こんにちは。はーねうすです。

今回は、「オルフ:カルミナ・ブラーナ」を紹介します。

冒頭の「おお、運の女神よ」があまりにも有名な楽曲ですね。

また、20世紀に創作されたカンタータという点や、その誕生秘話もユニークな楽曲です。

指揮はジェイムズ・レヴァイン氏、演奏はシカゴ交響楽団です。

声楽は、ジューン・アンダーソン氏(ソプラノ)、フィリップ・クリーチ氏(テノール)、ベルント・ヴァイクル氏(バリトン)です。

合唱は、シカゴ交響合唱団 (指揮:マーガレット・ヒリス氏)、グレン・エリン児童合唱団(指揮:ドレーン・ラオ氏)です。

カルミナ・ブラーナですね。「おお、運の女神よ」のインパクトが強烈に印象づけられる楽曲ですね。

その外にも魅力的な楽曲があるので、全編を通して聴くのもお勧めだぞ。

【着想】舞台形式のカンタータ

「オルフ:カルミナ・ブラーナ」のコンテンツです。

「オルフ:カルミナ・ブラーナ」です。
オルフ:カルミナ・ブラーナ レーベル[Deutsche Grammophon]

声楽を中心とした楽曲なので、歌詞の内容も含め情報量が多いのが特徴です。歌詞も付属されていますので、詩を眺めながら鑑賞するのも一興です。

No.曲名(1)曲名(2)曲名(3)作品番号
1カルミナ・ブラーナ運の女神、全世界の支配者なる1. おお、運の女神よ
2カルミナ・ブラーナ運の女神、全世界の支配者なる2. 運の女神の痛手を
3カルミナ・ブラーナ第1部:初春に3. 春の楽しい面ざしが
4カルミナ・ブラーナ第1部:初春に4. 万物を太陽は整えおさめる
5カルミナ・ブラーナ第1部:初春に5. 見よ、今や楽しい
6カルミナ・ブラーナ芝生の上で6. おどり
7カルミナ・ブラーナ芝生の上で7. 森は花さき繁る
8カルミナ・ブラーナ芝生の上で8. 小間物屋さん、色紅を下さい
9カルミナ・ブラーナ芝生の上で9. 円舞曲
10カルミナ・ブラーナ芝生の上で10. たとえこの世界がみな
11カルミナ・ブラーナ第2部:酒場で11. 胸のうちは、抑えようもない
12カルミナ・ブラーナ第2部:酒場で12. むかしは湖に住まっていた
13カルミナ・ブラーナ第2部:酒場で13. わしは院長さまだぞ
14カルミナ・ブラーナ第2部:酒場で14. 酒場に私が居るときにゃ
15カルミナ・ブラーナ第3部:愛の誘い15. 愛神はどこもかしこも飛び廻る
16カルミナ・ブラーナ第3部:愛の誘い16. 昼間も夜も、何もかもが
17カルミナ・ブラーナ第3部:愛の誘い17. 少女が立っていた
18カルミナ・ブラーナ第3部:愛の誘い18. 私の胸をめぐっては
19カルミナ・ブラーナ第3部:愛の誘い19. もし若者が乙女と一緒に
20カルミナ・ブラーナ第3部:愛の誘い20. おいで、おいで、さあ来ておくれ
21カルミナ・ブラーナ第3部:愛の誘い21. 天秤棒に心をかけて
22カルミナ・ブラーナ第3部:愛の誘い22. 今こそ愉悦の季節
23カルミナ・ブラーナ第3部:愛の誘い23. とても、いとしい方
24カルミナ・ブラーナプランツィフロール(白い花)とヘレナ24. アヴェ
25カルミナ・ブラーナ運の女神、全世界の支配者なる25. おお、運の女神よ

