランガリラ交響曲では「オンドマルトノ」という電子楽器が使用されているな。