こんにちは。はーねうすです。

今回は、「ブラームス/メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲」を紹介します。

4大ヴァイオリン協奏曲のうち、この2曲をカップリングしたアルバムは、メジャーな部類になります。

ヴァイオリン演奏は、アンネ=ゾフィー・ムター氏です。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

有名どころの組み合わせですね。何か共通点があるのでしょうか。

どちらもドイツ・ロマン主義時代の協奏曲だという点があるな。

【着想】有名曲のペアリング。

「ブラームス/メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲」のコンテンツです。

「ブラームス/メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲」です。
ブラームス/メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 レーベル[Deutsche Grammophon]

ベートーヴェンとチャイコフスキーを合わせて「4大ヴァイオリン協奏曲」と称されるヴァオリン協奏曲のうちの2曲が収録されている、とても豪華な構成となっています。
そのため、聴き覚えのある有名なフレーズがあって、嬉しくなりますね。

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1ヴァイオリン協奏曲 ニ長調第1楽章:Allegro non troppoOp.77
2ヴァイオリン協奏曲 ニ長調第2楽章:AdagioOp.77
3ヴァイオリン協奏曲 ニ長調第3楽章:Allegro giocoso, ma non troppo vivace – Poco più prestoOp.77
4ヴァイオリン協奏曲 ホ短調第1楽章:Allegro molto appassionatoOp.64
5ヴァイオリン協奏曲 ホ短調第2楽章:AndanteOp.64
6ヴァイオリン協奏曲 ホ短調第3楽章:Allegretto non troppo – Allegro molto vivaceOp.64
アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)、ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.3」:ブラームス「ヴァイオリン協奏曲 第3楽章」

終楽章にマッチした、賑やか喜びに溢れた感のある楽曲です。

ヴァイオリン・ソロで提示されるキャッチな主要主題が特徴です。

リズミカルでテンポの速い民俗舞踏曲のような曲調が全体を支配しています。

ヴァイオリン・ソロと管弦楽が交互に掛け合うような主要部の構成が印象的です。全体としては、ヴァイオリン・ソロと管弦楽との合奏部の配置が見事で、協奏曲の醍醐味を示してくれているかのようです。

「No.4」:メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 第1楽章」

冒頭のヴァイオリン・ソロで奏でられる物悲しい第1主題があまりにも有名な楽曲ですね。

第1主題がヴァイオリン・ソロで提示されるという古典の形式から外れた珍しい構成が特徴ですね。

悲劇的外向的な熱情を持つ第1主題とは対照的に、内向的な優美を持つ第2主題との対比が美しいですね。

展開部の前に配置されたカデンツァは、主要部位で奏でられるソロ・パートよりも一層技巧的です。

再現部は短く、第1主題を管弦楽が、第2主題をヴァイオリン・ソロが奏でるという圧縮させて内容になっています。

結尾は、駆け足のように奏でられるヴァイオリン・ソロに先導された合奏で締めくくられます。

<おすすめ度★★>

「No.1」:ブラームス「ヴァイオリン協奏曲 第1楽章」

重厚豪壮な第1主題が管弦楽で提示された後、熱情的で幾分悲壮感を纏った第2主題がヴァイオリン・ソロで奏でられる構成が特徴です。

多様なモチーフとパートを伴った提示部であるため、展開部や再現部も肥大化した大規模な楽曲となっています。

カデンツァは、ブラームスの相棒であるヴァイオリニストのヨゼフ・ヨアヒム版が採用されています。息の長いフレーズが優美です。

結尾が至って簡潔なのも特徴ですね。

「No.2」:ブラームス「ヴァイオリン協奏曲 第2楽章」

管楽で提示される穏やか牧歌的な主題が印象的な楽曲です。

ヴァイオリン・ソロが加わり、より郷愁的な曲想が強まります。そして、悲壮感を併せ持つメランコリックな曲調に転じていきます。

高音域で歌われる優美で感傷的なヴィアオリン・ソロが支配する構成に強まっていくのも特徴ですね。

<おすすめ度★>

「No.5」:メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 第2楽章」

ヴァイオリン・ソロで奏でられる主要部の、弱々しく今にも消え去りそうな、息の長いフレーズが印象的な楽曲です。

中間部では幾らか重厚な管弦楽との掛け合いがありますが、他は一貫してヴァイオリン・ソロが主導的な立場にあります。

全般的に憂愁と感じられる旋律が印象的な楽曲ですね。

「No.6」:メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 第3楽章」

第2楽章から切れ目なく入り、ヴァイオリン・ソロで奏でられる感傷的な旋律が印象的です。

その後、リズミカルで明朗快活な主題が管弦楽とヴァイオリン・ソロで繰り返されるエネルギッシュな楽想に変貌します。

跳ね回るようなヴァイオリン・ソロがとても特徴的で、催事に奏でられる楽しい音楽を管弦楽に拡張したかのような印象がありますね。


いずれの協奏曲も終楽章が賑やかに彩られていて、爽快な気分にさせてもらえるアルバムになっていますね。

ブラームス/メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 レーベル[Deutsche Grammophon]

