こんにちは。はーねうすです。
今回は、「ブリリアンティシモ デヴィッド・ヘルフゴット・プレイズ・ロマンティック・アンコールズ」を紹介します。
デヴィッド・ヘルフゴット氏をモデルとした映画「シャイン」(監督:スコット・ヒックス/オーストラリア/1996年)との親和性も見受けられるアルバムです。映画ファンなら尚更垂涎のアルバムですね。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
やって来ました。変則回ですね。
前回の変則回に続き、デヴィッド・ヘルフゴット氏のアルバム紹介だな。
目次
【着想】多様性の名演。
「ブリリアンティシモ デヴィッド・ヘルフゴット・プレイズ・ロマンティック・アンコールズ」のコンテンツです。
映画「シャイン」で定着した、「ラフマニノフ弾き」というイメージを払拭するようなラインナップにもなっていて、大変興味深い内容になっています。
No. | 作曲家 | 曲名 | 作品番号 |
1 | リスト | ハンガリー狂詩曲 第2番 | ー |
2 | リスト | ため息 ~3つの演奏会用練習曲より | ー |
3 | ゴットシャルク | アンダルシアの思い出 | Op.22 |
4 | ショパン | 前奏曲 第15番 変ニ長調「雨だれ」 | Op28-15 |
5 | プロコフィエフ | 前奏曲 ハ長調 | Op.12 |
6 | シューベルト | 即興曲 変ト長調 | D.899 |
7 | ラフマニノフ | 前奏曲 嬰ト短調 | Op.32-12 |
8 | スクリアビン | 練習曲 嬰ハ短調 | Op.2-1 |
9 | リスト | ラ・カンパネッラ ~パガニーニによる超絶技巧練習曲より | ー |
10 | メンデルスゾーン | アンダンテとロンド・カプリチオーソ | ー |
11 | グリーグ | 蝶々 ~抒情小品集 第3集より | Op.43 |
12 | シンディング | 春のささやき ~6つの小品より | Op.32 |
13 | ファリャ | 火祭りの踊り ~バレエ「恋は魔術師」より | ー |
14 | ショパン | 練習曲 ホ長調「別れの曲」 | Op.10-3 |
15 | ゴットシャルク | 風刺 | Op.59 |
16 | リムスキー=コルサコフ (編曲:ラフマニノフ) | くまばちは飛ぶ | ー |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.14」:ショパン「練習曲 ホ長調『別れの曲』」
ショパンの練習曲でとりわけ有名な1曲ですね。
「Sadness」(悲しみ)という副題があるようですが、「別れの曲」という名称に親しみがありますね。曲想と曲調から、悲観や別離といった事柄を連想して付いた「愛称」なのでしょう。
主要部は主旋律と内声部を片手で演奏する難しさがあります。
中間部は6度の和音の跳躍が、ドラスティックな効果を生む技巧的なパッセージとなっている特徴があります。
「No.13」:ファリャ「火祭りの踊り ~バレエ『恋は魔術師』より」
元は管弦楽曲で奏でられる舞踏組曲(バレエ組曲)です。ピアノ独奏用にアレンジされて、演奏されるほどの人気曲ですね。
ピアノ曲では、トリルや前打音などの装飾音の多用が特徴的です。
そして、同音反復の中毒性を堪能できる楽曲です。
「No.16」:リムスキー=コルサコフ(編曲:ラフマニノフ)「くまばちは飛ぶ」
無窮動に駆け巡る右手のパッセージと、スタッカートに弾かれる左手の和音の組み合わせが特徴的な楽曲です。
元はリムスキー=コルサコフの歌劇「皇帝サルタンの物語」内の楽曲です。ピアノ独奏用にアレンジされるほどの有名曲で、とりわけラフマニノフによる編曲は技巧的です。
<おすすめ度★★>
「No.1」:リスト「ハンガリー狂詩曲 第2番」
リストのハンガリアン・ラプソディというタイトルを挙げられると、真っ先に想起する楽曲です。
ボヘミアンの悲愴と陰鬱、劇性と豪気が民俗音楽として昇華したような1曲です。
「No.2」:リスト「ため息 ~3つの演奏会用練習曲より」
息の長い、優しく歌われる旋律が印象的な楽曲です。
旋律の優美で優雅な曲想とは裏腹に、本質は練習曲なので、恐ろしく技巧的なパッセージが組まれた難曲です。
「No.8」:スクリアビン「練習曲 嬰ハ短調」
神秘和音に到達する作曲家が作曲した、初期の初期に属する調性音楽の楽曲です。
単独で演奏されるほどの有名曲でもあります。
「No.10」:「アンダンテとロンド・カプリチオーソ」
早熟の天才・メンデルスゾーンが10代半ばに作曲した楽曲です。
規模の大きな楽曲で、ロマン主義の香りが強く、モチーフの豊富さには自由な気風が感じられます。
