こんにちは。はーねうすです。
今回は、「名曲戦士 フォルテマン ~闘う大人のためのヒーロー風クラシック名曲集」を紹介します。Disc 2枚組の1枚目「DISC1 Mission 1 邪悪なストレスをやっつけろ!」を取り扱いますね。
以前に当ブログで紹介した「交響戦艦 ショスタコーヴィチ」「魔法革命 プロコフィエフ」や「幻想魔神 ハチャトリアン」と同じネオ・クラシック主義と銘打たれた、コンピレーション・アルバムです。
因みにこのアルバムは「TSUTAYA 限定発売」でした。
やっと来ました、変わり種アルバム、ですね。
コンセプト色は、他の「ネオ・クラシック主義」よりもおとなしめだな。
目次
【着想】企画の大勝利。
「名曲戦士 フォルテマン ~闘う大人のためのヒーロー風クラシック名曲集(DISC 1)」のコンテンツです。
DISC 1は、「Mission 1 邪悪なストレスをやっつけろ!」というサブタイトルが付せられています。ストレスフルな日常を、クラシック音楽のパワーでどうにかしようという意気込みが感じられる名称ですね。集められた楽曲群は、シンフォニックで迫力満載の豪胆な作品ばかりなので、「癒やす」というよりも「ねじ伏せる」という側に重心がありますね。
No. | 作曲家(編曲家) | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | 伊福部昭 | SF交響ファンタジー 第1番(抜粋) | ― | ― |
2 | プロコフィエフ | バレエ音楽「ロミオとジュリエット」 | モンタギュー家とキャピュレット家 | Op.64 |
3 | ハチャトゥリアン | 仮面舞踏会 | ワルツ | ― |
4 | ムソルグスキー (ラヴェル) | 組曲「展覧会の絵」 | バーバ・ヤガの小屋 | ― |
5 | リムスキー=コルサコフ | 歌劇「サルタン皇帝の物語」 | くまんばちの飛行 | Op.57 |
6 | プロコフィエフ | スキタイ組曲「アラとロリー」 | 邪神チュジボーグと魔界の悪鬼の踊り | Op.20 |
7 | ストラヴィンスキー | バレエ音楽「春の祭典」 | 第1部 春の兆し ~ 誘拐 | ― |
8 | ショスタコーヴィチ | 交響曲 第11番 ト短調「1905」 | 第2楽章(抜粋) | Op.103 |
9 | ホルスト | 組曲「惑星」 | 火星:戦争の神 | ― |
10 | グリーグ | 組曲「ペール・ギュント」第1番 | 山の魔王の宮殿にて | Op.46 |
11 | ムソルグスキー (リムスキー=コルサコフ) | 交響詩「禿山の一夜」 | ― | ― |
12 | エルガー | 戴冠式行進曲 | ― | Op.65 |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.10」:グリーグ「組曲『ペール・ギュント』第1番 『山の魔王の宮殿にて』」
オーケストレーションの面白さを存分に堪能させてもらえる作品です。
「組曲『ペール・ギュント』第1番」としては第1曲目の「朝」が有名でしょうが、敢えてこの曲をチョイスしたところに、このアルバムの本質が感じられますね。
特徴としては、やはり同じ音型の動機が、徐々にオーケストレーションによって膨んでいく様ですね。ラヴェルの「ボレロ」とはまた異なった趣の管弦楽法です。
そして、早まる速度と高まる音域ですね。限界ぎりぎりと言わんばかりの逼迫感が半端ないですね。曲名どおり、心理的な不安を掻き立てられる状況を端的に表現されています。
<おすすめ度★★>
「No.1」:伊福部昭「SF交響ファンタジー 第1番(抜粋)」
ご存じ映画「ゴジラ」(東宝)のメイン・テーマです。なんとも言えない昂揚感が良いですね。怪獣映画好きのDNAにインプリンティングされたかのような、聴くだけで映像までもがフラッシュバックされる曲です。混合拍子(変拍子)もいいですね。前衛音楽の魅力も満載です。
<おすすめ度★>
「No.7」:ストラヴィンスキー「バレエ音楽『春の祭典』第1部 春の兆し ~ 誘拐」
変拍子ということもあり、リズムが独特ですね。なかには11拍子という箇所もあります。原始の鼓動の表現というのが妥当でしょうか。とてもクセになりますね。
幾分同じシリーズと重複する楽曲も見受けられますが、企画に合致して、音楽的にも堪能できる仕様ですね。
「山の魔王の宮殿にて」からは、オーケストレーションの面白さが伝わってきますね。
因みに、ピアノ独奏版もあるぞ。楽譜もいつかは紹介されるだろう。
