こんにちは。はーねうすです。

今回は、「スクリャービン ピアノ協奏曲、プロメテ,火の詩、他」を紹介します。

ロマン主義の色香が強い「ピアノ協奏曲」と前衛音楽の中でも異色感が強い「プロメテウス-火の詩」がメインに据えられています。

その他として、ピアノ独奏曲である「前奏曲」と「ピアノ・ソナタ」を管弦楽曲に編曲された楽曲も収録されています。

ピアノ演奏は、コンスタンティン・シチェルバコフ氏です。

アルバムの原題は、「SCRIABIN Piano Concerto・Rrometheus, The Poem of Fire」です。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

メインは、ピアノ協奏曲とプロメテウスのようですね。

スクリャービンの数少ない管弦楽曲を収めたアルバムと言えるな。

【着想】初期と後期の対比。

「スクリャービン ピアノ協奏曲、プロメテ,火の詩、他」のコンテンツです。

「スクリャービン ピアノ協奏曲、プロメテウス-火の詩、他」です。
スクリャービン ピアノ協奏曲、プロメテウス-火の詩、他 レーベル[NAXOS]

スクリャービンにとっては寡作である管弦楽を伴う楽曲が2曲収められています。1つは初期に創作された楽曲で、ロマン主義の色合いが濃いです。もう1つは後期に創作された楽曲で、前衛音楽の中でも飛び抜けて異彩を放つ楽曲です。
初期と後期の対比が面白い構造となっているアルバムです。

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1*Piano Concerto in F sharp minorAllegroOp.20
2*Piano Concerto in F sharp minorAndanteOp.20
3*Piano Concerto in F sharp minorAllegro moderatoOp.20
4**Prometheus, The Poem of FireOp.60
5***Prelude in A flat major, Op.11 No.17Op.11
6***Prelude in C sharp minor, Op.11 No.10Op.11
7***Prelude in B minor, Op.11 No.6Op.11
8***Prelude in D flat major, Op.11 No.15Op.11
9***Fragilité, Op.51 No.1Op.51
10***Marche funebre from Sonata No.1 Op.6Op.6
*: Konstantin Scherbakov (ピアノ)、Igor Golovschin (指揮)、Moscow Symphony Orchestra
**: Russian State TV and Radio Choir (合唱)、Ludmila Ermakova (ディレクター)、Konstantin Scherbakov (ピアノ)、Igor Golovschin (指揮)、Moscow Symphony Orchestra
***: Vasily Rogal-Levitsky (管弦楽編曲)、Igor Golovschin (指揮)、Moscow Symphony Orchestra

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.4」:「Prometheus, The Poem of Fire」

音と光の融合を図ったとされる、壮大でスペクタクルな交響楽です。
位置づけは「交響曲 第5番」ですが、スクリャービン自身は「交響曲」と明示しなかったようですね。

表現主義フォオービズムを掛け合わせたかのような、神聖さと野性味が混在した楽曲です。

幻惑的で謎めいたカオスな音響を奏でる管弦楽の中を、暗中を模索するかのように線を描くピアノは、まるで奥深い森を彷徨っているかのようです。

アルバムでは音声しか認識できませんが、それでも光と闇の明暗が演出された世界観が十二分に伝わってきます。

ドラマティックな展開が華々しく、結尾付近では合唱も加わり、より壮大で神々しさが増していきます。

「No.9」:「Fragilité, Op.51 No.1」

印象主義的な音響に魅了される楽曲です。

朧気で儚げな線で描かれる弦楽の上で、淡々とした音型を繰り返す管楽の組み合わせがユニークです。

終端ではチェレスタも加わり、より幻想性が増します。

原曲は、「4つの小品 作品番号51」の第1曲「たよりなさ」です。

<おすすめ度★★>

「No.1」~「No.3」:「Piano Concerto in F sharp minor」

第1楽章:

