こんにちは。はーねうすです。
今回は「ショスタコーヴィチ ピアノ作品集」を紹介します。
どのような作品が含まれているのか分からない、さっくりとしたアルバム・タイトルですね。
ピアノ・ソナタや5つの前奏曲などのクラシック・スタイルや、映画音楽のピアノ・アレンジなどが収録されたオムニバスのアルバムです。
ピアノ演奏は、ウラディーミル・アシュケナージ氏です。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
ショスタコーヴィチのピアノ作品ですね。
初期の作品が多く含まれているのが特徴だな。
目次
【着想】豊富な楽想。
「ショスタコーヴィチ ピアノ作品集」のコンテンツです。
格言集のような実験的な作品から、映画音楽のピアノ編曲などが収められていますので、楽想の豊かさに感服させられる仕様になっています。
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | ピアノ・ソナタ 第2番 | 第1楽章:Allegretto | Op.61 |
2 | ピアノ・ソナタ 第2番 | 第2楽章:Largo | Op.61 |
3 | ピアノ・ソナタ 第2番 | 第3楽章:Moderato con moto | Op.61 |
4 | 3つの幻想的舞曲 | 第1曲:Allegretto | Op.5 |
5 | 3つの幻想的舞曲 | 第2曲:Andante – Allegretto | Op.5 |
6 | 3つの幻想的舞曲 | 第3曲:Alllegretto | Op.5 |
7 | 5つの前奏曲 | 第1曲:Allegro moderato e scherzando | ― |
8 | 5つの前奏曲 | 第2曲:Andante | ― |
9 | 5つの前奏曲 | 第3曲:Allegro moderato | ― |
10 | 5つの前奏曲 | 第4曲:Moderato | ― |
11 | 5つの前奏曲 | 第5曲:Andantino | ― |
12 | 7つの人形の踊り | 抒情的なワルツ | ― |
13 | 映画音楽『馬あぶ』 | 小品 | Op.97 |
14 | 映画音楽『馬あぶ』 | スペイン舞曲 | Op.97 |
15 | バレエ『明るい小川』 | 夜想曲 | Op.39 |
16 | 格言集 | 第1曲:Recitative | Op.13 |
17 | 格言集 | 第2曲:Serenade | Op.13 |
18 | 格言集 | 第3曲:Nocturne | Op.13 |
19 | 格言集 | 第4曲:Elegy | Op.13 |
20 | 格言集 | 第5曲:Marche funebre | Op.13 |
21 | 格言集 | 第6曲:Etude | Op.13 |
22 | 格言集 | 第7曲:Dance of Death | Op.13 |
23 | 格言集 | 第8曲:Canon | Op.13 |
24 | 格言集 | 第9曲:Legend | Op.13 |
25 | 格言集 | 第10曲:Lullaby | Op.13 |
26 | バレエ『黄金時代』 | ポルカ | Op.22 |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.22」:「格言集 第7曲」
機械的で律儀に繰り返される律動が、どことなく不気味な印象を与える楽曲です。
聴き込むほど中毒性を帯びてくるのが特徴です。
「No.14」:「映画音楽『馬あぶ』 スペイン舞曲」
くるくると回転しているかのような、軽快な舞踏音楽です。
耳に残りやすい明快な旋律とリズムが特徴の、心地よい楽曲です。
「No.5」:「3つの幻想的舞曲 第2曲」
強弱と緩急の落差が特徴の楽曲です。
曲想は印象主義的であり、調性感も残っています。
「No.8」:「5つの前奏曲 第2曲」
優美な旋律と、低音部で執拗に繰り返す同型の伴奏が特徴の楽曲です。
<おすすめ度★★>
「No.18」:「格言集 第3曲」
表現主義的な手法で描き出された楽曲です。
急展開、緩急や強弱の落差などの激しい動線が、幾許か戦慄を感じさせる楽曲です。
「No.2」:「ピアノ・ソナタ 第2番 第2楽章」
