こんにちは。はーねうすです。
今回は、「プロコフィエフ ピアノ協奏曲全集」を紹介します。
プロコフィエフのピアノ協奏曲では、とくに第3番が有名ですね。その外についてもあまり聴く機会に恵まれない気がします。
ピアノ演奏は、ウラディーミル・アシュケナージ氏で、指揮がアンドレ・プレヴィン氏という名コンビのアルバムになっています。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
プロコフィエフのピアノ協奏曲の全集ですね。
演奏される機会が少ない楽曲もあって、重宝するぞ。
目次
【着想】難曲揃いの協奏曲。
「プロコフィエフ ピアノ協奏曲全集」のコンテンツです。
正直なところ、音楽的な内容の充実度よりも、ピアノ演奏上の技巧面での評価に終始されがちな印象があります。聴く者を選ぶといった感じですね。
CD1
No.1 | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | ピアノ協奏曲 第1番 変ニ長調 | 第1楽章:アレグロ・ブリオーソ | Op.10 |
2 | ピアノ協奏曲 第1番 変ニ長調 | 第2楽章:アンダンテ・アッサイ | Op.10 |
3 | ピアノ協奏曲 第1番 変ニ長調 | 第3楽章:アレグロ・スケルツァンド | Op.10 |
4 | ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 | 第1楽章:アンダンティーノ | Op.16 |
5 | ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 | 第2楽章:スケルツォ(ヴィーヴォ) | Op.16 |
6 | ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 | 第3楽章:間奏曲(アレグロ・モデラート) | Op.16 |
7 | ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 | 第4楽章:終曲(アレグロ・テンペストーソ) | Op.16 |
8 | ピアノ協奏曲 第4番 変ロ長調「左手のための」 | 第1楽章:ヴィヴァーチェ | Op.53 |
9 | ピアノ協奏曲 第4番 変ロ長調「左手のための」 | 第2楽章:アンダンテ | Op.53 |
10 | ピアノ協奏曲 第4番 変ロ長調「左手のための」 | 第3楽章:モデラート | Op.53 |
11 | ピアノ協奏曲 第4番 変ロ長調「左手のための」 | 第4楽章:ヴィヴァーチェ | Op.53 |
CD2
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 | 第1楽章:アンダンテ – アレグロ | Op.26 |
2 | ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 | 第2楽章:主題と変奏(アンダンティーノ) | Op.26 |
3 | ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 | 第3楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ | Op.26 |
4 | ピアノ協奏曲 第5番 ト長調 | 第1楽章:アレグロ・コン・ブリオ | Op.55 |
5 | ピアノ協奏曲 第5番 ト長調 | 第2楽章:モデラート・ベン・アッチェントゥアート | Op.55 |
6 | ピアノ協奏曲 第5番 ト長調 | 第3楽章:アレグロ・コン・フォーコ | Op.55 |
7 | ピアノ協奏曲 第5番 ト長調 | 第4楽章:ラルゲット | Op.55 |
8 | ピアノ協奏曲 第5番 ト長調 | 第5楽章:ヴィーヴォ | Op.55 |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「CD2_No.1」:「ピアノ協奏曲 第3番 第1楽章」
冒頭から結尾まで、魅惑的でドラスティックな変化が面白い楽曲です。
冒頭に配置された、クラリネットで歌い上げられる旋律に惹き付けられます。その旋律をフルートと弦楽によって再現される箇所も魅惑的です。
そして、弦による浮遊するかのような上昇する音型が、極度に期待感を煽ります。
その後のピアノ・ソロの入りがいいですね。ピアノによる疾走感が漂うパッセージの連続と、管弦楽による暴力的な合奏が終始衝撃的です。
冒頭の主題が回想的に登場する構成も素敵です。
「CD2_No.7」:「ピアノ協奏曲 第5番 第4楽章」
幻想的で静謐な雰囲気と、暴力的で威圧的な部位の対比が特徴の楽曲です。
ピアノの管楽による歌唱のような旋律が美しい冒頭の主題に魅せられます。
中間部では劇的に変化し、ピアノの暴力的な打鍵に驚かされる箇所が配置されています。
対比構造が面白い楽曲ですね。
<おすすめ度★★>
「CD1_No.1」:「ピアノ協奏曲 第1番 第1楽章」
上昇する同音反復型の導入と、ピアノ・ソロによる無窮動に疾駆するパッセージの猛襲が特徴的です。
中間以降では一転して、暗雲が立ちこめたかのような不穏さを纏う曲調に変化します。
「CD1_No.2」:「ピアノ協奏曲 第1番 第2楽章」
前半の静謐で抑制された曲調と、後半のドラマティックで昂揚感のある曲調の対比が美しい楽曲です。
ドラスティックな曲想の変遷が特徴的な楽曲です。
「CD1_No.7」:「ピアノ協奏曲 第4番 第4楽章」
弦楽が奏でる、派手で豪胆に動線が描かれる冒頭と、ピアノによって静かに歌われる主題が印象的な楽曲です。
