こんにちは。はーねうすです。
今回は、「バーバー:弦楽のためのアダージョ」を紹介します。
フィルハーモニック・ヴィルトゥオーゾ・ベルリンというベルリン・フィルハーモニック管弦楽団のメンバーで組織された弦楽合奏団によって演奏される珠玉の弦楽合奏曲を収めたアルバムになります。
タイトルであるバーバー以外では、エルガー、パッヘルベル、ハイドン、ドヴォルザーク、ボッケリーニ、レスピーギの作品が収録されています。
演奏はフィルハーモニック・ヴィルトゥオーゾ・ベルリン、コンサートマスターはエルネ・ベシュティーン死です。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から2曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
弦楽合奏曲のオムニバス・アルバムですね。
ヴィルトゥオーゾ集団が奏でる、魅惑の弦楽合奏曲集でもあるな。
目次
【着想】胸に染み入る弦楽合奏曲。
「バーバー:弦楽のためのアダージョ」のコンテンツです。
17世紀から20世紀を代表するような、弦楽のために書かれた楽曲ばかりです。オリジナルや弦楽四重奏曲などのアレンジなどもあって、バラエティも豊かになっています。
No. | 作曲家 | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | エルガー | 弦楽のためのセレナード ホ短調 | I. Allegro piacevole | Op.20 |
2 | エルガー | 弦楽のためのセレナード ホ短調 | II. Largetto | Op.20 |
3 | エルガー | 弦楽のためのセレナード ホ短調 | III. Allegretto | Op.20 |
4 | パッヘルベル | カノンとジーグ | ― | ― |
5 | ハイドン | セレナード (弦楽四重奏曲 第5番 ヘ長調より) | ― | ― |
6 | ドヴォルザーク | ノットゥルノ ロ長調 | ― | Op.40 |
7 | ボッケリーニ | メヌエット (弦楽五重奏曲 ホ長調より) | ― | Op11-5 |
8 | バーバー | 弦楽のためのアダージョ | ― | ― |
9 | レスピーギ | リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲 | I. Italiana | ― |
10 | レスピーギ | リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲 | II. Arie de Corte | ― |
11 | レスピーギ | リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲 | III. Siciliana | ― |
12 | レスピーギ | リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲 | IV. Passacaglia | ― |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.8」:バーバー「弦楽のためのアダージョ」
哀切の念が際立った、レクイエムのような楽曲です。
悲哀、痛切、寂寥、様々な悲痛さを歌い上げたような主題の旋律と音響に胸が締め付けられます。
起伏の緩やかな線が徐々に高揚してゆきます。
最高潮に達した後に訪れる静寂と主題の回帰は、一層物悲しさを強調しているかのようです。
「No.11」:レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲 III. Siciliana」
哀愁漂う旋律が印象的な楽曲です。
淡々と物憂い線で描かれる主題が、悲痛な叫びのように変奏されていく様が特徴です。
「No.2」:エルガー「弦楽のためのセレナーデ ホ短調 II. Largetto」
淡い恋心を歌ったかのような、ムードのある楽曲です。
甘くて切ない、儚げな胸を締め付けるセンチメンタリズムに溢れた旋律が素敵です。
「No.4」:パッヘルベル「カノンとジーグ」
カノン進行の原典として、余りにも有名な楽曲です。
カノン部は、低音域が終始同じパターンの繰り返します。
上層では、輪唱のように徐々に声部が豊かになっていきます。
各旋律線が明確で、絡み合うごとに感動が増していきます。
ジーグ部は一転して、歯切れの良いアップテンポなノリの内容になっています。
<おすすめ度★★>
「No.6」:ハイドン「セレナード」
ピチカートの伴奏と、その上に載せた愛らしい旋律が特徴の楽曲です。
洒落っ気と典雅の風味を兼ね備えています。
「No.6」:ドヴォルザーク「ノットゥルノ ロ長調」
伸びやかで穏やかな雰囲気に包まれた楽曲です。
草原で吹かれる風に身を任せているかのような心地よさがあります。
「No.7」:ボッケリーニ「メヌエット」
爽快な朝を迎えたかのような楽曲です。
爽やかな心象を得る主要主題が、長調・短調交互で繰り返されます。
軽く弾けた中間主題との組み合わせが面白いです。
<おすすめ度★>
「No.1」:エルガー「弦楽のためのセレナーデ ホ短調 I. Allegro piacevole」
優雅で気品のある楽曲です。
悲哀感のある主要主題と、伸びやかな副次主題が素敵です。
