こんにちは。はーねうすです。
今回は、ラフマニノフの「悲しみの三重奏曲 第1番&第2番」を紹介します。
ラフマニノフの室内楽で、ピアノ三重奏曲はこの2作品のみになります。なので、全集と位置づけても良いでしょう。
演奏は、ボザール・トリオです。
室内楽曲ですね。
ピアノ、ヴァイオリン、チェロの組み合わせで三重奏曲だな。
目次
【着想】規模の大きな三重奏。
「ラフマニノフ 悲しみの三重奏曲 第1番&第2番」のコンテンツです。
ピアノ三重奏曲というジャンルとしては、規模が大きい印象を受けます。CDジャケットの裏に記載されている各楽章の速度記号の量がエグいことになっています。ここではライナーノーツの掲載に倣い、冒頭と結尾の速度記号を記載させていただきます。
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | 悲しみの三重奏曲 第1番 ト短調 | 第1楽章:Lento ligubre ~ Alla marcia funebre | ― |
2 | 悲しみの三重奏曲 第2番 ニ短調 | 第1楽章:Moderato ~ Allegro moderato | Op.9 |
3 | 悲しみの三重奏曲 第2番 ニ短調 | 第2楽章:Quasi variazione (Andante ~ Tempo I ) | Op.9 |
4 | 悲しみの三重奏曲 第2番 ニ短調 | 第3楽章:Allegro risoluto ~ Moderato | Op.9 |
ちょっとして所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.2」:「悲しみの三重奏曲 第2番 第1楽章」
やはりおすすめは「No.2」~「No.4」の「第2番 ニ短調」ですね。荘厳で、重厚です。
ライナーノーツ(藁科雅美氏著)には、「チャイコフスキーの思いもかけぬ訃報に接したラフマニノフが、その日(11月6日)から12月27日までに書き上げた慟哭の作品」とあります。また、「クラシック音楽作品名辞典<改訂版>」(三省堂)には、「チャイコフスキーの死を悼んで作曲」とあります。副題として「偉大なる芸術家の思い出のために」が有名ですね。
そのためか、随所に葬送か鎮魂の意味合いが込められたかのようなモチーフがあります。
なかでも「No.2」の「第1楽章」は、陰鬱な雰囲気を纏ったヴァイオリンによる主題とピアノ伴奏が印象的です。そして徐々に勢いを増して感情の昂ぶりが垣間見られるも、すぐに鎮静化します。各楽器による掛け合いによるドラマチックな展開がとても魅力です。
<おすすめ度★★>
「No.3」:「悲しみの三重奏曲 第2番 第2楽章」
ピアノによる明快で優しげな旋律で歌われます。思い出を回顧しているような、まるで回想シーンのBGMのようです。その主題が衣替えをするかのようにコロコロと変奏され、回想を締めくくるかのように、静かな曲調の中で終わりを迎えます。
「No.4」:「悲しみの三重奏曲 第2番 第3楽章」
ピアノの激しく動的で重厚な導入と、一転して穏やかな主題を弦が奏でます。終曲に相応しく激情・慟哭の発露、悲哀・悲嘆の吐露といった感傷性があります。終盤は穏やかに締めくくられる葬送の音楽です。
<おすすめ度★>
「No.1」:「悲しみの三重奏曲 第1番 第1楽章」
単一楽章の作品ですね。各楽器の掛け合いを十二分に堪能できます。
確かに速度記号の表記がエグいですね。何段あるのでしょうか。
そこ気になっちゃう?。まぁ、変化に富んだ曲想だということは、一目瞭然になるな。
【観想】セッションの魅力。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
室内の魅力は、各楽器の掛け合いや調和、時には不調和にあります。印象に残りやすいモチーフが、楽器を変えて奏でられるのが良いですね。
管弦楽とは違い、各楽器がソロとしてメインパートを任される場合が多いので、その楽器特有の音色を堪能できるのも醍醐味です。
今回のアルバムでは、「No.1」の「第1番」が良い例ですね。単一楽章ということもありますが、三重奏曲の魅力が詰まっている感があります。とても明快なピアノによる第1主題は、ヴァイオリンとチェロに受け継がれてピアノは伴奏側に移り、続く穏やかな主題を弦のコンビで奏でて、そして劇的で激情の展開へ、といった具合に目まぐるしく曲調が変化し、それに伴って各楽器の掛け合いや、主と副の交代が鮮明になっています。
クラシック音楽に限らず、セッションは至極の一体感を堪能できる演奏スタイルでしょう。
音楽家の略歴です。
<略歴> セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ 【露】1873-1943 チャイコフスキーの影響を強くうけたモスクワ学派の様式を守り、ピアノ曲を中心にしたあらゆる分野の作品を残す。ロシア革命でスイスに亡命、その後はもっぱらピアノ・ヴィルトゥオーソとしてヨーロッパ、アメリカで活躍。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
小規模編成の室内楽曲って、掛け合いが良いですよね。
そうだな。小規模な分、各楽器の音色も際立つし、調和・不調和による音響効果の輪郭も明確だしな。
【追想】敬愛する先輩へのオマージュ。
音楽家の素敵な弔いです。
「No.2」~「No.4」の「悲しみの三重奏曲」は、ラフマニノフが敬愛するチャイコフスキーの訃報により、その弔いを込めた作品です。そのため葬送の色合いが濃いですね。とても心酔し、陶酔していた先輩へのオマージュとして形成されている感も強いです。
ライナーノーツ(藁科雅美氏著)には、「作曲の動機だけでなく、全曲の構成上でも、チャイコフスキーの『ピアノ三重奏曲』の姉妹作ともいえるものである。」とあり、「まったく類似の形態」に「個人に寄せる作曲家の深い惜別の情と、ありし日の思い出」が歌い綴られていると詩的に表現しています。
「伝記 ラフマニノフ」(ニコライ・バジャーノフ=著/小林久枝=訳 音楽之友社)には、「今聞こえるのは偉大な芸術家の思い出に今日でも今にでも作曲しようとしている、新しい追悼の三重奏曲なのだということに気がついた。(中略) 彼には鳥の飛び立つ様が、さっきからつかず離れずニ短調で鳴り続け、しだいに成長し広がっていく音楽の誕生とどこかつながるものがあるように思われた。」(130ページ抜粋)と物語調で記しています。
ラフマニノフにとってチャイコフスキーの存在がいかに巨大であったかが伺えます。
そして、そんな哀悼の念や意を、音楽という形で表現できる芸術家はとても素敵です。感服し、憧憬の気持ちを抱きます。
とても深い、リスペクトに根ざした楽曲なのですね。
作曲の動機を知る、重要なエピソードだな。
【雑想】下手の横好き。(第22弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
DAW(Digital Audio Workstation)でクラシック音楽を打ち込んだDTM(DeskTop Music)の作品を制作しています。
DAWで音楽を制作するDTMの楽しさが伝わればと思います。
下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
引き続き、ラフマニノフ編でした。
今回は室内楽でしたね。交響曲や協奏曲などに比べると派手さはありませんが、染み入る「渋さ」がありますね。
とくに、ピアノ、ヴァイオリン、チェロという組み合わせは王道ですね。クラシックの「トリオ(三重奏)」と聞くと、まずこの3楽器のセッションを思い浮かべますね。
さて、次でラフマニノフの回は一旦終了です。正確には「晩祷」もありますので、あくまで「一旦」です。
では、また。
ラフマニノフの室内楽でしたね。作品数は比較的少ないようですね。
ラフマニノフの場合、全体的に少ないからな。そういった意味でも室内楽曲を収録したアルバムは貴重といえるな。