こんにちは。はーねうすです。

今回は、「チェロ・ソナタ イ長調 & フォーレ:チェロとピアノのための音楽」を紹介します。

フランクとフォーレの原曲を、チェロとピアノ用に編曲した楽曲が収められたアルバムです。

チェロとピアノ用が原曲の楽曲も収められているので、編曲作品一辺倒ではないコンピレーション・アルバムになっています。

チェロとピアノの調和、掛け合いがとても楽しい1枚になっています。

演奏は、チェロがエミール・クライン氏、ピアノがゾーリン・メリンテ氏です。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

フランクとフォーレのアルバムですね。

19世紀から20世紀初頭のフランスを代表する作曲家だな。

【着想】高雅な室内楽曲集。

「フランク:チェロ・ソナタ イ長調 & フォーレ:チェロとピアノのための音楽」のコンテンツです。

「フランク:チェロ・ソナタ イ長調 & フォーレ:チェロとピアノのための音楽」です。
フランク:チェロ・ソナタ イ長調 & フォーレ:チェロとピアノのための音楽 レーベル[ARTE NOVA CLASSICS]

ヴァイオリン曲や歌曲を、チェロとピアノ用に編曲した楽曲が収められたアルバムです。また、チェロとピアノ用がオリジナルの楽曲もあるため、ちょっと入り組んだ内容になっています。

No.作曲家曲名(1)曲名(2)作品番号
1フランクチェロ・ソナタ イ長調
(原曲:ヴァイオリン・ソナタ イ長調)
I. Allegretto
2フランクチェロ・ソナタ イ長調
(原曲:ヴァイオリン・ソナタ イ長調)
II. Allegro
3フランクチェロ・ソナタ イ長調
(原曲:ヴァイオリン・ソナタ イ長調)
III. Ben moderato
4フランクチェロ・ソナタ イ長調
(原曲:ヴァイオリン・ソナタ イ長調)
IV. Allegretto poco mosso
5フォーレ夢のあとにOp.7-1
6フォーレエレジーOp.24
7フォーレ哀歌
8フォーレセレナードOp.98
9フォーレ蝶々Op.77
10フォーレシシリエンヌOp.78
11フォーレ糸を紡ぐ女Op.80

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.10」:フォーレ「シシリエンヌ」

キャッチポピュラリティのある旋律が上質にコーティングされた、高雅な楽曲です。

フォーレの楽曲の中でも屈指の有名曲でしょう。

伸びのあるチェロの線で描かれる旋律と、幅の広い分散和音や律動感のある和音で支えるピアノという組み合わせは、二重奏の典型でありながらこの楽曲の個性にもなっています。

結尾前に登場するピアノによって奏でられる不思議な曲想も素敵です。

余談ですが、京都アニメーション制作のアニメ「氷菓」(原作:澤穂信氏[著])の劇中曲として印象深く流れていました。

<おすすめ度★★>

「No.1」~「No.4」:フランク「チェロ・ソナタ イ長調 (原曲:ヴァイオリン・ソナタ イ長調)」

第1楽章:

厳かな雰囲気の中で奏でられる、起伏の穏やかな旋律が魅力の楽曲です。

チェロ主導で奏でられる甘い旋律の主題を、ピアノが程よく追従します。

第2楽章:

荒ぶるような激情を持った楽曲です。

大きなうねりを描くピアノと、熱のある歌を歌い上げるチェロで構成された主要主題に引き込まれます。

一転して落ち着き払ったかのように展開される、瞑想のような副次的な主題も印象的です。

第3楽章:

物悲しい哀歌を想起させる楽曲です。

ジプシー音楽のような旋律を奏でるチェロと、幻想的な音響を構築するピアノとの組み合わせが印象的です。

第4楽章:

希望を持って漸進するという、力強さを感じられる楽曲です。

繰り返し登場するモチーフには、見定めた目標に突き進むような心情が載っているように感じます。

「No.5」:フォーレ「夢のあとに」

物憂げ抒情的な旋律が魅力の楽曲です。

淡々としたピアノの伴奏に載せた、チェロで歌われる哀愁感のある旋律が素敵です。

まるで夢と現の間で微睡んでいるようです。

「No.6」:フォーレ「エレジー」

感傷的な旋律で描かれる、切ない情趣に溢れた楽曲です。

徐々に高揚して感情を昂ぶらせる、劇性を伴った展開が素敵です。

中間部に登場する、ピアノで提示される淡い旋律の主題も素晴らしいです。

「No.11」:「糸を紡ぐ女」

一定の情景を描写したかのような、単調な展開魅惑的楽曲です。

同じ音型を執拗に繰り返すチェロと、スタッカート気味に淡々と奏でるピアノとの組み合わせがユニークです。

<おすすめ度★>

「No.7」:フォーレ「哀歌」

物悲しい旋律で歌われる、センチメンタルな楽曲です。

「No.8」:フォーレ「セレナード」

曲名とは裏腹に、熱量の高いドラマティックな楽曲です。

「No.9」:「蝶々」

状態の描写がユニークな楽曲です。

細かく刻むチェロのフレージングで表現した蝶の羽ばたきですが、どう聴いても蜂のように感じてしまいます。


フランクとフォーレがともに室内楽の名作曲家でありました。

そのためか、チェロとピアノ用に編曲された楽曲は、その外の室内楽曲と遜色のない仕上がりになっていますね。

「フランク:チェロ・ソナタ イ長調 & フォーレ:チェロとピアノのための音楽」です。
フランク:チェロ・ソナタ イ長調 & フォーレ:チェロとピアノのための音楽 レーベル[ARTE NOVA CLASSICS]

