こんにちは。はーねうすです。
今回は、「プロコフィエフ 交響曲全集」を紹介します。
今回紹介するアルバムでは、交響曲 第4番のオリジナル版と改訂版が収録されています。全集の醍醐味ですよね。
指揮は、ワレリー・ゲルギエフ氏です。
・原題は「PROKOFIEV/THE COMPLETE SYMPHONIES」です。
プロコフィエフの交響曲の全集ですね。
CDの4枚組で構成されているな。
目次
【着想】20世紀の交響楽。
「プロコフィエフ 交響曲全集」のコンテンツです。
前衛真っ盛りの20世紀に作曲された交響曲ですが、すべてに基調があります。だからといって前時代的な楽曲ではありません。いかにもプロコフィエフらしい響きや旋律、構成が満載です。
CD1
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | Symphony No.1 in D major “Classical” | I. Allegro | Op.25 |
2 | Symphony No.1 in D major “Classical” | II. Larghetto | Op.25 |
3 | Symphony No.1 in D major “Classical” | III. Gavotta: Non troppo allegro | Op.25 |
4 | Symphony No.1 in D major “Classical” | IV. Finale: Molto vivace | Op.25 |
5 | Symphony No.4 in C major (revised 1947 version) | I. Andante – Allegro eroico | Op.112 |
6 | Symphony No.4 in C major (revised 1947 version) | II. Andante – tranquillo | Op.112 |
7 | Symphony No.4 in C major (revised 1947 version) | III. Moderato, quasi allegretto | Op.112 |
8 | Symphony No.4 in C major (revised 1947 version) | IV. Allegro risouto | Op.112 |
CD2
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | Symphony No.2 in D major | I. Allegro ben articolato | Op.40 |
2 | Symphony No.2 in D major | II. Theme and variations | Op.40 |
3 | Symphony No.3 in C minor | I. Moderato | Op.44 |
4 | Symphony No.3 in C minor | II. Andante | Op.44 |
5 | Symphony No.3 in C minor | III. Allegro agitato | Op.44 |
6 | Symphony No.3 in C minor | IV. Andante mosso – Allegro agitato | Op.44 |
CD3
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | Symphony No.4 in C major (original 1930 version) | I. Moderato | Op.47 |
2 | Symphony No.4 in C major (original 1930 version) | II. Andante | Op.47 |
3 | Symphony No.4 in C major (original 1930 version) | III. Allegro agitato | Op.47 |
4 | Symphony No.4 in C major (original 1930 version) | IV. Andante mosso – Allegro agitato | Op.47 |
5 | Symphony No.5 in B flat major | I. Andante | Op.100 |
6 | Symphony No.5 in B flat major | II. Allegro marcato | Op.100 |
7 | Symphony No.5 in B flat major | III. Adagio | Op.100 |
8 | Symphony No.5 in B flat major | IV. Allegro giocoso | Op.100 |
CD4
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | Symphony No.6 in E flat minor | I. Allegro moderato | Op.111 |
2 | Symphony No.6 in E flat minor | II. Largo | Op.111 |
3 | Symphony No.6 in E flat minor | III. Vivace | Op.111 |
4 | Symphony No.7 in C sharp minor | I. Moderato | Op.131 |
5 | Symphony No.7 in C sharp minor | II. Allegretto | Op.131 |
6 | Symphony No.7 in C sharp minor | III. Andante | Op.131 |
7 | Symphony No.7 in C sharp minor | III. Vivace | Op.131 |
少しばかりの所感です。
<おすすめ度★★★>
「CD2_No.6」:「Symphony No.3 IV」(交響曲 第3番 第4楽章)
