こんにちは。はーねうすです。
今回は、「幻想魔神 ハチャトゥリアン ~ダークヒーロー風クラシック名曲集」を紹介します。以前に紹介した「交響戦艦 ショスタコーヴィチ」と「魔法革命 プロコフィエフ」と同じ「ネオ・クラシック主義」のシリーズですね。タイトルを見ただけで購入を決意です。
こういう遊び心に溢れたコンピレーション・アルバムを手にすると、幸せな感じになれますね。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介する楽譜からピックアップしていますので、是非お楽しみください。
また、例の変わり種ですね。
ユニークな切り口の元に集められた楽曲は、バラエティに富んでいるな。
★クラシック音楽の打ち込み音源がある回です。
目次
【着想】企画の大勝利。
「幻想魔神 ハチャトゥリアン ~ダークヒーロー風クラシック名曲集」のコンテンツです。
「ダークヒーロー風」と銘打っているだけあって、おどろおどろしく、また悪鬼羅刹でも待ち構えているのかと思わせる曲が目白押しですね。よくもまぁ、このコンセプトに適う曲を集めたものだと感嘆しっぱなしです。
No. | 作曲家 | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | カバレフスキー | 組曲「道化師」 | パントマイム | Op.26 |
2 | プロコフィエフ | バレエ音楽「ロミオとジュリエット」 | モンタギュー家とキャピュレット家(抜粋) | Op.64 |
3 | ハチャトゥリアン | バレエ音楽「ガイーヌ」 | 山岳人の踊り | ― |
4 | ショスタコーヴィチ | 交響曲 第10番 ホ短調 | 第2楽章 | Op.93 |
5 | ハチャトゥリアン | バレエ音楽「スパルタクス」 | ギリシャ奴隷の踊り | ― |
6 | ウォルトン | 管弦楽のためのパルティータ | トッカータ | ― |
7 | ボエルマン | ゴシック組曲(抜粋) | ― | ― |
8 | ハチャトゥリアン | 仮面舞踏会 | ワルツ | ― |
9 | 伝承曲 | 速いチャルダーシュ | ― | ― |
10 | ハチャトゥリアン | 舞踏組曲 | レズギンカ | ― |
11 | モーツァルト | 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 | 地獄落ちの場面 | K527 |
12 | ムソルグスキー | 交響詩「禿山の一夜」(原曲) | ― | ― |
13 | ブラームス | 弦楽六重奏曲 第1番 変ロ長調 | 第2楽章(抜粋) | Op.18 |
14 | レスピーギ | 交響詩「ローマの祭り」 | チルチェンチェス | ― |
15 | リスト | 死の舞踏(抜粋) | ― | S126/R457 |
16 | ベルリオーズ | 幻想交響曲 | 第5楽章:ワルプルギス(サバト)の夜の夢(抜粋) | Op.14 |
17 | ショスタコーヴィチ | 組曲「馬あぶ」 | 序曲 | Op.97a |
18 | フィンジ | 前奏曲 | ― | ― |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.18」:フィンジ「前奏曲」
アルバムの最後を締めくくるのに相応しく、落ち着いていて、感傷的になれる音楽です。まるで大きなタスクをクリアした後の、どこか寂しげな曲調が印象的です。
それまでの音楽が、RPGのボスクラスとの戦闘シーンや魔宮・伏魔殿を惹起させる激しく、重苦しい印象を持っていたので、その反動が凄まじいです。
フィンジといえば、「ピアノと弦楽のためのエクローグ」が有名ですが、負けず劣らず素敵な音楽です。
<おすすめ度★★>
「No.12」:ムソルグスキー「交響詩『禿山の一夜』(原曲)」
「原曲」と括弧書きで注釈を入れているのが気になるところですね。よく耳にするのは「リムスキー=コルサコフ編曲版」で、このアルバムに納められているのはムソルグスキーの原曲だそうです。
ライナーノーツ(著者未記載)によると、「リムスキー=コルサコフ編では曲の最後に朝日が差し込み悪魔が退散していく描写があるが、この原曲ではサバト(魔宴)のままで終結する。」と違いを記しています。機会があれば是非聴き比べたいですね。