中間部では劇的に変化し、慌ただしさを振りまいたりして面白いです。
また、表現主義的なピアノの演出もあり、表情が豊かな楽曲になっています。
「CD2_No.2」:「ピアノ協奏曲 第3番 第2楽章」
バレエ組曲のような楽想をモチーフとする変奏曲です。
ピアノが派手やかに動き回るのが特徴的ですね。
構成も変奏曲というよりも、幻想曲風な自由さと、バラード風の物語的な展開で処理がされているといった感があります。
「CD1_No.8」:「ピアノ協奏曲 第4番 第1楽章」
鍵盤上を駆け巡るピアニスティックな音型と、管弦楽によって支えられている旋律線の組み合わせが特徴的な楽曲です。
<おすすめ度★>
「CD2_No.3」:「ピアノ協奏曲 第3番 第3楽章」
リズミックな動きが特徴の楽曲です。
下降型の音型で支配された冒頭主題、中間部の幻惑的な曲想など、バラエティが豊かです。
終楽章だけあって、異様な盛り上げ方で締めくくられるのも面白いですね。
「CD1_No.6」:「ピアノ協奏曲 第2番 第3楽章」
重低音の域で轟々と響く弦の動きと、ピアノの強固な打鍵の組み合わせが特徴です。
中間部以降では、リズミカルで軽快な曲調になり、プロコフィエフのバレエ組曲の様相を伺わせるかのような曲想になっています。
「CD2_No.8」:「ピアノ協奏曲 第5番 第5楽章」
目まぐるしく動き回るピアノが特徴的です。
中間では一転して、同音反復型のゆったりした楽想になります。
やはり、「ピアノ協奏曲 第3番」が頭一つ抜けた感は否めませんね。
やはり第3番が印象に残りやすいですね。
終楽章には日本滞在中に耳にした「越後囃子」の旋律が用いられているらしいぞ。
【観想】左手のための協奏曲。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
プロコフィエフの「ピアノ協奏曲 第4番」は「左手のための」という副題が示すとおり、左手のみでピアノを演奏する形式の協奏曲になっています。
第一次世界大戦で右腕を失ったピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタイン(1887 – 1961)の依頼で作曲された楽曲になります。そのため、「左手のための」ということになります。
同様の楽曲に、モーリス・ラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調」がありますね。
ライナーノーツによると、プロコフィエフに依頼した楽曲は「余りに高度なピアノ技巧であったため演奏者に拒否されてしまい、お蔵入りとなってしまった」(斉藤弘美氏[著])とあります。
確かに、「CD1_No.8」の「第1楽章」や「CD1_No.11」の「第4楽章」は、ピアノの疾走感が如何にも技巧的で、極度の技術が求められそうです。
ですが、「CD1_No.9」の「第2楽章」のように、幻想的な面と牧歌的な面を併せ持つ美しい楽曲もあります。
技巧的な面が取り沙汰されるのは、勿体ない感じがしますね。
音楽家の略歴です。
<略歴> セルゲイ・セルゲーエヴィチ・プロコフィエフ 【露】1891-1953 帝政ロシア末期のロシア・モダニズムから、ソ連の社会主義リアリズムの時代にわたる長期の作曲活動によって、20世紀を代表する作曲家の一人。ロシア革命後、アメリカ、西ヨーロッパで活躍したが、1933年祖国に復帰。従来の前衛的なものから、ソ連の現状に合った大衆的方向に修正、明快で新鮮な作風をつくりあげた。
パウル・ヴィトゲンシュタインですか。左腕だけになっても演奏活動を続ける気概に、感服です。
因みに弟は、哲学者ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタインだぞ。すごい家族で圧倒されるな。
【追想】臨時記号の応酬。
ハ長調といえども譜読みは苦労します。
「プロコフィエフ ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 作品26」(全音楽譜出版社)です。
第1楽章は「ハ長調」なので譜読みは幾分楽なのかといえば、そうは問屋が卸しません。20世紀の音楽です。プロコフィエフの作品です。
そこかしこに臨時記号が登場し、却って読みづらく感じます。あくまで基調が「ハ音」ということなのでしょう。
また、冒頭の蠱惑的な旋律も「イ短調」の響きがします。
第2楽章は「ホ短調」で、調性記号「♯」が一つなのですが、やはり臨時記号の応酬になっていますので、苦労します。
この譜面の在り方がプロコフィエフらしくていいですね。興奮します。
確かに臨時記号が多いですね。主調や基調というのも、あるのかないのか分からなくなりますね。
プロコフィエフ特有の響きは、この手法によるものかもしれないな。
【雑想】下手の横好き。(第74弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したプロコフィエフの「ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 第1楽章」の抜粋です。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
前回に引き続き、プロコフィエフ編でした。
ピアノ協奏曲としては、「ピアノ協奏曲 第3番」がとりわけ有名ですね。当ブログ「魔法革命 プロコフィエフ ~ヒロイン風クラシック名曲集」で紹介したアルバムにも収録されていました。
次回も、プロコフィエフ編です。
では、また。
やはり第3番の存在が大きいですね。
初演の独奏をプロコフィエフ自身が務めたほど、プロコフィエフとしても成功させたい楽曲だったからだろうな。