迫力に圧倒される、まるでロールプレイングゲームのラスボス戦を彷彿とさせる楽曲です。
強烈なプレッシャーに加え、禍々しさやおどろおどろしさに緊迫感があります。
所々で響く銅鑼の打撃が、一層重厚感を与えています。
後半に差し掛かると、より強く戦慄を覚える重量を増した交響の波が押し寄せてます。
「CD2_No.6」:「Symphony No.3 III」(交響曲 第3番 第3楽章)
晴天の霹靂とでもいうような、驚きを与える音響が特徴的な楽曲です。
冒頭に鳴り響く、暴力的で破壊力のある合奏による主題の提示が印象的です。
弦楽による、直滑降を想起させる急速な下降型のパッセージも特徴ですね。
また、中間部に配置された落ち着きのある楽想が、対比の構造を際立たせています。
<おすすめ度★★>
「CD4_No.7」:「Symphony No.7 III」(交響曲 第7番 第3楽章)
柔らかく優しげな伴奏に乗った、旋律が美しい楽曲です。
随所で奏でられる、管楽による装飾的な効果も優美です。
「CD3_No.7」:「Symphony No.5 III」(交響曲 第5番 第3楽章)
ノスタルジックな主題が印象的な楽曲です。
高揚と鎮静、劇性も持った物語的な展開で構成されています。
「CD1_No.6」:「Symphony No.4 (reviced version) III」(交響曲 第4番 改訂版 第3楽章)
緩やかに展開する、心地よい旋律と音響が特徴の楽曲です。
後半に高揚する楽想も素敵ですね。
「CD4_No.2」:「Symphony No.6 II」(交響曲 第6番 第2楽章)
雄大な楽想の主題が印象的な楽曲です。
表現主義的な出だしや、柔らかな旋律で彩られた副主題との対比も美しいですね。
<おすすめ度★>
「CD2_No.1」:「Symphony No.2 I」(交響曲 第2番 第1楽章)
焦燥的で切羽詰まった感のある主題が印象的です。
「CD2_No.4」:「Symphony No.3 IV」(交響曲 第3番 第2楽章)
酷く押さえつけられた音量の中、静かに歌い上げられる管楽による主題が印象的な楽曲です。
「CD4_No.3」:「Symphony No.6 III」(交響曲 第6番 第3楽章)
軽快で爽快感のある導入と、疾走感のある曲調が印象的です。これぞ終楽章といった感がありますね。
プロコフィエフの交響曲には、物語的な展開をみせる変化が特徴とも受け取れます。従来のソナタ形式などの古典に倣いながら、オリジナルな音響が持ち込まれた、表情がころころと変わる楽しさもありますね。
どこかプロコフィエフのバレエ組曲を思い起こさせる雰囲気がありますね。
曲調や楽想の変化が激しいためだろうな。「物語的な展開」がバレエ組曲と似ているのかもしれないな。
【観想】オリジナルとリバイス。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
今回紹介したアルバムには、プロコフィエフの交響曲 第4番の「オリジナル版」と「改訂版」が収録されています。
アルバムのジャケットには、わざわざ「Includes original and reviced version of Symphony No.4」とラベルが貼られていることから、いかにも「特殊な例」という印象を受けますね。
さて、オリジナル版と改訂版の相違点は明らかに「規模」です。
アルバムに掲載されている演奏時間を見るとオリジナル版が「22分51秒」で、改訂版が「36分32秒」なので、その差は歴然ですね。
大幅な改訂ではオリジナルの楽想が多く破棄され、改められたとあります。そのためか「新作」と言ってもよいのではないかとも思われます。
それでも「第4番」という付番が生きているのは、それだけ作曲者の思い入れがあるのでしょうね。
<略歴> セルゲイ・セルゲーエヴィチ・プロコフィエフ 【露】1891-1953 帝政ロシア末期のロシア・モダニズムから、ソ連の社会主義リアリズムの時代にわたる長期の作曲活動によって、20世紀を代表する作曲家の一人。ロシア革命後、アメリカ、西ヨーロッパで活躍したが、1933年祖国に復帰。従来の前衛的なものから、ソ連の現状に合った大衆的方向に修正、明快で新鮮な作風をつくりあげた。
第4番の改訂版は、余程大きく手が加えられたのですね。
そのためか、作品番号が改められているぞ。
【追想】寂しい最期。
ちょっとだけの生涯紹介です。
「ロシア・ピアニズムという贈り物」(原田英代[著] / みずず書房)です。
卓越したピアニストや作曲家を数多く誕生させ、かつ「ロシア的な響き」といった一種の特異性について探求した内容を記した一冊です。
プロコフィエフの生涯については、少しだけ言及されています。
「エシポヴァの弟子たち」(59- 62ページ)という項で紹介されています。
ヨシフ・スターリン(1878-1953)と同日に亡くなったため、葬儀には数えるほどの参列者しかいなかったそうです。
ちょっと切なくなるようなエピソードですよね。
ところで、エシポヴァとはどういった方なのでしょうか。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したロシアの女流ピアニストだな。積極的な演奏活動のほか、教育者としても活躍したぞ。
【雑想】下手の横好き。(第75弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
DAW(Digital Audio Workstation)でクラシック音楽を打ち込んだDTM(DeskTop Music)の作品を制作しています。
DAWで音楽を制作するDTMの楽しさが伝わればと思います。
下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
引き続き、プロコフィエフ編でした。
今回紹介したアルバムは、プロコフィエフの交響曲の全集でした。CDは4枚になります。
CDの枚数でカウントすると、収録可能時間の限界から大凡の「演奏時間の総計」を知ることができます。データ配信が主流の現在、このような「推測」の楽しみはなさそうですね。
次回からは、ショスタコーヴィチ編です。
では、また。
さすがに交響曲の全集は、ボリュームに厚みがありますね。
時間を掛けて、じっくりと楽しみたいな。