こんにちは。はーねうすです。

今回は、ラフマニノフのチェロ作品を集めたアルバムの「チェロ・ソナタ 他」を紹介します。

前回に紹介したピアノ三重奏曲と同様、室内楽曲に分類されます。ラフマニノフの室内楽曲は寡作なので、貴重なアルバムともいえるでしょう。また、チェロ作品は網羅されていますので、全集と位置づけて良さそうです。

リン・ハレル氏のチェロと、ウラディミール・アシュケナージ氏のピアノで演奏を堪能できます。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介した楽譜からピックアップしていますので、是非お楽しみください。

室内楽曲ですね。チェロとピアノの編成です。

室内楽としては、とても相性の良い組み合わせだな。

【着想】歌う楽器の魅力。

「ラフマニノフ チェロ・ソナタ 他」のコンテンツです。

「ラフマニノフ チェロ・ソナタ 他」です。
ラフマニノフ チェロ・ソナタ 他 レーベル[LONDON]

このアルバムには、ラフマニノフが残したチェロ曲の魅力が詰まっています。歌う楽器の本領が発揮されていると言えるでしょう。

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1チェロ・ソナタ ト短調第1楽章:レント – アレグロ・モデラートOp.19
2チェロ・ソナタ ト短調第2楽章:アレグロ・スケルツァンドOp.19
3チェロ・ソナタ ト短調第3楽章:アンダンテOp.19
4チェロ・ソナタ ト短調第4楽章:アレグロ・モッソOp.19
5チェロとピアノのための2つの小品第1曲:前奏曲Op.2
6チェロとピアノのための2つの小品第2曲:東洋風舞曲Op.2
7ラフマニノフの主題によるメロディー (アルツシューラー編曲)
8ロマンス ヘ短調
9ヴォカリーズ
リン・ハレル (チェロ)、ウラディミール・アシュケナージ (ピアノ)

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.1」:「チェロ・ソナタ 第1楽章」

なんといっても「No.1」~「No.4」の「チェロ・ソナタ ト短調」ですね。全編が素晴らしいです。

ショパンが同様のソナタを、これまた同様のト短調で残しているので、いやでも比較してしまいますね。ピアノ・ソナタも同じ傾向が見られるので、意識はしていたと思います。さて。

特に「第1楽章」のノスタルジックで憧憬を惹起させる第1主題、切なさが込み上げる第2主題。とても分かりやすいモチーフで構成された主題が、展開部では大胆な変貌を遂げるのが聴き所です。再現部へ雪崩れ込むような音の洪水も良いですね。

「No.4」:「チェロ・ソナタ 第4楽章」

前楽章から一転して明るく高揚感を伴った導入のインパクトが強いですね。爽快感のある主題は聴いていてとても心地が良く、多様性に富んだ楽曲に感じます。終始動的で、末尾目前に一時空隙のようなチェロの囁きを挟み、その後一気呵成に結尾へ向かいます。終曲に相応しい盛り上がりに揺さぶられます。

<おすすめ度★★>

「No.2」:「チェロ・ソナタ 第2楽章」

リズミカルな主題と、歌唱のような主題の対比が際立っています。歌う楽器「チェロ」の真骨頂というべき主旋律に、ピアノの寄り添うような伴奏が素敵です。

「No.3」:「チェロ・ソナタ 第3楽章」

素朴な旋律が、極めて効果的にチェロの音域に適うようになっています。昂ぶりも程よく抑えられています。

全般的にラフマニノフ節は健在ですが、協奏曲などと比べるとどうしても地味な感は否めません。ですが、室内楽の醍醐味である掛け合いというセッションの魅力は存分に楽しめます。

<おすすめ度★>

「No.9」:「ヴォカリーズ」

歌曲のアレンジですね。単純に独唱パートをチェロが受け持ったというだけではなさそうですね。歌う楽器であるチェロの美しさを堪能できます。

ピアノ独奏用のアレンジについては、当ブログ「ラフマニノフ ピアノ作品集」で紹介していますので、合わせてご覧いただけると嬉しいです。

「ラフマニノフ チェロ・ソナタ 他」です。
ラフマニノフ チェロ・ソナタ 他 レーベル[LONDON]

