こんにちは。はーねうすです。

今回は、「ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲全集」を紹介します。

19世紀に活躍したドイツの作曲家であるブルッフが作曲した、独奏ヴァイオリンと管弦楽の協奏スタイルの作品を収めた2枚組のアルバムです。

内訳としては、3曲の「ヴァイオリン協奏曲」、「セレナード」、「スコットランド幻想曲」になります。ヴァイオリン協奏曲としては、全集になりますね。

演奏は、サルヴァトーレ・アッカルド氏のヴァイオリン、クルト・マズア氏の指揮、ライプツィヒ・ケヴァントハウス管弦楽団です。

打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

ブルッフですね。ヴァイオリン協奏曲がとても有名です。

同時代のヴァイオリン協奏曲としては、ブラームスやチャイコフスキーの陰に隠れてしまっている感は否めないが、両者に比肩する作品であることは間違いないぞ。

【着想】名旋律の宝庫。

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲全集」のコンテンツです。

「ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲全集」です。
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲全集 レーベル[PHILIPS Classics]

ブルッフの特長は、なんといっても豊かな旋律です。旋律線を際立たせる管弦楽の扱いは、19世紀の作曲家の中でもトップクラスです。

CD1

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調1. Vorspiel (Allegro moderato)Op.26
2ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調2. AdagioOp.26
3ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調3. Finale (Allegro energico)Op.26
4ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ短調1. Adagio non troppoOp.44
5ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ短調2. Recitativo. (Allegro moderato – Allegro – Andante sostenuto)Op.44
6ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ短調3. Finale (Allegro molto)Op.44
7セレナード1. Andante con motoOp.75
8セレナード2. Allegro moderato, alla marciaOp.75
9セレナード3. NotturnoOp.75

CD2

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1セレナード4. Allegro energico e vivaceOp.75
2ヴァイオリン協奏曲 第3番 ニ短調1. Allegro energicoOp.58
3ヴァイオリン協奏曲 第3番 ニ短調2. AdagioOp.58
4ヴァイオリン協奏曲 第3番 ニ短調3. Finale (Allegro molto)Op.58
5スコットランド幻想曲Einleitung (Grave)Op.46
6スコットランド幻想曲1. Adagio cantabileOp.46
7スコットランド幻想曲2a. Scherzo (Allegro)Op.46
8スコットランド幻想曲2b. AdagioOp.46
9スコットランド幻想曲3. Andante sostenutoOp.46
10スコットランド幻想曲4. Finale (Allegro guerriero)Op.46

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「CD1_No.1」~「CD_No.3」:「ヴァイオリン協奏曲 第1番]

第1楽章:

異国情緒的で、旋律の美しさ協奏的な効果が抜群に優れた楽曲です。

趣深い序奏、勇壮に奏でられる第1主題、感傷的に歌われる第2主題など、独奏ヴァイオリンが主導的なポジションで活躍します。

そして独奏ヴァイオリンに導かれるように登場する管弦楽の大合奏による展開が、とても感動的です。

カデンツァ風のヴァイオリン・ソロの後、切れ目なく第2楽章に入ります。

第2楽章:

力強さ柔和さを兼ね備えた、優美牧歌的な楽曲です。

ヴァイオリン・ソロで奏でられる愛らしい主要主題、問いかけるように囁かれる魅惑的な副次主題など、旋律線の描かれ方が素敵です。

管弦楽が旋律を支える伴奏に徹しているような単純な構造も、楽曲の持つ本質に添ったためだと感じます。

第3楽章:

豊穣を祝うハーベストの歓喜を表現したような、健康的な楽曲です。

祭りの囃子のような弾けた主題が印象的で、終始力強くて活気に満ち溢れています。

結尾近くの、ヴァイオリン・ソロと管弦楽との掛け合いも素敵です。

<おすすめ度★★>

「CD2_No.5」~「CD2_No.10」:「スコットランド幻想曲」

序奏部

厳かな佇まいの楽曲です。

厳格な雰囲気で進行する管弦楽に続き、ヴァイオリン・ソロが悲歌を奏でます。その後管弦楽を伴うことで悲痛さが増します。

ハープによるアルペジオが、幻想的な雰囲気を醸し出してます。

第1楽章:

晴れやかな気分と幸福感でみたされた楽曲です。

幸福という気分を音にしたかのような管弦楽の後、幸福という感情を無言歌で提示したようなヴィオリン・ソロが続きます。

第2楽章(a,b):

