こんにちは。はーねうすです。

今回は、「ムソルグスキー 交響詩『はげ山の一夜』他」を紹介します。

リムスキー=コルサコフ編曲版の「はげ山の一夜」が収録されたアルバムです。

「他」としては、スメタナの「交響詩『ボヘミアの森と草原より』」とラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」が収められています。

指揮は名匠フェレンツ・フリッチャイ氏です。録音が1950年代、1960年代とかなり古いものですが、とても聴き応えのある内容になっています。

前回に引き続き、ムソルグスキーの楽曲がメインのアルバムのようですね。

同梱のスメタナとラフマニノフの楽曲も、とても秀逸だぞ。

【着想】オーケストレーションの凄味

「ムソルグスキー 交響詩『はげ山の一夜』他」のコンテンツです。

「ムソルグスキー 交響詩「はげ山の一夜」他」です。
ムソルグスキー 交響詩「はげ山の一夜」他 レーベル[Deutsche Grammophon]

「はげ山の一夜」には、ムソルグスキーの原曲版とリムスキー=コルサコフの編曲版があります。一般的には今回紹介するアルバムに収められている後者の方が有名です。また、オーケストレーションとしても後者の方が整理されていると感じられます。

No.作曲家曲名作品番号
1*ムソルグスキー (リムスキー=コルサコフ編曲)交響詩「はげ山の一夜」
2**スメタナ交響詩「ボヘミアの森と草原より」(連作交響詩「わが祖国」より) 
3***ラフマニノフパガニーニの主題による狂詩曲Op.43
*: フェレンツ・フリッチャイ(指揮)、RIAS交響楽団
**: フェレンツ・フリッチャイ(指揮)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
***: マルグリット・ヴェーバー(ピアノ)、フェレンツ・フリッチャイ(指揮)、ベルリン放送交響楽団

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.1」:ムソルグスキー「交響詩『はげ山の一夜』」

眼前に迫る驚異脅威といった現象を音楽にした、緊迫感と緊張感が貫徹する楽曲です。

嵐を音で表現したかのようなオープニングはあまりにも有名です。

管・弦・打の総出で演出されたエネルギーの塊で構成された音響に度肝を抜かれます。

終焉間際に配置された、静寂で優美な曲想との落差が際立っています。

エンディングは消え入るように綴じられ、それまでの轟々とした荒々しさがまるで夢か幻であったかのように締めくくられます。

<おすすめ度★★>

「No.3」:ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」

第18変奏で登場する、あまりにも甘美優雅な曲調が有名な楽曲です。

第18変奏の強烈な存在感のため、その他の変奏が陰に隠れてしまっている感は否めません。

序奏の後に主題が提示された後、間断なく一連で変奏が続く構成になっています。そのため、起伏に富んだ一遍の物語を楽曲にしたような構成になっています。

<おすすめ度★>

「No.2」:スメタナ「交響詩『ボヘミアの森と草原より』」

自然の雄大な広がり、崇高な姿形や迫力といった「在り方」を描いた楽曲です。

中間部に配置された民俗舞踏風の曲調がとても楽しげで素敵です。

また、彼の地の壮絶な歴史を内包してもいるような、ドラマティックな展開も聴き所です。


1950年代と1960年代の録音と言うこともあり、音質には難があるのは否めません。ですが、それ以上にアナログ録音時代の「風味」といった感があり、とても趣深いアルバムになっています。

「ムソルグスキー 交響詩「はげ山の一夜」他」です。
ムソルグスキー 交響詩「はげ山の一夜」他 レーベル[Deutsche Grammophon]

「はげ山の一夜」ですが、情景描写が飛び抜けて上手、といった印象です。

ムソルグスキーは、情景や心象を描写することに長けた作曲家だからだろう。

【観想】オーケストレーションの不思議。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

「交響詩『はげ禿山の一夜』」には、ムソルグスキーの原曲版リムスキー=コルサコフの編曲版が存在します。

一般的には後者の方がメジャーです。

当ブログ「幻想魔神 ハチャトゥリアン ~ダークヒーロー風クラシック名曲集」で紹介したアルバムには、ムソルグスキーの原曲版が収録されています。

明らかな違いの一つとしては構成の面で、エンディングの扱いが違います。リムスキー=コルサコフ版にはエンディングとして静寂な展開が設けられています。

そして、オーケストレーションの違いです。短絡的で俗っぽい表現ですが、リムスキー=コルサコフの編曲版のほうが派手です。管楽器の扱いで大きく違いが出ているような印象です。

