こんにちは。はーねうすです。

今回は、「ボロディン作品集」を紹介します。

ざっくりとし過ぎた感のあるアルバムタイトルです。内容は、歌劇「イーゴリ公」の抜粋、歌曲や弦楽四重奏曲や交響詩など贅沢なラインナップになります。

演奏家も豪華な2枚組のアルバムです。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

ボロディンですね。「だったん人の踊り」が有名な作曲家です。

「中央アジアの草原にて」も負けず劣らずで、とても魅力的だぞ。

【着想】管弦楽曲のコンプリート。

「ボロディン作品集」のコンテンツです。

ボロディン作品集 レーベル[LONDON]

後世に残した作品数が少ないボロディンの楽曲を、満遍なく集積したアルバムです。とりわけ、交響曲と交響詩という管弦楽曲がすべて収められているのが嬉しいですね。

CD1

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1*歌劇「イーゴリ公」より序曲
2**歌劇「イーゴリ公」よりわしに栄誉が与えられ(ガリツキーのアリア)(第1幕)
3**歌劇「イーゴリ公」よりごきげんいかが? 公爵様(コンチャーク汗のアリア)(第2幕)
4***歌劇「イーゴリ公」よりだったん人の踊り
5****遠い祖国の岸辺のために
6*****交響曲 第1番 変ホ長調第1楽章:アダージョ – アレグロ – アンダンティーノ
7*****交響曲 第1番 変ホ長調第2楽章:スケルツォ(プレスト) – トリオ(アレグロ)
8*****交響曲 第1番 変ホ長調第3楽章:アンダンテ
9*****交響曲 第1番 変ホ長調第4楽章:アレグロ・モルト・ヴィーヴォ
*: サー・ゲオルグ・ショルティ(指揮)、ロンドン交響楽団
**: ニコライ・ギャウロフ(バス)、エドワード・ダウンズ(指揮)、ロンドン交響楽団、合唱団
***: サー・ゲオルグ・ショルティ(指揮)、ロンドン交響楽団、合唱団
****: ニコライ・ギャウロフ(バス)、ツラティーナ・ギャウロフ(ピアノ)
*****:ウラディーミル・アシュケナージ(指揮)、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

CD2

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1*交響曲 第2番 ロ短調第1楽章:アレグロ
2*交響曲 第2番 ロ短調第2楽章:スケルツォ(プレスティッシモ) – トリオ(アレグレット)
3*交響曲 第2番 ロ短調第3楽章:アンダンテ
4*交響曲 第2番 ロ短調第4楽章:フィナーレ(アレグロ)
5**弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調第1楽章:アレグロ・モデラート
6**弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調第2楽章:スケルツォ(アレグロ)
7**弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調第3楽章:ノットゥルノ(アンダンテ)
8**弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調第4楽章:フィナーレ(アンダンテ – ヴィヴァーチェ)
9***交響詩「中央アジアの草原にて」
10***交響曲 第3番 イ短調 (未完/グラズノフ編)第1楽章:モデラート・アッサイ
11***交響曲 第3番 イ短調 (未完/グラズノフ編)第2楽章:スケルツォ(ヴィーヴォ)
*: ジャン・マルティノン(指揮)、ロンドン交響楽団
**: ボロディン弦楽四重奏団(ロスティスラフ・ドゥビンスキー(第1ヴァイオリン)、ヤノスラフ・アレクサンドロフ(第2ヴァイオリン)、ドミトリ・シェバーリン(ヴィオラ)、ヴァレンティン・ベルリンスキー(チェロ))
***: エルネスト・アンセルメ(指揮)、スイス・ロマンド管弦楽団

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「CD1_No.4」:「歌劇「イーゴリ公」より だったん人の踊り」

