こんにちは。はーねうすです。

今回は、ショパンの「即興曲/三つの新練習曲 他」を紹介します。メインは即興曲で、遺作である幻想即興曲を含めて全集扱いといって良いでしょう。

また、三つの練習曲は珍しいラインアップになるのではないかと思います。

ピアノ演奏は、アルトゥール・ルービンシュタイン氏です。

★打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

即興曲の全集ですね。

他にも、滅多に聴けない楽曲も収録されているな。

【着想】単品の梱包。

「ショパン 即興曲/三つの新練習曲 他」のコンテンツです。

「即興曲/三つの新練習曲 他」です。
即興曲/三つの新練習曲 他 レーベル[エコー・インダストリー]

単体として演奏される機会の多い、子守歌や舟歌が納められているのが嬉しいですね。ショパンのアルバムで、これらをタイトルとしているのは見かけたことがないので、ピンポイントで見つけるのは苦労しそうです。

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1即興曲第1番:変イ長調Op.29
2即興曲第2番:嬰ヘ長調Op.36
3即興曲第3番:変ト長調Op.51
4即興曲幻想即興曲 嬰ハ短調Op.66
5三つの新練習曲第1番:ヘ短調
6三つの新練習曲第2番:変イ長調
7三つの新練習曲第3番:変ニ長調
8ボレロOp.19
9タランテラOp.43
10子守歌Op.57
11舟歌Op.60
12アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ変ホ長調Op.22

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.11」:「舟歌」

詩的で雄大な様が聴いていて大変心地が良いです。

波間に揺れるゴンドラを想起させる定型的な伴奏と、その上に乗る歌というべき旋律が真にマッチしていますね。同じような伴奏とフレーズが続いているにも関わらず、聴いていて飽きが来ないのは、微妙に変化を加えられているからなのでしょう。

ライナーノーツ(響野鈴照氏著)にも、「短調にみえて実は微妙な変化に富む美しさを秘めている」と評しています。

「No.4」:「幻想即興曲 嬰ハ短調」

多く語る必要はないでしょう。

動的な荒々しさと静的な美しさを兼ねた作品ですね。特に主題であるうねりのような曲想は、旋律というよりも音の連なりとその余韻によって醸し出される音響と表現したほうがしっくりくる気がします。ロマン主義よりも印象主義に近い感じですね。中間部はいかにもショパンっぽいですね。コーダでその顔を覗かせるのもちょっとだけオシャレです。(あざといとも言えそう)

<おすすめ度★★>

「No.10」:「子守歌」

子守歌と銘打っていますが、歌唱っぽくはないので、曲調から連想されたタイトルなのかもしれません。終始一貫して一定の伴奏が続くのと、同型の旋律が装飾を施されて変奏する、とてもシンプルな曲で好ましいです。

<おすすめ度★>

「No.8」:「ボレロ」
「No.9」:「タランテラ」

「No.8」の「ボレロ」「No.9」の「タランテラ」といった単品は、ショパンに抱いているイメージを少しだけ変えてくれるのに適した作品といえるかもしれませんね。

「即興曲/三つの新練習曲 他」です。
即興曲/三つの新練習曲 他 レーベル[エコー・インダストリー]

ところで、即興曲ってなんですか。即興演奏のことでしょうか。

違う。以前にも説明した楽興の時と同じで、自由な形式の性格的小品だ。

【観想】大規模な楽想。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

「No.5」~「No.7」の「三つの新練習曲」のように、あまり聴く機会もない小規模な作品もあれば、「No.12」の「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」のように、管弦楽曲との協奏をピアノ独奏用にアレンジした大規模な作品も収録された、バラエティに富んだアルバムです。

とくに「No.12」は、豪華で豪奢、とても華やかな楽想です。無条件に高揚しますね。

有名なところでいえば映画「戦場のピアニスト」(ロマン・ポランスキー監督 / フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス合作 / 2002年)でしょう。エイドリアン・ブロディ氏演じるウワディスワフ・シュピルマンが、エンディングでオーケストラとともに演奏していたのが印象的ですね。「戦場のピアニスト」ではとりわけショパンの「夜想曲 第20番 嬰ハ短調」がメインテーマとして扱われていたので、そちらのイメージが強烈です。