明朗快活を音楽にしたような、活力に満ちた楽曲です。

宮中で披露するために、上品にコーティングしたポップミュージックという雰囲気があります。

ヴァイオリン・ソロと管弦楽の掛け合いも魅力の一部です。

第3楽章:

幻想曲を代表する有名な楽曲です。

素朴朴訥な雰囲気の旋律が、徐々に洗練されていき、次第に華やかさと鮮やかさで彩られていきます。

ヴァイオリン・ソロで高らかに歌われる主旋律がとにかく素敵です。

管弦楽による回想的な構成も感動的です。

ヴァイオリン・ソロに導かれるようにフェイドアウトする結尾の演出も素敵です。

第4楽章:

フィナーレ的な位置づけで、激しい場面転換ような展開が魅力の楽曲です。

民俗舞踏のような律動と民謡風のキャッチな旋律が印象的な部位、懐古的でセンチメンタルっぽい部位など、多種多様です。

結尾に向かって少し湿っぽくなるのも趣の内です。

最後は冒頭への回帰で締めくくられます。

「CD1_No.4」~「CD_No.6」:「ヴァイオリン協奏曲 第2番]

第1楽章:

悲劇的で抗い難い運命を眼前に控えたかのような雰囲気の楽曲です。

悲壮感をたんぷりに歌い上げるヴァイオリン・ソロによる第1主題、甘い誘惑のような第2主題が魅力的です。

ナイチンゲールの鳴き声を想起させる独奏のテクニックなども、魅力のひとつです。

第2楽章:

ヴァイオリン・ソロによるカデンツァが魅力の楽曲です。

管弦楽は、ヴァイオリン・ソロへの応答といった位置に徹しています。

第3楽章:

猛然と果敢に突き進む、威勢の良い楽曲です。

嵐のような管弦楽の中を、突っ切るようなヴァイオリン・ソロの扱いが印象的な主要主題と、少し弱くしなだれるかのような副次主題との対比が印象的です。

また、力強く勇壮感なある管弦楽も魅力的です。

<おすすめ度★>

「CD2_No.2」~「CD2_No.4」:「ヴァイオリン協奏曲 第3番」

第1楽章:

ヴァイオリン・ソロを伴った交響曲とでも言うべき、規模の大きい楽曲です。

重厚で運命的な激性で幕を開ける序奏が印象的です。

ヴィオリン・ソロで導かれる悲哀に満ちた第1主題、金切り声のように高音域で歌われる第2主題、それらに応答するように登場する管弦楽などが魅力です。

管弦楽が主導的に展開するなど、規模感が大きめのソナタといった感じです。

第2楽章:

ノスタルジックセンチメンタルな雰囲気で彩られた楽曲です。

ヴァイオリン・ソロの後、花を添えるかのように加わる管楽と管弦楽の扱いが素敵です。

第3楽章:

活力に満ちた、元気一杯・明朗快活な楽曲です。

活気ある主要主題、少しセンチメンタルな副次主題など、色とりどりの表情があります。

「CD1_No.7」~「CD2_No.1」:「セレナード」

第1楽章:

甘くて切ない旋律が魅力的な、夜想曲のような楽曲です。

ヴァイオリン・ソロで歌われる感傷的な旋律が美しいです。

第2楽章:

軽快なテンポが小気味良い楽曲です。

気分の転換に相応した展開と、ロココ的な雰囲気が特徴です。

第3楽章:

瞑想的で、物思いに耽るような楽曲です。

ヴァイオリンと管楽にデュエットが美しいです。

第4楽章:

ジプシー音楽のような、リズミカルな民俗舞踏風の楽曲です。

哀愁漂う雰囲気が魅力的です。

とにかく、独奏ヴァイオリンが歌う旋律に美しさに魅了される作品ばかりでしたね。

アカデミックでがっちりとした形式を重んじる内容なので、斬新さはありません。ですが、19世紀の当代としては、秀逸のロマンティックな作品群だと感じます。

「ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲全集」です。
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲全集 レーベル[PHILIPS Classics]

