こんにちは。はーねうすです。

今回は、「ラフマニノフ ピアノ ソナタ 第1番&第2番」を紹介します。ラフマニノフのピアノ ソナタは2曲だけなので全集という扱いにしたいのですが、第2番については初版と改訂版があるので、ちょっと苦しいですかね。いや、全集でしょう。

因みに、このアルバムに収録されている第2番は初版の方になります。

そして、ピアノ演奏はイディル・ビレット氏です。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

ついにピアノ・ソナタの紹介ですよ。

ラフマニノフに傾倒する切っ掛けになった楽曲だそうだ。

【着想】長大なソナタ。

「ラフマニノフ ピアノ ソナタ 第1番&第2番」のコンテンツです。

「ラフマニノフ ピアノ ソナタ 第1番&第2番」です。
ラフマニノフ ピアノ ソナタ 第1番&第2番 レーベル[NAXOS]

第1番と第2番、ともに規模が大きいですね。第2番については「長すぎる」という点を理由に、1931年に改訂版を出版していますね。

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1ピアノ ソナタ 第1番 ニ短調第1楽章:Allegro moderatoOp.28
2ピアノ ソナタ 第1番 ニ短調第2楽章:LentoOp.28
3ピアノ ソナタ 第1番 ニ短調第3楽章:Allegro moltoOp.28
4ピアノ ソナタ 第2番 変ロ短調 (オリジナル版, 1913)第1楽章:Allegro agitatoOp.36
5ピアノ ソナタ 第2番 変ロ短調 (オリジナル版, 1913)第2楽章:Non allegro – Lento – L’istesso tempoOp.36
6ピアノ ソナタ 第2番 変ロ短調 (オリジナル版, 1913)第3楽章:Allegro moltoOp.36

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.5」:「ピアノ・ソナタ 第2番 第2楽章」

推します。これだけは譲れません。

流麗と感傷の極みで、むせび泣きの音楽です。同じ音型のバリエーションで、とても豊かな音響が展開されます。第3楽章へシームレスで繋がるのですが、その予兆とでも言うかのように主題が回顧されます。素敵ですね。

<おすすめ度★★>

「No.6」:「ピアノ・ソナタ 第2番 第3楽章」

突如として訪れる激動、うねりのような波動、一転して凪。。。動静が絶え間なく、緩急が入り乱れたかのような波乱。情緒が乱れているような感じがとても良いですね。

「第2番」については、当ブログ「デヴィット・ヘルフゴット プレイズ ラフマニノフ」も併せてご覧いただけると嬉しいです。(こちらは改訂版の演奏です。)

<おすすめ度★>

「No.2」:「ピアノ・ソナタ 第1番 第2楽章」

穏やかで起伏の少ない歌といった印象で、美麗です。

ライナーノーツ(著者未記載)では、「素朴な聖歌の詠唱として」(管理者訳)と比喩しています。


「No.1」~「No.3」の「第1番 ニ短調」については、ソナタ形式という伝統への気負いのようなものを感じますね。古典的で浪漫的な部分がミックスされた感があります。とにかく長大で、いい意味で大仰です。

「ラフマニノフ ピアノ ソナタ 第1番&第2番」です。
ラフマニノフ ピアノ ソナタ 第1番&第2番 レーベル[NAXOS]

なんともセンチメンタルな曲調ですね。

ソナタ形式という伝統への崇敬と、浪漫的な傾向をミックスさせた結果だな。

【観想】形式の魅力。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

ソナタ形式は、西洋音楽の伝統の中で築かれた最もオーソドックスで、いかにも「クラシック音楽」といった形式ですね。

19世紀後期以降、徐々に形式主義的な美学への反発のようなムーヴメントから、ソナタ形式を取った作品は避けられているきらいがありますね。そんな中、20世紀に活躍したラフマニノフは、19世紀の香を残し、かつ古典の伝統であるソナタを作曲しています。時代精神には反するものの、20年近く後に改訂する姿勢には伝統への確かな覚悟を感じます。そこが魅力ですね。

因みに、同時代のスクリャービンも多くソナタを作曲していますが、別次元の音楽です。個性の塊です。いつか紹介します。

音楽家の略歴です。

<略歴> セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ
【露】1873-1943
チャイコフスキーの影響を強くうけたモスクワ学派の様式を守り、ピアノ曲を中心にしたあらゆる分野の作品を残す。ロシア革命でスイスに亡命、その後はもっぱらピアノ・ヴィルトゥオーソとしてヨーロッパ、アメリカで活躍。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

ソナタ形式って、クラシック音楽の根幹なのでしょうか。

音楽の典型で、時代を追って拡張されてきた形式だな。提示、展開、再現といった動機の有機的な活用に、手腕が発揮されるのだよ。

【追想】初版と改版。

楽譜で比較するのも魅力です。

「SERGE RACHMANINOFF SONATA NO.2, OP.36 ORIGINAL AND REVISED EDITIONS, COMPLETE」です。
SERGE RACHMANINOFF SONATA NO.2, OP.36 ORIGINAL AND REVISED EDITIONS, COMPLETE BOOSEY & HAWKES
「ラフマニノフ ピアノソナタ集 第1番・第2番[改訂版]」です。
ラフマニノフ ピアノソナタ集 第1番・第2番[改訂版] 平井丈二郞[校訂・解説] 全音楽譜出版社

「SERGE RACHMANINOFF SONATA NO.2, OP.36 ORIGINAL AND REVISED EDITIONS, COMPLETE」(BOOSEY & HAWKES)には、ピアノ ソナタ 第2番の、初版と改版が収められています。「長すぎる」という理由で改訂したとのことなので、単純にページ数を比較してい見ると、
・初版: 42ページ
・改訂版:30ページ
全く違います。興奮しますね。

また、「ラフマニノフ ピアノソナタ集 第1番・第2番[改訂版]」(平井丈二郞[校訂・解説] 全音楽譜出版社)では、「120小節ほど長さを減らし、単なる技巧的なパッセージを削除し、いくつかの箇所のテクスチュアを簡略化した。」とあります。より洗練された作品へと昇華した感を受けるのも頷けますね。

話は変わりますが、「BOOSEY & HAWKES」の楽譜には、初版のタイトル ページだけでなく、カバー ページの図案も掲載されています。とてもユニークな編集スタイルで、興奮しますね。

またコンペアしていますね。オリジナルと改訂版の比較のようですが。

ここまで来ると、音楽を追う以外の楽譜鑑賞も興味深く感じるな。

【雑想】下手の横好き。(第20弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したラフマニノフの「ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 第2楽章」の抜粋版です。

作曲家:セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ 作曲年:1913年/1931年 改訂

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

引き続き、ラフマニノフ編でした。

やっとピアノ・ソナタのアルバムを紹介できました。

ソナタは、クラシック音楽の中で、最も作曲家の手腕を遺憾なく発揮できる楽曲のひとつです。つまり腕の見せ所なのですね。

特に第1楽章で多く見られるソナタ形式は、提示部・展開部・再現部という明確な構成があります。その制約の中で、如何に魅力的な音楽が構築されているのかを聴くのが、醍醐味なのですね。

では、また。

ラフマニノフのピアノ・ソナタを1枚のCDで聴けるのは、嬉しいですよね。

特に第1番は貴重だな。演奏される機会も少ない分、録音されることも少なくなるからな。