ムソルグスキーの作品としては、「展覧会の絵」の管弦楽曲版にも違いがあります。しかも多数あります。

有名な所では、ラヴェル版とストコフスキー版ですね。

「展覧会の絵」を一躍有名にしたのは、やはりラヴェル版ですね。「管弦楽の魔術師」の手腕が見事に功を奏しています。

指揮者として活躍していたストコフスキーの編曲版も有名です。ラヴェル版に比べ、とても落ち着いた雰囲気が漂っています。

ムソルグスキーの楽曲には、オーケストレーションを施したくなるような、不思議な魅力が詰まっているのだろうと思わずにはいられません。どこか「未完成」っぽいところが他芸術家を惹き付けているのだと想像できそうです。

音楽家の略歴です。

<略歴> モデスト・ペトロヴィッチ・ムソルグスキー
【露】1839-1881
ロシア国民楽派の<5人組>の一人。パデレフスキを中心としたグループ<5人組>に加わり、国民主義音楽の創造に積極的に取り組んだ。ダルゴムィジスキーの始めた朗唱様式を受け継ぎ、これを発展させて劇的なリアリズム芸術を完成。フランス近代音楽にも多大な影響を残す。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

いろんな方がムソルグスキーの楽曲を編曲しているみたいですね。

管弦楽への編曲だけでなく、原典の見直しや改編なども行われているぞ。ムソルグスキーの楽曲には「未完成」の魅力があるのかもしれんな。

【追想】映像と親和性。

ディズニー映画の金字塔です。

「Walt Disney CLASSICS ファンタジア」です。
Walt Disney CLASSICS ファンタジア Disney DVD ©Disney

ディズニー映画「ファンタジア」(©Disney)です。クラシック音楽に映像を付けるというウォルト・ディズニーの構想を実現したアニメーション映画です。

当ブログ「魔法革命 プロコフィエフ ~ヒロイン風クラシック名曲集」でも紹介させていただきました。

今回紹介したアルバムの「はが山の一夜」がアニメーション映画として収録されています。

「はげ山の一夜」そのものがロシアの民話などを下敷きにして構想された楽曲であるため、物語的な要素が多分に含まれています。そのため、ある種の映像的なイメージがあります。

ディズニー映画は、その「映像的なイメージ」をアニメーションという手法で具現化したといって良いでしょう。

ディズニー映画としては珍しい「ダーク・ファンタジー」の色が濃厚で、それだけでも貴重なアニメーションとなっています。

映像と組み合わせてクラシック音楽を楽しむのも一興ですね。

ダーク・ファンタジーですか。ディズニー映画としては珍しいジャンルなのでしょうか。

ファンタジアが発表される以前は、陽気で明るい作品が多かったためだろうな。

【雑想】下手の横好き。(第95弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

DAW(Digital Audio Workstation)でクラシック音楽を打ち込んだDTM(DeskTop Music)の作品を制作しています。

DAWで音楽を制作するDTMの楽しさが伝わればと思います。

下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

引き続き、ムソルグスキー編でした。

一度聴くと脳裏にこびり付くような、とてもパンチの効いた楽曲でしたね。

リムスキー=コルサコフ編曲版の構成、とりわけエンディングの扱いに魅了されます。ムソルグスキーの原曲版にはない、とても素敵な演出でした。

加えて、アナログ盤の音質です。とても味わい深く堪能できました。

今回でムソルグスキー編は一旦終了です。「展覧会の絵」の管弦楽曲版などがありますが、そちらについては、一連のカラヤン・シリーズで紹介する予定です。

次回は、変則回です。

では、また。

アナログ盤の音質も、一味あって良いですよね。

勝手な思い込みかもしれんが、ちょっと雑な感じがライブ感のようで良いよな。