こんにちは。はーねうすです。
今回は、「カプースチン 24の前奏曲とフーガ 作品82、ヴァイオリン・ソナタ 他」を紹介します。
現代を代表するコンポーザー・ピアニストである、カプースチン氏に自作自演集になります。
ジャズとクラシックのフュージョンという意欲的な作品群でもあります。
ピアノ演奏は、ニコライ・カプースチン氏です。
カプースチンさんの自作自演のアルバムですね。
20世紀中頃から、21世紀初頭に活躍した音楽家だな。
目次
【着想】ジャズとクラシックのフュージョン。
「カプースチン 24の前奏曲とフーガ 作品82、ヴァイオリン・ソナタ 他」のコンテンツです。
20世紀に誕生したジャズの様式を、16世紀以降のバロック・古典といったクラシックの形式に、どのような形で溶け込ませたのかが聴き所のアルバムです。
CD1
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1, 2 | 前奏曲とフーガ | 第1番 ハ長調 | Op. 82 |
3, 4 | 前奏曲とフーガ | 第2番 嬰ト短調 | Op. 82 |
5, 6 | 前奏曲とフーガ | 第3番 ヘ長調 | Op. 82 |
7, 8 | 前奏曲とフーガ | 第4番 嬰ハ短調 | Op. 82 |
9, 10 | 前奏曲とフーガ | 第5番 変ロ長調 | Op. 82 |
11, 12 | 前奏曲とフーガ | 第6番 嬰ヘ短調 | Op. 82 |
13, 14 | 前奏曲とフーガ | 第7番 変ホ長調 | Op. 82 |
15, 16 | 前奏曲とフーガ | 第8番 ロ短調 | Op. 82 |
17, 18 | 前奏曲とフーガ | 第9番 変イ長調 | Op. 82 |
19, 20 | 前奏曲とフーガ | 第10番 ホ短調 | Op. 82 |
21, 22 | 前奏曲とフーガ | 第11番 変ニ長調 | Op. 82 |
23, 24 | 前奏曲とフーガ | 第12番 イ短調 | Op. 82 |
25, 26 | 前奏曲とフーガ | 第13番 嬰ト長調 | Op. 82 |
27, 28 | 前奏曲とフーガ | 第14番 ニ短調 | Op. 82 |
29, 30 | 前奏曲とフーガ | 第15番 ロ長調 | Op. 82 |
31, 32 | 前奏曲とフーガ | 第16番 ト短調 | Op. 82 |
33, 34 | 前奏曲とフーガ | 第17番 ホ長調 | Op. 82 |
CD2
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1, 2 | 前奏曲とフーガ | 第18番 ハ短調 | Op. 82 |
3, 4 | 前奏曲とフーガ | 第19番 イ長調 | Op. 82 |
5, 6 | 前奏曲とフーガ | 第20番 ヘ短調 | Op. 82 |
7, 8 | 前奏曲とフーガ | 第21番 ニ長調 | Op. 82 |
9, 10 | 前奏曲とフーガ | 第22番 変ロ短調 | Op. 82 |
11, 12 | 前奏曲とフーガ | 第23番 ト長調 | Op. 82 |
13, 14 | 前奏曲とフーガ | 第24番 変ホ短調 | Op. 82 |
15* | チェロとピアノのためのエレジー | ― | Op. 96 |
16* | チェロとピアノのためのブルレスク | ― | Op. 97 |
17* | チェロとピアノのための”ワルツ風に” | ― | Op. 98 |
18** | ヴァイオリン・ソナタ | 1. Allegro | Op. 70 |
19** | ヴァイオリン・ソナタ | 2. Andantino | Op. 70 |
20** | ヴァイオリン・ソナタ | 3. Con moto | Op. 70 |
**: アレクサンドル・チェルノフ(ヴァイオリン)
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「CD1_No.19, 20」:「前奏曲とフーガ 第10番 ホ短調」
艶と色気のある、落ち着いた雰囲気に満ちたムードの楽曲です。
フーガは一転して、リズムのノリが軽やかなジャジーな曲調に様変わりします。
「CD1_No.27, 28」:「前奏曲とフーガ 第10番 ニ短調」
印象主義音楽のような透明感のある音響と、ジャズ風の律動感が組み合わさったかのような楽曲です。
続くフーガも同じ構想で展開されるため、一貫性を強く感じます。
「CD2_No.9, 10」:「前奏曲とフーガ 第22番 変ロ短調」
旋律の音階に特徴のある、とても可愛らしい楽曲です。
フーガの展開は、前奏曲部を変じて落ち着かせたかのような様相があります。
「CD2_No.15」:「チェロとピアノのためのエレジー」
チェロの伸びやかな旋律が、とても美しい楽曲です。
チェロに相応しい歌唱旋律の動きに聴き入ってしまいます。
「CD1_No.13, 14」:「前奏曲とフーガ 第7番 変ホ長調」
リズムと旋律が明快で、ポップな印象を受ける楽曲です。
フーガはリズムと旋律がともにジャズ色が濃い曲調になっています。
<おすすめ度★★>