調性感を欠いた、静寂な主題が特徴の楽曲です。
表現主義的な手法が、曲想に不気味さを与えています。
「No.12」:「7つの人形の踊り 抒情的なワルツ」
モダンなダンス音楽で、とても軽快で洒落っ気に富んだ楽曲です。
「No.26」:「バレエ音楽『黄金時代』 ポルカ」
何処か調子外れを感じさせる、滑稽な曲調と構成が特徴の、ユニークな楽曲です。
<おすすめ度★>
「No.6」:「3つの幻想的舞曲 第3曲」
軽やかに舞い踊る、華やかで朗らかな楽曲です。
「No.9」:「5つの前奏曲 第3曲」
打楽器を激しく打ち鳴らすような、力強激情的な楽曲です。
「No.19」:「格言集 第4曲」
物憂げな曲想が特徴の楽曲です。
「No.21」:「格言集 第6曲」
練習曲の演奏風景を風刺したかのような、急速に進行する楽曲です。
ショスタコーヴィチの初期の作品から、映画音楽など、バラエティ色の豊富さが目立つ内容ですね。
映画音楽のピアノ編曲版もあるのですね。聴き心地がいいです。
ショスタコーヴィチは映画好きであったらしく、映画音楽の作曲については偏見がなく、真摯に取り組んでいたようだな。
【観想】実験的楽曲。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
今回紹介されたアルバムは、ショスタコーヴィチの音楽院時代の作品である「5つの前奏曲」や「3つの幻想的舞曲」など、初期に制作された楽曲が多く含まれています。
なかでも「格言集」は、初期作品群の中でも極めて実験的な作品だと思います。
伝統的で形式主義的な音楽への風刺だけでなく、機知に富んだ先進性が感じ取れます。
それぞれの楽曲は大変短く、総演奏時間も12分強という点もユニークです。
ショスタコーヴィチの音楽に対する、どことなくシニカルな姿勢をかんじさせる作品群でもありますね。
音楽家の略歴です。
<略歴> ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチ 【露】1906-1975 1920年代には西ヨーロッパのモダニズムの傾向を吸収した斬新な作品を展開。第2次大戦をはさむ10年間は、伝統的様式を重んじた壮大な作品を生んだ。'60年代からは西ヨーロッパの前衛的技法に近づき、人間の内面的苦悩を表現する傑作を残す。つねにソ連音楽の第一人者であると同時に、20世紀最大の作曲家の一人。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
【追想】シンプルかつ大胆。
試験的な香りのする譜面です。
「ショスタコーヴィチ ピアノ作品集」(全音楽譜出版社)です。
今回紹介したアルバムと同タイトルの楽譜です。収録されている作品も近似しています。「人形の舞曲」、「3つの幻想的舞曲」、「アフォリズム(格言集)」、「5つのプレリュード」が相当しますね。
「アフォリズム(格言集)」に見られるユニークな譜面が特徴です。
「第3曲 Nocturne」では、小節線が省かれています。
「第8曲 Canon」では、3段の譜面になっています。
他にも、変拍子、混合拍子のオンパレードで、ショスタコーヴィチの音楽制作に対する「試み」といった挑戦的な態度を伺わせる内容になっていて、とても面白いです。
試験的な作品ですか。譜面を読むだけでも感じ取れますね。
幾何学的な抽象絵画の鑑賞したような、観想をも得られるな。
【雑想】下手の横好き。(第79弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したショスタコーヴィチの「格言集 第7曲 Dance of Death」です。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
変則回を挟んでからの、ショスタコーヴィチ編でした。
楽譜の紹介でも提示させていただいたとおり、ショスタコーヴィチの試験的な態度を知ることができる作品もあって、面白かったですね。
その外の特徴としては、音楽院生時代の作品が含まれているのが特徴ですね。早熟さを知ることができる、貴重な内容でした。
次回も、ショスタコーヴィチ編です。
では、また。
色々な楽想の作品だあって、面白かったですね。
色々な要素が凝縮された感じがあったな。