こんにちは。はーねうすです。

今回は、「ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ≪新世界より≫ 他」を紹介します。

ドヴォルザークが最後に手掛けた「交響曲 第9番」と、ワーグナーが愛妻に捧げた「ジークフリート牧歌」のカップリング・アルバムです。

2曲の共通項が余り思いつかない、珍しいカップリングになっています。

演奏は、ヘルベルト・フォン・カラヤン氏の指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団です。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

ドヴォルザークの第9番ですね。超が付く有名曲です。

ワーグナーの楽曲も、人気タイトルだぞ。

【着想】集大成と転用の装い。

ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ≪新世界より≫ 他」のコンテンツです。

「ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ≪新世界より≫ 他」です。
ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ≪新世界より≫ 他 レーベル[Deutsche Grammophon]

ドヴォルザークの「交響曲 第9番」は、最後の交響曲だけあって集大成といった風格があります。一方ワーグナーの「ジークフリート牧歌」は、既存の楽劇で使用されていた主題の巧みな転用といった風味があります。

No.作曲家曲名(1)曲名(2)作品番号
1ドヴォルザーク交響曲 第9番 ホ短調第1楽章:Adagio – AllegroOp.95
2ドヴォルザーク交響曲 第9番 ホ短調第2楽章:LargoOp.95
3ドヴォルザーク交響曲 第9番 ホ短調第3楽章:Molto vivaceOp.95
4ドヴォルザーク交響曲 第9番 ホ短調第4楽章:Allegro con fuocoOp.95
5ワーグナージークフリート牧歌

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.2」:ドヴォルザーク「交響曲 第9番 第2楽章」

「家路」というタイトルの唱歌に編曲されたことでも知られる、郷愁的詩的な旋律が印象的な楽曲です。

管楽による幻想的な導入で一気に世界観に引き込まれます。

ノスタルジックで哀愁感が漂う主要主題と、切なく物寂しい心境を歌う中間主題がとても素敵です。

そして、第1楽章の主題が迫力を持って回顧され、主要主題が弦楽主体で再現されます。

導入部の主題が回顧的に登場して、静かな内に締めくくられます。

「No.4」:ドヴォルザーク「交響曲 第9番 第4楽章」

豪胆で熱量の高い、昂揚感に溢れた楽曲です。

徐々に勢いを増し加速するように進行する第1主題、メロディックで情趣が豊かな第2主題、ボヘミアの民俗舞曲ような小結尾の主題など、旋律の魅力に満ち満ちています。

展開部では、前3楽章の主題が総出し、カオスな豪快さを聴かせてくれます。

フィナーレ然とした派手な演出の後、第1主題を変型したコーダで締めくくられます。

<おすすめ度★★>

「No.1」:ドヴォルザーク「交響曲 第9番 第1楽章」

不安期待と言った情緒が、複雑に絡み合ったかのような楽曲です。

夜明けを示すような管楽と、波乱の幕開けを示すような合奏の導入部が、なんとも魅力的です。

管弦楽で提示される勇壮な第1主題、管楽主導で奏でられる優雅な第2主題が素敵です。

経過部にも魅力的な旋律が多く、主題を見失いそうになります。

「No.3」:ドヴォルザーク「交響曲 第9番 第3楽章」

民族音楽の色合いが濃く感じる楽曲です。

スラブ風のリズミカルで刺激のある主要主題、明るく長閑に歌われる民謡風の副次主題、祝宴の際に奏でられる舞曲風の中間主題など、魅惑的な曲想がてんこ盛りです。

結尾では第1楽章の主題が、回想の様に構成されています。

色彩豊かな動機が鏤められた、バラエティが豊かな内容になっています。

<おすすめ度★>

「No.5」:ワーグナー「ジークフリート牧歌」

楽劇「ジークフリート」で使用されている様々な動機や主題の転用で構成された、とても贅沢な楽曲です。

子守歌のような、優しさで包まれた内容になっています。

ワーグナーが愛妻であるコジマの誕生日に、演奏付きでスコアをプレゼントしたというエピソードも素敵です。


迫力満点のドヴォルザークの交響曲と、牧歌的で柔和なワーグナーの管弦楽曲の組み合わせは、対照的なカップリングとして、ユニークでしたね。

「ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ≪新世界より≫ 他」です。
ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ≪新世界より≫ 他 レーベル[Deutsche Grammophon]

