こんにちは。はーねうすです。
今回は、「モーツァルト ピアノ小品集」を紹介します。
ピアノ・ソナタなど多楽章で規模の大きい曲ではなく、単品演奏される小さな曲ばかりが集められています。
幼少期の作品もありますので、あまり馴染みのない曲が多いと感じるかもしれませんね。
ピアノ演奏は、イングリット・ヘプラー氏です。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
モーツァルトのピアノ曲ですね。確かに単品では聴かない印象です。
大規模であれば「変奏曲」などが有名どころだな。小品は確かに馴染みが薄いな。
目次
【着想】神童のピアノ曲。
「モーツァルト ピアノ小品集」のコンテンツです。
単独で演奏されるモーツァルトのピアノ作品が集められています。演奏時間が10分前後ある大規模の楽曲から、11秒ぐらいで終わる超小規模の作品もあり、面白いです。
No. | 曲名 | 作品番号 |
1 | ロンド ニ長調 | K.485 |
2 | アダージョ ロ短調 | K.540 |
3 | アイネ・クライネ・ジーグ ト長調 | K.574 |
4 | ファンタジア ニ短調 | K.397 |
5 | カプリチオ ハ長調 | K.395 |
6 | ロンド イ短調 | K.511 |
7 | プレリュード(ファンタジア)とフーガ ハ長調 | K.394 |
8 | メヌエット ト長調 | K.1 (1e-f) |
9 | メヌエット ヘ長調 | K.2 |
10 | アレグロ 変ロ長調 | K.3 |
11 | メヌエット ヘ長調 | K.4 |
12 | メヌエット ヘ長調 | K.5 |
13 | アンダンテ ハ長調 | K.1a |
14 | アレグロ ハ長調 | K.1b |
15 | アレグロ ヘ長調 | K.1c |
16 | メヌエット ヘ長調 | K.1d |
17 | メヌエット ニ長調 | K.355 |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.4」:「ファンタジア ニ短調」
モーツァルトの短調の神髄といえる楽曲ですね。
モーツァルトは短調の楽曲を多くは残していないので、翻って寡作として名品が多いです。
その中でも、この「ファンタジア ニ短調」は逸品ですね。
また、「ファンタジア」=「幻想曲」と題されているとおり、自由な形式なので堅苦しさがないです。曲想、曲調も相まって既成の古典主義から抜け出したような観想を抱かせます。
技巧性を伺わせるパッセージや、一転した長調のコーダには軽妙洒脱を印象付けられます。
「No.2」:「アダージョ ロ短調」
これもモーツァルトの短調です。つまり神髄です。
胸に染み入るような淡い旋律の楽曲です。長調に転じてからは甘い旋律が歌われます。
ライナーノーツ(石井宏氏著)には、「~前略~ 前曲に劣らぬユニークな特徴を持っている。それは”ロ短調”という調性である。モーツァルトがこの調性のために書いた曲はこれ1曲しか存在していない。」とあり、如何にこの楽曲が稀な作品であるのかを知ることができますね。
<おすすめ度★★>
「No.1」:「ロンド ニ長調」
モーツァルトのピアノ単独曲としてはかなりメジャーな部類です。
前打音を伴う下降型の主題が特徴的でキャッチですね。ロンドと謳っていますが、実際は変則型のソナタ形式です。明確な第2主題がなく、第1主題を異なった調で繰り返すという面白い構成です。丹念に作り込まれたコーダもあるので、尚更ロンドとは呼びがたいですね。
「No.7」:「プレリュード(ファンタジア)とフーガ ハ長調」
バロック音楽の形式に倣いながら、「自由にさせてもらった感」が強いですね。
特に前奏曲の部分は「ファンタジア」と括弧書きが加えられるほどに自由な形式になっています。また、短調に転じてからの美しさが際だった楽曲です。
<おすすめ度★>
「No.5」:「カプリチオ ハ長調」
無窮動に展開する音型、アルペジオの多用が印象的ですね。トッカータ風に処理された楽曲と言えそうです。
「No.17」:「メヌエット ニ長調」
単独のメヌエットとしては、規模が大きめという印象ですね。所々に半音階を使っているので、一種独特の雰囲気を醸し出す楽曲になっています。
モーツァルトのピアノ単独曲というのは、総じて聴き馴染んだ楽曲が少ない印象です。そのため、このアルバムに収録された楽曲、とりわけ短調で書かれた楽曲を耳にすると、改めてモーツァルトの凄まじさを実感させられます。
モーツァルトの「短調」って、やはり少ないのですね。
