こんにちは。はーねうすです。

今回は、「ラフマニノフ ピアノ作品集」を紹介します。
ウラディミール・アシュケナージ氏の演奏で、メインに「楽興の時」を据えたアルバムですね。他にも滅多に聴くことができない、ラフマニノフの没後に出版された「前奏曲 遺作」などもあり、とてもバラエティに富んでいます。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

楽興の時って、何でしょう。

ロマンティックで自由な形式が特徴の、性格的小品だな。自由な発想で書かれた曲という程度の認識で良いぞ。

【着想】珠玉の小品。

「ラフマニノフ ピアノ作品集」のコンテンツです。

「ラフマニノフ ピアノ作品集」です。
ラフマニノフ ピアノ作品集 レーベル[DECCA]

規模の大きめな「楽興の時」と、歌曲のピアノ・アレンジである小品などが、見事にまとめられています。

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1楽興の時第1曲:アンダンティーノ 変ロ短調Op.16
2楽興の時第2曲:アレグレット 変ホ短調Op.16
3楽興の時第3曲:アンダンテ・カンタービレ ロ短調Op.16
4楽興の時第4曲:ブレスト ホ短調Op.16
5楽興の時第5曲:アダージョ・ソステヌート 変ニ長調Op.16
6楽興の時第6曲:マエストーソ ハ長調Op.16
7幻想的小品集第1曲:エレジー 変ホ短調Op.3
8幻想的小品集第2曲:前奏曲 嬰ハ短調Op.3
9幻想的小品集第3曲:メロディ ホ長調Op.3
10幻想的小品集第4曲:道化人形 嬰ヘ短調Op.3
11幻想的小品集第5曲:セレナード 変ロ短調Op.3
12断片
13前奏曲 ニ短調 遺作
14ここはすばらしいところOp21-7
15ヴォカリーズOp.34-14

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.14」:「ここはすばらしいところ」

ラフマニノフの歌曲のピアノ・アレンジという点においては「No.15」の「ヴォカリーズ」ほど知られてはいないと思います(多分)。でも、とても素晴らしい。

初めてこの曲を知ったのは、サラ・ブライトマン氏のアルバム「アヴェ・マリア ~サラ・ブライトマン クラシックス」というアルバムでした。まぁ、とにかくその美しさに驚嘆しました。可笑しな例えですが、天国に突然招待されて、とても恐れ多い感じになり震えてしまった、といったところです。(こちらのアルバムについては、いずれ紹介させていただきます)

ピアノは減衰系の楽器なので、サステインが魅力の歌声を再現するのはとても難しいと思います。でも、この小品は、歌曲とは違ったピアノ独特の魅力が遺憾なく発揮されています。

<おすすめ度★★>

「No.15」:「ヴォカリーズ」

「No.14」の「ここはすばらしいところ」と同様、ラフマニノフの歌曲をピアノにアレンジした楽曲です。

とても感傷的な旋律が印象的ですが、伴奏の形態も良いですね。オリジナルの歌曲を知っていると尚更で、旋律がソプラノからピアノに引き継がれるところが、ピアノ独奏ではどのようになっているのかが面白いですね。
また、息の長いフレーズをどのように処理しているのかも聴き所のひとつです。

<おすすめ度★>

「No.7」:「幻想的小品集 第1曲:エレジー」

幻想的小品はラフマニノフ初期の作品で、とりわけ「No.8」の「前奏曲 嬰ハ短調」が有名ですね。その中でも「No.7」の「エレジー」は哀歌と訳されるだけあって、とても悲哀に満ちた音楽です。初期ラフマニノフのセンチメンタリズムに触れる良い作品ですね。


幻想的小品は、当ブログ「ラフマニノフ〔自作自演集〕」の回で紹介していますので、是非ご覧ください。

「ラフマニノフ ピアノ作品集」です。
ラフマニノフ ピアノ作品集 レーベル[DECCA]

ラフマニノフは歌曲も書いているのですね。

聴く機会は少ないかもしれないがな。編曲で興味を持つのも良いだろう。

【観想】作品番号なしの遺作。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

「No.12」の「断片」および「No.13」の「前奏曲」ですが、ラフマニノフ作品としてはあまり聞き慣れない印象です。

ライナーノーツ(萩谷由喜子氏著)では、「断片」について「同年*11月15日の完成日付の記されたこの小品は10月革命の余波の中で書かれたもので、彼のロシアでの最後の作品」(*: 1917年のこと)とあります。
加えて「前奏曲」については、「完成日付は<断片>とは1日違いの1917年11月14日。」とあり、ともに激動の時代に祖国を追われるような状況の中、生み出された希少な小品といってよいでしょう。

このような作品を鑑賞できるのは、とても幸せなことだと思います。

音楽家の略歴です。

<略歴> セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ
【露】1873-1943
チャイコフスキーの影響を強くうけたモスクワ学派の様式を守り、ピアノ曲を中心にしたあらゆる分野の作品を残す。ロシア革命でスイスに亡命、その後はもっぱらピアノ・ヴィルトゥオーソとしてヨーロッパ、アメリカで活躍。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

遺作は、演奏や録音の機会に恵まれないのでしょうか。

真贋が同定されている場合は別だよ。無論、音楽的に素晴らしければ尚の事だ。

【追想】初期の覇気。

無窮動の疾走と悲愴の詩歌が魅力です。

「ラフマニノフ 楽興の時 和田則彦[監修] ドレミ楽譜出版社」です。
ラフマニノフ 楽興の時 和田則彦[監修] ドレミ楽譜出版社

「ラフマニノフ 楽興の時」(和田則彦[監修]ドレミ楽譜出版社)です。

「楽興の時」は、ラフマニノフが「交響曲 第1番」で酷評を受ける前年の1896年に完成しています。ライナーノーツ(萩谷由喜子氏著)には、「まだ挫折を知らない若き作曲家の覇気が随所に満ちた充実した作品集」とあり、確かに「No.4」の「ホ短調」「No.6」の「ハ長調」の疾走する無窮動のうねりは、覇気の現れです。

反して「No.3」の「ロ短調」は、緩やかで、哀歌風に歌われる曲調が魅力です。「ラフマニノフ 楽興の時」(和田則彦 監修 ドレミ楽譜出版社)では、「輓歌風で悲愴感のある厳粛な曲」と評しています。初期ラフマニノフのメランコリックな一面を覗かせてもらえます。

さて、楽譜です。「第1番 変ロ短調」(アルバムでは「No.1」)が面白いです。拍子ですが、メインは4拍子なのですが、途中に7拍子や5拍子といった拍の取りにくい拍子がでてきます。このような変わった拍子が混ざり合った譜面を眺めるだけで興奮し、多幸感で満たされます。変態さんですね。

確かに、5拍子や7拍子って不思議なリズムになりますね。

変拍子だな。2拍と3拍の組み合わせ、などのように解釈もできるな。

【雑想】下手の横好き。(第11弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★>として紹介したラフマニノフの「幻想的小品集 第1曲 エレジー (悲歌)」です。

作曲家:セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ 作曲年:1892

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

引き続き、ラフマニノフ編でした。

目玉は「楽興の時」なのですが、どうしても「ここはすばらしいところ」を推せずにはいられませんでした。

オリジナルの歌曲も素晴らしいのですが、ピアノ独奏用にアレンジされた楽曲も異なった味わいがあります。編曲って、いいですよね。

では、また。

ラフマニノフの歌曲も、ピアノ独奏で聴くとまた異なった味わいがありますね。

ピアノは減衰系の楽器だからな。その特徴も踏まえて演奏するピアニストの技術には感服するばかりだな。