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.1」「No.25」:「おお、運の女神よ」

カルミナ・ブラーナといえば、まず思い浮かぶのがこの楽曲です。

オルフの特徴である、「オスティナート・リズム」が際立っている作品でもあります。

合唱による、轟々とした重厚な序奏、執拗に繰り返される同型の歌唱、弱音から強音に突如として変化する様など、煽られる昂揚感が凄まじいです。

終曲では、同じ内容のまま再現されます。

回想的な演出というよりかは、何処かループするような世界観を体現しているようにも感じます。

「No.17」:「少女が立っていた」

ソプラノ独唱と弦楽で奏でられる、魅惑的な楽曲です。

透明感のある、天上に突き抜けたかのような美しい内容で、まるで天界で奏でられる調べのようです。

「No.6」:「おどり」

混合拍子で描かれた、不思議なリズム感がクセになる楽曲です。

フルートの独奏によるユニークな旋律と演出も魅力です。

「No.15」:「愛神はどこもかしこも飛び廻る」

児童合唱、ソプラノ独唱で奏でられる旋律が印象的な楽曲です。

導入に配置された愛らしい旋律と児童合唱の掛け合い、続く女声ソプラノの物悲しげな歌唱がとても素敵です。

結尾では、導入部の旋律が印象深く再現されて幕を閉じます。

「No.21」:「天秤棒に心をかけて」

子守歌のような柔らかい線で描かれる、ソプラノ独唱の美しい楽曲です。

添えられたフルートも切なげで大層麗しいです。

<おすすめ度★★>

「No.3」:「春の愉しい面ざしが」

グレゴリアン・チャントのような単線歌唱と管楽の伴奏が印象的な楽曲です。

神聖さに加え、幻想的な雰囲気を醸し出しています。

「No.9」:「円舞曲」

管弦楽パート合唱パートの棲み分けで構成されたような楽曲です。

管弦楽パートでは弱音で奏でるワルツで進行します。

その後、弦で爪弾かれる間奏を挟み、力強い合唱で奏でられる変拍子の合唱パートに移行します。最後は華やかに締めくくられます。

舞踏と歌謡の二律的な構造がユニークな楽曲です。

「No.22」:「今こそ愉悦の季節」

異様に陽気な楽曲です。

入り混じる調子の変化が、乱痴気騒ぎっぽい雰囲気を生み出していて面白いです。

<おすすめ度★>

「No.5」:「見よ、今や楽しい」

漲る活力を音楽にしたかのような、元気一杯の楽曲です。

声部が重なるように加わり、力強く感動的に歌い上げられます。

「No.8」:「小間物屋さん、色紅を下さい」

豊穣を祝うハーベストで歌われるような、民謡調の楽曲です。

喜びに満ち足りた感が強いです。

「No.14」:「酒場に私が居るときにゃ」

執拗に繰り返される、謎めいた旋律が印象的な楽曲です。

不可思議な旋律が合唱に移行すると陽気な風に変貌し、入り組んだ調子を経て豪快に締めくくられます。

「No.23」:「とても、いとしい方」

天に捧げた祈りのような、ソプラノ独唱による美しい楽曲です。

「No.24」:「アヴェ」

華々しく、豪奢な音響で奏でられる、エンディングのような立ち位置の楽曲です。

合唱、管弦楽が渾然一体となって感動を歌い上げます。



春の訪れを喜ぶものや、恋の情熱を歌い上げるものある点を踏まえると、世俗カンタータといえる内容ですね。

中世に発展したカンタータとは毛色を異にする、20世紀を代表するカンタータと言えるでしょう。

「オルフ:カルミナ・ブラーナ」です。
オルフ:カルミナ・ブラーナ レーベル[Deutsche Grammophon]

ところで、カンタータって何ですか。

バロック時代に発展した声楽曲の形式だな。独唱と合唱、管弦楽の伴奏などで構成されているのが特徴だな。

【観想】中世と現代のコラボ。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

「カルミナ・ブラーナ」は、ラテン語で「ボイエルン(ブラーナ)の詩歌集」という意味です。

ライナーノーツ(岡俊雄氏[著])によると、1803年にドイツのバイエルン地方にあるベネディクト・ボイエルン修道院の図書館で古い歌を集めた写本が見つかったそうです。