ショパンの協奏曲スタイルは、管弦楽がピアノの伴奏扱いといったきらいがあるようです。ライナーノーツ(響野鈴照氏著)では、「『アンダンテ』部分はピアノの伴奏である上、『ポロネーズ』でも管弦楽は装飾的なものとして扱われている」とあり、そのため「ピアノ独奏曲」として演奏される機会が多いと考えられています。

管弦楽との協奏版と、ピアノ独奏版を聴き比べるのも楽しいと思います。

音楽家の略歴です。

<略歴> フレデリック・フランソワ・ショパン
【ポーランド→仏】1810-1849
ワルシャワ音楽院でJ.エルスネルに学び、ピアニスト、作曲家として成功し、1830年ウィーンに演奏旅行。その直後ワルシャワに独立運動が起こったため、帰国せず、パリに出、以後もっぱらフランスを中心に活躍。ロマン派音楽におけるサロン風ピアノ作品を新しい境地に開拓して<ピアノの詩人>と呼ばれる。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

ショパンの管弦楽って希少ですよね。

6曲程度だな。しかもすべてにピアノが絡むぞ。

【追想】ショパンの横顔。

詩人とは異なる一面にも魅力があります。

「ショパン ピアノ作品集」です。
ショパン ピアノ作品集 上代万里江[解説]  音楽譜出版社

「ショパン ピアノ作品集」(上代万里江[解説] 全音楽譜出版社)です。今回紹介したアルバムのうち、「No.8」~「No.11」の4曲が納められています。

特に「No.10」の「子守歌」と「No.11」の「舟歌」がいいですね。一見して左手の伴奏部分が同じ型を繰り返しているのがわかります。その上で右手パートの旋律が、徐々に装飾と変奏を加えて、黒玉の密集状態になる様に興奮します。

本筋からは離れますが「タランテラ」の解説で、「友人フオンタナにあてた手紙によると、ショパンはこの曲を出版社からの報酬を目あてに、ロッシーニの様式で作曲したことがわかる。」とあり、手紙にはロッシーニの歌曲集にあるタランテラと同じ拍子にしてほしい、と書いてあったそうな。売れっ子ロッシーニにあやかって、売れ線を狙ったともとれるエピソードで、とても興味深いすね。

そういえば確か、「ショパン―200年の肖像」という美術館展で、ショパンの直筆の手紙に、他作曲家への辛口コメントを見かけました。

また何かの書籍で見かけたのですが、ベルリオーズの作品を「五線譜の上にインクをランダムに落とした作品」というようなことを言っていたそうな。(時間を見つけて、出典を調べます。)
いずれにしても、ショパンに抱く勝手な聖人君子イメージを、いい意味で払拭できる逸話ですね。

逸話の出典ってわかったのでしょうか。

怪しいものだな。ただ、ショパンはベルリオーズに限らず、同時代の作曲家をあまり評価していなかったのは確かだぞ。同族嫌悪だな。

【雑想】下手の横好き。(第26弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したショパンの「幻想即興曲 嬰ハ短調」の抜粋版です。

作曲家:フレデリック・フランソワ・ショパン 作曲年:1834年頃

他作品も含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

引き続き、ショパン編でした。

ピアノの詩人であるショパンなので、音楽はピアノが中心になりますね。

今回紹介したアルバムは、どちらかというとマイナーな部類に入るかもしれませんね。

特に、「三つの新練習曲」は演奏される機会も少ないと思われます。なので、このようなアルバムで出会えると、とても興奮しますよね。

では、また。

ショパンの作品でも、マイナーな部類に入る作品があるのですね。

前回に紹介していたピアノ・ソナタ 第1番も同様だな。マイナーというよりは「演奏される機会が少ない」と評したほうが良さそうだな。