こんにちは。はーねうすです。
今回は、「ストラヴィンスキー ピアノ作品集」を紹介します。
ストラヴィンスキーのピアノ独奏曲と、ピアノと管弦楽器の協奏スタイルの楽曲を収録したアルバムです。
ピアノ独奏は、ミシェル・ベロフ氏です。
因みにアルバムの原題は、「Stravinsky Works for piano」です。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
ストラヴィンスキーのピアノ作品ばかりを集めたアルバムですね。
ストラヴィンスキーとしては珍しい部類に入る楽曲群だな。
目次
【着想】多種多様なスタイル。
「ストラヴィンスキー ピアノ作品集」のコンテンツです。
ストラヴィンスキーが作曲したピアノ関連の楽曲を大方収録しています。作曲年代も初期から後期に渡っていますので、ピアノという楽器を通してストラヴィンスキーの音楽スタイルの変遷を辿ることができます。
CD1
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | Sonata in F sharp minor | I: Allegro | ― |
2 | Sonata in F sharp minor | II: Vivo | ― |
3 | Sonata in F sharp minor | III: Andante | ― |
4 | Sonata in F sharp minor | IV: Allegro | ― |
5 | Scherzo | ― | ― |
6 | Études | 1. Con moto | ― |
7 | Études | 2. Allegro brillante | ― |
8 | Études | 3. Andantino | ― |
9 | Études | 4. Vivo | ― |
10 | Souvenir d’une marche boche | ― | ― |
11 | Valse pour les enfants | ― | ― |
12 | Las Cinq Dogites: 8 Pièces très faciles sur 5 notes | 1. Andantino | ― |
13 | Las Cinq Dogites: 8 Pièces très faciles sur 5 notes | 2. Allegro | ― |
14 | Las Cinq Dogites: 8 Pièces très faciles sur 5 notes | 3. Allegretto | ― |
15 | Las Cinq Dogites: 8 Pièces très faciles sur 5 notes | 4. Largetto | ― |
16 | Las Cinq Dogites: 8 Pièces très faciles sur 5 notes | 5. Moderato | ― |
17 | Las Cinq Dogites: 8 Pièces très faciles sur 5 notes | 6. Lento | ― |
18 | Las Cinq Dogites: 8 Pièces très faciles sur 5 notes | 7. Vivo | ― |
19 | Las Cinq Dogites: 8 Pièces très faciles sur 5 notes | 8. Peasante | ― |
20 | Sonata | I: ♪=112 | ― |
21 | Sonata | II: Agagietto | ― |
22 | Sonata | III: ♪=112 | ― |
23 | Sérénade en la | I: Hymne | ― |
24 | Sérénade en la | II: Romanza | ― |
25 | Sérénade en la | III: Rondoletto | ― |
26 | Sérénade en la | IV: Cadenza finala | ― |
CD2
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | 3 Movementes de Petrouchka | 1. Dance russe: Allegro giusto | ― |
2 | 3 Movementes de Petrouchka | 2. Chez Petrouchka: Stringendo | ― |
3 | 3 Movementes de Petrouchka | 3. La Semaine grasse: Con moto – Allegretto | ― |
4 | Piano Rag Music | ― | ― |
5 | Tango | ― | ― |
6* | Capriccio pour piano et orchestre | I: Presto doppio movimento | ― |
7* | Capriccio pour piano et orchestre | II: Andante rapsodico | ― |
8* | Capriccio pour piano et orchestre | III. Allegro capriccio, ma tempo giusto | ― |
9* | Concert pour piano et instruments à vent | I: Largo – Allegro | ― |
10* | Concert pour piano et instruments à vent | II: Largo – Cadenza (poco rubato) | ― |
11* | Concert pour piano et instruments à vent | III: Allegro | ― |
12* | Mouvements pour piano et orchestre | I: ♪=110 | ― |
13* | Mouvements pour piano et orchestre | II: ♪=52 | ― |
14* | Mouvements pour piano et orchestre | III: ♪=72 | ― |
15* | Mouvements pour piano et orchestre | IV: ♪=80 | ― |
16* | Mouvements pour piano et orchestre | V: ♪=104 | ― |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「CD2_No.1」~「CD2_No.3」:「3 Movementes de Petrouchka」