ヴァイオリン・ソロが良く映える協奏曲、といった感じです。

独奏ヴァイオリンが主導で主題を提示するパターンが目立つよな。その分、後続の管弦楽への配慮も巧みだぞ。

【観想】弦楽器の協奏。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

ブルッフは、歌劇・管弦楽曲・室内楽曲・独奏曲・合唱曲など、多くのジャンルで作品を残しています。

とりわけ、音楽の魂をメロディーにあると考えていたブルッフは、ヴァイオリンなどの弦楽器を愛していたようです。

そのためか、独奏弦楽器と管弦楽の組み合わせによる協奏スタイルの作品を多く残しています。

有名どころとしては、このアルバムに収録されている全3曲の「ヴァイオリン協奏曲」「セレナード」「スコットランド幻想曲」があります。

その外にも、「ロマンス」「アダージョ・アパッシオナート」「イン・メモリアル」などの独奏ヴァイオリンと管弦楽の楽曲があります。

また、「ニル・二ドライ」「カンツォーネ」「アヴェ・マリア」などの独奏チェロと管弦楽の楽曲があります。

加えて、「オーボエ、ヴィオラと管弦楽のための協奏曲」「ロマンス」などの独奏ヴィオラと管弦楽の楽曲があります。

圧巻ですね。

とりわけ、「ニル・二ドライ」は発表当時から聴衆に愛好されていたようです。

ブルッフは、チェロ協奏曲というスタイルで作品を残していないので、独奏チェロと管弦楽の作品としては「ニル・二ドライ」がチェロ作品の代表作と言えそうです。

音楽家の略歴です。

<略歴> マックス・クリスティアン・フリードリヒ・ブルッフ
【独】1838-1920
ケルンで学んだのち、ドイツ各地で指揮者、教師として活躍。甘美な旋律と和音を用いたロマンティックな作風で知られ、管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲のほか、多数の合唱音楽を作曲。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

独奏弦楽器+管弦楽という形式を好んだみたいですね。

そうだな。反面、ヴァイオリンやチェロが活躍する室内楽曲は、全くと言っていいほど作曲していないぞ。不思議だな。

【追想】協奏曲の鑑。

整理整頓された美しさがあります。

「ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調」です。
ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 佐々木茂生[解説] 日本楽譜出版社
「ブルッフ スコットランド幻想曲」です。
ブルッフ スコットランド幻想曲 佐々木茂生[解説] 日本楽譜出版社

「ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調」(佐々木茂生[解説]/日本楽譜出版社)と「ブルッフ スコットランド幻想曲」(佐々木茂生[解説]/日本楽譜出版社)です。

ブルッフの生涯と作品の解説がコンパクトに纏められています。

とりわけ、作品解説では、主要譜面を用いた動機や主題の説明があり、とても勉強になります。

さて、主役の譜面ですが、とても整理された印象があります。

変な表現ですが、「煩雑さがなく、清廉潔白」といった印象ですね。

これは、「単純」といったことが理由ではなく、和声や対位法がとても整えられている作品ということに由来する「明快」に基づくものだと感じます。

各楽器に与えられた役割も明確です。「この子は何をしているの?」といった、近代管弦楽法にみられる謎構成は皆無と言っていいでしょう。

特長としては、端的に「アカデミックな創造」といって良いのかもしれません。

このカッチリとした形式美と、ロマン主義時代の様式美とが組み合わさって、ブルッフの目指した音楽世界が誕生するのだと、つくづく感じます。

フォーマットで整えられた書類を読んでいる、といった感じもしますね。

面白い表現だな。実際の演奏と楽譜の印象との違いを楽しむ好例かもな。

【雑想】下手の横好き。(第125弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したブルッフの「ヴァイオリン協奏曲 第1番 第2楽章」の抜粋で、管弦楽パートをピアノにアレンジした版になります。

作曲家:マックス・クリスティアン・フリードリヒ・ブルッフ 作曲年:1866(初版)/1868(決定版)
(管弦楽パート・ピアノ編曲:HARNEUS)

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

今回はブルッフでした。

ロマン主義時代のヴァイオリン協奏曲と言えば、メンデルスゾーン、ブラームス、チャイコフスキーの作品がとても有名です。

そのような作品群の名声に埋もれてしまった作品として出会ったのが、ブルッフの作品でした。

一聴して虜になりました。

陳腐な表現ですが、「洋画のサウンドトラックのようでカッコイイ」という印象でした。そして、その印象派今でも変わりません。とても格好が良いのです。

形式としては、メンデルスゾーンの協奏曲を踏襲した感がありますね。

楽器の扱いがとても丁寧な作曲だという印象もあり、非常に好感が持てました。

次回は変則回です。

では、また。

旋律線が明確なので、とても聴きやすく感じる内容でしたね。

徹頭徹尾が歌曲風、というのがメリカントのスタンスなのかもしれないな。