こんにちは。はーねうすです。
今回は、「ラフマニノフ 前奏曲全集」を紹介します。全集のラッシュですね。興奮します。
ピアノ演奏は、アレクシス・ワイセンベルク氏です。
前奏曲については、以前に紹介したラフマニノフの自作自演集やデヴィット・ヘルフゴット氏のアルバムにも収録されていました。が、どれも良いとこ取りっぽい感じですね。やはり、全集好きにとっては、少し物足りなく感じていました。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
前奏曲の全集の紹介ですね。漸くといった感じです。
ラフマニノフの真骨頂といった様相だな。
目次
【着想】二十四の調を網羅。
「ラフマニノフ 前奏曲全集」のコンテンツです。
ラフマニノフの前奏曲は、「幻想小品集」の第2曲、「10の前奏曲」と「13の前奏曲」を組み合わせて24の調を網羅する構成になっています。また、調の配置も、J.S.バッハの「平均律クラヴィア曲集」以来の伝統とは異なった趣があり、一種独特です。
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 | No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | 前奏曲 | 嬰ハ短調 (幻想小品集:第2曲) | Op.23 | 12 | 13の前奏曲 | 第1番 ハ長調 | Op.32 |
2 | 10の前奏曲 | 第1番 嬰ヘ短調 | Op.23 | 13 | 13の前奏曲 | 第2番 変ロ短調 | Op.32 |
3 | 10の前奏曲 | 第2番 変ロ長調 | Op.23 | 14 | 13の前奏曲 | 第3番 ホ長調 | Op.32 |
4 | 10の前奏曲 | 第3番 ニ短調 | Op.23 | 15 | 13の前奏曲 | 第4番 ホ短調 | Op.32 |
5 | 10の前奏曲 | 第4番 ニ長調 | Op.23 | 16 | 13の前奏曲 | 第5番 ト長調 | Op.32 |
6 | 10の前奏曲 | 第5番 ト短調 | Op.23 | 17 | 13の前奏曲 | 第6番 ヘ短調 | Op.32 |
7 | 10の前奏曲 | 第6番 変ホ長調 | Op.23 | 18 | 13の前奏曲 | 第7番 ヘ長調 | Op.32 |
8 | 10の前奏曲 | 第7番 ハ短調 | Op.23 | 19 | 13の前奏曲 | 第8番 イ短調 | Op.32 |
9 | 10の前奏曲 | 第8番 変イ長調 | Op.23 | 20 | 13の前奏曲 | 第9番 イ長調 | Op.32 |
10 | 10の前奏曲 | 第9番 変ホ短調 | Op.23 | 21 | 13の前奏曲 | 第10番 ロ短調 | Op.32 |
11 | 10の前奏曲 | 第10番 変ト長調 | Op.23 | 22 | 13の前奏曲 | 第11番 ロ長調 | Op.32 |
― | ― | ― | ― | 23 | 13の前奏曲 | 第12番 嬰ト短調 | Op.32 |
― | ― | ― | ― | 24 | 13の前奏曲 | 第13番 変イ長調 | Op.32 |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.1」:「前奏曲 嬰ハ短調」
おすすめとなるとどうしても「No.1」の「嬰ハ短調」になりますね。「鐘」を模した重厚な和音の主題と、無窮動に迫り来る中間部の対比が印象的です。
当ブログでは、ラフマニノフの「自作自演集」や「作曲/編曲集」でも紹介させていただいていますので、そちらをご覧いただければ嬉しいです。
<おすすめ度★★>
「No.6」:「10の前奏曲 第5番 ト短調」
「10の前奏曲集」の代表格といえるでしょう。
リズミカルなモチーフが特徴的な主題と、独白のような歌わせ方が印象的な中間部が対照的です。
「No.23」:「13の前奏曲 第12番 嬰ト短調」
こちらは「13の前奏曲」の代表格ですね。
アルペジオの音型がきらきらと輝くようで、夢想的とも感じ取れます。
<おすすめ度★>
「No.3」:「10の前奏曲 第2番 変ロ長調」
私見ですが、いい意味でラフマニノフっぽさが希薄です。華々しく、豪放磊落。聞き終えた後に清々しさが余韻として残ります。
「No.16」:「13の前奏曲 第5番 ト長調」
印象派の手法を用いたような様相で、音響効果を期待したかのような雰囲気が素敵です。
とてもバラエティに富んだ楽曲群ですね。