抒情性に富んだ線で描かれる旋律がとても美しい楽曲です。

沈鬱で悲愴感が漂う第1主題、装飾的で広がりのある軽やかな第2主題の組み合わせが特徴です。

ピアノの技巧性は抑制されていて、管弦楽を支える役割にあるような感があります。

第2楽章

静謐幻想的な音響を醸し出す楽曲です。

荘厳な雰囲気の管弦楽の中、柔らかな線で紡がれるピアノの装飾的な音型が美しい主要主題が印象的です。

中間部ではピアノが主軸となり、力強く歌う副次主題として構成されています。

第3楽章

ロマン主義の色香が濃密な楽曲です。

ピアノによる技巧的なパッセージや、主題を強調するような歌い上げなど、前楽章に比して「ピアノ協奏曲」という形式の色合いが強いです。

ピアノが躍動する展開と、昂揚感のある管弦楽の動線の組み合わせが感動的な楽曲です。

「No.7」:「Prelude in B minor, Op.11 No.6」

ドラマティックで昂揚感のある楽曲です。

まるで物語の山場を迎えたかのような演出が、とても感動的な仕上がりになっています。

原曲は、「24の前奏曲 作品番号11」の「第6曲 ロ短調」です。

「No.8」:「Prelude in D flat major, Op.11 No.15」

バラードのような、物語的な展開を期待させる楽曲です。

弦楽による穏やかな導入と、管楽で歌われる美しい旋律が特徴です。

原曲は、「24の前奏曲 作品番号11」の「第15曲 変ニ長調」です。

<おすすめ度★>

「No.10」:「Marche funebre from Sonata No.1 Op.6」

原曲では「葬送行進曲」と題されていますが、管弦楽の編曲版になると「レクイエム(鎮魂歌)」の様相に様変わりした感があります。

ずっしりとした鈍重な哀しみ表現したかのような旋律と低音部の動き、添えられた太鼓の律動が印象的です。

原曲は、「ピアノ・ソナタ 第1番 作品番号6」の「第4楽章 葬送行進曲」です。

「No.5」:「Prelude in A flat major, Op.11 No.17」

穏やかに奏でられる、上品なワルツのような楽曲です。

原曲は、「24の前奏曲 作品番号11」の「第17曲 変イ長調」です。

「No.6」:「Prelude in C sharp minor, Op.11 No.10」

緩急、強弱といった抑揚のメリハリが効いた楽曲です。

原曲は、「24の前奏曲 作品番号11」の「第10曲 嬰ハ短調」です。


スクリャービンの数少ない管弦楽曲を堪能できるアルバムです。また、作風の変貌っぷりを堪能できる内容でもあります。

寡作な管弦楽を補うかのように、管弦楽曲に編曲された楽曲も、ユニークで魅力的な内容となっています。

「スクリャービン ピアノ協奏曲、プロメテウス-火の詩、他」です。
スクリャービン ピアノ協奏曲、プロメテウス-火の詩、他 レーベル[NAXOS]

スクリャービンの管弦楽曲って、そんなに少ないのですか。

知られているのは全部で8曲だな。交響曲が5曲、管弦楽曲が2曲、ピアノ協奏曲が1曲、だぞ。

【観想】音と色の総合芸術。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

「プロメテウス – 火の詩」は、音と光の融合を目論んだ一大スペクタクルな楽曲です。

「交響曲 第5番」として扱われていますが、あくまで通称のようでスクリャービン自身は明示していません。

文明の端緒として語られる、ギリシャ神話のプロメテウスの行いが題材となっています。

そのためか、より一層「光(色彩)」の演出を強調したい作品なのかもしれません。

楽器編成も異彩を放っています。

ピアノ、コーラス、オーケストラ、色彩鍵盤。

「色彩鍵盤?」となりますね。鍵盤の操作によって色彩を放つ装置と言われています。

アルバムでは音声しか認識できませんが、機会があれば是非ご覧いただきたいです。(ブログ管理者はその昔テレビで鑑賞しました。ぶっ飛んだ内容に驚愕した記憶があります。)

