こんにちは。はーねうすです。
今回は、「ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲 第1番/第2番 / ピアノ五重奏曲」を紹介します。
ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲は、2曲のみになります。また、ピアノ五重奏曲も1曲のみなので、このアルバムは全集という位置づけで考えて良さそうですね。
ピアノ演奏はイェフィム・ブロンフマン氏です。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
ショスタコーヴィチ編の始まりですね。初回はピアノ主体の作品ですね。
とくに「ピアノ協奏曲 第2番」は、ドラマチックな展開が楽しい楽曲だぞ。
目次
【着想】表情が豊かな曲想
「ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲 第1番/第2番 / ピアノ五重奏曲」のコンテンツです。
ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲は、演劇の場面転換のように表情が変化するのが特徴です。そして、簡潔で楽しさに満ちています。
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1* | ピアノ(とトランペットのための)協奏曲 第1番 ハ短調 | 第1楽章:Allegro moderato | Op.35 |
2* | ピアノ(とトランペットのための)協奏曲 第1番 ハ短調 | 第2楽章:Lento | Op.35 |
3* | ピアノ(とトランペットのための)協奏曲 第1番 ハ短調 | 第3楽章:Moderato | Op.35 |
4* | ピアノ(とトランペットのための)協奏曲 第1番 ハ短調 | 第4楽章:Allegro con brio | Op.35 |
5** | ピアノ協奏曲 第2番ト長調 | 第1楽章:Allegro | Op.102 |
6** | ピアノ協奏曲 第2番ト長調 | 第2楽章:Andante | Op.102 |
7** | ピアノ協奏曲 第2番ト長調 | 第3楽章:Allegro | Op.102 |
8*** | ピアノ五重奏曲 ト短調 | 第1楽章:Prelude. Lento | Op.57 |
9*** | ピアノ五重奏曲 ト短調 | 第2楽章:Fugue. Adagio | Op.57 |
10*** | ピアノ五重奏曲 ト短調 | 第3楽章:Scherzo. Allegretto | Op.57 |
11*** | ピアノ五重奏曲 ト短調 | 第4楽章:Lento | Op.57 |
12*** | ピアノ五重奏曲 ト短調 | 第5楽章:Finale. Allegretto | Op.57 |
**: イェフィム・ブロンフマン(ピアノ)、エサ=ベッカ・サロネン(指揮)、ロサンゼル・フィルハーモニック
***: イェフィム・ブロンフマン(ピアノ)、ジュリアード弦楽四重奏団
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.5」:「ピアノ協奏曲 第2番 第1楽章」
まるで起承転結があるような、物語的な展開の構成を持つ楽曲です。
ディズニー映画「ファンタジア2000」では、アンデルセンの童話「スズの兵隊」に着想を得たアニメーション融合していました。とても楽しい作品です。
独奏ピアノに牽引されるかのように楽句が展開されていきます。とても躍動感があり、表情の変化が豊かです。
「No.6」:「ピアノ協奏曲 第2番 第2楽章」
静謐で荘厳な雰囲気に包まれた楽曲です。
弦楽に導かれるように奏でられる、ピアノによる主題が極めて優美です。
ピアノと弦楽の理想的な協奏です。
「No.11」:「ピアノ五重奏曲 第4楽章」
物悲しげで、感傷的な旋律が特徴の楽曲です。
弦で歌われる優美な主題と、ピアノで奏でられる幻想的な音響の組み合わせが、ひたすらに魅惑的です。
後半では主題が昂揚感を持って再現されます。
<おすすめ度★★>
「No.1」:「ピアノ協奏曲 第1番 第1楽章」
多様な要素が詰め込まれた、展開の豊かな楽曲です。
下降型のピアノに乗せて奏でられる、トランペットによる冒頭がとても印象的です。
悲愴さと愉快さが混ざり合った、ユーモアのある音楽ですね。
「No.2」:「ピアノ協奏曲 第1番 第2楽章」
とても静かで、静謐な雰囲気を持つ楽曲です。
厳かな弦楽に続いて奏でられる、ピアノの独奏が美しいです。
中間部では劇的な昂揚がありますが、すぐに落ち着きを取り戻します。そしてトランペットの独奏による素敵な楽句が差し込まれます。