ラテン語、中高ドイツ語、古フランス語などで記されており、12世紀から13世紀にかけて創作された歌だと推定されています。

1847年にJ.A.シメオンが上記の歌を編纂して出版したのが、「カルミナ・ブラーナ」です。

オルフは、その出版物から24編を選び、楽曲を創作したそうです。

春の到来を喜ぶ歌や、恋の賛歌、果てには酒に酔った陽気な歌など、オルフのチョイスもユニークです。

中世の世俗性と、現代の音楽性が見事に融和し、20世紀を代表するカンタータが誕生したことになりますね。

音楽家の略歴です。

カール・オルフ
【独】1895-1982
音楽における人間性の回復という見地から、ルネサンス音楽、バロック音楽、およびそれ以前の単旋律音楽に興味を示し、持続反復される強烈なリズムと非和声的な音楽で、現代音楽の一つの方向をひらいた。舞台作品においては古代ギリシア演劇の伝統を生かし、音楽、言語、動作の統一された形を目ざしている。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

「カルミナ・ブラーナ」って、オリジナルは中世の歌集なんですね。

ネウマ譜の記譜法で、旋律が添えられていたものもあったようだぞ。

【追想】ハイスペックなディスク。

今では珍しいDVD-Audioです。

「CARL ORFF CARMINA BURANA」です。
CARL ORFF CARMINA BURANA (TELDEC)

「CARL ORFF CARMINA BURANA」(TELDEC)です。(ズービン・メータ氏指揮、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団演奏)

音楽ディスクとしては「DVD-Audio (DVDオーディオ)」になります。

2000年代に登場した、高音質な音楽の記録と再生を図った規格でもあります。

ステレオ音源では、「192kHzのサンプリング周波数と96bitのビットレート」で記録・再生するというハイスペックが売りでした。

ただし、専用の「DVDオーディオ・プレイヤー」が必要であり、且つ高額ということもあった、余程の音楽愛好家でない限り、手にすることは稀だったようです。

そこで、通常のDVDプレイヤーでも再生できるよう「Dolby Digital (AC-3)」も合わせて記録されているディスクが出回るようになりました。

この「CARL ORFF CARMINA BURANA」(TELDEC)の版も「Dolby Digital (AC-3)」で記録されたトラックを収録しています。

ハイレゾ(High-Resolution Audio)音源が当たり前になったり、ドルビーアトモスが音響技術の主力になったりしている現時点(2024年5月現在)からすると、幾分古めかしくも懐かしく感じます。

このディスクは、当時出向していた家電メーカーのオーディオ部署で、DVD-Audio Playerの実機検証用としても重宝しました。(頻繁に開閉したので、ケースが欠けちゃいました…)

機会があれば、DVD-Audio Playerで聴いてみたいです。

21世紀以降、音楽を楽しむ方法の様変わりっぷりが激しいですね。

ポータブル・オーディオの高性能化、配信サービスの充実などもハード面の変化による影響も大きいな。

【雑想】下手の横好き。(第112弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

DAW(Digital Audio Workstation)でクラシック音楽を打ち込んだDTM(DeskTop Music)の作品を制作しています。

DAWで音楽を制作するDTMの楽しさが伝わればと思います。

下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

今回は、オルフの単発回でした。

「おお、運命の女神よ」以外にも聴いてみたいと思い購入したアルバムです。

気がつくと、DVD-Audioのディスクに手を出すほどの、お気に入りの楽曲になっていました。

リズム感で昂揚する楽曲も良いですが、女声ソプラノの澄み切った歌声で魅せる楽曲も素敵でした。

では、また。

「おお、運の女神よ」だけでは、勿体ないですよね。

是非、全編を通して聴いてもらいたい楽曲の1つだな。