こんにちは。はーねうすです。

今回は、「チャイコフスキー 弦楽四重奏曲全集」を紹介します。

チャイコフスキーの弦楽四重奏曲全3曲と、弦楽六重奏曲の弦楽合奏版の組み合わせですね。

チャイコフスキーと言えば、管弦楽曲の作曲家というイメージがあり、弦楽四重奏曲などの室内楽曲はマイナーな部類に入るのかもしれませんね。

演奏は、ガブリエリ四重奏団と、ネヴィル・マリナー氏の指揮によるアカデミー室内管弦楽団です。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

チャイコフスキーの室内楽曲ですね。管弦楽曲と比べると馴染みがない感じがします。

チャイコフスキーは管弦楽曲の大家というイメージもあるからな。チャイコフスキー自身、室内楽曲に食指が働かなかったのかもしれんな。

【着想】民謡調の味わい。

「チャイコフスキー 弦楽四重奏曲全集」のコンテンツです。

「チャイコフスキー 弦楽四重奏曲全集」です。
チャイコフスキー 弦楽四重奏曲全集 レーベル[LONDON]

チャイコフスキーの弦楽四重奏曲には、民謡調の節回しが多く登場します。そのため、構成の面白さよりも、エキセントリックな旋律やリズムの風味に興趣が沸きやすく感じます。

CD1

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1*弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調 第1楽章:モデラート・エ・センプリーチェOp.11
2*弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調第2楽章:アンダンテ・カンタービレOp.11
3*弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調第3楽章:スケルツォ&トリオ (アレグロ・ノン・タント・エ・コン・フォーコ)Op.11
4*弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調第4楽章:フィナーレ (アレグロ・ジュスト)Op.11
5*弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調第1楽章:アダージョ – モデラート・アッサイOp.22
6*弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調第2楽章:スケルツォ (アレグロ・ジュスト)Op.22
7*弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調第3楽章:アンダンテ・マ・ノン・タントOp.22
8*弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調第4楽章:フィナーレ (アレグロ・コン・モート)Op.22
*: ガブリエリ四重奏団

CD2

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1*弦楽四重奏曲 第3番 変ホ短調第1楽章:アンダンテ・ソステヌート – アレグロ・モデラートOp.30
2*弦楽四重奏曲 第3番 変ホ短調第2楽章:アレグレット・ヴィーヴォ・エ・スケルツァンドOp.30
3*弦楽四重奏曲 第3番 変ホ短調第3楽章:アンダンテ・フネーブレ・ドロローソ、マ・コン・モートOp.30
4*弦楽四重奏曲 第3番 変ホ短調第4楽章:アレグロ・ノン・トロッポ・エ・リゾルートOp.30
5**弦楽六重奏曲 ニ短調「フィレンツェの思い出」(弦楽合奏版)第1楽章:アレグロ・コン・スピリートOp.70
6**弦楽六重奏曲 ニ短調「フィレンツェの思い出」(弦楽合奏版)第2楽章:アダージョ・カンタービレ・エ・コンモートOp.70
7**弦楽六重奏曲 ニ短調「フィレンツェの思い出」(弦楽合奏版)第3楽章:アレグレット・モデラートOp.70
8**弦楽六重奏曲 ニ短調「フィレンツェの思い出」(弦楽合奏版)第4楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェOp.70
*: ガブリエリ四重奏団
**: ネヴィル・マリナー(指揮)、アカデミー室内管弦楽団

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「CD1_No.2」:「弦楽四重奏曲 第1番 第2楽章」

