こんにちは。はーねうすです。

今回は、「ムソルグスキー 組曲『展覧会の絵』他」を紹介します。

ムソルグスキーの「展覧会の絵」と言えば、ラヴェルが編曲した管弦楽曲版があまりにも有名ですね。

今回紹介するアルバムは、オリジナルのピアノ版になります。

その外には、ストラヴィンスキーとチャイコフスキーの楽曲が収録されています。

ピアノ演奏は、イェフィム・ブロンフマン氏です。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

ムソルグスキーの楽曲がメインのようですね。ピアノ原曲版のようです。

聴く機会の少ないチャイコフスキーのピアノ曲もあって、貴重なアルバムだな。

【着想】ピアノ・オリジナル版の凄味。

「ムソルグスキー 組曲『展覧会の絵』他」のコンテンツです。

「ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」他」です。
ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」他 レーベル[SONY CLASSICAL」

冒頭でも述べましたが、今回紹介するアルバムに収められたムソルグスキーの「展覧会の絵」は原曲のピアノ版になります。
ラヴェル編曲の管弦楽曲版を聴き馴染んでいる場合は、聴き比べることで、新しい発見があるかもしれませんね。

No.作曲家曲名(1)曲名(2)作品番号
1ストラヴィンスキーペトルーシュカからの3楽章ロシアの踊り
2ストラヴィンスキーペトルーシュカからの3楽章ペトルーシュカの部屋
3ストラヴィンスキーペトルーシュカからの3楽章謝肉祭
4ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」プロムナード
5ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」グノームス
6ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」プロムナード
7ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」古城
8ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」プロムナード
9ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」チェイルリー
10ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」ビドロ
11ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」プロムナード
12ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」殻をつけたひなどりのバレエ
13ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」サムエル・ゴールデンベルグとシュムイレ
14ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」プロムナード
15ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」リモージュ
16ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」カタコンブ (ローマ時代の墓)
17ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」死者の言葉を以って死者と共に
18ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」バーバ・ヤーガの小屋
19ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」キエフの大門
20チャイコフスキードゥムカ (ロシアの農村風景) ハ短調Op.59

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.18」:ムソルグスキー「組曲『展覧会の絵』バーバ・ヤーガの小屋」

曲名からは想像が付かないような、力強さ威勢の良さで突き進むエネルギッシュな楽曲です。

一度耳にすると脳裡に刻まれる、不思議な魅力があります。

中間部の酷く落ち着いた音響は一層不気味で、楽曲が内包する不穏さを醸し出しています。

終幕は、続く「キエフの大門」へ駆け上がるように突っ走ります。

「No.19」:ムソルグスキー「組曲『展覧会の絵』キエフの大門」

組曲を締めくくる、雄大象徴的な楽曲です。

前曲の「バーバ・ヤーガの小屋」から駆け登ってきた到達点のような導入に配置された主題が、とても力強くて雄大さと荘厳さを感じさせます。

間奏的な句を挟んで、主題を変奏して反復する構成も面白いですね。

終盤ではプロムナードの主題も重なり上げて、大いに盛り上げています。

「No.12」:ムソルグスキー「組曲『展覧会の絵』殻をつけたひなどりのバレエ」

お転婆を音にしたかのような、はしゃぐ姿をおとにしたかのような、目まぐるしく動く旋律が印象的な楽曲です。

前打音の装飾で彩られた、とても可愛らしく快活な曲調になっています。

「No.1」:ストラヴィンスキー「ペトルーシュカからの3楽章 ロシアの踊り」

冒頭を聴いただけで、ペトルーシュカだと判断できるほど強烈な個性を持つ楽曲です。

リズミカルで弾んだ感じが堪らない、特徴的な音型と和音の連続が病みつきになります。

「No.4」:ムソルグスキー「組曲『展覧会の絵』プロムナード」

組曲の構造を印象づける、代表的な楽曲です。

混合拍子で構成されたが主題が特徴です。

加えて、記憶に残りやすい旋律と重厚な和音が支配しているので、その後に繰り返し登場する間奏のような扱いの「プロムナード」が、どのように変形しているのかを容易に理解できます。

