こんにちは。はーねうすです。

今回は、ショパンの「ピアノ・ソナタ全集」を紹介します。ほとんど耳にする機会がない第1番が収録されているので、わくわくしますね。さすが全集です。

ピアノ演奏は、イディル・ビレット氏です。

さて、今回からショパンの作品が続きます。今更何を語ることがあるのか、という懸念もありますが、こんな楽しみ方もあるのかと少しでも思っていただければ幸いです。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

今回からは、ショパンの作品を扱うみたいですね。かろん師。

初回はピアノ・ソナタのようだな。音楽院生時分の作品もあり、聴き所満載だな。

【着想】形式と優美。

「ショパン ピアノ・ソナタ全集」のコンテンツです。

「ショパン ピアノ・ソナタ全集」です。
ショパン ピアノ・ソナタ全集 レーベル[NAXOS]

ショパンのピアノ・ソナタが網羅されたアルバムで、とりわけワルシャワ音楽院時代に制作された第1番が納められているのは、大変貴重だと思います。とてもフレッシュです。

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1ピアノ・ソナタ 第1番 ハ短調第1楽章:Allegro maestosoOp.4
2ピアノ・ソナタ 第1番 ハ短調第2楽章:MenuettoOp.4
3ピアノ・ソナタ 第1番 ハ短調第3楽章:LarghttoOp.4
4ピアノ・ソナタ 第1番 ハ短調第4楽章:FinaleOp.4
5ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調第1楽章:Grave – Dopplo movimentoOp.35
6ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調第2楽章:ScherzoOp.35
7ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調第3楽章:Marche funébre: LentoOp.35
8ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調第4楽章:PrestoOp.35
9ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調第1楽章:Allegro maestosoOp.58
10ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調第2楽章:Scherzo: Molto vivaceOp.58
11ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調第3楽章:LargoOp.58
12ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調第4楽章:Finale: Presto, non tantoOp.58

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.3」:「ピアノ・ソナタ 第1番 第3楽章」

魅力は5/4拍子という点です。このような変則的な拍子で書かれた楽曲に遭遇すると、とても興奮します。

ライナーノーツ(Keith Anderson氏著)でも「一般的でない5/4拍子と変イ長調で書かれている」と記しています。

5/4拍子で思い当たるのは、チャイコフスキーの「交響曲 第6番」の第2楽章や、ポール・デスモンドの「Take 5」ですね。

曲想いついては、「ショパン ソナタ集」(上代万里江氏[解説] 全音楽譜出版社)では「あまり特色がない」と記してはいるものの、その後のショパンの緩徐楽章を特徴付ける抒情性の片鱗を垣間見ることができます。

「No.1」~「No.4」の「第1番」は、ワルシャワ音楽院時代の制作ということもあり、先達の影響を受けながらも自身の個性を乗せようという貪欲さも伺えます。ロマン主義の時代、形式張った理論性よりも、自由闊達なイメージを発揮できる即興性・幻想性が好まれた時代にあって、ショパンのソナタは貴重と言えるかもしれません。

<おすすめ度★★>

「No.12」:「ピアノ・ソナタ 第3番 第4楽章」

安直な表現ですが、とても格好良い楽曲です。冒頭の序奏であるオクターブの跳躍を聴くと、非常に昂揚します。その後に続く本編への期待感が、否応なく増します。

主題は繰り返されるたびに伴奏の型が密に変奏されるので、スピード感が増したような興奮を覚えます。

<おすすめ度★>

「No.7」:「ピアノ・ソナタ 第2番 第3楽章」

「葬送行進曲」というタイトルで有名な楽曲ですね。単独で演奏される機会も多いです。

「第2番」の基調であり、基軸にもなる楽曲です。

「ショパン ピアノ・ソナタ全集」です。
ショパン ピアノ・ソナタ全集 レーベル[NAXOS]