ボロディンの代表作として、人口に膾炙した楽曲です。

管楽が奏でるくるくると駆け回るような導入の後に、とりわけ有名な楽句が続きます。

愛らしい前奏の後、女声合唱による優美な主要主題が歌い上げられます。

管弦楽による展開の後、混声合唱による力強く威勢のある豪快な主題が咆哮のように歌われます。

男声合唱で差し込まれた楽句の後、混声合唱による主要主題が、装飾を施された管弦楽とともに回顧のように歌われます。

そして、勢いを増した総まとめの様相で締めくくられます。

「CD2_No.9」:「交響詩『中央アジアの草原にて』」

愛らしい冒頭と、広大壮大雄大といった情景を夢見させる主要部が素敵な楽曲です。

高音域で持続的に管楽と、他の管楽や弦楽で奏でられる合奏の組み合わせで、立体感遠近感を伴った音響が音響も特徴です。

「CD2_No.7」:「弦楽四重奏曲 第2番 第3楽章」

哀愁感を漂わせる主題が、望郷の念を思わせる楽曲です。

主題が高音域で再現されることで、より一層寂寞感が増していきます。

主旋律を受け渡すかのように、パートを行き来する中間部と再現部も素敵です。

<おすすめ度★★>

「CD1_No.5」:「遠い祖国の岸辺のために」

物寂しさと切なさを感じさせる、感傷的抒情的な旋律が美しい楽曲です。

心情を歌い上げたかのような歌唱と、淡々と添えられたピアノ伴奏の組み合わせが印象的です。

「CD1_No.8」:「交響曲 第1番 第3楽章」

自然の風景や情景を想起させるような、穏やかな音響が特徴的な楽曲です。

管楽による小鳥のさえずりを思わせる旋律と装飾が印象的です。

「CD2_No.3」:「交響曲 第2番 第3楽章」

管楽で奏でられる牧歌的な旋律が印象的な楽曲です。

郷愁感と寂寥感が入り混じったかのような主要部と、劇性がある慟哭にも似た中間部との対比が美しい構成になっています。

<おすすめ度★>

「CD2_No.1」:「交響曲 第2番 第1楽章」

性急さを象ったかのような音型の第1主題と、短く差し込まれる愛らしい第2主題の組み合わせが特徴的な楽曲です。

とりわけ、提示部を圧縮変奏した展開部と再現部は圧巻です。

そして、第1主題に基づいた結尾で締めくくられます。

「CD2_No.8」:「弦楽四重奏曲 第2番 第4楽章」

交響曲で扱われる動機を惹起させる重厚な主要主題と、軽快に動き回る副主題の配置が特徴的な楽曲です。

ロシア国民楽派の「五人組」としては、リムスキー=コルサコフほどの華美はありません。ですが、素朴で牧歌的、ときには大胆といった地味めな在り方がボロディンの良さと言えそうです。

「ボロディン作品集」です。
ボロディン作品集 レーベル[LONDON}

ボロディンの管弦楽曲をすべて収めたアルバムでもありますね。

寡作な作曲家の楽曲群の集積としては、貴重なアルバムと言えるな。

【観想】兼業作曲家の魅力。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

ボロディンですが、ロシア国民楽派の「五人組」に名を連ねています。

「五人組」の特徴は、色々とあります。が、音楽的な要素を抜きにしてみると、本業の傍らに作曲活動を実践した、兼業作曲家が多いのも特徴として数え上げられそうですです。いわゆる日曜作曲家ですね。

さて、ボロディンですが、本業は化学者です。臭化ナトリウムを用いた有機窒素の定量法の発見に貢献しています。

そして医学も修めています。陸軍病院に勤務するなどとても多才です。

本業で多忙な合間を縫って、作曲していたと考えると、驚きを禁じ得ませんね。

因みにロシア国民楽派の「五人組」とは、以下の作曲家を指しています。

  • ミリイ・アレクセエヴィチ・バラキレフ
  • ツェーザリ・アントーノヴィチ・キュイ
  • モデスト・ペトローヴィチ・ムソルグスキー
  • アレクサンドル・ポルフィーリエヴィチ・ボロディン
  • ニコライ・アンドレイェヴィチ・リムスキー=コルサコフ

音楽家の略歴です。

<略歴> アレクサンドル・ポルフィーリエヴィチ・ボロディン
【露】1833-1887
ロシア国民楽派の「5人組」の一人。ペテルブルク医科大学の教授で化学者。作曲はディレッタントであり作品数も少ないが、「イーゴリ公」をはじめとする国民音楽の傑作が含まれている。

ところで、国民楽派とはどのような存在なのでしょうか。

端的に言えば、「民族主義的」な音楽を創作した音楽家をグルーピングした呼び方だな。

【追想】魅惑的なピアノ・アレンジ

ピアノで奏でる魅惑的な音響です。

「全音ピアノピース ダッタン人の踊り 歌劇≪イーゴリ公≫より」です。
全音ピアノピース ダッタン人の踊り 歌劇≪イーゴリ公≫より (全音楽譜出版社)

「全音ピアノピース ダッタン人の踊り 歌劇≪イーゴリ公≫より」(全音楽譜出版社)です。

ボロディンの楽曲の中でも随一の有名曲ですね。その楽曲をピアノ用に編曲した楽譜になります。

個人的には、前奏部ともいえる冒頭の14小節がお気に入りです。とても愛くるしいです。

いつまでも聴いていたいと思わせる、幽玄で悠久の広がりがある主要部。その編曲も良いですね。旋律の受け渡しが素敵です。

全46小節と、そんなに長くはないので、ピアノ・アレンジの手法を学ぶのに適した楽譜とも言えそうです。

ピアノ用に編曲された楽譜を通して、音楽家の手法を学ぶのも良さそうですね。

演奏することで習得するのに超したことはないが、DTMなどのデータ入力を通して学ぶのも、良い経験になるぞ。

【雑想】下手の横好き。(第86弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したボロディンの「だったん人の踊り」の一部をピアノ用に編曲された作品です。(【追想】で紹介した「全音ピアノピース」の版です)

作曲家:アレクサンドル・ポルフィーリエヴィチ・ボロディン 作曲年:1869 – 1870, 1874 – 1887 (ピアノ編曲:Makoto Goto 全音ピアノピース)

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

今回は一回きりのボロディン編でした。

ボロディンの作品としては、「だったん人の踊り」ぐらいしか知らなかったので、このようにパッケージングされたアルバムは嬉しかったですね。

とりわけ、弦楽四重奏曲と交響詩「中央アジアの草原にて」に出会えたのは僥倖でした。

次回からはチャイコフスキー編に入ります。

では、また。

ボロディン編、一回きりでしたね。少し寂しいです。

寡作な作曲家だからな。コンピレーションやオムニバス・タイプのアルバムで登場することもあるので、期待しよう。