弦楽四重奏曲に限らず、チャイコフスキーの楽曲の中でも一際有名な楽曲です。

演奏速度表記の「アンダンテ・カンタービレ」が愛称になっていますね。

民謡を下地とし、混合拍子で構成された主要主題が耳に心地よく響きます。憶えやすい旋律というのも特徴ですね。

副次主題は、陰鬱な雰囲気を幾分漂わせています。長閑な曲調に終始しない、引き締まった構成に昇華する効果があるのかもしれません。

「CD1_No.4」:「弦楽四重奏曲 第1番 第4楽章」

躍動と活気に満ち溢れた、気分が昂揚する楽曲です。

弾んだ様相で突き進む、民謡調の主要主題が印象的です。徐々に昂揚していく様も楽しげ面白いです。

ヴィオラで歌われる、副産物的な副次主題の旋律も愛らしくて素敵です。

代わる代わる登場するモチーフは、朧気ではあるものの、どれもがキャッチな旋律で仕上げられています。

「CD2_No.1」:「弦楽四重奏曲 第3番 第1楽章」

思い出を回顧するような、内省的な曲想で綴られたメランコリックな楽曲です。

長大に配置された序奏は、鬱屈とした気分で支配されていて、楽曲全体の主要な役割を担っています。

主要部は幾分軽やかで、展開の移り変わりが激しい物語的な構成になっています。

<おすすめ度★★>

「CD1_No.5」:「弦楽四重奏曲 第2番 第1楽章」

メランコリックで、センチメンタリズムを纏った楽曲です。

酷く陰鬱で感傷的な序奏と、悲劇的な重苦しさがある主要主題が印象的です。

副次的な主題は、旋律線が明快で素敵です。

「CD2_No.3」:「弦楽四重奏曲 第3番 第3楽章」

レクイエムのような雰囲気が漂う楽曲です。

悲痛な心象を表出したかのような、厳粛な雰囲気に包まれています。

狙いがどこにあるのかが分からない、謎めいたピチカートが挿話のように登場するのも印象的です。

「CD1_No.7」:「弦楽四重奏曲 第2番 第3楽章」

悲痛な哀歌といった印象の楽曲です。

いつまでも悲嘆に暮れているかのような、モノトーンの映像が浮かんでくるような、陰鬱な調子が終始しています。

「CD2_No.5」:「弦楽六重奏曲 第1楽章」

古典主義時代の作品に敬意を払ったかのような、形式と様式の美に従順な楽曲です。

「CD2_No.6」:「弦楽六重奏曲 第2楽章」

ロココ趣味が全開の、優雅な曲想が特徴です。最後までエレガントな様相で流れていきます。

「CD1_No.8」:「弦楽四重奏曲 第2番 第4楽章」

前3つの楽章に支配的だった陰鬱さが嘘のように、躍動と快活に溢れた楽曲です。

リズミカルな伴奏に乗せて歌われる旋律が美しいです。

<おすすめ度★>

「CD1_No.6」:「弦楽四重奏曲 第2番 第2楽章」

リズミカルで威勢のある主要主題が特徴の楽曲です。

主要主題のモチーフがコードを変えて登場したりと、ちょっとした変化が面白いです。

反して、副次主題は同型を反復する民謡の様相で纏められています。

「CD2_No.8」:「弦楽六重奏曲 第4楽章」

異国情緒風に取り込まれた、ロシア民謡を主題とする楽曲です。

起伏に富んだ展開に面白みを感じる構成になっています。

「CD1_No.1」:「弦楽四重奏曲 第1番 第1楽章」

民謡調の曲調が特徴的な楽曲です。

シンコペーションが多用される緩やかな第1主題と、穏やかに歌われる第2主題の構図のバランスが良いです。

「CD1_No.3」:「弦楽四重奏曲 第1番 第3楽章」

力強さが支配する、躍動感に満ちた楽曲です。

「CD2_No.2」:「弦楽四重奏曲 第3番 第2楽章」

短く刻まれた律動で構成された楽曲です。

「CD2_No.4」:「弦楽四重奏曲 第3番 第4楽章」

前楽章の憂鬱気味の気分が一転、晴れ渡ったかのような軽やかで躍起に満ちた楽曲です。

「CD2_No.7」:「弦楽六重奏曲 第3楽章」

ドラマティックな展開が特徴の楽曲です。


弦楽四重奏曲に通底する各声部の対位法的な動きよりも、旋律やリズムから生まれる情趣を楽しむ楽曲群ですね。

「
チャイコフスキー 弦楽四重奏曲全集」です。

チャイコフスキー 弦楽四重奏曲全集 レーベル[LONDON]

