こんにちは。はーねうすです。

今回は、「ショスタコーヴィチ 24の前奏曲 / アルカン 25の前奏曲」を紹介します。

19世紀と20世紀に誕生した、おおよそ100年の隔たりがある楽曲のカップリングですね。

ピアノ演奏は、オリ・ムストネン氏です。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

ショスタコーヴィチとアルカンの組み合わせですね。

作曲家の親和性というよりも、前奏曲集の組み合わせとしてカップリングされたのだろうな。

【着想】現代的と浪漫的。

「ショスタコーヴィチ 24の前奏曲 / アルカン 25の前奏曲」のコンテンツです。

「ショスタコーヴィチ 24の前奏曲 / アルカン 25の前奏曲」です。
ショスタコーヴィチ 24の前奏曲 / アルカン 25の前奏曲 レーベル[LONDON]

2曲とも前奏曲集で好まれる24の調性を網羅したスタイルですが、明らかに内容は異なっています。時代の差とも言えますが、前衛的な現代感覚とロマン主義的な風雅の対比が面白いです。

No.作曲者曲名(1)曲名(2)作品番号
1ショスタコーヴィチ24の前奏曲第1番:ハ長調Op.32
2ショスタコーヴィチ24の前奏曲第2番:イ短調Op.32
3ショスタコーヴィチ24の前奏曲第3番:ト長調Op.32
4ショスタコーヴィチ24の前奏曲第4番:ホ短調Op.32
5ショスタコーヴィチ24の前奏曲第5番:ニ長調Op.32
6ショスタコーヴィチ24の前奏曲第6番:ロ短調Op.32
7ショスタコーヴィチ24の前奏曲第7番:イ長調Op.32
8ショスタコーヴィチ24の前奏曲第8番:嬰ヘ短調Op.32
9ショスタコーヴィチ24の前奏曲第9番:ホ長調Op.32
10ショスタコーヴィチ24の前奏曲第10番:嬰ハ短調Op.32
11ショスタコーヴィチ24の前奏曲第11番:ロ長調Op.32
12ショスタコーヴィチ24の前奏曲第12番:嬰ト短調Op.32
13ショスタコーヴィチ24の前奏曲第13番:嬰ヘ長調Op.32
14ショスタコーヴィチ24の前奏曲第14番:変ホ短調Op.32
15ショスタコーヴィチ24の前奏曲第15番:変ニ長調Op.32
16ショスタコーヴィチ24の前奏曲第16番:変ロ短調Op.32
17ショスタコーヴィチ24の前奏曲第17番:変イ長調Op.32
18ショスタコーヴィチ24の前奏曲第18番:ヘ短調Op.32
19ショスタコーヴィチ24の前奏曲第19番:変ホ長調Op.32
20ショスタコーヴィチ24の前奏曲第20番:ハ短調Op.32
21ショスタコーヴィチ24の前奏曲第21番:変ロ長調Op.32
22ショスタコーヴィチ24の前奏曲第22番:ト短調Op.32
23ショスタコーヴィチ24の前奏曲第23番:ヘ長調Op.32
24ショスタコーヴィチ24の前奏曲第24番:ニ短調Op.32
25アルカン25の前奏曲「第1組曲」第1番:ハ長調Op.31
26アルカン25の前奏曲「第1組曲」第2番:ヘ短調Op.31
27アルカン25の前奏曲「第1組曲」第3番:変ニ長調<昔風の様式で>Op.31
28アルカン25の前奏曲「第1組曲」第4番:嬰ヘ短調<夕べの祈り>Op.31
29アルカン25の前奏曲「第1組曲」第5番:ニ長調<詩篇第150番>Op.31
30アルカン25の前奏曲「第1組曲」第6番:ト短調<ユダヤ協会の古い旋律>Op.31
31アルカン25の前奏曲「第1組曲」第7番:変ホ長調Op.31
32アルカン25の前奏曲「第1組曲」第8番:変イ短調<波打ち際の狂女の歌>(ゆっくりと)Op.31
33アルカン25の前奏曲「第2組曲」第9番:ホ長調<プラシディータス>Op.31
34アルカン25の前奏曲「第2組曲」第10番:イ短調<フーガの様式で>Op.31
35アルカン25の前奏曲「第2組曲」第11番:ヘ長調<アン・プティ・リアン>Op.31
36アルカン25の前奏曲「第2組曲」第12番:変ロ短調<過ぎ去りし時>Op.31
37アルカン25の前奏曲「第2組曲」第13番:変ト長調<われ、まどろみつ、されどわが心めざめてありき>Op.31
38アルカン25の前奏曲「第2組曲」第14番:ロ短調Op.31
39アルカン25の前奏曲「第2組曲」第15番:ト長調<ゴシック様式で>Op.31
40アルカン25の前奏曲「第2組曲」第16番:ハ短調Op.31
41アルカン25の前奏曲「第2組曲」第17番:変イ長調<愛の夢>Op.31
42アルカン25の前奏曲「第3組曲」第18番:嬰ハ短調Op.31
43アルカン25の前奏曲「第3組曲」第19番:イ長調<朝の祈り>Op.31
44アルカン25の前奏曲「第3組曲」第20番:ニ短調Op.31
45アルカン25の前奏曲「第3組曲」第21番:変ロ長調Op.31
46アルカン25の前奏曲「第3組曲」第22番:変ホ短調<記念日>Op.31
47アルカン25の前奏曲「第3組曲」第23番:ロ長調Op.31
48アルカン25の前奏曲「第3組曲」第24番:ホ短調Op.31
49アルカン25の前奏曲「第3組曲」第25番:ハ長調<祈り>Op.31

