こんにちは。はーねうすです。

今回は、「ブラームス ピアノ名演集 第2集」を紹介します。

前回に紹介した「第1集」と同様に、「3つの間奏曲」や「6つの小品」など、小品がパッケージされた作品集が納められたアルバムになりますね。

ピアノ演奏は、ヴィルヘルム・ケンプ氏です。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

引き続き、ケンプ氏のピアノで聴くブラームスのピアノ曲ですね。

ドイツ・ピアノの巨匠が奏でるブラームスの作品に魅了されるぞ。

【着想】後期の佳品。

「ブラームス ピアノ名演集 第2集」のコンテンツです。

「ブラームス ピアノ名演集 第2集」です。
ブラームス ピアノ名演集 第2集 レーベル[Deutsche Grammophon]

前回に紹介した「第1集」に納められていた作品と同じく、規模が控えめの楽曲で構成されています。ブラームスの後期にみられる作品の特徴ですね。

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
13つの間奏曲第1曲:変ホ長調Op.117
23つの間奏曲第2曲:変ロ短調Op.117
33つの間奏曲第3曲:嬰ハ短調Op.117
46つの小品第1曲:間奏曲 イ短調Op.118
56つの小品第2曲:間奏曲 イ長調Op.118
66つの小品第3曲:バラード ト短調Op.118
76つの小品第4曲:間奏曲 ヘ短調Op.118
86つの小品第5曲:ロマンツェ ヘ長調Op.118
96つの小品第6曲:間奏曲 変ホ短調Op.118
104つの小品第1曲:間奏曲:ロ短調Op.119
114つの小品第2曲:間奏曲 ホ短調Op.119
124つの小品第3曲:間奏曲 ハ長調Op.119
134つの小品第4曲:狂詩曲 変ホ長調Op.119

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.5」:「6つの小品 第2曲」

どこかセンチメンタルな気持ちになる楽曲ですね。

穏やかで優美な主題と切なく詩的な主題の組み合わせが、とても素敵です。

繰り返し登場する抑制の効いたモチーフが、切なさを醸し出しています。

憂愁哀愁に包まれた楽曲です。

「No.3」:「3つの間奏曲 第3曲」

ブラームスが「間奏曲」と題した中でも代表格といえる楽曲です。

陰鬱で内向的な主要主題は、単純な音型に忍ばされた風味と言えそうです。

中間部では幾分か劇的な激しさを帯びますが、また落ち着いた調子に帰ってきます。

<おすすめ度★★>

「No.12」:「4つの小品 第3曲」

どこかコミカルな印象を受ける主要主題が特徴的な楽曲です。

主要部のコミカルさと中間部で爆発する轟音との組み合わせも楽しいです。

結尾前には技巧的なパッセージもあり、短いながらもバラエティが豊かな楽曲です。

「No.7」:「6つの小品 第4曲」

前半の陰鬱な主題と、後半に差し掛かり力強さを伴う主題の対比が面白いです。

「No.8」:「6つの小品 第5曲」

旋律的で愛らしい動機で構成された部位と、中間部に配されたトリルなどの装飾を多用した無窮動の音型で構成された部位の対比が面白い楽曲です。

<おすすめ度★>

「No.4」:「6つの小品 第1曲」

劇的で重みのある和音と、下降型のアルペジオの組み合わせで構成された主題が印象的な楽曲です。

「No.6」:「6つの小品 第3曲」

激情的な主題と、抒情的な中間部の組み合わせが特徴的な楽曲です。

バラードではありますが、物語的な展開を構成上の要素としてはいないみたいですね。


晩年の作品に特有の、内向的でメランコリックな心象を受ける作品群ですね。どこか老いの中に見いだす孤独といったものを読み取ってしまいます。

「ブラームス ピアノ名演集 第2集」です。
ブラームス ピアノ名演集 第2集 レーベル[Deutsche Grammophon]

落ち着いた雰囲気と、どこか儚げな印象を持つ作品が多いですね。

晩年に手掛けられた作品に見られる特徴だな。

【観想】最後の番号付きピアノ曲。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

「第1集」に納められた「Op.116」の「幻想曲集」と、このアルバムに収められた3つの作品は、概ね1892年に作曲された作品で、ブラームスが手掛けた最晩年のピアノ曲になります。

とりわけ「Op.118」は、作品番号付きでは最後のピアノ曲集ということもあって、趣深いものだと感じてしまいます。

最後に配された「No.13」の「4つの小品 第4曲」は、全体的に力強く晴れやかな感があり、締めくくりの作品として感慨深く思ってしまいますね。

構成は幾分か単調で、スケールも控えめな作品になっています。ですが、いかにもブラームスっぽいポリフォニックな職人技が光る、技巧に満ちた作品になっています。

そして、センチメンタルです。

ブラームスのキャリアがピアニストとしての出発であったことを踏まえると、より一層感傷的に受け取ってしまいますね。

音楽家の略歴です。

<略歴> ヨハネス・ブラームス
【独】1833-1897
大バッハ、ベートーヴェンと並びドイツ音楽の「3B」と称される。初期にはピアノ曲、歌曲、室内楽曲を中心に作曲、後期は交響曲、協奏曲等の大作が多い。ロマン派音楽のなかにありながら純音楽の伝統に固執、歌劇や標題音楽は手掛けなかった。新古典派とも呼ばれ、形式主義美学を主張するE.ハンスリックから強く支持された。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

確かに最後のピアノ作品と聞くと、感慨深くなってしまいますね。

本質ではないが、この種の背景を知っていた方が、より音楽鑑賞を堪能できそうだな。

【追想】音楽家の横顔です。

図版が多くて助かります。

「カラー版 作曲家の生涯 ブラームス」です。
カラー版 作曲家の生涯 ブラームス 三宅幸夫[著] 新潮文庫

「カラー版 作曲家の生涯 ブラームス」(三宅幸夫[著] / 新潮文庫)です。

ブラームスに関する資料が、多くの図版とともに紹介されていますので、とても重宝します。

また、巻末にはジャンルごとに整理された作品表があり、これも大変重宝します。

とくに図版がいいですね。ブラームスが生きた19世紀後半には、写真撮影の技術が向上していますので、写真資料があるもの嬉しいです。

また、当時の風刺画などの紹介もあって面白いです。

とくに、オットー・ベーラーの影絵「いつもの道を『赤いはりねずみ』に向かうブラームス」という作品がいいですね。タイトルを見なくても、音楽家というヒントをもらえれば「ブラームス」と答えがでそうなぐらい特徴が捉えられています。

因みに「赤いはりねずみ」とはウィーンにあるレストランで、音楽家の溜まり場にもなっていたようです。

ピアノを演奏するブラームスを描いた作品も載っていますね。可愛いおじさんです。

J.J.B.ローレンスが描いた「20歳のブラームス」というのもあるな。めっちゃ美形。

【雑想】下手の横好き。(第63弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したブラームスの「6つの小品 第2曲 イ長調」です。

作曲家:ヨハネス・ブラームス 作曲年:1893

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

引き続き、ブラームス編でしたね

最晩年に作曲されたブラームスの魅力が詰まったアルバムでしたね。

多声的でポリフォニックな音楽を技巧的に処理した気質からくる、「渋さ」といった趣に魅了されますね。

前回にも記載しましたが、比較的譜読みが安易な作品もありますので、音楽を聴きながら楽譜を追ったり、ピアノで演奏してみるのにも適していると言えそうですね。

では、また。

やはり「渋さ」ですね。ブラームスを語る上のキーワードになっていますね。

「難渋」「晦渋」といった「渋さ」を表現した単語が、ブラームスに似合っているな。