<おすすめ度★★>

「No.20」:チャイコフスキー「ドゥムカ (ロシアの農村風景) ハ短調」

民俗音楽に材を取り、独自のイマジネーションを組み込んで、センチメンタルな様相に仕上げた楽曲です。

抒情的な線と情熱的な伴奏の組み合わせ、異国情緒的な旋律とリズムが軽妙洒脱で、とても快活な舞曲といった感があります。

「No.9」:ムソルグスキー「組曲『展覧会の絵』チェイルリー」

軽やかに弾んだ、可愛らしい楽曲です。

くるくると回っているような、高音域で繰り返す同型の反復がとても愛らしいです。

「No.7」:ムソルグスキー「組曲『展覧会の絵』古城」

厳かな曲調で纏められた楽曲です。

闇夜に佇む情景を惹起する、夜想曲を連想させる不思議な特徴があります。

「No.13」:ムソルグスキー「組曲『展覧会の絵』サムエル・ゴールデンベルグとシュムイレ」

同音連打の伴奏が印象的な楽曲です。

重厚な伴奏の上に、まるで装飾のように幻想的な旋律が施されているといった様相になっています。

<おすすめ度★>

「No.17」:ムソルグスキー「組曲『展覧会の絵』死者の言葉を以って死者と共に」

静謐な中に、不気味を漂わせた楽曲です。

「No.15」:ムソルグスキー「組曲『展覧会の絵』リモージュ」

軽快で無窮動に走る、威勢のある楽曲です。

「No.2」:ムソルグスキー「組曲『展覧会の絵』グノームス」

不穏でおどろおどろしい雰囲気に包まれた楽曲です。

前曲の「プロムナード」から急転するように登場するので、心底驚かされます。


ピアノ版の「展覧会の絵」については、管弦楽曲版とは一味違った様相です。

ピアノの音色一色なので、より一層和音の扱いに注意が向いてしまいますね。

「ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」他」です。
ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」他 レーベル[SONY CLASSICAL」

ところで、「プロムナード」って何ですか。

「散策」や「遊歩道」といった意味だ。「展覧会の絵」では、作曲家が絵画の間を行ったり来たりしているといったイメージだ。

【観想】インスピレーションの源泉。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

ムソルグスキーの「展覧会の絵」は、文字通り展覧会で鑑賞した絵画を題材に作曲された楽曲です。

ムソルグスキーの親友で、ヴィクトル・アレキサンダー・ハルトマンという芸術家の遺作展覧会が元になっています。

ムソルグスキーは、それらの作品から受けた印象を音楽で再現し、後世に残そうと作曲されたそうです。

残念ながらハルトマンの絵画は、同じ19世紀に活躍した印象派や象徴主義などの絵画に埋もれてしまい、決して有名とは言えません。

ですが、ムソルグスキーの業績により、「音楽」と結びつくことで、他絵画では見受けられない貴重な存在となりました。

音楽家の略歴です。

<略歴> モデスト・ペトロヴィッチ・ムソルグスキー
【露】1839-1881
ロシア国民楽派の<5人組>の一人。パデレフスキを中心としたグループ<5人組>に加わり、国民主義音楽の創造に積極的に取り組んだ。ダルゴムィジスキーの始めた朗唱様式を受け継ぎ、これを発展させて劇的なリアリズム芸術を完成。フランス近代音楽にも多大な影響を残す。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

実際、ハルトマンの作品って知られていないのでしょうか。

ハルトマンの作品自体、散逸してしまっていることが原因かもしれんな。

【追想】インスピレーションの表出。

印象の音符化です。

「ムソルグスキー 展覧会の絵」です。
ムソルグスキー 展覧会の絵 全音音楽出版社

「ムソルグスキー 展覧会の絵」(全音音楽出版社)です。

ムソルグスキーは、標題性のある音楽の作曲に長けた作曲家でした。

「展覧会の絵」については、無論対象となる絵画から受けた印象を幻想化し、音楽化しています。

本書では、各楽曲の解説に合わせて、元となったハルトマンの絵画について触れています。言葉による説明とはいえ、ほぼ目にすることのないハルトマンの絵画を、イメージすることができます。ムソルグスキーのインスピレーションの源泉を、補完していると言えます。

加えて、ラヴェルの管弦楽曲版にも触れています。主要楽曲の楽器の構成や割り当てなどが記載されていて、とても参考になります。

「展覧会の絵」に限って言えば、やはりラヴェル編曲の管弦楽曲版のほうが、華がありますね。

「管弦楽の魔術師」と呼ばれたラヴェルの手腕だな。とりわけ管楽器の扱いが巧みで、より華やかさを増している印象だな。

【雑想】下手の横好き。(第94弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したムソルグスキーの「組曲『展覧会の絵』バーバ・ヤーガの小屋」です。

作曲家:モデスト・ペトロヴィッチ・ムソルグスキー 作曲年:1874年

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

今回は、ムソルグスキー編でした。

ムソルグスキーの作品は、原曲よりも他作曲家が編曲した管弦楽曲版の方がメジャーだという傾向にあります。

例えば、今回紹介した「展覧会の絵」ではラヴェルの編曲、次回紹介する「禿山の一夜」ではリムスキー=コルサコフの編曲が有名です。

原曲が楽譜の形で残っているのであれば、極力原曲を聴きたいものですね。

では、また。

「実は原曲がある」と後になって知る作品も結構ありますよね。

ストラヴィンスキーのように作曲家本人の手によって編曲された場合もあれば、ムソルグスキーのように他作曲家がアレンジしている場合もある。後者の場合、編曲版の方が有名なので「編曲版そのものが原曲」と勘違いしてしまうパターンもあるな。