チェロの響きって良いですし、ピアノの響きともマッチしますよね。

チェロの音域に依った、聴感上の効果だな。

【観想】多面的な音楽。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

「No.5」と「No.6」の「チェロとピアノのための2つの小品」は小品ながら、ピアノ曲の「楽興の時」か「前奏曲」をチェロでやってみせた感があり面白いです。特に後者は民族音楽的な舞曲で、東洋風と題されているとおり、どこかボヘミアンな感じがします。

そして、「No.7」の「ラフマニノフの主題によるメロディー」。正確にはチェリストのモデスト・アルツシューラーの作品のようですね。ライナーノーツ(高橋昭氏著)によると、「この曲は作曲家が数葉の紙片に書いた草稿を彼が演奏会用に写譜し、『ラフマニノフの主題に基づくメロディー、モデスト・アルツシューラーに捧げられ、彼によって編曲された』作品」と記しています。

ラストの「No.9」の「ヴォカリーズ」は同名の歌曲が有名ですね。このアルバムにあるチェロ版は、リン・ハレル氏による編曲です。

異国情緒な舞曲から、歌曲のチェロ・アレンジなど、多面的な音楽が楽しめます。

音楽家の略歴です。

<略歴> セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ
【露】1873-1943
チャイコフスキーの影響を強くうけたモスクワ学派の様式を守り、ピアノ曲を中心にしたあらゆる分野の作品を残す。ロシア革命でスイスに亡命、その後はもっぱらピアノ・ヴィルトゥオーソとしてヨーロッパ、アメリカで活躍。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

マイナーなのかもしれませんが、確かに曲想は豊かですね。

このように、アルバムで聴く機会に恵まれ、つくづく良かったと思うぞ。

【追想】歌曲のピアノ・アレンジ。

混合拍子に驚きます。

「Rachmaninoff VOCALISE TRANSCRIPTION POUR PAR ZOLTÁN KOCISIS」です。
Rachmaninoff VOCALISE TRANSCRIPTION POUR PAR ZOLTÁN KOCISIS EDITIO MUSICA BUDAPEST

「Rachmaninoff VOCALISE TRANSCRIPTION POUR PAR ZOLTÁN KOCISIS」(EDITIO MUSICA BUDAPEST)です。ハンガリーの楽譜出版社によるものですね。正直、いつ、どこで購入したのか記憶にないという。とにかく、ヴォカリーズのピアノ編曲版だということで狂喜したのは憶えています。ピアノ・アレンジは、ゾルターン・コチシュ氏です。(ハンガリーでは、姓名順に記載するのが慣習ですが、ここでは楽譜の表記に準拠しました。)

のっけから4拍子と2拍子の混合拍子で興奮します。また、四声が独立したような譜面は、眺めていて心地が良いです。そして、明らかに右手でオクターブ超えがあり、左手で補うのも不可能と思える箇所があります。どきどきします。

また、どこかでこのような楽譜に出会える旅をしたいと思います。

歌曲のピアノ編曲版ですね。アレンジャーによって違いがありそうですね。

無論だ。面白い発見もありそうな観点だな。機会があれば比較してみたいそうだ。

【雑想】下手の横好き。(第23弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★>で紹介したラフマニノフの「ヴォカリーズ(ピアノ独奏版)」です。

ピアノ独奏用の楽譜は、【追想】で紹介したゾルターン・コチシュ氏編曲版を使用しました。

作曲家:セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ (編曲:ゾルターン・コチシュ) 作曲年:1912

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

引き続き、ラフマニノフ編でした。

やはり、室内楽はいいですね。チェロが奏でる切ない旋律をピアノが支えている、といった印象を受ける箇所に遭遇すると、胸がキュッと締め付けられるような感傷に浸ってしまいます。

さて、今回で一先ずラフマニノフの回は一区切りです。

ラフマニノフ単独のアルバムでは、「晩祷」を残していますが、こちらについてはミサやレクイエムなどの宗教曲の回で紹介する予定です。

なんか色々と枯れ果ててきました。そんなときは音楽鑑賞です。そして、稚拙であっても創作です。長く続く趣味を持ちたいですね。

では、また。

ラフマニノフの作品紹介は、一区切りといったところですね。

そうだな。「晩祷」のように「ジャンルの区分」で紹介する場合はあるようだぞ。レクイエム・シリーズが待ち遠しいな。