「1. Dance russe」の冒頭を聴いただけで、ペトルーシュカだと判断できるほど強烈な個性を持つ楽曲です。特徴的な音型と和音の連続が病みつきになります。
「2. Chez Petrouchka」は表現主義的な構成で、突拍子のない展開が特徴です。
「3. La Semaine grasse」は、目まぐるしく動き回る音型と重厚な打鍵によって、威勢と華美を十全に演出したエネルギッシュな楽曲です。
「CD2_No.4」:「Piano Rag Music」
形式や様式に囚われない酷く自由な楽曲で、気儘な感に溢れています。
ラグタイムミュージックを根底にして、表現主義的な様相をぶち込んだような曲想が面白いです。
「CD2_No.12」~「CD2_No.16」:「Mouvements pour piano et orchestre」
表現主義的な手法で構成された楽曲で、ピアノとオーケストラのバランスが非常に良く、言い知れない美しさに溢れています。
シェーンベルクの無調音楽や十二音技法に倣ったかのような、曲調、曲想や構成が特徴です。
<おすすめ度★★>
「CD1_No.12」~「CD1_No.19」:「Las Cinq Dogites: 8 Pièces très faciles sur 5 notes」
ピアノ初学者向けに構想された楽曲で、使用する音符の数を少なく設定しているのが特徴です。
初学者向けとは言え、曲調もバラエティに富んでいて飽きが来ない工夫があります。とりわけ「8. Peasante」はラストを飾るのに相応しい、強弱と緩急のメリハリが効いた楽曲です。
「CD1_No.10」:「Souvenir d’une marche boche」
リズミカルな楽曲で、終始明るく楽しげな曲調が特徴の楽曲です。
<おすすめ度★>
「CD1_No.5」:「Scherzo」
ストラヴィンスキー初期の習作で、演奏や収録されるのが珍しい楽曲です。
古典主義やロマン主義の諸先輩に倣った曲想で、作曲家としての気負いを感じ取ることができる作品です。
「CD2_No.5」:「Tango」
タンゴの特徴的な曲調が時折垣間見られる楽曲です。
「CD1_No.23」~「CD1_No.26」:「Sérénade en la」
セレナードとタイトルにはあるが、あまり様式には囚われていない自由な楽曲です。
曲想と曲調は、古典と前衛を織り交ぜたかのような趣があります。
ストラヴィンスキーの作品群の中では、ピアノ曲はあまりメジャーではない印象です。
が、そのようなレアケース群だからこそ、ストラヴィンスキーのスタイルの変遷をより良く知ることができるとも言えそうです。
確かに、色んなスタイルの楽曲がありますね。
生涯スタイルを模索した、「ストラヴィンスキーらしさ」を堪能できるともいえるな。
【観想】バレエ音楽のピアノ・アレンジ。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
ストラヴィンスキーと言えば、どうしても「バレエ音楽」をイメージしてしまいます。
とりわけ「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」といった、音楽界にセンセーションを巻き起こした作品ですね。
今回紹介したアルバムでも、「ペトルーシュカ」から選定された楽曲を、ストラヴィンスキー本人が記譜したピアノ版が収められています。
個性が強いので、純粋にピアノ用に作曲された作品の陰が薄くなってしまっています。
そんな中でも、ピアノ・オリジナル楽曲として、ストラヴィンスキーの個性を発揮した作品があります。
例えば、「Las Cinq Dogites: 8 Pièces très faciles sur 5 notes」や「Piano Rag Music」はストラヴィンスキーらしさに溢れています。バレエ音楽のピアノ・アレンジとは異なった面を堪能できる素敵な楽曲です。
音楽家の略歴です。
<略歴> イーゴリ・フョードロヴィチ・ストラヴィンスキー 【露→米】1882-1971 ペテルブルク大学で法律を専攻しながらリムスキー=コルサコフに個人教授をうける。1908年、ロシア・バレエ団のための一連の作品「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」を発表してセンセーションを巻き起こした(第1期)。強烈なリズム感の解放、管弦楽の大胆な極限的効果によってバーバリズム(原始主義)と呼ばれる。第1次大戦後、客観化されたリズムの遊戯を模索、アメリカから興ったジャズの影響を採り入れて新古典主義の時代に入る(第2期)。1952年、従来否定的であった12音技法初めて用い、新しい転換を行うが(第3期)、それ以後の作品には楽壇をリードするほどの力はなくなった。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
やはりストラビンスキーと言えばバレエ音楽になってしまいますよね。
ちょっとしたバイアスになってしまっているのかも知れないな。
【追想】初学者向けのピアノ曲。
やさしいとは言え、曲者揃いです。
「全音ピアノピース 5本の指 5つの音に基づくやさしい8つの小品」(全音楽譜出版社)です。
すべての楽曲に基本となる「5つの音」が示されている、初学者向けの楽曲です。
また、臨時記号もほとんどなく譜読みが楽です。
とは言え、ストラヴィンスキーの作品です。癖が強いです。
例えば混合拍子ですね。
特に最終曲の「Pesante」は2/4拍子、6/4拍子、5/4拍子と混ざり合っていて、とてもユニークです。拍合わせだとしてもなかなかの曲者です。
ストラヴィンスキーの個性に触れる、良い楽曲といえそうですね。
ところで「Pesante」とはどういった意味なのでしょうか。
発想用語で、「重々しく演奏する」といった内容だな。因みにイタリア語だ。
【雑想】下手の横好き。(第83弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★>として紹介したストラヴィンスキーの「Las Cinq Dogites: 8 Pièces très faciles sur 5 notes (5本の指 5つの音に基づくやさしい8つの小品)」の「Pesante」です。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
今回でストラヴィンスキー編は一旦終了です。
ストラヴィンスキーの作品紹介とはいえ、ほとんどがピアノ・アレンジやピアノ・オリジナルの作品を集めたアルバムばかりでした。
いつか管弦楽曲のアルバムも紹介したいと思います。
次回は変則回です。
では、また。
ストラヴィンスキーなのにピアノ曲ばかりのアルバム紹介でしたね。
ブログ管理者が、ピアノに執着してるためだろうな。