【観想】アレンジの魅力。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
「No.11」の「交響詩『禿山の一夜』」ですが、当ブログで紹介した「幻想魔神 ハチャトゥリアン ~ダークヒーロー風クラシック名曲集」でも収録されていました。
「幻想魔神 ハチャトゥリアン」では、「原曲」でしたが、今回紹介したアルバムではリムスキー=コルサコフによる編曲版ですね。前者のライナーノーツ(著者未記載)では、「リムスキー=コルサコフ編では曲の最後に朝日が差し込み悪魔が退散していく描写があるが、この原曲ではサバト(魔宴)のままで終結する。」と違いを記しています。
オーケストレーション(アレンジ)の差は構成の特徴にも現れているのか、原曲の方は幾分冗長な感じがしますね。実際収録曲の時間も原曲は「12:49」で、リムスキー=コルサコフ編は「10:49」で後者の方が短いのですが、前述のライナーノーツで知られるとおり内容の密度は後者の方が濃いです。
さて、このアルバムに納められている「No.4」を含む「組曲『展覧会の絵』」ですが、「交響詩『禿山の一夜』」と同じムソルグスキーの作曲で、編曲がラヴェル版になります。ところが、リムスキー=コルサコフの編曲による版もあるのです。面白いですね。一聴して両者の違いが理解できます。
このようにムソルグスキーの作品には、複数の作曲家がアレンジを施したくなるような魅力が溢れているといえるでしょう。かのドビュッシーもムソルグスキーを賞賛していたような、そんな記述を見た記憶があります。
音楽家の略歴です。
<略歴> モデスト・ペトロヴィッチ・ムソルグスキー 【露】1839-1881 ロシア国民楽派の<5人組>の一人。パデレフスキを中心としたグループ<5人組>に加わり、国民主義音楽の創造に積極的に取り組んだ。ダルゴムィジスキーの始めた朗唱様式を受け継ぎ、これを発展させて劇的なリアリズム芸術を完成。フランス近代音楽にも多大な影響を残す。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
「禿山の一夜」ですか。確か原曲は、タイトルが若干違ったような。
原曲というか、原形な。タイトルは「禿山のヨハネ祭りの夜」だな。
【追想】アレンジの勉強。
DTMでオーケストレーションを勉強です。
「DTM オーケストラサウンドの作り方 実践的作編曲のテクニック60」(永野光浩[著] Stylenote)です。単に打ち込み向きに沿った内容だけでなく、実際の楽器の構造や、ステージの配置などを考慮した音作りを解説されているので、驚くほどオーケストレーション(アレンジ)の勉強になります。
とくに興味を引かれたのは「ハープの仕組み」ですね。この本に出会わなければここまでハープについて知ることはなかったと思います。ハープの醍醐味であるグリッサンドについて、実際はどのような音階になっているのか、特性上どうしても発してしまう音や、ペダルの意味とか。。。とても面白いです。
DTMで作曲するのであれば、楽器の特性を考慮せずに「不可能音楽」も作り出せますが、下地として管弦楽法をある程度理解した上でチャレンジしてこその面白さなのだと、改めて楽典の基礎を学ぶ重要性を認識させられる一冊です。
冷静に考えると、PCって途轍もない機械ですよね。
当たり前になりすぎて、その有り難さをつい忘れてしまうな。無論、DTMもその技術上にあるのだからな。
【雑想】下手の横好き。(第30弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
DAW(Digital Audio Workstation)でクラシック音楽を打ち込んだDTM(DeskTop Music)の作品を制作しています。
DAWで音楽を制作するDTMの楽しさが伝わればと思います。
下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
さて、変則回でしたね。
今回紹介したアルバムは、NAXOSの「ネオ・クラシック主義」シリーズのなかでは、尖りが抑えられていた印象ですね。
企画としても「魔法革命」や「幻想魔神」と比べると、ストーリー性が欠けているというのが実直な感想ですね。
しかし、収録された楽曲はどれも勇壮で、「ストレスをやっつける」というコンセプトは堅守されていて、とても面白かったです。
「名曲戦士 フォルテマン」のDisc 2は、次の変則回で紹介させていただきますね。
では、また。
お楽しみの変則回でしたね。今回もネオ・クラシック主義シリーズの紹介でした。
2枚組で、それぞれコンセプトを変えているのが面白いよな。