こんにちは。はーねうすです。

今回は、「マーラー 交響曲 第1番〔巨人〕」を紹介します。

マーラーの作品は、交響曲と歌曲が大半を占めています。とくに交響曲は長大で、巨大化する管弦楽曲を象徴するかのような存在でもあります。

今回紹介するアルバムは、ライブ録音になります。

マーラーですね。確かに交響曲の作曲家というイメージが強いですね。

全部で10作品を残しているな。

【着想】巨大な音響。

「マーラー 交響曲 第1番〔巨人〕」のコンテンツです。

「マーラー 交響曲 第1番〔巨人〕」です。
マーラー 交響曲 第1番〔巨人〕 レーベル[Deutsche Grammophon]

後期ロマン主義を代表するかのような交響曲で、管弦楽の巨大化には目を見張る物があります。
また、従来は管弦楽には採り入れていない楽器の使用などもありますね。例えば、トライアングル。各楽章の結尾で打ち鳴らしているのが明瞭です。

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1交響曲 第1番 ニ長調〔巨人〕第1楽章:ゆっくりと – 引きずるように – 自然の響きのように – いつもとても穏やかに
2交響曲 第1番 ニ長調〔巨人〕第2楽章:力強く動いて、しかしあまり速すぎず – 適度に気楽に
3交響曲 第1番 ニ長調〔巨人〕第3楽章:厳かに落ち着いて、引きずることなく
4交響曲 第1番 ニ長調〔巨人〕第4楽章:嵐のように動いて
*: クラウディオ・アバド指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.4」:「交響曲 第1番 第4楽章」

「巨人(タイタン)」と言えば、この楽章を指すといっても過言ではないでしょう。冒頭が余りにも有名ですね。

冒頭の極めて劇的な第1主題の、ある種の暴力的と言えそうな迫力は、聴者を一気に鑑賞という姿勢に向かわせます。

弦の絶え間ないボーイングの動き、管の破裂するかのような咆哮、打楽器群の追い打ちなど、近代における管弦楽曲の巨大化を体現したかのような楽曲です。

続く第2主題は、弦が奏でる静かで落ち着いた音響が異様に美しいです。荘厳、崇高といた感があります。

中間の展開部分で唐突に全合奏で大音響を発するのは、正直心臓に悪いですね。

ファンファーレ風の曲想が挿し込まれた後の後半部分は、何やら鬱屈した気分が吹っ切れたかのような雰囲気があり面白いです。

そして、不安を煽る静けさの後、幻想的で夢想的な曲想を経て、冒頭の主題とファンファーレ箇所を組み合わせた、爆発的に盛り上げきった豪奢な結尾で締めくくります。

アニメーション映画「映画大好き ポンポさん」(杉谷庄吾【人間プラモ】原作 / 平尾隆之監督 / 日本 / 2021年)では、劇中劇である映画「MEISTER」で鳴り響いていましたね。

<おすすめ度★★>

「No.1」:「交響曲 第1番 第1楽章」

余りにも静かすぎる導入に不安を覚えます。

管楽器によって徐々に提示される主題、カッコウの鳴き声を模したモチーフ、よく聴くとずっと弦が一定の線形を描いているなど、要素が豊富です。

中間の華やかなパートは、どこか東洋風の曲想をイメージさせます。

静と動が明確すぎるのが特徴とも言えそうですね。

「No.2」:「交響曲 第1番 第2楽章」

とても華やか明るい楽曲です。

弦と管の組み合わせで奏でる音響ですが、位相差のためかとても立体的に感じます。

後半に入っての軽快なサウンドも痛快ですね。

<おすすめ度★>

「No.3」:「交響曲 第1番 第3楽章」

この楽章も、静かすぎる導入が印象的です。全編が抑制の効いた音響に満ちています。

ライナーノーツ(吉成順氏著)では、「パロディー精神に満ちた特異な葬送行進曲。」と評しています。


英雄譚的な憧憬、自然への崇敬と畏怖などの、音楽家の幻想や思想が如実に作品へと昇華された印象ですね。

「マーラー 交響曲 第1番〔巨人〕 」です。
マーラー 交響曲 第1番〔巨人〕 レーベル[Deutsche Grammophon]

