こんにちは。はーねうすです。
今回は、「プロコフィエフ ピアノ・ソナタ Vol.2 (ピアノ・ソナタ 第1番/第3番/第5番/第7番、他)」を紹介します。
前回に引き続き、プロコフィエフのピアノ・ソナタ全集の紹介で、第2巻に相当します。
なお、「他」としているのは、「年とった祖母のお話」と「4つの小品」になります。
ピアノ演奏は、ピョートル・ドミトリエフ氏です。
・アルバムの原題は「SERGEI PROKOFIEV Piano Sonatas・Vol.2」です。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
引き続き、プロコフィエフのピアノ・ソナタ全集ですね。
奇数番ばかり集めたようなラインアップだな。
目次
【着想】初期から後期の作品群。
「プロコフィエフ ピアノ・ソナタ Vol.2 (ピアノ・ソナタ 第1番/第3番/第5番/第7番、他)」のコンテンツです。
プロコフィエフの記念すべき作品番号1の「ピアノ・ソナタ 第1番」が含まれているのが貴重ですね。また、後期の代表作「ピアノ・ソナタ 第7番」が同梱されているのが、とても贅沢な感じがします。
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | Sonata No.1 | 1st mov: Allegro | Op.1 |
2 | Sonata No.3 | 1st mov: Allegro tempestoso | Op.28 |
3 | Sonata No.5 | 1st mov: Allegro tranquillo | Op.38/135 |
4 | Sonata No.5 | 2nd mov: Andantino | Op.38/135 |
5 | Sonata No.5 | 3rd mov: Un poco allegretto | Op.38/135 |
6 | Sonata No.7 | 1st mov: Allegro inquieto | Op.83 |
7 | Sonata No.7 | 2nd mov: Andante caloroso | Op.83 |
8 | Sonata No.7 | 3rd mov: Precipitato | Op.83 |
9 | The Tale of an Old Grandmother | I. Moderato | Op.31 |
10 | The Tale of an Old Grandmother | II. Andantiono | Op.31 |
11 | The Tale of an Old Grandmother | III. Andante assai | Op.31 |
12 | The Tale of an Old Grandmother | IV. Sostenuto | Op.31 |
13 | Four Pieces | No.1: Dance | Op.32 |
14 | Four Pieces | No.2: Minuet | Op.32 |
15 | Four Pieces | No.3: Gavotte | Op.32 |
16 | Four Pieces | No.4: Waltz | Op.32 |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.6」:「Sonata No.7 1st mov」(ピアノ・ソナタ 第7番 第1楽章)
一連の「戦争ソナタ」の中でも、とりわけ印象的な楽曲です。
不気味さを漂わせる装飾的なモチーフと、リズミカルかつ豪胆に奏でられる和音で構成された第1主題が特徴的です。
続く第2主題は、異様に静かで不安な様相に満ちています。
展開部は第1主題をより力強く頑丈にした曲調に処理されています。
「No.5」:「Sonata No.5 3rd mov」(ピアノ・ソナタ 第5番 第3楽章)
印象主義音楽を彷彿とさせる和音と、重苦しく叩き付けるような伴奏型が組み合わさった表現主義的な楽曲です。
全体を通して、戦慄を覚えるような曲調で溢れています。
<おすすめ度★★>
「No.3」:「Sonata No.5 1st mov」(ピアノ・ソナタ 第5番 第1楽章)
印象主義音楽の書法に近い曲想が特徴で、調性音楽からはみ出しかけている様子が端緒に伺えます。
中間部から後半部にかけては、印象主義的な和音の響きがより色濃くなっています。
「No.4」:「Sonata No.5 1st mov」(ピアノ・ソナタ 第5番 第2楽章)
単調な伴奏型の上に、多様な音型が鏤められた楽曲で、如何にもプロコフィエフ然としています。
構造、曲調ともに奇怪な楽想が面白いですね。
「No.16」:「Four Pieces No.4」(4つの小品 第4曲)
印象主義音楽の書法に近い楽曲で、調性感が希薄な美しい楽曲です。