<おすすめ度★>
「No.6」:ウォルトン「管弦楽のためのパルティータ」
動静が明確で、ドラマ性に富んでいます。中間辺りで差し込む静かな音楽が印象的です。
アルバムとしては全般的に有名どころのオンパレードですね。どこぞのCMか、銀盤で流れた曲など。。。
「どこかで耳にした」という心象は、その楽曲が記憶に残る衝撃や美麗を備えていたという実証になりますね。
原曲が管弦楽曲であっても、改めて管弦楽で編曲される場合もあるのですね。
この場合は、原曲というよりも原形だな。作曲家の没後、その意図を汲んで、原形を元に再編集と編曲がなされたといって良いだろう。
【観想】新たな発見。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
「No.7」の「ゴシック組曲」ですが、作曲家のボエルマンについて正直「誰?」となりました。浅学で申し訳ないのですが、まぁ、「誰?」でした。
ライナーノーツ(著者未記載)によると、「アルザス出身のオルガニスト」で「サン=サーンスを敬愛していた」とのこと。確かにサン=サーンスも自身の交響曲にオルガンを取り入れていましたね。
オルガンで奏でられる曲は、ゴシック様式に則った教会旋法で書かれています。しかし、一聴するとゴシック様式というよりもむしろ「ゴシック趣味」といった印象を受けますね。アニメーションなどで描かれるヴァンパイアの住まう館にでも居座ったかのような感覚に陥ります。
アルバムの帯にある「孤高のダークヒーロー」というコピーに見合った曲で、ファンタジックな空間にぽつねんとする感じを味わえます。
このようなアルバムに出会わなければ、一生聴く機会に恵まれなかったのでは、と思わずにはいられません。
音楽家の略歴です。
レオン・ボエルマン 【仏】1862~1897 ニデルメイエーエ音楽学校でジグーに学んだオルガニスト。室内楽曲、オルガン曲を残す。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より転載)
確かに、滅多に名前を耳にしない作曲家ですね。
未開拓の音楽に出会えるのも、このようなコンピレーション・アルバムの醍醐味だな。
【追想】ハチャトゥリアンのてんこ盛り。
スペクタクルな音符を堪能です。
「全音ピアノピース No.274 剣の舞」です。今回ご紹介したアルバムに「剣の舞」は収められていませんが、以前紹介させていただいた「交響戦艦 ショスタコーヴィチ」に収録されています。
紹介する機会を逸しそうでしたので、臆面もなくここで紹介します。
混合拍子や調性にとらわれない記譜にどきどきします。ピアノスコアなのですが、眺めていると管弦楽曲版が脳裏に浮かんでくる不思議さがあります。律儀に刻まれるリズム伴奏と、騒々しくけたたましい旋律が譜面にも滲み出ていますね。興奮します。
ハチャトゥリアン寄りのアルバムですが、配置の巧みさによりコンセプトの特色を際立たせた感があります。
確かに、調性記号はないですね。かといって無調音楽でもなさそうです。
近代音楽の特徴かもしれんな。調性にとらわれない自由な楽想を記すには、適した方法なのだろう。
【雑想】下手の横好き。(第24弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、【追想】で紹介したハチャトゥリアンの「剣の舞(ピアノ独奏版)」です。
結尾のトレモロがうまく対処できませんでした。如何にも打ち込みっぽくなっています。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
お楽しみの変則回でした。
この種のアルバムに出会うと、ウキウキと気持ちが弾みますよね。そして興奮します。
ひとつのコンセプトのもとに選曲し、配列や組み立てを勘案するのは想像以上にエネルギーが必要だと思わされます。感服しっぱなしです。
どのようなかたちであれ、音楽に触れる時間を多く持ちたいですね。
では、また。
またまた変則回でしたね。お気に入りのネオ・クラシック主義シリーズです。
今回はとりわけコンセプトと楽曲群がマッチした内容だったな。