音と光(色彩)との融合によって完成する「総合芸術」を目指した作品と言えるでしょう。

音楽家の略歴です。

アレキサンドル・エコラエヴィチ・スクリャービン
【露】1872-1915
初期はショパン風のピアノ曲を作曲。にちにリスト、ワーグナーの影響により新しい和音の探求に進む。神智学に心酔して、自己の芸術を神秘主義的思想に結びつけ、神秘和音、音と色彩の合一など20世紀音楽で展開される大胆な試みの先駆けをなした。内面世界の自由な表現として、詩曲と名づけた独特のジャンルの創造は注目される。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

総合芸術ですか。音楽や映像をまとめた芸術とったところですか。

一般的には、歌劇や映画が総合芸術といわれているな。映像や音声など視覚や聴覚に訴えかける作品群だな。後は、建築も総合芸術として認識される場合があるぞ。

【追想】原曲と編曲の対比。

お色直しのような新鮮さが味わえます。

「スクリアビン ピアノ曲集 第四巻・前奏曲集」です。
スクリアビン ピアノ曲集 第四巻・前奏曲集 全音楽譜出版社
「スクリアビン ピアノ曲集 第二巻 ソナタ集・上巻」です。
スクリアビン ピアノ曲集 第二巻 ソナタ集・上巻 全音楽譜出版社

「スクリアビン ピアノ曲集 第四巻・前奏曲集」(全音楽譜出版社)と「スクリアビン ピアノ曲集 第二巻 ソナタ集・上巻」(全音楽譜出版社)です。

今回紹介したアルバムには、Vasily Rogal-Levitsky氏によって管弦楽に編曲された「前奏曲」、「小品」と「ピアノ・ソナタ」が収録されていました。

内訳は、「24の前奏曲 作品番号11」の「第6曲」「第10曲」「第15曲」「第17曲」、「4つの小品 作品番号51」の「第1曲」、「ピアノ・ソナタ 第1番 作品番号6」の「第4楽章」です。

とりわけ、「前奏曲」の「第6曲」と「第15曲」、「4つの小品」の「第1曲」、「ピアノ・ソナタ」の「第4楽章」は、必聴です。

管弦楽編曲の醍醐味は、原曲の各声部を割り当てる「楽器の編成」にあります。

とりわけ独奏楽器の管弦楽曲は、編曲家のイマジネーションが光ります。

上述した4曲は原曲とは別個に、スクリャービンのオリジナル作品として存在していたかのように錯覚するほど新鮮です。

原曲の骨格を残しつつ、新たな装いを施す編曲家の手腕に感服します。

編曲家の秘技を探るという意味合いも込めて、管弦楽編曲版を聴きながら原曲の譜面を追うのも一興です。

原曲をアレンジするのを編曲と呼ぶのでしょうか。

必ずしもそうとは限らないぞ。ボーカル・パートの旋律を元に、バンド・スコアなどに落とし込んだり、前奏・間奏・後奏を加えて肉付けしたりすることなども編曲と呼ぶぞ。

【雑想】下手の横好き。(第104弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★>として紹介したスクリャービンの「24の前奏曲 作品11 第6曲 ロ短調」です。

作曲家:アレクサンドル・ニコラエヴィチ・スクリャービン 作曲年:1888-1896

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

引き続き、スクリャービン編でした。

スクリャービンの数少ない管弦楽曲を堪能できるアルバムでした。

特徴としては、初期の「ピアノ協奏曲」と後期の「プロメテウス – 火の詩」という時期を違えた作風の対比にあります。

変貌という枠に収まりきらないような変わりっぷりに驚かされます。

加えて、ピアノ独奏曲の管弦楽編曲ですね。原曲との音色の違いを堪能できました。

次回はスクリャービンの「交響曲集」を紹介します。

では、また。

管弦楽曲の数が少ないことをこれだけアピールされると、残りも聴きたくなりますね。

残りは、6曲だな。その中でも交響曲は演奏される機会も多く、アルバムも多数リリースされているぞ。