「No.4」:「ピアノ協奏曲 第1番 第4楽章」
疾走感が漂う、爽快な楽曲です。
ピアノの無窮動な駆け足に乗せた、トランペットとの掛け合いが特徴的です。
「No.8」:「ピアノ五重奏曲 第1楽章」
ピアノによる悲壮感に満ちた主題の提示が印象的な楽曲です。
弦で奏でられる第2の主題も感傷的で優美です。
<おすすめ度★>
「No.10」:「ピアノ五重奏曲 第3楽章」
リズミカルで楽しげな楽曲です。
記憶に残りやすい主題が特徴です。
「No.7」:「ピアノ協奏曲 第2番 第3楽章」
疾駆するピアノが特徴の楽曲です。
「No.12」:「ピアノ五重奏曲 第5楽章」
勇壮な面と、悲痛な面を併せ持つ楽曲です。
ショスタコーヴィチの楽曲は、十二音音楽や無調音楽といった前衛作品とは一線を画した、感性に訴えかけるような曲調や構成が特徴です。
20世紀の音楽としては、保守的とも受け取られそうですが、どこか世の風潮に対してシニカルであったとも思えそうです。
確かに所謂「20世紀音楽」のような、難解さとは縁がなさそうですね。
すべての作品がそうだとは言い切れないがな。色々な批判を受けながら、多様な音楽を残しているぞ。
【観想】イマジネーションの宝庫。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
ショスタコーヴィチの「ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調」の「第1楽章」は、物語的な展開が楽しい楽曲です。
ディズニー映画「ファンタジア2000」(1999年/アメリカ)では、その表情豊かな曲想に合わせたアニメーション化されました。
ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話「スズの兵隊」の挿絵に着想を得た世界観と融合され、見事に映像化されていました。
初めて映画を鑑賞したときは、既存の楽曲から生まれるイマジネーションの凄さに感服しっぱなしでした。
ドラマチックな展開と優しさに溢れた、とても素敵な映画です。
音楽家の略歴です。
<略歴> ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチ 【露】1906-1975 1920年代には西ヨーロッパのモダニズムの傾向を吸収した斬新な作品を展開。第2次大戦をはさむ10年間は、伝統的様式を重んじた壮大な作品を生んだ。'60年代からは西ヨーロッパの前衛的技法に近づき、人間の内面的苦悩を表現する傑作を残す。つねにソ連音楽の第一人者であると同時に、20世紀最大の作曲家の一人。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
聴いていて、「楽しい」と感じられる楽曲ですよね。それを視角化する発想と技術もすごいです。
アニメーション映画の制作陣のイマジネーションに脱帽だな。
【追想】シンプルで豊富。
ユニゾンの魅力に溢れています。
「ショスタコーヴィッチ ピアノ協奏曲 2」(全音楽譜出版社)です。
オーケストラ・パートをピアノが担当する、2台のピアノ用にアレンジされた楽譜です。
ピアノ・ソロに注目すると、ユニゾンが結構目立ちますね。
また、旋律線が単線である場合も多いです。
そのため、とてもシンプルな音型に感じます。が、そこがショスタコーヴィチの魅力でもあります。
兎に角、モチーフの豊かさに圧倒されます。
ころころと表情を変えるような、急展開が楽しい「第1楽章」、静謐な音響に乗せて歌われる感傷的な旋律が美しい「第2楽章」、猛スピードで駆け抜ける「第3楽章」など、それぞれが自己主張の激しい、個性的な楽曲ばかりです。
そのような世界観を視覚的に堪能できる、楽譜に感謝です。
確かにユニゾンが多いですね。一見して分かっちゃいました。
このピアノ・パートの扱いが、いかにもショスタコーヴィチといった感があるな。
【雑想】下手の横好き。(第76弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したショスタコーヴィチの「ピアノ協奏曲 第2番 ヘ長調 第2楽章」の抜粋です。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
今回から、ショスタコーヴィチ編になりました。
ショスタコーヴィチの魅力は、なんと言っても曲想の豊かさにあります。そしてシンプルなことですね。
保守的とも評されがちな作品も多いですが、そのどれもが聴き手の感性に働きかける、素敵な楽曲ばかりです。
次回は、24のプレリュードを紹介する予定です。
では、また。
ショスタコーヴィチ編の始まりでしたね。
ショスタコーヴィチは、劇音楽や交響曲だけでなく、映画音楽にも携わったほどの多作家だから、楽しみも多いよな。