こんにちは。はーねうすです。
今回は、ショパンの「ピアノ・ソナタ 第2番 <葬送行進曲付き>/第3番/他」を紹介します。
ソナタについては、以前に当ブログ「ショパン ピアノ・ソナタ全集」で紹介させていただきました。また、「他」に含まれる「子守歌」「舟歌」も「即興曲/三つの新練習曲 他」で紹介させていただきました。ここでは同曲異演を堪能するのがメインになりますね。
ピアノ演奏は、マウリツィオ・ポリーニ氏です。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
またまたピアノ・ソナタですね。
定番の「同曲異演」だな。
目次
【着想】やはりソナタ。
「ショパン ピアノ・ソナタ 第2番 <葬送行進曲付き>/第3番/他」のコンテンツです。
ソナタ形式の魅力が、途方もない勢いで迫ってくる、そんな印象のアルバムです。ロマン派特有の抒情と幻想を備えた、自由な感じも良いですね。ベートーヴェンに代表される古典派のような、強固に統制された有機的な統一感が希薄でも、それを補ってあまりある情操があります。
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 | 第1楽章:Grave – Doppio movimento | Op.35 |
2 | ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 | 第2楽章:Scherzo | Op.35 |
3 | ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 | 第3楽章:Marche funébre. Lento – attaca: | Op.35 |
4 | ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 | 第4楽章:Finale. Presto | Op.35 |
5 | ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 | 第1楽章:Allegro maestoso | Op.58 |
6 | ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 | 第2楽章:Scherzo. Molto vivace | Op.58 |
7 | ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 | 第3楽章:Largo | Op.58 |
8 | ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 | 第4楽章:Finale. Presto, ma non tanto | Op.58 |
9 | 子守歌 変ニ長調 | ― | Op.57 |
10 | 舟歌 嬰ヘ長調 | ― | Op.60 |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.8」:「ピアノ・ソナタ 第3番 第4楽章」
これぞ終楽章、といった雰囲気をまき散らしているアタック感の激しい音楽です。前楽章が「Largo」という遅めのテンポなので、急速への極端な転換が一層に目立ちます。
序奏から引き込まれますね。オクターブの跳躍は、何かしら終楽章の持つドラマを予兆させています。また、全体的に支配的な、急き立てられるようなスピード感と、それに伴って惹起される焦燥感をもたらせる曲調が印象的です。そして、目まぐるしく動き回るパッセージに軽い目眩を覚えます。コーダに向かうにつれ、徐々に音符の密度が上がっていき、否応にも昂揚感が増していきます。
ライナーノーツ(萩原秋彦氏著)では、「主題は3度示されるが、最初は両手とも8分音符、2度目は左手が4連符、さらに3度目では16分音符に高潮される。これは秀逸な変奏曲であり、直観的なインスピレーションにも欠けていない。」と評しています。曲から得られる心理的な効果というものにも、確かな下地があることが知れますね。
<おすすめ度★★>
「No.1」:「ピアノ・ソナタ 第2番 第1楽章」
序奏部で展開される低音の重苦しいオクターブの打鍵と、高音の前打音を伴う和音が否応なく期待感を煽ります。
無窮動でリズムに特徴のある第1主題と、感傷的でどこか悲痛な第2主題のコントラストとバランスが良いです。その後に続くコーダも印象的です。
<おすすめ度★>
「No.10」:「舟歌」
とても壮大な楽曲であり、詩的な雰囲気に満ちています。
当ブログ「ショパン 即興曲/三つの新練習曲 他」でも紹介させていただきましたので、合わせてご覧いただけると嬉しいです。
所感が第3番の第4楽章だけでしたね。
圧巻だからな。
【観想】同曲の異演。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
ソナタについては、当ブログ「ショパン ピアノ・ソナタ全集」でも取り上げさせていただきました。
CDという記録媒体の性質(記録時間の制限)の都合上、どうしてもカットせざるを得ない点もあります。例えば、「ピアノ・ソナタ全集」に収録されていた「第2番」の第1楽章では、提示部の繰り返しが省かれ、そのまま展開部に突入していました。今回紹介したアルバムでは、楽譜の指示通りに1度繰り返しています。
音楽の本質とは異なりますが、このような違いを見いだすのも「同曲異演」の面白味ともいえるでしょう。
ショパンについては、色々な演奏家、プレーヤーが作品を残しています。演奏家・プレーヤーの個性、時代の趨勢や流行も踏まえて、それらを聴き比べるのも醍醐味といえるでしょう。
音楽家の略歴です。
<略歴> フレデリック・フランソワ・ショパン 【ポーランド→仏】1810-1849 ワルシャワ音楽院でJ.エルスネルに学び、ピアニスト、作曲家として成功し、1830年ウィーンに演奏旅行。その直後ワルシャワに独立運動が起こったため、帰国せず、パリに出、以後もっぱらフランスを中心に活躍。ロマン派音楽におけるサロン風ピアノ作品を新しい境地に開拓して<ピアノの詩人>と呼ばれる。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
記録媒体の都合による制限とは、ユニークな着眼点ですね。
レコードやCDなど、記録時間に制約がある媒体にとってはな。データ配信の時代にあっては、無縁なのかもしれんな。
【追想】音符に驚嘆。
視覚的にも楽しめます。
「ショパン ソナタ集」(上代万里江[解説] 全音楽譜出版社)です。
楽譜を通して見ると、ライナーノーツ(萩原秋彦氏著)で触れていた「No.8」(第3番の終楽章)の「秀逸な変奏曲」というものが、より明確になって面白いですね。確かに1小節当たりの音符の数が増え、密度も増しています。その分疾走感が徐々に増しているのがよくわかります。
「ショパン ソナタ集」でも、「主要主題は再現されるごとに伴奏型が速められていくような形となっている。」とあり、その特徴を端的に示しています。このような特徴から、聴者は昂揚感や焦燥感といった感覚を抱くのでしょう。
純粋に楽曲分析として、楽譜を眺めていますね。
ソナタ形式の楽曲は、アナリーゼには最適な素材なのだよ。
【雑想】下手の横好き。(第29弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したショパンの「ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 第4楽章」の抜粋版です。
他作品も含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
引き続き、ショパン編でした。
またまた、ピアノ・ソナタの紹介でしたね。そして、演奏家の解釈や技量による違いを堪能する「同曲異演」に焦点を当てた紹介でもありましたね。
試みとしては、「録音媒体の制限・制約」への着目でしたが、いかがでしたでしょうか。
配信などではまず発生しない、物理的な要素を持ったCDアルバムだからこその、相違点レビューになりましたね。
では、また。
同じ作品でも、演奏家が変われば趣も変わりますよね。
ショパンのように多くの演奏家が取り組む対象の場合は、尚更だな。