こんにちは。はーねうすです。
今回は、「チャイコフスキー&リスト ピアノ協奏曲 第1番」を紹介します。
チャイコフスキーは3曲、リストは2曲のピアノ協奏曲を作曲していますが、両作曲家ともにこのアルバムに収められた「第1番」が最もメジャーですね。
内容としては、対照的な2曲がカップリングされています。
ピアノ演奏は、ラザール・ベルマン氏です。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
チャイコフスキーとリストのピアノ協奏曲ですね。
ともに19世紀を代表する作曲家による、ピアノ協奏曲だな。
目次
【着想】華やかなピアノ独奏と豪華な管弦楽。
「チャイコフスキー&リスト ピアノ協奏曲 第1番」のコンテンツです。
チャイコフスキーとリストの「ピアノ協奏曲」ですが、ともに19世紀のロマン主義時代に誕生した楽曲です。また、ピアノという楽器が格段の進化を遂げた時期でもあります。巨大化する管弦楽との相性がとても素晴らしい2曲です。
No. | 作曲家 | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1* | チャイコフスキー | ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 | 第1楽章:Allegro non troppo e molto maestoso – Allegro con spirito | Op.23 |
2* | チャイコフスキー | ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 | 第2楽章:Andantino semplice – Prestissimo – Tempo I | Op.23 |
3* | チャイコフスキー | ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 | 第3楽章:Allegro con fuoco | Op.23 |
4** | リスト | ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調 | 第1楽章:Allegro maestoso | ― |
5** | リスト | ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調 | 第2楽章:Quasi adagio – Allegretto vivace | ― |
6** | チャイコフスキー | ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調 | 第3楽章:Allegro marziale animato | ― |
**: カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)、ウィーン交響楽団
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.1」:チャイコフスキー「ピアノ協奏曲 第1番 第1楽章」
ホルンによる下降音型のモチーフと、雄大な旋律を奏でる管弦楽と力強いピアノの合奏による序奏部があまりにも有名な楽曲です。
大地の広がりを想起させる序奏部がとにかく印象的ですね。
リズミカルで民俗舞踏のような特徴の第1楽章、牧歌と哀歌が溶け合ったかのような第2楽章の構成も素敵です。
展開部前に配置されたピアノのパッセージと管楽器による第2主題の再現も印象的です。
再現部前では、夢見心地のような楽句をピアノが奏でます。そして、少し新しいモチーフが提示された後、第2主題に比重が置かれた再現部が登場します。
結尾前では、ピアノによる華麗な中にも物憂げな雰囲気を漂わせたカデンツァが繰り広げられます。そして、第2主題の変形で構成された結尾で締めくくられます。
余談ですが、ファミリーコンピュータのゲーム「シティコネクション」(1985年 ジャレコ/現:シティコネクション)で、BGMとして序奏部のアレンジが使用されていました。とても懐かしいですね。
「No.3」:チャイコフスキー「ピアノ協奏曲 第1番 第3楽章」
多様な旋律が満載の、終楽章に相応しい華やかな楽曲です。
疾走感と焦燥感の表出のような主要主題、流麗で憧憬の感がある抒情的な副主題、経過句でありながら派手目のモチーフなど、バラエティに富んだ内容になっています。
結尾ではピアノのパッセージと副主題の感動的な合奏で締めくくられます。
<おすすめ度★★>
「No.2」:チャイコフスキー「ピアノ協奏曲 第1番 第2楽章」
管楽器で奏でられる優美な主要主題と、それを引き継ぐピアノの構成が素敵な楽曲です。
主要主題が楽器を変えて登場するのも特徴です。
中間部では、軽快で即興的な調子が強められています。
<おすすめ度★>
「No.4」:リスト「ピアノ協奏曲 第1番 第1楽章」
劇的な開幕を象ったかのような、重厚なモチーフの主要主題が印象的な楽曲です。
可愛らしく夢想的な副主題との組み合わせは、如何にもロマン主義的といった感があります。
「No.5」:リスト「ピアノ協奏曲 第1番 第2楽章」