ワルツと題されていますが、明確な拍が取りにくい構造になっています。
「No.12」:「The Tale of an Old Grandmother IV」(年とった祖母のお話 第4曲)
印象主義的な楽曲で、ドビュッシーのベルガマスク組曲を惹起させます。
酷く落ち着き払った、静けさに満ちた曲想が特徴です。
「No.8」:「Sonata No.7 3rd mov」(ピアノ・ソナタ 第7番 第3楽章)
無窮動に動き回る同型反復が特徴で、明確な主題を伴わない楽曲です。
戦慄よりもリズムやスイングといった要素に重点が置かれている感があります。
<おすすめ度★>
「No.1」:「Sonata No.1 1st mov」(ピアノ・ソナタ 第1番 第1楽章)
プロコフィエフの記念すべき作品番号1の楽曲です。
単一楽章のソナタで、ロマン主義の曲調が随所に聴かれます。
スクリアビンの「ピアノ・ソナタ 第1番」を想起させるような構成と、抒情性に溢れた作品です。
「No.13」:「Four Pieces No.1」(4つの小品 第1曲)
特徴的なリズムに載った旋律が、モチーフになって構成されているのが印象的です。
どこか風変わりな舞曲といった様相です。
「No.12」:「The Tale of an Old Grandmother III」(年とった祖母のお話 第3曲)
単調なリズムの上に、何処か要点の定まらない旋律を載せたような楽曲です。
プロコフィエフの活動期全域に渡った作品が収められていますので、音楽手法の変遷を聴き取ることがアルバムになっていますね。
あれ?ソナタの第5番ですが、作品番号が2つありますね。
初版と改訂版だな。改訂版の際に、作品番号も改められたのだろう。
【観想】前衛の彩り。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
今回紹介したプロコフィエフの作品の中には、どこか「印象主義音楽」を想起させるような和音を伴った楽曲があります。
ただ、音楽史的な位置づけとしては、意見が異なっているのかもしれません。
プロコフィエフ評としては、当時隆盛であった後期ロマン主義や印象主義とは異なった道を歩んだと考えられています。
印象主義的というよりかは、「表現主義的」といったほうが適切なのかもしれません。前衛の彩りといった感がありますね。
音楽家の略歴です。
<略歴> セルゲイ・セルゲーエヴィチ・プロコフィエフ 【露】1891-1953 帝政ロシア末期のロシア・モダニズムから、ソ連の社会主義リアリズムの時代にわたる長期の作曲活動によって、20世紀を代表する作曲家の一人。ロシア革命後、アメリカ、西ヨーロッパで活躍したが、1933年祖国に復帰。従来の前衛的なものから、ソ連の現状に合った大衆的方向に修正、明快で新鮮な作風をつくりあげた。
ところで、表現主義とはどのような音楽なのでしょうか。
安定しない旋律、不協和音の多用や音の極度の強弱などから生まれる緊張感が特徴といえる音楽だな。
【追想】変貌する響き。
鋼鉄のような音響を生み出します。
「プロコフィエフ ソナタ 第六番・第七番・第九番」(全音楽譜出版社)です。
一般的に「戦争ソナタ」と呼ばれる、「第6番」と「第七番」が収められた楽譜です。
加えて、完成されたピアノ・ソナタとしては最後になる「第9番」が収められているのも特徴ですね。
譜面は、どれもこれもが臨時記号だらけで紙面が黒く塗り潰されたかのような凄まじさがあります。
また、プロコフィエフ特有の、片手で押さえる和音がオクターブを超えている箇所が随所にあり、興奮します。
ユニゾンの多用や幅の広い和音、極端な強弱などによって生み出される楽曲。鋼鉄を思わせる独特の響きを持つ楽曲の譜面は、このような様相になるのかと知ることができます。
ところで、エシポヴァとはどういった方なのでしょうか。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したロシアの女流ピアニストだな。積極的な演奏活動のほか、教育者としても活躍したぞ。
【雑想】下手の横好き。(第71弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したプロコフィエフの「ピアノ・ソナタ 第7番 ハ長調 第1楽章」の抜粋です。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
引き続き、プロコフィエフ編でした。
今回紹介したアルバムは、プロコフィエフのピアノ・ソナタ全集で、全3巻の2巻目に相当します。
「第1番」、「第3番」、「第5番」と「第7番]という、奇数番を揃えたかのようなチョイスが面白いですよね。
では、また。
次回は、変則回でしたよね。
日本を代表するクラシック・ピアノを扱ったアルバムを紹介するようだな。