「No.10」:レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲 II. Arie de Corte」
陰鬱で厳格な雰囲気が漂う部位と、軽やかなステップを踏むような部位とのコントラストが印象的な楽曲です。
弦楽のみで構成される楽曲には、管弦楽曲とは異なった魅力があります。
派手な演出ではなく、じわじわと胸に染み入ってくるような感動や感激を味わえますね。
弦の音色には、胸にすうっと入り込んでくるような特徴を感じがありますね。
音色だけでなく、持続やビブラートといった弦が得意とする奏法も起因していると思うぞ。
【観想】古楽の発見と発現。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
今回紹介したアルバムには、弦楽四重奏曲や弦楽五重奏曲を弦楽合奏版にアレンジした作品があります。
中でも特異なのは、レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲」ですね。
元は16世紀から17世紀のイタリアやフランスで作曲されたリュートの音楽で、レスピーギが編曲しています。
レスピーギは、イタリア芸術の復古主義的な意図や、自身の趣向などから中世やルネサンスの音楽を研究されていたようです。
ローマにある、サンタ・チェチーリア音楽院付属図書館で、19世紀末に編纂されたリュートの作品を集めた書物を発見します。
その中から選りすぐってオーケストラ用に編曲した、という具合になっています。
さて、オーケストレーションです。
第1組曲と第2組曲は管弦楽用に編曲されていますが、第3組曲だけは弦楽合奏用に編曲されています。
しかも、レスピーギが発表した弦楽合奏曲は、この「リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲」だけです。不思議ですね。
原曲の持つ雰囲気を考慮して、楽器を編成したと思います。原曲を知らないので何ともいえません。
いずれにせよ、オーケストレーションに定評があるレスピーギの手によって、古楽が現代風に再び顕現したのは間違いありません。
音楽家の略歴です。
オットリーノ・レスピーギ
【伊】1879-1936
近代イタリア復古主義の一翼を担った作曲家。流麗なオーケストレーションと甘美な旋律を特徴とし、中世、ルネサンス、バロックのイタリア音楽の要素と民族主義的立場を結びつけた。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
復古主義ですか。そういえばルネサンスもイタリアが発祥でしたね。
14世紀の話だな。ところで、ルネサンスという単語自体はフランス語だぞ。面白いよな。
【追想】慎重かつ大胆なピアノ編曲。
弦楽合奏とは異なる魅力があります。
「レスピーギ ピアノ曲集」(全音楽譜出版社)です。
作品と生涯、時代背景や交友関係といったレスピーギに関する情報の解説がありとても重宝しています。
「ピアノ・ソナタ ヘ短調」や「6つの小品」など、レスピーギの作品としては珍しい部類に属するピアノ曲が収められています。
レスピーギ本人の手による「リュートのための古風な舞曲とアリア 」のピアノ編曲も収められています。
「第1組曲」と「第3組曲」から3曲ずつピックアップして編曲したようですね。
今回紹介したアルバムに収められている、「No.9 I. Itariana」「No.11 III. Siciliana」「No.12 IV. Passacaglia」が該当します。
オリジナルの和声進行といった点を堅守し、ピアノ向きの編曲がなされています。
ピアノは減衰系の楽器なので、弦が奏でる持続音をどのように表現するのかという点がとりわけ気になります。
副旋律の強化、音階による装飾、といった要素で補っているように感じられました。
慎重で丁寧な仕事の中に垣間見える、大胆な試みといった感じですね。
レスピーギのピアノ曲って、珍しいようですね。ピアノ曲集に収められている作品以外にも存在するのでしょうか。
「グレゴリオ旋法による3つの前奏曲」という作品があるようだぞ。
【雑想】下手の横好き。(第114弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したレスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲 第3楽章 シチリアーナ」(ピアノ独奏版)とパッヘルベルの「カノンとジーグ」(カノン部の抜粋、8bitアレンジ版)です。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
変則回でした。
バーバーの「弦楽のためのアダージョ」が聴きたくて購入したアルバムです。
バーバーの「弦楽のためのアダージョ」を知る切っ掛けになったのは映画「プラトーン」(オリバー・ストーン監督 / アメリカ / 1986年)でした。
惨劇の中にある「悲痛」といった心情を表現する音楽はこの曲しかない、というぐらいぴったりとはまっていたのを記憶しています。
バーバーに興味を持ったので、ピアノ作品を収めたアルバムなども購入しました。機会があれば紹介します。
では、また。
「弦楽のためのアダージョ」ですが、葬送や訃報といった際に使用される機会が多く感じます。
アメリカではJ.F.ケネディ(第35代大統領)の葬儀で使用されたそうだ。そのため、レクイエムというレッテルにもなっているからだろうな。