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.4」:ショスタコーヴィチ「24の前奏曲 第4番」

5拍子で構成された、優しげな楽曲です。

他曲が調性を外すような曲想の中にあって、主調から逸脱することがないのが特徴です。

また、ポリフォニックな構造がと特徴とも言えます。

「No.23」:ショスタコーヴィチ「24の前奏曲 第23番」

低音域の重苦しい保持された和音と、高音域で奏でられる軽やかな旋律の対比が美しい楽曲です。

「No.29」:アルカン「25の前奏曲 第5番」

激しさを伴う、同型のモチーフを繰り返す構成が特徴の楽曲です。

冒頭の主題が明快で、ブラームスを先取りしたかのような風味が印象的です。

<おすすめ度★★>

「No.12」:ショスタコーヴィチ「24の前奏曲 第12番」

急かされた感じのする伴奏に、少し楽しげな旋律が乗った楽曲です。

「No.15」:ショスタコーヴィチ「24の前奏曲 第15番」

調性とリズムが明瞭な、どこか楽しげなワルツです。

「No.34」:アルカン「25の前奏曲 第10番」

バロック風の、急速に駆け巡る音型が特徴の楽曲です。

「No.49」:アルカン「25の前奏曲 第25番」

静謐で厳かな音楽です。

何処か終末的で、多種の煩わしさから解放されて達観の域に達したかのような心象を得る楽曲です。

<おすすめ度★>

「No.3」:ショスタコーヴィチ「24の前奏曲 第3番」

静と動のメリハリが効いた、いかにも前衛的な意味を持つ現代音楽です。

「No.13」:ショスタコーヴィチ「24の前奏曲 第13番」

2拍子、3拍子、5拍子が入り乱れたユニークな楽曲です。

「No.32」:アルカン「25の前奏曲 第8番」

感傷的で寂しげな旋律と、重苦しい伴奏の組み合わせが特徴の楽曲です。

「No.41」:アルカン「25の前奏曲 第17番」

ドラマティックな展開が特徴の楽曲です。シューマンが好みそうな音型にはまっているのも特徴ですね。


対照的な楽曲で構成されたアルバムで、とても面白いですね。

ショスタコーヴィチの作品は、現代感覚を伝統の形式に落とし込んだ感があります。

一方、アルカンの作品は、時代精神に加えて、自身の標題性と宗教性を持たせた感が強いですね。

「ショスタコーヴィチ 24の前奏曲 / アルカン 25の前奏曲」です。
ショスタコーヴィチ 24の前奏曲 / アルカン 25の前奏曲 レーベル[LONDON]

アルカンという作曲家について、ご教示ください。

19世紀のパリで活躍したピアニスト兼作曲家だな。作品数は少ないが、ヴィルトオーゾならではの演奏技巧を駆使したピアノ曲が有名だな。

【観想】現代的な24の主調。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

ショスタコーヴィチの「24の前奏曲」は、24の調性を軸に置きながらも、現代的な調性感覚を落とし込んだ作品になっています。

例えば、「No.1」の「ハ長調」では、半音階的に展開される旋律が、主調から逸脱を感じさせる趣向になっています。

また、シンコペーションを多用したリズム変拍子混合拍子強弱の落差など、表現主義的な手法も前衛的と言えるでしょう。

伝統のスタイルと、自由な時代精神が見事に融合した作品と言えそうです。

<略歴> ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチ
【露】1906-1975
1920年代には西ヨーロッパのモダニズムの傾向を吸収した斬新な作品を展開。第2次大戦をはさむ10年間は、伝統的様式を重んじた壮大な作品を生んだ。'60年代からは西ヨーロッパの前衛的技法に近づき、人間の内面的苦悩を表現する傑作を残す。つねにソ連音楽の第一人者であると同時に、20世紀最大の作曲家の一人。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

確かに、臨時記号が多いですね。

半音階的に進行させたり、イレギュラーな響きを持たしたりと色々な技があるな。

【追想】モダンな譜面。

24の調性に紛れ込む自由な曲想です。

「ショスタコーヴィチ 24のプレリュード」です。
ショスタコーヴィチ 24のプレリュード 全音楽譜出版社

「ショスタコーヴィチ 24のプレリュード」(全音楽譜出版社)です。

一見して多様性に富んでいることが分かる譜面です。

臨時記号や、混合拍子の多用が特に目立ちますね。

とりわけ「第13番 嬰ヘ長調」はユニークです。

2/4拍子が主体ですが、途中拍合わせのように3/4拍子と5/8拍子が差し込まれています。そのため、独特のテンポ感があります。面白いですね。

各楽曲は40小節前後で構成された短い楽曲ですが、そこに閉じ込められた多様で自由な構想は、如何にもショスタコーヴィチといった曲想が含まれていますね。

【雑想】下手の横好き。(第77弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したショスタコーヴィチの「24の前奏曲 第4番 ホ短調」です。

作曲家:ドミトリー・ドミトリーヴィチ・ショスタコーヴィチ 作曲年:1932 ~ 1933

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

引き続き、ショスタコーヴィチ編でした。

シンプル(単純)とコンプレックス(複雑)がせめぎ合っているようで、一筋縄ではいかないショスタコーヴィッチっぽさが良いですね。

カップリングとして収録されていた、アルカンの作品も素敵でしたね。

アルカンの特徴であるピアニスティックな封印されて、厳格で宗教的な雰囲気に満たされた作品でしたね。

次回は、変則回になります。

では、また。

面白い組み合わせでしたね。19世紀と20世紀とで、このような違いがあるのかと感心しました。

音楽史上の転換点を挟んで比較できる、良い例だな。