20世紀の作品だからな。調性音楽のターニングポイントかもしれん。
【観想】同曲異演の魅力。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
「同曲異演」はクラシック音楽を鑑賞する楽しみですね。ある作曲家にフォーカスしてアルバムを集めると、どうしても楽曲が重複します。でも、それがきっかけで「同曲異演」の魅力に取り憑かれます。時代精神や趨勢、流行や演奏家の解釈により違いがあり、とても面白いです。
さて、「No.1」の「嬰ハ短調」の演奏時間を例に見てみましょう。
演奏家 | 演奏時間 | アルバム |
セルゲイ・ラフマニノフ | 3分44秒 | ラフマニノフ 自作自演集 |
セルゲイ・ラフマニノフ | 3分34秒 | ラフマニノフ 作曲/編曲集 |
デヴィット・ヘルフゴット | 4分36秒 | デヴィット・ヘルフゴット プレイズ ラフマニノフ |
アレクシス・ワイセンベルク | 5分4秒 | ラフマニノフ 前奏曲全集 |
アルバムを聴き比べて「おや?」とは思いますが、改めて数値で表すと明確になりますね。
ワイセンベルク氏の演奏についてライナーノーツ(許光俊氏著)では、「ルバートによってテンポを操作し、情感を高めたりもしないし、表情記号の表現については禁欲的で、ここぞとばかりに音楽を煽って頂点を築きもしない。このアンチ・クライマックスの態度はすぐれて20世紀的な意識によっているのではないか。」と考察しています。
19世紀の残香を纏ったラフマニノフの音楽が、確かに20世紀という前衛が台頭した時代に共生していたことが確認できますね。
音楽家の略歴です。
<略歴> セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ 【露】1873-1943 チャイコフスキーの影響を強くうけたモスクワ学派の様式を守り、ピアノ曲を中心にしたあらゆる分野の作品を残す。ロシア革命でスイスに亡命、その後はもっぱらピアノ・ヴィルトゥオーソとしてヨーロッパ、アメリカで活躍。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
聴き比べただけでも差が明確なのに、数値化すると尚更ですね。
だが、あくまで結果だ。本質は「演奏家の解釈」にある。その差が面白い。
【追想】楽譜の魅力。
見比べるのも一興です。
「ラフマニノフ 前奏曲集」(和田則彦[監修] ドレミ楽譜出版社)については、以前「ラフマニノフ 作曲/編曲集」で紹介させていただきましたが、今回は、「全音ピアノピース No.261 ラフマニノフ 前奏曲 嬰ハ短調」(全音楽譜出版社)も併せさせていただきます。まぁ、今後紹介する機会がないのです。
同じ作曲家の著作物なので、本質的な違いがあっては問題なのですが、印刷面の都合上で若干の相違点を見つけると興奮しますね。例えば、演奏記号のテヌートやアクセントの位置などに違いが見られます。「だからどうした」と言われれば元も子もないのですが、楽しいので仕方がありません。
楽譜をコンペアしだしましたよ。
音楽鑑賞ではないが、楽譜鑑賞といって良いのではないか。知らんけど。
【雑想】下手の横好き。(第19弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したラフマニノフの「前奏曲 嬰ハ短調」です。
【追想】で取り上げた楽譜の入力になりますね。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
雑談です。
久しぶりにCDを買いました。グレン・グールド氏演奏の「シェーンベルク ピアノ作品全集」(Sony Music Labels Inc.)です。いずれグールド氏か、シェーンベルクのアルバムを連続で紹介する時期が来ますので、その際に取り上げたいと思います。
ハイレゾ音源をデータで購入するようになってからは、滅多にCDを手にすることは少なくなっていたのですが、思わず買いました。物質的な感触は、やはり必要っぽいです。
長く続く趣味を持ちたいです。
ラフマニノフ編に戻ってきました。
そして、やはりピアノ曲です。そして「同曲異演」です。
「前奏曲 嬰ハ短調」の演奏時間を比較してみましたが、面白かったですね。やはり音楽は「再現芸術」であることを改めて実感しました。
では、また。
演奏家によって、演奏時間に差がでるものなのですね。演奏スタイルが関係するのでしょうか。
作品に取り組む姿勢だろうな。作品に対峙した際、どの要素を尊重するのかが大きく影響すると思うぞ。