こんにちは。はーねうすです。
今回は、「ラフマニノフ 狂詩曲&変奏曲集」を紹介します。
ラフマニノフが作曲した変奏曲形式の楽曲は、「パガニーニの主題による狂詩曲」「コレルリの主題による変奏曲」「ショパンの主題による変奏曲」の3作品のみになりますので、このアルバムは実質「変奏曲全集」と言えるでしょう。「全集」っていいですよね。
ピアノ演奏はニコライ・ルガンスキー氏です。壮麗な演奏が聴き所です。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
そういえば、狂詩曲も形式は変奏曲でしたね。
ピアノ主体の、技巧的な変奏曲が味わえるアルバムだな。
目次
【着想】主題と変奏。
「ラフマニノフ 狂詩曲&変奏曲集」のコンテンツです。
古典からロマン主義に至るまで、変奏曲は主要な楽曲で、作曲家の手腕を発揮するのに最適な形式でした。それこそ本歌取りに近いものもありますね。ラフマニノフも変奏曲には心酔していたようですが、結果として作曲したのはこのアルバムに収められた3曲になります。
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1~12* | パガニーニの主題による狂詩曲 | 序奏 – 第1変奏 – 主題 – 第2変奏 ~ 第24変奏 | Op.43 |
13~22 | コレルリの主題による変奏曲 | 主題 – 第1変奏 ~ 第20変奏 – コーダ | Op.42 |
23~34 | ショパンの主題による変奏曲 | 主題 – 第1変奏 ~ 第22変奏 | Op.22 |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.17」:「コレルリの主題による変奏曲 第5変奏~第7変奏」
「No.13」~「No.22」の「コレルリの主題による変奏曲」が秀逸ですね。
主題の陰鬱な感じが全体に通底していますが、緻密な構成とバリエーションの豊富さに圧倒されます。なかでも「No.17」(第5変奏~第7変奏)は激情、律動といった感で迫力があります。
<おすすめ度★★>
「No.20」:「コレルリの主題による変奏曲 第13変奏~第15変奏」
「No.22」:「コレルリの主題による変奏曲 コーダ」
「No.20」(第13変奏~第15変奏)は、動的から静的な曲想に移行するのが特徴的ですね。そして「No.22」のもの悲しく感傷的なコーダで締めくくるのが素敵です。
なによりも主題のチョイスがいいですね。変奏曲の主題に相応しく、分かりやすい動機です。
また、「コレルリって誰?」となるところもいいですね。17世紀イタリアの作曲家なのですが、ライナーノーツ(ジェレミー・シープマン氏著/山崎香氏訳)によると、「この主題はしかし、コレルリの作曲ではなく、ポルトガル17世紀の作者不詳の舞踏曲」だそうです。でも、コレルリのヴァイオリン・ソナタの12曲目「ニ短調 (ラ・フォリア)」がこの旋律を題材にしていますので、「コレルリの主題~」といっても違和感はなさそうです。なんとも複雑ですね。
<おすすめ度★>
「No.10」:「パガニーニの主題による狂詩曲 第18変奏」
狂詩曲の中で、最も膾炙した変奏ですね。アンダンテ・カンタービレで歌われる魅惑の楽曲です。
なお、「No.1」~「No.12」の「パガニーニの主題による狂詩曲」については、「インスピレーション デヴィッド・ヘルフゴット」もご覧いただけると嬉しいです。
確かに、コレルリについては知りませんでした。
ヴィヴァルディよりも四半世紀の年長だ。区分としてはバロック音楽の作曲家だな。
【観想】円熟と渋み。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
「No.23」~「No.34」の「ショパンの主題による変奏曲」は1902~1903年頃の作品で、ピアノ協奏曲 第2番の成功による復調後の作品で、覇気に満ちています。「No.32」の第19変奏は特徴的で、それまでの陰鬱な気分を一転して吹き飛ばすような明快なサウンドを聴かせてくれます。「No.34」の第22変奏は、「No.22」のコーダとは対照的にとても明るく華やかです。(最後のプレストは圧巻です。)
そして、「No.13」~「No.22」の「コレルリの主題による変奏曲」は1931年の作品で、ライナーノーツ(ジェレミー・シープマン氏著/山崎香氏訳)によると、「ラフマニノフが祖国ロシアを離れた後に作曲した唯一の独奏ピアノ曲」とのことです。主題の選定もそうですが、最後のピアノ独奏曲というエピソードも相まって、円熟期の渋さを感じさせますね。そんな対照的な2作品を一度に堪能できるアルバムは、とても貴重に感じます。
音楽家の略歴です。
<略歴> セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ 【露】1873-1943 チャイコフスキーの影響を強くうけたモスクワ学派の様式を守り、ピアノ曲を中心にしたあらゆる分野の作品を残す。ロシア革命でスイスに亡命、その後はもっぱらピアノ・ヴィルトゥオーソとしてヨーロッパ、アメリカで活躍。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
最後のピアノ独奏曲と聞くと、なんだか切なくなりますね。
確かにな。結果論とは言え、最後という要素は、センチメンタリズムを引き立たせるものだな。
【追想】変奏曲の音符たち。
素材の変容が魅力です。
「ショパンの主題による変奏曲」「コレルリの主題による変奏曲」ともに20を超える変奏があり、規模としては大型になります。「ラフマニノフ 変奏曲集・小曲集」(和田則彦[監修] ドレミ楽譜出版社)では、2作品で70ページ近くになります。素敵ですね。
譜面を眺める楽しみとしては、例えば「ショパンの主題による変奏曲」では、ライナーノーツ(ジェレミー・シープマン氏著/山崎香氏訳)で示されていた「構造上の工夫で最も興味深いのは、後に続く変奏を次第に長くしていることであり、時折先の変奏曲で使われた素材を再利用して、有機的なつながりを強めている」といった点を視覚的に捉えることです。興奮しますね。
変奏曲以外にも「自作自演集」や「作曲/編曲集」で紹介した、「ひなぎく」、「リラの花」や「V.R.のポルカ」などが納められています。
楽譜という、視覚情報も必要だと強く思い知りますね。
変奏曲やソナタなど、モチーフやテーマを有機的に扱う楽曲だと尚更だな。
【雑想】下手の横好き。(第16弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★>として紹介したラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲 第18変奏」のピアノ独奏用編曲版です。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
引き続き、ラフマニノフ編でした。
今回は「変奏曲」をフィーチャーしたアルバムでした。作曲家の手腕が問われるのとともに、腕の見せ所でもあります。
とりわけラフマニノフの引き出しの深さに圧倒されます。
ひとつの主題が、和声法、対位法などの駆使により、多様な姿に変わっていく様が素敵です。
では、また。
今更ですが、DTMって何でしたっけ。
本当に今更だな。デスクトップミュージックのことで、PCやタブレットなどの端末上で音楽制作を行うことだな。
ところで、独立した変奏曲というのは少ないのでしょうか。
ロマン主義の時代以降に減ったというのが実情だな。多楽章形式の1楽章に割り当てられる程度に落ち着いたという印象だな。