ワーグナーの作品は、長閑な感じがして意外でした。

スケールの大きい楽劇の作曲家、というイメージが強いからだろうな。良い意味でのギャップを楽しめるよな。

【観想】交響曲の理想型。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

ドヴォルザークの「交響曲 第9番」は、魅力的な旋律の宝庫と言って過言ではないでしょう。

耳に馴染みやす、口ずさみたくなるような愛らしい旋律や、昂揚感を煽り立て勇壮な旋律など、バラエティの豊かさに満ち溢れています。

「動機の有機的な統一よる形式美」が重要なソナタを主体とする交響曲では、豊かな曲想が却って徒となると思われます。

ドヴォルザーク自身も、溢れ出す曲想をコントロールすることに苦労したと言われています。

「交響曲 第6番」辺りから、多様な曲想を形式に落とし込むことに成功し始めたようです。

「交響曲 第9番」は、その集大成と言えます。

各楽章の動機が、装いを変えて他の楽章に登場します。

最終楽章では、展開部で前3楽章の主題がフラッシュバックします。

記憶に残りやすい旋律の賜であり、形式的な美として理想的な型に昇華されています。

この多様な曲想を、一貫した形式に仕上げる巧みな手腕が、ドヴォルザークの個性と言えるでしょう。

音楽家の略歴です。

<略歴> アントニン・ドヴォルザーク
【チェコ】1841-1904
チェコ国民楽派最大の作曲家。国民音楽の創造に腐心していたスメタナから強い影響を受けた。1875年、オーストリア政府奨学金を獲得、その審査員の一人のブラームスの知遇を得て、作品が世に知られるようになり、また作風にもブラームスの影響が強く表われるようになった。しかし、これらを包含して国民主義的傾向はされに深められ、晩年に向けて一連の傑作を生む。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

経過句なんかにも魅力的な旋律が使われていて、主題を見失いそうになります。

そこら辺が、ドヴォルザークの弱みでもあり、強みでもあるな。曲想を制御でき始めたからは、俄然強みとして個性の一部になっているぞ。

【追想】フルスコアの理想型。

意外と黒玉ばかりではない五線譜です。

「ドヴォルジャーク 交響曲 第9番 ホ短調 作品95〔新世界から〕」です。
ドヴォルジャーク 交響曲 第9番 ホ短調 作品95〔新世界から〕 全音楽譜出版社

「ドヴォルジャーク 交響曲 第9番 ホ短調 作品95〔新世界から〕」(全音楽譜出版社)です。

作曲家の生い立ちや、楽曲の分析が解説されていて、とても重宝する一冊です。

門馬直衛氏による楽曲の解説は、詩的な表現もあり、魅力のひとつになっています。

さて、ドヴォルザークの交響曲の譜面です。

楽曲を聴くと、とても重厚・壮大といった賑やかな印象を受けますので、譜面は黒玉(四分音符より細かい音符)で覆い尽くされているのだろうと想像していました。

実際は、各パートの休止区間が多く、五線譜だけの状態を保った箇所が目立ちます。

これは、管・弦・打の合奏ばかりではなく、各パートの独奏や、楽器間の掛け合いといった場面が多く設けられているからかもしれません。

(まあ、省略表記を多く使用しているといった理由もありますが。。。)

実際に譜面を目にすることで、新しく発見したり、思い込みや誤謬を払拭したりする好例になりました。

黒玉が少ないという原因は、他にもありそうですが。。。

トレモロの省略表記を多用している、といった点が挙げられるな。「交響曲 第9番」の重厚なサウンドは、このトレモロが一役買っている言えるぞ。

【雑想】下手の横好き。(第118弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したドヴォルザークの「交響曲 第9番 第2楽章」のピアノ独奏用の編曲版です。

作曲家:アントニン・ドヴォルザーク 作曲年:1893
(ピアノ編曲:水城郁夫「新世界 悲愴をピアノで」KYODO-MUSIC)

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

引き続き、ドヴォルザーク編でした。

ドヴォルザークの代名詞とも言える「交響曲 第9番」であること、カラヤン氏&ウィーン・フィルの演奏であることが理由で購入したアルバムでした。

メジャータイトル × 名プレイヤーの最強タッグといった感じで興奮したのを憶えています。

僥倖は、ワーグナーの「ジークフリート牧歌」ですね。

楽曲の内容だけでなく、楽曲の誕生秘話も相俟ってワーグナーの認識を改めることができました。

次回もドヴォルザーク編です。

では、また。

ワーグナーの作品は、楽劇や序曲のような「派手で豪快、壮麗で華美」というイメージが強かったです。良い意味でイメージを覆されました。

「他」という括りが勿体ないと感じる、アルバム・タイトルだよな。