高純度な室内楽、といった感じのアルバムですね。

オリジナルも含めて、多声部的で室内楽の特徴を捉えた楽曲が多いことも起因しているだろうな。

【観想】典雅な編曲集。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

今回紹介したアルバムは、原曲をチェロとピアノ用に編曲した楽曲が収められています。

加えて、チェロとピアノ用がオリジナルである楽曲も含まれていて、とてもユニークです。

「No.1」から「No.4」のフランクの「チェロ・ソナタ」は、元はヴァイオリン・ソナタです。

フォーレの「No.5 夢のあとに」と「No.7 哀歌」は歌曲で、「No.11 糸を紡ぐ女」は劇音楽中の1曲です。

後は、チェロとピアノ用がオリジナルですね。

編曲という観点で面白いのは、「No.10 シシリエンヌ」「No.11 糸を紡ぐ女」ですね。

どちらもフォーレの劇音楽「ペレアスとメリザント」が関係しています。

前者は、劇中曲として取り込まれています。フルートが奏でる主要主題があまりにも有名です。

後者は、前者とは逆に劇中から独立した楽曲としてチェロとピアノ用に編曲されています。原曲ではオーボエが主旋律を奏でています。

楽器編成の変更や他作品からの転用など、一概に編曲と言っても色んなパターンがあって面白いですよね。

音楽家の略歴です。

セザール=オーギュスト=ジャン=ギヨーム=ユベール・フランク
【ベルギー→仏】1822-1890
1858年より終生パリのサント・クロティルド教会のオルガニストを務めた。1872年よりパリ音楽院のオルガン教授として、ダンディ、ショーソン、デュパルクらを育成、彼の音楽性と人格に傾倒する、いわゆるフランク党が形成された。1871年の国民音楽協会の結成に参画。大バッハをはじめとするドイツ音楽の影響を受けて、深い精神性のあるフランス音楽を創造したが、その真価が認められたのは1880年代になってからである。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

ガブリエル・ユルバン・フォーレ
【仏】1845-1924
ベルリオーズ、ワーグナーの強い影響下にフランス音楽の復興を志していたサン=サーンスから多くの感化を受ける。1871年設立の国民音楽協会に参画。パリのマドレーヌ協会のオルガニスト、パリ音楽院教授・同院長等を歴任。1909年には独立音楽協会を結成するなど、フランス近代音楽成立の準備段階としての純音楽の発展に貢献。歌曲、ピアノ曲、室内楽曲に傑作を残した。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

「ペレアスとメリザント」はフォーレを代表する楽曲ですよね。

「ペレアスとメリザント」の劇中曲として登場する「シシリエンヌ」のほうが、オリジナルよりも広く浸透しているぞ。

【追想】優雅なピアノ曲集。

曲想がユニークに洗練された五線譜です。

「フォーレ ピアノ小品集」です。
フォーレ ピアノ小品集 全音楽譜出版社

「フォーレ ピアノ小品集」(全音楽譜出版社)です。

今回紹介したアルバムの中では、「No.10 シシリエンヌ」がピアノ独奏用で収録されています。

曲想指定がユニークです。

とくに繰り返し登場する主要主題に付された指定が良いですね。

初回は「遠いほのかな哀愁」、2回目は「すぎ去りし思い出」、3回目は「なつかしき思い出よ」となっています。

他の楽曲に目を向けると、「ベルスーズ」(『組曲 ドリー 第一』より)にある「そよ風がふいてほほえむように」が可愛いですね。

その他の楽曲は「やさしく」や「自由に」といった一般的な曲想指定が多いです。

音楽の発想記号や曲想指定に明るくないので、上記のような表記が一般的なのかが分かりません。

今後楽譜を読む際は、曲想指定の表記にも着目します。

具体的すぎる曲想指定ですね。なかなかにユニークです。

ユニークな曲想指定と言えばサティだな。風変わりな物からシニカルでアイロニーに満ちたものまで種類が豊富だぞ。

【雑想】下手の横好き。(第106弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したフォーレの「シシリエンヌ」のピアノ独奏版です。

作曲家:ガブリエル・ユルバン・フォーレ 作曲年:1898

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

今回は、フランクとフォーレのアレンジ・アルバムの紹介でした。

「フォーレの室内楽を聴きたい」という本命で購入したアルバムでしたが、フランクの楽曲にも触れることができたアルバムでした。(しかも ¥880という素晴らしいプライス)

結果としては、フランス発の室内楽曲を知る切っ掛けと興味へ推移していきました。

廉価なコンピレーション・アルバムの良いポイントですね。

次回は、フォーレのピアノ作品集を紹介する予定です。

では、また。

かなりのお手頃価格なアルバムですよね。

作曲家の著作権が切れているためだろうな。それに応じた価格帯と言えるな。