「No.15」:ゴットシャルク「風刺」
高音域の装飾的な音型と、陽気で軽快な旋律の組み合わせで奏でられる、主要部が特徴的な楽曲です。
主要部のモチーフが繰り返し装飾されていく様が可愛らしいです。
<おすすめ度★>
「No.9」:リスト「ラ・カンパネッラ ~パガニーニによる超絶技巧練習曲より」
リストのピアノ曲の最高峰ですね。元はパガニーニのヴァイオリン協奏曲の主題からとられた、変奏曲風の練習曲です。
パガニーニの演奏風景を目の当たりにして衝撃を受けた少年リストは、ピアノのパガニーニになると宣言するほど、心酔していた演奏家をリスペクトした1曲と言えるでしょう。
「No.12」:シンディング「春のささやき ~6つの小品より」
旋律が可愛らしく、記憶に残りやすい楽曲です。
高音部と低音部で旋律と伴奏のパートが交代するのが特徴的ですね。
スペイン風の楽曲があったり、19世紀としては珍しいアメリカのクラシック音楽があったりと、バラエティに富んだ内容のアルバムですね。
「19世紀としては珍しいアメリカのクラシック音楽」というのは、ゴットシャルクのことですね。
通俗的な楽曲で親しまれているな。スペイン風やフランス風など、色々な技を駆使した楽曲も面白いぞ。
【観想】映画「シャイン」との親和。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
デヴィッド・ヘルフゴット氏は映画「シャイン」(監督:スコット・ヒックス/オーストラリア/1996年)のモデルになったピアニストとしても有名です。
今回紹介したアルバムにも、映画で使用された楽曲が収録されていて、否応なく映画の場面を惹起させられます。
「No.1」のリストの楽曲「ハンガリー狂詩曲 第2番」は、壮年期のヘルフゴット氏が自室にある質の悪いピアノで演奏していた楽曲ですね。
隣人からやかましさをクレームされるのが印象的ですね。
「No.16」のリムスキー=コルサコフ(編曲:ラフマニノフ)の楽曲「くまばちは飛ぶ」は、ヘルフゴット氏がバーのピアノで演奏していた楽曲です。
バーのピアノを陣取り、客から揶揄される中、突如として弾き始めて、周りを驚嘆させる楽曲です。また、後の妻となるギリアン・ヘルフゴット氏にその存在を知られる場面でもあります。
その外にも「No.4」のショパンの楽曲「前奏曲 変ニ長調『雨だれ』」も、陰鬱な心理描写と相まって効果的でした。
映画のオリジナル サウンド トラック「Shine」と比べてみるのも一興ですね。
音楽家の略歴です。
<略歴> リスト・フランツ 【ハンガリー】1811-1886 19世紀最大のピアニスト。ピアノのヴィルトゥオーソ芸術の確立者。作曲においてはベルリオーズに始まる標題音楽を発展させ、交響詩のジャンルを創始。ワーグナーとともに<新ドイツ派>、<新ロマンは>とも呼ばれる。
映画のオリジナルサウンドトラックも良いですね。
劇伴などの機会音楽は、ジャンルが豊富で贅沢なところも良いな。
【追想】反復の中毒性。
繰り返される魔力です。
「舞踏組曲『恋は魔術師』から 火祭りの踊り」(全音楽譜出版社)です。
今回紹介したアルバムの「No.13」に収録されていた楽曲です。
元は舞踏組曲(バレエ組曲)内の1曲ですが、ピアノ独奏用にアレンジされた編曲版も人気曲ですね。
スペイン風の曲調ということもあり、デヴィット・ヘルフゴット氏の違った一面を知れる貴重な楽曲と言えそうです。
トリルや前打音などの装飾音、和音の連打など、反復される同型の要素が病みつきになる、中毒性のある楽曲ですね。
一見して、同じ型が繰り返されていると分かる内容の譜面ですね。
幾何学的な模様にも見えてきて、視覚的に興奮できる楽曲だな。
【雑想】下手の横好き。(第66弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したファリャの「火祭りの踊り ~バレエ「恋は魔術師」より」です。
作曲家:マヌエル・デ・ファリャ 作曲年:1914 ~ 1915
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
今回は、変則回でした。
前回の変則回(第60弾目)に引き続き、デヴィッド・ヘルフゴット氏のアルバム紹介でした。
デヴィッド・ヘルフゴット氏と言えばどうしても映画「シャイン」の印象が強くなり、ラフマニノフやリストなどの演奏家というイメージになってしまいます。
そのような、トレードマークでもありレッテルでもあるイメージを払拭するような、新鮮な気分を味わえるアルバムでした。
では、また。
レッテルの解消ですね。
固定観念に囚われない内容のアルバムに出会うと、嬉しいよな。