確かに規模感でいえば、ブラームスのほうが大きいですね。

ブラームスの管弦楽曲の特徴で、ヴァイオリン・ソロ付き交響曲のように扱われているのかもしれんな。

【観想】形式と様式。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

ブラームスとメンデルスゾーンはともにロマン主義を代表する作曲家です。

メンデルスゾーンのほうがブラームスよりも20歳ほど先輩です。ですが、古典主義の形式を重んじる姿勢といった点では、後輩のブラームスの方が顕著なのかもしれません。

今回紹介したヴァイオリン協奏曲の第1楽章で比べてみましょう。

ブラームスの場合は、第1主題が管弦楽で提示される点や、カデンツァが演奏家に委ねられている点から古典主義に倣っていると明確に分かります。

メンデルスゾーンの場合は、第1主題がヴァイオリン・ソロで提示される点や、カデンツァが作曲家のものであることと再現部前に配置されている点から、古典主義から外れているというように理解できます。

あくまでもヴァイオリン協奏曲での比較になりますので、両者の姿勢を決定づけるものではありません。ですが、同じロマン主義といった様式区分でみると、面白い観点ではあると思います。

音楽家の略歴です。

<略歴> ヨハネス・ブラームス
【独】1833-1897
大バッハ、ベートーヴェンと並びドイツ音楽の「3B」と称される。初期にはピアノ曲、歌曲、室内楽曲を中心に作曲、後期は交響曲、協奏曲等の大作が多い。ロマン派音楽のなかにありながら純音楽の伝統に固執、歌劇や標題音楽は手掛けなかった。新古典派とも呼ばれ、形式主義美学を主張するE.ハンスリックから強く支持された。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

<略歴> フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディ
【独】1809-1847
ドイツ・ロマン派の代表的作曲家。1829年、大バッハの「マタイ受難曲」を復活演奏して、19世紀におけるバッハ復興の端緒をつくる。作品はあらゆる分野にわたって数多く、旋律の美しさにより知られる。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

形式主義とわれると、堅苦しさを覚えますね。

ブラームスが「新古典主義」と評されるための偏見があるのかもしれんな。

【追想】音楽家の横顔。

図版が多くて助かります。

「大作曲家 ブラームス」です。
大作曲家 ブラームス ハンス・A・ノインツィヒ[著] / 山地良造[訳] / 音楽之友社

「大作曲家 ブラームス」(ハンス・A・ノインツィヒ[著] / 山地良造[訳] / 音楽之友社)です。

ブラームスの作品と生涯を解説した書籍で、図版が多くてとても重宝しています。

また、主要作品表もジャンルごとに記載されていますので検索がしやすいです。

特徴はやはり末尾に配された、「証言」という章でしょう。

ロマン主義の先輩であるロベルト・シューマンや、友人であるアルベルト・ディートリヒの歓迎的な評価や、熱烈なワグネリアン時代のフリードリヒ・ニーチェの批判的な評価などが掲載されていて面白いです。

また、アルノルト・シェーンベルクの証言からは、「絶対音楽と標題音楽の二項対立」といったステレオタイプから離れたブラームスへの評価が読み取れて面白いです。

このような書籍から、他作家が残した書評や書籍に視野を広がっていくのも良いですね。

絶対音楽と表題音楽ですか。音楽美学の観点ですよね。

元は、エドゥアルト・ハンスリックの「音楽美論」だな。この美学によって、ロマン主義時代の音楽が語られほどに影響力があるぞ。

【雑想】下手の横好き。(第65弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 第1楽章」の抜粋です。オーケストラ・パートはストリングスのみにしています。

作曲家:ヤコブ・ルートヴィヒ・フェリックス・メンデルスゾーン 作曲年:1844

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

引き続き、ブラームス編でした。

同梱されているメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲との対比が明確となるアルバムでしたね。

どちらも協奏曲の醍醐味であるソロ・パートが目立つ作品でもありました。

さて、今回でブラームス編は一先ず終わりです。その外の管弦楽曲やピアノ曲については、演奏家の纏まりで紹介することになる予定です。

では、また。

ブラームスと弦楽器って相性がよい感じがしますね。

演奏のパートナーであるヴァイオリニストのヨゼフ・ヨアヒムの存在が大きいな。作曲する上で技巧面でのアドバイスを受けていたそうだぞ。