確かに、弦楽四重奏曲に特有な、込み入った複雑さを感じさせませんね。

その分、各楽器で醸し出すエキセントリックな音響効果に重点をおいている感がするな。

【観想】四声で紡ぐ線。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

弦楽四重奏曲は、音楽の基礎である「四声」(ソプラノ、アルト、テノール、バス)で構成されています。とてもシンプルですが、その分誤魔化しが効かない頑固な一面も含んでいます。

管弦楽曲のように、楽器構成による変化や色づけのような装飾もできません。

チャイコフスキーは、管弦楽曲の大家ではありますが、こと室内楽についてはパッとしない印象があります。

それは、上記に示した「誤魔化しが効かない」という点において「不得手」だったわけではなく、単純に「不向き」だったように思います。

弦楽四重奏曲の醍醐味でもある、各声部の多様な動きが楽しめる箇所は少なく感じます。

ですが、他管弦楽曲とは異なり、エキセントリックな旋律やリズムが前面に出ている感がします。

もしかすると、楽器構成よりも楽器そのものの音色や音響といった特徴を主眼に置いていたのかもしれませんね。

音楽家の略歴です。

<略歴> ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【露】1840-1893
作風は西ヨーロッパの伝統に根ざしたいわゆる<西欧派>または<折衷派>ではあるが、初期には国民楽派の<5人組>とも交流して国民主義的傾向を示した。外国での生活が多い時期には西欧派的作品が多く、1885年帰国してからは、これらを統合した思索性のあるロシア音楽を確立した。

弦楽四重奏曲と言えば、ベートーヴェンの後期の作品群を思い浮かべます。最期に辿り着いた極みといったイメージです。

そのためかは知らんが、弦楽四重奏曲にはどこかしら、「純朴」と「極致」といった相対するイメージがつきまとうよな。

【追想】旋律線に泥酔する楽譜。

旋律線の動きに心酔します。

「チャイコフスキー 弦楽四重奏曲 作品11」です。
チャイコフスキー 弦楽四重奏曲 作品11 全音楽譜出版社

「チャイコフスキー 弦楽四重奏曲 作品11」(全音楽譜出版社)です。

所有しているチャイコフスキーの楽譜の中で、最も読み込んだ楽譜です。

随所に「呈示」「展開」「再現」「第1主題」「第2主題」「副次的」「経過的」などを書き込んだ形跡が見られ、とても懐かしくなってしまいました。

中でも「第4楽章」に心酔していました。とりわけ副次主題で登場するヴィオラのモチーフがお気に入りでした。(92小節目~)

思い出話はこのぐらいにして。。。

楽譜を見ただけで、「チャイコフスキーでは?」と思えるほど、各声部が同型を奏でる楽句が多く登場しています。良くも悪くもチャイコフスキーならではの音響効果といえるでしょう。

変わったところでは、混合拍子ですね。有名な「第2楽章 アンダンテ・カンタービレ」の主題ですが、2/4と3/4の拍子が組み合わさってできています。聴いているだけでは気づきにくいほど、旋律が自然で流麗だということに気づかされます。

なんいせよ、小難しいことを抜きにして、旋律線の美に泥酔した楽曲です。

チャイコフスキーは、同型の重ね合わせで盛り上げ効果を狙っているようですね。

効果の狙いといった点についてはチャイコフスキーに限ったことではないが、チャイコフスキーほど露骨には扱っていないという程度の認識だな。

【雑想】下手の横好き。(第92弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したチャイコフスキーの「弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調 第4楽章」提示部の抜粋です。

作曲家:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー 作曲年:1871年

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

引き続き、チャイコフスキー編でした。

チャイコフスキーの室内楽は不毛ではあるものの、第1番のようにポピュラリティを得ている作品もあります。

チャイコフスキーの作品は、身構えて対峙する姿勢で聴くという、堅苦しさを強要されないのがポイントです。エンターテイメントやアミューズメントを楽しむ姿勢も大切だと感じます。

次回はチャイコフスキーのピアノ三重奏曲を紹介します。

では、また。

エンターテイメントで、アミューズメントですか。気楽な感じも良いですよね。

他作曲家の作品に触れる場合にもいえるが、何も肩肘張って鑑賞するのがマナーというわけではないからな。楽しんだもの勝ちだよ。