こんにちは。はーねうすです。
今回は、「マーラー 交響曲 第5番」を紹介します。
マーラーの「副題」を伴わない交響曲の中でも、とりわけ人気の高い作品ですね。
特に、第4楽章を聴くと、一気にマーラーファンになってしまいます。
指揮は、ガリー・ベルティーニ氏です。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
副題がないのも、特徴なのでしょうか。
後期ロマン主義時代には、文学性を持たせた標題的な音楽が増えたからな。
目次
【着想】交響による詩。
「マーラー 交響曲 第5番」のコンテンツです。
「副題」、つまりは標題的な要素を想定していない楽曲ですが、楽章それぞれが物語性を有したような構成になっています。どこか交響的な詩歌の集合といった感がありますね。
また、全5楽章という章数も特徴といえるでしょう。
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | 交響曲 第5番 嬰ハ短調 | 第1楽章:葬送行進曲(正確な歩みで、厳格に、葬列のように) | ― |
2 | 交響曲 第5番 嬰ハ短調 | 第2楽章:嵐のようにはげしく、いっそう大きなはげしさをもって | ― |
3 | 交響曲 第5番 嬰ハ短調 | 第3楽章:スケルツォ(力強く、速すぎずに) | ― |
4 | 交響曲 第5番 嬰ハ短調 | 第4楽章:アダージェット | ― |
5 | 交響曲 第5番 嬰ハ短調 | 第5楽章:ロンド(アレグロ) | ― |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.4」:「交響曲 第5番 第4楽章」
「交響曲 第5番」を代表するというみならず、マーラーの作品の中でも、超が付く有名曲です。ハープと弦の組み合わせが至高ですね。
息の長い弦のフレーズと、それを支えるように弾かれるハープのアルペジオ。劇薬的で、暴力的な側面が魅力であるマーラーの作品が、まるで嘘であったかのような錯覚に陥ります。
治癒と幻想、ヒーリングとファンタジー。その環境に身を任せたい、感を極めた天上の音楽といったところですね。
<おすすめ度★★>
「No.2」:「交響曲 第5番 第2楽章」
激情的でドラマティックな部位と、ファンシーさが漂う部位が組み合わさった、構成の面で物語性を印象づける楽章ですね。
豪快、優美、豊潤といったバラエティに富んだ叙事詩のようです。
「No.3」:「交響曲 第5番 第3楽章」
明るく軽快で、思わずステップを踏みたくなるようなワルツ風の部位が印象的な楽章です。
トライアングルや拍子木のような打楽器の扱いが特徴的ですね。
第2楽章と同じく、物語性を思わせる緩急動静が印象的で、分かり易い構成です。
<おすすめ度★>
「No.1」:「交響曲 第5番 第1楽章」
管楽器群によるファンファーレの導入が印象的な楽曲です。また、モチーフの扱いがとても明快で、とりわけ弦が主体となるテーマは分かり易いです。
曲想に「葬送行進曲」や「葬列」というワードがありますが、一般的に抱く「弔い」といった通念では計れないですね。どこか、劇的で勇壮であった対象を「称える」といった歓送なのかもしれません。
「No.5」:「交響曲 第5番 第5楽章」
明るく華やかで、とても軽やかです。第1楽章へのカウンターといった位置づけと捉えても良いかも知れませんね。
規模を膨らませ切ったベートーヴェン(交響曲 第7番のような)といった印象で、爽快なエンディングといえるでしょう。
マーラーの交響曲にあって、「副題付き」や「声楽付き」と比べると、纏まりのある古典的な手法に基づく管弦楽曲といった感がありますね。とても整理されているといった印象です。
だからこそ、「器楽曲の王」としての威厳に満ちた「交響曲」の典雅や優雅、崇高といった曲想を惹起するのかもしれませんね。
確かに、副題があると先入観を持って、音楽を鑑賞してしまいますね。
必ずしもとは言えんが、作用はするな。だからこその絶対音楽 vs 標題音楽という対立構造が生まれたのだろう。
【観想】緩徐楽章の華。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