有名どころでは、ピアノ協奏曲なら第20番と第24番、そして交響曲なら第25番と第40番だな。それからレクイエムもだな。
【観想】1桁台のケッヘル番号。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
今回紹介したアルバムには、作品番号(K:ケッヘル)が1桁の楽曲が収められています。
これらは、モーツァルトがまさに「神童」であることを証明する記念碑的な作品群になります。
例えば「K.1」が付された「No.8」の「メヌエット ト長調」。モーツァルト5歳の作品です。一聴して最幼少期て分かりますが、何よりも作品として現代に残っていることに感激します。
ライナーノーツ(石井宏氏著)によると「K.1の自筆稿はナンネルの楽譜帳にあり、モーツァルトの死後、ナンネルの手によって、この曲がモーツァルトの5歳の時の作品であることを証明する旨が書きこまれている。」とあります。姉ナンネルによって、作品が後世に残されたと思うと感慨深いですね。
また、「No.13」の「K.1a」から「No.16」の「K.1d」までもモーツァルト5歳の作品だと同定されています。
ライナーノーツ(石井宏氏著)には、「姉のナンネルの音楽帳に記入されているものだが、ナンネルが(多分モーツァルトの死後)こうした部分を記念に切り抜いてしまったので、長い間行方不明であったが20世紀の後半になってようやく発見された。」とあります。姉ナンネルの心情は如何にといったエピソードですね。
音楽家の略歴です。
<略歴> ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 【墺】1756-1791 古典派の典型をなす作曲家。早熟の天才であり、35歳で夭逝。'84年フリーメーソンに加盟、その活動が作品にも投影する。1770年代初めまでの初期の作品には前古典派およびイタリア古典派の影響が強く見られるが、中期には典雅なギャラント様式、マンハイム楽派の様式を採り入れ、30歳以後の後期ではバロック音楽への傾倒も加わって、古典美のなかに深遠な表情をもつようになった。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
今更ですみません。ケッヘルって音楽関係者ですか。
そりゃそうだろう。ルートヴィヒ・フォン・ケッヘルという音楽研究家で、モーツァルト作品を時系列順に目録として整理したぞ。
【追想】神童のピアノ譜。
古典音楽の音符にうっとりします。
「チェルニー30番から弾ける モーツァルト アルバム」(渡部麗子/岡村周宏[編] 東京音楽書院)です。
タイトルからも分かるとおり、ピアノ練習曲の大家カール・チェルニーの「ピアノ教則本 30番」をクリアした辺りから手を付けるのに適したモーツァルトのピアノ曲が収められています。
構成としては、今回紹介した「モーツァルト ピアノ小品集」に収録されている楽曲と重複するので、アルバムを聴きながら音符を追うのに適していますね。
「No.1」の「ロンド ニ長調」、「No.4」の「ファンタジア ニ短調」のように規模も大きく、演奏の機会に恵まれた作品もありますので、とても重宝します。
また、作品番号1桁の楽曲もあります。とりわけ「No.8」のK.1の「メヌエット ト長調」は、最初期のモーツァルト作品を、音符で眺めることができます。興奮しますね。
チェルニーって、ピアノの練習曲で有名ですね。
19世紀のピアニストでピアノ教師だな。因みに「○○番」というのは教則本の順番ではなく、教則本に納められた練習曲の数だぞ。
【雑想】下手の横好き。(第49弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したモーツァルトの「ファンタジア ニ短調」です。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
ついに、モーツァルト編に入りました。正直なところ、モーツァルトのCDアルバムはそれほど蒐集していません。
理由としては、クラシックCDを集め始めた10代の頃、「モーツァルトは老後の楽しみ」という理念があり、現在に至るまで手を出していないためです。
実際のところ、モーツァルトについては何を買ったのかも忘却の彼方なので、当ブログの本意である「棚卸し」を通して、振り返られれば良いなと思います。
では、また。
モーツァルトは「老後の楽しみ」ですか。なにやら意味深長ですね。
モーツァルトは聴きやすい分、表面的な美しさに捕らわれてしまうからな。色々な音楽に触れてから、その深淵と神髄に触れたいということなのだろう。