あれ?。作品番号がありませんね。

確かにな。交響曲だけでなく全作品に作品番号はない。一説では総体的に数も少なく整理する必要がないため、と言われている……本当かな。

【観想】歓声と喝采。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

今回紹介したアルバム「マーラー 交響曲 第1番〔巨人〕」は、ライブでの録音盤になります。

以前に当ブログ「ドヴォルザーク 協奏曲集」でも取り上げさせていただいた様に、一種独特の緊張感を味わえます。

「No.4」の「交響曲 第1番 第4楽章」の結尾、疾風怒濤の音響で締めくくられた後、沸き起こる歓声と拍手喝采の嵐には、鳥肌が立つような感動を覚えます。

ライナーノーツ(吉成順氏著)には、「アバドのゆるぎない自信と、楽員の寄せる信頼感、そして聴衆のやはり信頼と期待のこもった熱気が、このライブ録音から伝わってくる。」と記しています。

スタジオ録音ではあり得ない組み合わせが、特殊なパフォーマンスを生み出し、類を見ないアルバムへと結実していると言えそうですね。

音楽家の略歴です。

<略歴> グスタフ・マーラー
【墺】1860-1911
ウィーン楽友協会音楽院で学び、ウィーン大学では哲学も修めた。1897年よりウィーン宮廷歌劇場の指揮者となり、同劇場の全盛期を築いた。作品はワグネリズムに根幹をおいた長大な交響曲と、それと不可分の関係にある管弦楽伴奏付き歌曲が中心をなしており、明快な抒情性のなかに深い思索的内容を秘めた傑作によって占められている。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

ライブ録音ですね。拍手喝采がすごいです。

コンサート・ホールでの熱気や熱量を感じ取れるな。

【追想】マーラーの生涯。

図版が多くて助かります。

「カラー版 作曲家の生涯 マーラー」です。
カラー版 作曲家の生涯 マーラー 船山隆[著] 新潮文庫

「カラー版 作曲家の生涯 マーラー」(船山隆[著] 新潮文庫)です。グスタフ・マーラーの生涯を、豊富な図版の資料とともに読むことができます。

また、8名の指揮者によるコラムが間に挟み込まれています。とても読み応えがあります。

マーラーは、生前は作曲家よりも指揮者としての活動が注目されていました。1897年から就任したウィーン宮廷歌劇場では一時代を築いたようでした。

「音と光と色彩と身ぶりの総合を求めたマーラー」(135ページ抜粋)とあるように、演出面でも特異だったみたいですね。

136 ~ 137ページにある、テオ・ツァッシェのカリカチュア「ヴィーン宮廷歌劇場指揮者マーラー」、オットー・ペーラーの影絵「グスタム・マーラー」、ハンス・シュリースマンのカリカチュア「超モダンな指揮者」は、当時のマーラーが如何に突出した指揮者であったかを物語る素材になっていますね。

また、巻末には「G.マーラー作品表」が配されていますので、とても重宝しますね。

作曲家としては、あまり日の目を見なかったのでしょうか。

マーラー自身、「やがて私の時代が来る」と予言めいた言葉を残しているな。

【雑想】下手の横好き。(第52弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

DAW(Digital Audio Workstation)でクラシック音楽を打ち込んだDTM(DeskTop Music)の作品を制作しています。

DAWで音楽を制作するDTMの楽しさが伝わればと思います。

下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

今回から、マーラー編をお届けします。

「交響曲 第1番 〔巨人〕」は、マーラー作でもとりわけ好きな楽曲です。加えて、「ライブ録音」ということもあって、手に入れた1枚です。

近代の巨大化した管弦楽曲の魅力を味わうには、マーラーの交響曲はうってつけですね。

では、また。

管弦楽の巨大化も気になりましたが、トライアングルの使われ方が面白かったですね。

楽器以外も使っているぞ。交響曲 第6番では「カウベル」が登場するな。