ある時期、ヘルベルト・フォン・カラヤン氏が指揮する、速度がゆっくりめの楽曲ばかりを集めた「アダージョ・カラヤン」シリーズがヒットしました。
その第1弾である「アダージョ・カラヤン」のトップを飾ったのが、マーラーの「交響曲 第5番 第4楽章」の「アダージェット」でした。しびれますね。
クラシック音楽を積極的に聴き始めた時期で、この種の音楽に疎かったため、正直なところ当初は「遅いな」といった印象しか持ちませんでした。
反して、同アルバムに収められていた、パッヘルベルの「カノン」や、J.S.バッハの「G線上のアリア」に食指を動かされ、心酔していきました。
その後、色々な時代の楽曲を聴き、マーラーの交響曲に触れる機会がやってきました。そして、改めて「アダージェット」を聴き、虜になってしまいました。
マーラーの「交響曲 第5番]の魅力は、一概に言葉にできませんね。
今回紹介したアルバムのライナーノーツ(門馬直美氏著)にあるように、「憂愁さ、悲痛さ、諦観といったものと、明るい生活への憧れとがそこに同居している。それに加えて、マーラー独特のキリスト教的な宗教観も盛り込まれている。」といった点に着眼できそうです。
マーラー自身の生い立ちや生活観、宗教観が複雑に絡み合って、生まれた名曲と言えそうですね。
音楽家の略歴です。
<略歴> グスタフ・マーラー 【墺】1860-1911 ウィーン楽友協会音楽院で学び、ウィーン大学では哲学も修めた。1897年よりウィーン宮廷歌劇場の指揮者となり、同劇場の全盛期を築いた。作品はワグネリズムに根幹をおいた長大な交響曲と、それと不可分の関係にある管弦楽伴奏付き歌曲が中心をなしており、明快な抒情性のなかに深い思索的内容を秘めた傑作によって占められている。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
もう少し言えば、神秘的で癒やされますね。
ハープと弦で構成されたシンプルで情報量を抑えた楽曲だからな。俗にいうヒーリング・ミュージックっぽい面があるな。
【追想】映画の劇伴。
名画のサウンドトラックです。
「ヴェニスに死す」(トオマス・マン[著] / 実吉捷郎[訳] / 新潮文庫)ですね。
老作家のグスタアフ・アッシェンバッハが出会った美少年タッジオへの恋慕を通して理想を見いだし、生と死、美と醜などの眩惑的で耽美的な世界に邁進していく様が描かれた作品です。
さて、作家のドーマス・マンは、グスタフ・マーラーとも親交があったようですね。「ヴェニスに死す」の主人公であるアッシェンバッハのモデルは、マーラーと言われています。
そして、映画「ベニスに死す」(監督ルキノ・ヴィスコンティ / アメリカ・フランス・イタリア / 1971年)では、アッシェンバッハは「作曲家」として描かれています。
また、劇伴ではマーラーの「交響曲 第5番 第4楽章」の「アダージェット」が効果的に使用されていることも特徴ですね。
その外にもクラシック音楽が鏤められていますので、物語以外でも堪能できますね。
小説や映画などの他の芸術作品を通して知見を得ることができるのも、クラシック音楽の醍醐味かもしれませんね。
映画のサウンドトラックっていいですよね。
オリジナル以外で、そっと忍ばされたクラシック音楽の存在に気づくと興奮するな。
【雑想】下手の横好き。(第56弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したマーラーの「交響曲 第5番 嬰ハ短調 第4楽章」です。
・楽譜の紹介です。
堀内貴晃氏によるピアノ編曲の譜面も付録されていますので、とてもおすすめです。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
随分と間が空いてしまいました。
引き続き、マーラー編でした。
とにかく「第4楽章」の「アダージェット」ですよ。天界に至ったかのような幻惑を覚えましたね。
「巨人」や「復活」とは真逆の曲想ですね。構造もシンプルです。
さて、マーラーの交響曲はコンプリートしていません。番号付きはこの楽曲で打ち止めです。いつかコンプリートします。
では、また。
マーラーの交響曲って、何曲あるのでしたっけ。
基本的な「10曲」だな。ただ、「大地の歌」を交響曲にカウントする場合もあるので、何とも言えんな。