ピアノ主導で奏でられる、静謐で厳粛、夜想曲のような曲想の主題が印象的な楽曲です。
一時のドラマティックな展開を除いては、終始穏やかな雰囲気に包まれています。
後半では、トライアングルが添えられた軽やかで舞踏曲のような曲調に転じます。
そして、第1楽章の主題が回想され、第3楽章へと導かれます。
「No.6」:リスト「ピアノ協奏曲 第1番 第3楽章」
華やかで軽やかなサロンの音楽を、管弦楽に拡大したこのような楽曲です。
随所に登場するトライアングルも印象的です。
結尾は、第1楽章の主題を変形した内容で締めくくられます。
チャイコフスキーは交響曲的な規模があり、リストは交響詩的な密度があります。とても対照的なピアノ協奏曲が収録されたアルバムですね。
確かに対照的な2曲ですね。
リストの作品は、どこか実験的な要素を含んでいる節があるな。
【観想】交響曲的な協奏曲と交響詩的な協奏曲。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
チャイコフスキーとリストの「ピアノ協奏曲 第1番」は、ともに19世紀に誕生した楽曲です。
ですが、とても対照的な構成になっています。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲は、「ピアノ付きの交響曲」といって良いほど巨大な管弦楽が特徴です。各楽章に登場する主題のモチーフも、バラエティに富んでいます。
一方、リストのピアノ協奏曲は、「ピアノと管弦楽による交響詩」といって良いほど密度のある内容が特徴です。全楽章をシームレスに演奏するという点も含め、第1楽章の主題が「運命の動機」のように支配的です。
表層的ではありますが、演奏時間を比較しても、
・チャイコフスキー:約40分弱
・リスト:約18分弱
と、差が明確です。
管弦楽の規模や演奏時間だけでなく、多角的に比較できるようになりたいですね。
音楽家の略歴です。
<略歴> ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー 【露】1840-1893 作風は西ヨーロッパの伝統に根ざしたいわゆる<西欧派>または<折衷派>ではあるが、初期には国民楽派の<5人組>とも交流して国民主義的傾向を示した。外国での生活が多い時期には西欧派的作品が多く、1885年帰国してからは、これらを統合した思索性のあるロシア音楽を確立した。 <略歴> リスト・フランツ 【ハンガリー】1811-1886 19世紀最大のピアニスト。ピアノのヴィルトゥオーソ芸術の確立者。作曲においてはベルリオーズに始まる標題音楽を発展させ、交響詩のジャンルを創始。ワーグナーとともに<新ドイツ派>、<新ロマンは>とも呼ばれる。
ところで「交響詩」とは何ですか。
文学や絵画などのイメージを伴った管弦楽曲のことだな。リストが創始したジャンルでもあるぞ。因みに、純粋な器楽曲を「絶対音楽」というのに対して、他芸術のイメージを伴う楽曲を「標題音楽」と呼ぶぞ。
【追想】交響曲的な厚みの楽譜。
ピアノ協奏曲のフルスコアです。
「チャイコフスキー ピアノ協奏曲第一番 変ロ短調 作品23」(全音楽譜出版社)です。
厚みがあります。全4楽章の交響曲に匹敵する厚みがあります。興奮します。
管弦楽のパートも然る事ながら、ピアノのパートの充実度も異様です。
とりわけ第1楽章です。随所に差し込まれるピアノのソロ・パートや、カデンツァの譜面に驚かされます。頭がクラクラします。
670小節もある長大な楽曲というだけでも大層なのに、異常なまでの演奏技巧を強いるピアノ・ソロの存在は、この協奏曲を特徴づけるのに十分と言って良いでしょう。
このピアノ協奏曲ですが、献呈を予定していたピアニストのニコライ・ルビンシテインに酷評され、多くを変更するよう指摘を受けています。ですが、チャイコフスキーは楽譜を一音符たりとも改めることなく、献呈先をハンス・フォン・ビューローに変えたという逸話があります。
チャイコフスキーのこだわりが結実したピアノ協奏曲を、楽譜を通して知るのも一興です。
音楽を聴きながら楽譜を追うのも、楽しいですね。
とても興奮して、ワクワクするだろう。
【雑想】下手の横好き。(第88弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 第1楽章」の序奏部です。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
引き続き、チャイコフスキー編でした。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲は、飛び抜けて人気のあるナンバーになりますね。
冒頭の1、2小節で、聴衆を惹き付ける音響の世界に圧倒されます。
一方、リストのピアノ協奏曲は、華やかなイメージがあるリストの楽曲の中ではやや渋い内容です。
どこか対照的なピアノ協奏曲が収められたアルバムでした。面白いですね。
次回は、弦楽セレナーデになります。
では、また。
対照的な2曲を聴くことができて、とても満足です。
チャイコフスキーとリストには、他にもピアノ協奏曲があるので、機会があれば聴いてみたいよな。