こんにちは。はーねうすです。
今回は、「ラフマニノフ 交響曲全集」を紹介します。当ブログのサブテーマでもある「全集」を初めて取り上げます。「全集」と聞くだけで興奮しますね。
・CD2枚組のボリュームになります。
指揮は、ウラディミール・アシュケナージ氏です。以前に紹介したアルバムは、ピアニストとしてでしたが、今回はコンダクターとしてなので、異なる一面が楽しめます。
またまたラフマニノフですが、ピアノ音楽からは離れましたね。
交響曲だな。クラシック音楽の形式で、頂点のひとつだな。
目次
【着想】浪漫と魅惑。
「ラフマニノフ 交響曲全集」のコンテンツです。
ラフマニノフの交響曲すべてが納められていますので、これだけでお腹が一杯になります。長大な管弦楽曲の随所に、ラフマニノフ節である魅惑的な旋律が鏤められています。
CD1
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | 交響曲 第1番 ニ短調 | 第1楽章:グラーヴェ – アレグロ・マ・ノン・トロッポ | Op.13 |
2 | 交響曲 第1番 ニ短調 | 第2楽章:アレグロ・マニアート | Op.13 |
3 | 交響曲 第1番 ニ短調 | 第3楽章:ラルゲット | Op.13 |
4 | 交響曲 第1番 ニ短調 | 第4楽章:アレグロ・コン・フォーコ | Op.13 |
5 | 交響曲 第2番 ホ短調 | 第1楽章:ラルゴ – アレグロ・モデラート | Op.27 |
6 | 交響曲 第2番 ホ短調 | 第2楽章:アレグロ・モルト | Op.27 |
CD2
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | 交響曲 第2番 ホ短調 | 第3楽章:アダージョ | Op.27 |
2 | 交響曲 第2番 ホ短調 | 第4楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ | Op.27 |
3 | 交響曲 第3番 イ短調 | 第1楽章:レント – アレグロ・モデラート | Op.44 |
4 | 交響曲 第3番 イ短調 | 第2楽章:アダージョ・マ・ノン・トロッポ | Op.44 |
5 | 交響曲 第3番 イ短調 | 第3楽章:アレグロ | Op.44 |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「CD2_No.1」:「交響曲 第2番 第3楽章」
「ラフマニノフと言えばコレ」と想起される方もいらっしゃると思います。とにかく甘美で、ひたすらにロマンティックです。この流麗な音響の海にいつまでも溺れていたいです。
ライナーノーツ(小石忠男氏著)では、「ラフマニノフの書いたもっとも魅惑的な音楽の一つ」と評しています。
とくに「交響曲 第2番」は構成や動機(モチーフ)の扱いが素敵です。「CD1_No.5」の「交響曲 第2番 第1楽章」で提示されるモチーフが全体をまとめていますね。そのため、全楽章を通して聴くのが醍醐味である「交響曲鑑賞」の格好の楽曲になりますね。
<おすすめ度★★>
「CD1_No.6」:「交響曲 第2番 第2楽章」
豪胆と繊細の対比が面白いです。とりわけ次に続く「第3楽章」とのコントラストが面白いです。
<おすすめ度★>
「CD2_No.4」:「交響曲 第3番 第2楽章」
まるで、チャイコフスキーの「バレエ組曲」のような物語性を匂わせる造形になっています。ヴァイオリンやフルートがソロで歌い上げるテーマが印象的ですね。
交響曲でもラフマニノフ節は健在ですね。うっとりします。
曲想だけでなく、管弦楽の扱いも優れているので聴き惚れるんだな。
【観想】初期と晩年。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
この「全集」の魅力は、ラフマニノフの初期から晩年を特徴付ける、ある種のターニングポイントになる曲を一堂に聴くことができることですね。
初演の酷評により、挫折を味わい失意に陥る「交響曲 第1番」。復活後、喝采を持って迎え入れられた「交響曲 第2番」。亡命後、寡作となった時期に書き上げられた円熟の「交響曲 第3番」。ラフマニノフの生涯を追体験したかのような錯覚に陥ります。