第1番に着目ですね。音楽院生時代の作品なので、学習の域を出ていないと受け取られているようです。

演奏される機会も滅多にないな。そういう理由で、このアルバムは貴重だな。

【観想】ソナタの有機性。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

ソナタ形式の魅力は、全楽章に通底する主題による有機的な統一といえるでしょう。その論理的な構造の上にプラスして各作曲家の独自性が滲み出てくるのが面白いですね。

ショパンのソナタについては、「R.シューマンの語るところによれば『この曲をソナタと呼ぶのは気まぐれである。ショパンは四人の乱暴なこどもたちを、ただ一緒につなぎ合わせただけなのだ』と述べている。」(「ショパン ソナタ集」(上代万里江氏[解説] 全音楽譜出版社))という同時代の評価もあり、有機的な連関による統一性については、幾分希薄というのも否めないのかもしれません。だからといって曲想の魅力が損なわれる訳ではありません。

「No.5」の「第2番 第1楽章」は、第1主題の忙しない激情と、第2主題の落ち着いた抒情が印象的ですね。俗な表現をすると、格好良い

「No.7」の「第2番 第3楽章」のは一般的に、葬送行進曲として知られていて、第2番 ソナタの中核になっています。

「No.8」の「第2番 第4楽章」は無窮動の曲調で、調性崩壊の兆しが見られて面白いです。

「No.12」の「第3番 第4楽章」は、第3番を締めくくるフィナーレとして、とてもインパクトのある曲です。オクターブの跳躍が魅力の序奏と、疾走感と何処か焦燥感を掻き立てられる曲想が印象的です。そしてコーダ。とても華やかに終焉を迎えます。

ロマン主義時代のソナタには、形式にとらわれつつも個性を上乗せしようとする思惑に醍醐味を感じます。

音楽家の略歴です。

<略歴> フレデリック・フランソワ・ショパン
【ポーランド→仏】1810-1849
ワルシャワ音楽院でJ.エルスネルに学び、ピアニスト、作曲家として成功し、1830年ウィーンに演奏旅行。その直後ワルシャワに独立運動が起こったため、帰国せず、パリに出、以後もっぱらフランスを中心に活躍。ロマン派音楽におけるサロン風ピアノ作品を新しい境地に開拓して<ピアノの詩人>と呼ばれる。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

シューマンの評価が、なかなかに手厳しいですね。

文学にも傾倒していただけあって、シューマンの論評は表現が秀逸だな。

【追想】音符の宝庫。

譜例による主題と構成の解説が秀逸です。

「ショパン ソナタ集」です。
ショパン ソナタ集 上代万里江氏[解説] 全音楽譜出版社

「ショパン ソナタ集」(上代万里江氏[解説] 全音楽譜出版社)です。特に第2番の第1楽章と第3番の第4楽章に魅了されていたので、CDをかけてはひたすら目で追っていた記憶があります。また、主題の扱いについての丁寧な解説から、構造分析という着眼の面白さを勉強させていただきました。

目まぐるしい音符の数々に、軽く目眩を起こしそうになるのが良いですね。

片手でオクターブを超える和音を弾く箇所があり、しかもアルペジオの指示がないのを発見した際は、「どうやって弾くのだろう」という疑問とともに、興奮を憶えたものでした。

実際にピアノを弾けなくとも、視覚的に音楽を把握する目的で眺めるのも一興です。

ネウマ譜を起源とする、「音を記号化する」という偉大な発明に感謝です。

ネウマ譜って、何ですか。

そこ気になっちゃう?。9世紀頃に登場した聖歌(典礼音楽)の記譜法だな。音の高低を明示する譜線は、11世紀頃に形作られたようだな。

【雑想】下手の横好き。(第25弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★>として紹介したショパンの「ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 第4楽章」の抜粋版です。

作曲家:フレデリック・フランソワ・ショパン 作曲年:1844年

他作品も含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

今回からは、ショパン編になりますね。

音楽への趣味・趣向が「ピアノ」に偏重してしまっています。そのため、クラシックCDのアルバムを蒐集する場合、「ピアノが使用されているか否か」が基準となることが多いです。

さて、今回紹介したショパンのアルバムですが、「第1番」という幾分マニアックな楽曲が収録されている点も、食指が動いた点でもありました。

録音されることが稀少な作品が納められているのを見つけると、興奮しますね。

では、また。

ショパン編が始まりましたね。ピアノ・ソナタの全集ですね。

ショパンの他作品と異なり、どこか別格といった風格があるな。