「CD1_No.9, 10」:「前奏曲とフーガ 第5番 変ロ長調」
高速で駆け抜けるパッセージが特徴の楽曲です。
フーガはジャズの色合いがより濃くなっています。
「CD2_No.16」:「チェロとピアノのためのブルレスク」
おどろおどろしい前半と、中間部から始まるジャズ仕様のスイングとの対比がとても美しい楽曲です。
「CD1_No.7. 8」:「前奏曲とフーガ 第4番 嬰ハ短調」
機械的に動く無窮動の音型が特徴の楽曲です。
フーガは一転してジャズの風味が強くなっています。
<おすすめ度★>
「CD2_No.19」:「ヴァイオリン・ソナタ 2. Andantino」
弦を爪弾くピチカートが特徴の、旋律線が美しい楽曲です。
「CD1_3, 4」:「前奏曲とフーガ 第2番 嬰ト短調」
高音域からの下降音型で始まるのが印象的な楽曲です。
フーガは表現主義的な様相に満ちています。
「CD1_No.23, 24」:「前奏曲とフーガ 第12番 イ短調」
分かりやすい形でジャズが前面に出た楽曲です。
フーガも同じような構想です。
ジャズとクラシックを組み合わせた作曲家としては、ジョージ・ガーシュウィンをまず思い浮かべます。
カプースチン氏の場合は、より強くクラシックの形式を取り組んだ印象を受けます。
形式や様式に対する要素への美意識を強く感じます。
それらを抜きにしても、とても楽しい作品群であることは間違いありません。
ジャズと一口に言っても、色々な曲調があるのですね。
ジャズ自体にも様々な手法があるからな。他ジャンルと組み合わさることで、さらに幅が広がっている感があるな。
【観想】様式美と形式美。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
「前奏曲とフーガ」と聴けば真っ先にヨハン・セバスチャン・バッハの作品群を思い浮かべますね。
バロック時代には完成されていた形式です。
そのクラシカルな形式に、他ジャンルの音楽の要素を取り組んだ楽曲は多くあります。
とりわけ、ジャズとの融合を計った楽曲は他の数を抜きん出ている感があります。
カプースチン氏の場合は、より厳密な形式と様式の融合による美を感じます。
さて、着目点を調性に移したいと思います。
カプースチン氏の「24の前奏曲とフーガ」は、勿論24の調性が網羅されています。
その配列が面白いですね。
長調の場合はフラット(♭)の数を一つずつ増やし、MAXへ到達した点からシャープ(♯)に転じて数を減らしています。
長調の場合は逆で、シャープ(♯)がMAXの状態から数を一つずつ減らし、調号0へ到達した点からフラット(♭)に転じて数を増やしています。
上記を長短交互に配列しています。面白いですね。
音楽家の略歴です。
<略歴> ニコライ・ギルシェヴィチ・カプースチン 【露】1937-2020 ウクライナ出身のロシアの作曲家。1960~80年代、当時としては珍しく、ジャズの要素を取り入れたオーケストラとの共演作品を手掛ける。その後も、ピアノ・ソロ~室内楽等、創作活動を行っている。 (「カプースチン 24の前奏曲とフーガ 作品82、ヴァイオリン・ソナタ 他」のライナーノーツ(たかく・あきら氏著)の略歴より抜粋、改編)
ところで、フーガって何でしょう。
先行する声部を、他の声部が追従(模倣)するように展開する楽曲形式だな。対位法的な処理が楽しい楽曲だぞ。
【追想】ジャズへの入門です。
ジャズの仕組みを楽しく学べます。
「NHK趣味悠々 山下洋輔のジャズの掟(オキテ)」(日本放送出版協会)です。
ジャズピアニストの山下洋輔氏を講師に迎えて放送された番組を、書籍に編纂した内容になっています。
ジャズの仕組みを、初歩から学べるのが嬉しいですね。
スティーブン・フォスターの代表作「スワニー河」を徐々にジャズへアレンジする様子を通して、コード進行や楽器特有の扱いを知ることができます。
また、山下洋輔氏は語り口や例え話が魅力的なので、純粋に読み物としても楽しめます。
話は変わりますが、山下洋輔氏は絵本を多く手掛けていますので、いつか読んでみたいですね。
スワニー河を例にしているので、ジャズに変貌していく様が分かりやすいです。
この種の教則本では、有名曲を扱うのが常套だな。聴き馴染んだ楽曲の変化ほど、分かりやすくかつ驚きを得られるものはないよな。
【雑想】下手の横好き。(第85弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
DAW(Digital Audio Workstation)でクラシック音楽を打ち込んだDTM(DeskTop Music)の作品を制作しています。
DAWで音楽を制作するDTMの楽しさが伝わればと思います。
下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
今回は、カプースチン編でした。
とてもユニークなアルバムで楽しい限りでしたね。
同時代に生きた作曲家の作品を、作曲家本人の演奏で聴くことができるのは、とても素敵なことですね。
次回は、ボロディンのアルバムを紹介します。
では、また。
ジャズとクラシックのフュージョン、楽しいですよね。
それぞれの形式と様式の美を感じ取れるのは、嬉しいことだな。