「交響曲 第1番」はどこか「交響曲作曲家」にステップアップする使命感のような覇気を感じます。
「交響曲 第2番」は本領といって過言ではないでしょう。ライナーノーツ(小石忠男氏著)では、「ラフマニノフの本質である抒情が、叙事詩的な壮大さの底流となって聴き手を感動させずにはおかない。」と評しています。
そして「交響曲 第3番」は、望郷の念を端緒に描かれた感傷性に魅力があります。ライナーノーツ(小石忠男氏著)では、「円熟した手法と作品に投影されたスラヴ的な魂の告白は、ラフマニノフのロシア人としての感情を、もっともよく表現したもの」と評しています。
「全集」っていいですよね。
音楽家の略歴です。
<略歴> セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ 【露】1873-1943 チャイコフスキーの影響を強くうけたモスクワ学派の様式を守り、ピアノ曲を中心にしたあらゆる分野の作品を残す。ロシア革命でスイスに亡命、その後はもっぱらピアノ・ヴィルトゥオーソとしてヨーロッパ、アメリカで活躍。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
ラフマニノフの生涯を追体験ですか。確かにこのアルバムにはその趣がありますね。
幾分大仰だが、言い得て妙だな。全集の魅力のひとつだよ。
【追想】旋律の感傷。
イーハトーヴ交響曲に出てきます。
ラフマニノフの音楽の魅力は、その旋律美の魅惑性にあります。「CD2_No.1」の「交響曲 第2番 第3楽章」は、「通俗的」と言われる批評も気にならないほど素敵です。
エリック・カルメン(Eric Carmen)氏の「Never Gonna Fallin Love Again」に、その主題が取り入れられていたので、その旋律の影響力と人気は絶大と言えるでしょう。
で、冨田勲氏の「イーハトーヴ交響曲」(初音ミク歌唱 大友直人指揮 日本フィルハーモニー交響楽団)です。冨田勲×宮沢賢治×初音ミクという時代を超越した凄まじいコラボレーションです。
その中の「銀河鉄道の夜」の楽章に、ラフマニノフの「交響曲 第2番 第3楽章」のテーマが登場します。扱われ方がとてもオシャレで切なく、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のファンなら、車両の窓越しに覗くジョバンニとカンパネルラの姿を思い浮かべるかもしれません。いつかこのアルバムも紹介したいと思います。
いきなりの変化球でしょうか。ラフマニノフ繋がりという…。
言わずもがなだな。ただ、曲想や技術の新旧を織り交ぜて創作されるのも、クラシック音楽の一端ではあるぞ。
【雑想】下手の横好き。(第14弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
DAW(Digital Audio Workstation)でクラシック音楽を打ち込んだDTM(DeskTop Music)の作品を制作しています。
DAWで音楽を制作するDTMの楽しさが伝わればと思います。
下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
雑談です。
セネカの「生の短さについて」(大西英文[訳] 岩波文庫)を漸く書店で見つけました。「岩波とハヤカワは電子書籍ではなく紙で所有する」というマイルールがあるので、嬉しかったですね。「ネットで購入すれば?」という対案は最終手段にしています。書店巡りも目的のひとつになっていますので、そこは譲れませんね。何にせよ、長く続けたい趣味のひとつです。
長く続く趣味を持ちたいです。
引き続き、ラフマニノフ編でした。
ピアノ曲から漸く離れた、といったところでしょうか。
ラフマニノフの管弦楽の魅力を詰め込んだ「交響曲全集」です。とりわけ「第2番 第3楽章」は殊更有名です。
交響曲はどれもが素敵です。その蠱惑的な音響の美に溺れて、今夜も眠りましょう。
では、また。
ラフマニノフの交響曲といえば、やはり第2番の第3楽章が有名というイメージになりますよね。
「それ以外にも素敵な管弦楽曲があるぞ」という、レッテルを払拭するようなアルバムだったな。