こんにちは。はーねうすです。
今回は、「ショパン チェロ・ソナタ他」を紹介します。ショパンの希少な室内楽曲である、「チェロ・ソナタ」と「序奏と華麗なるポロネーズ」、加えてシューマンの「アダージョとアレグロ」が収録されたアルバムです。
演奏は、チェロのムスティスラフ・ロストロポーヴィチ氏とピアノのマルタ・アルゲリッチ氏です。
またまた室内楽曲ですね。
ショパンの室内楽曲は全6曲。そのうち最もメジャーなのがチェロ・ソナタだな。
目次
【着想】希少で貴重。
「ショパン チェロ・ソナタ他」のコンテンツです。
先述したとおり、ピアノ一辺倒であったショパンの室内楽曲はとても希少です。また、ショパンの作品群と比較して一段価値が低く評価されています。そのような中で「チェロ・ソナタ」は演奏の機会に恵まれた貴重な一作と言えるでしょう。
No. | 作曲家 | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | ショパン | チェロ・ソナタ ト短調 | 第1楽章:Allegro moderato | Op. 65 |
2 | ショパン | チェロ・ソナタ ト短調 | 第2楽章:Scherzo. Allegro con biro | Op. 65 |
3 | ショパン | チェロ・ソナタ ト短調 | 第3楽章:Largo | Op. 65 |
4 | ショパン | チェロ・ソナタ ト短調 | 第4楽章:Finale. Allegro | Op. 65 |
5 | ショパン | 序奏と華麗なるポロネーズ ハ長調 | Introduction. Lento – Alla Polacca. Allegro | Op. 3 |
6 | シューマン | アダージョとアレグロ 変イ長調 | Lamgsam, mit innigem Ausdruck – Rasch und feurig – Etwas ruhiger – Im ersten Tempo – Schneller | Op. 70 |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No. 2」:ショパン「チェロ・ソナタ 第2楽章」
主題の叩き付けるような打撃とは反する、トリオ部(中間)の優雅で優しく、伸びやかなフレーズが印象的ですね。チェロなどの弦楽器特有の持続性のある旋律が良いですね。ピアノの華麗なパッセージが見事に調和しています。
<おすすめ度★★>
「No.5」:ショパン「序奏と華麗なるポロネーズ」
チェロ・ソナタが全体的に仄暗さを纏っているのに対して、こちらはとても活発です。特にポロネーズ部で顕著になる、チェロとピアノの掛け合いも面白いですね。単に主旋律をチェロとピアノで交代しているだけのように思えるところもありますが、それぞれの特徴がうまく噛み合った感じがします。チェロらしい息の長いフレーズ、ピアノのきらきらと輝くような装飾性のあるパッセージが好印象です。
全体的に軽薄な感は否めないものの、作曲時19歳という若い時分のショパンの活力を窺い知れます。ライナーノーツ(小林利之氏著)では、「ショパンは、『ご婦人向きの、はなやかな効果をねらった、いわばサロン風の曲にすぎませんが・・・・・・』と述べている」とショパンの言を引用し、「チェロ向きの美しいメロディーと、いっそう華麗なピアノの燦めきの交錯」と評しています。
<おすすめ度★>
「No. 1」:ショパン「チェロ・ソナタ 第1楽章」
提示部の主題が如何にもショパンらしいです。陰鬱な第1主題と、抒情的な第2主題がコントラストはその証左と言えるでしょう。
おっと、ポロネーズが含まれていますね。ピアノ独奏以外では、あと1曲ありましたよね。
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズだな。ピアノと管弦楽の協奏スタイルだ。
【観想】侘びと寂び。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
チェロ・ソナタは、1847年に出版されています。ショパンにとっては晩年の作品になります。そのためか、作品が纏っている仄暗さに、枯れ行く寂しさのような感傷を見いだしてしまいます。また、時折覗かせる熱情的な部分との対比からは、作品に落とし込まれた作曲家の思念が潜んでいるように認識させられます。
「No.1」の「第1楽章」では、チェロが奏でる陰鬱な第1主題と、沸き立つ抒情の第2主題に、込み上げる切なさを感じます。
「No.3」の「第3楽章」では、アップダウンの少ない抑制の利いた曲調が、どこか鎮魂歌を思わせます。
そして「No.4」の「第4楽章 フィナーレ」も、ショパンの他作品の終楽章と比べても幾分華やかさを欠いている印象を受けます。
先述した「No.2」の「第2楽章」も合わさって、全体的に落ち着きのあるどこか達観した曲想に、侘びや寂びといった美意識を感じてしまいます。ライナーノーツ(小林利之氏著)でも、「ショパンの最後の大作に相応しいソナタ」と評しています。
音楽家の略歴です。
<略歴> フレデリック・フランソワ・ショパン 【ポーランド→仏】1810-1849 ワルシャワ音楽院でJ.エルスネルに学び、ピアニスト、作曲家として成功し、1830年ウィーンに演奏旅行。その直後ワルシャワに独立運動が起こったため、帰国せず、パリに出、以後もっぱらフランスを中心に活躍。ロマン派音楽におけるサロン風ピアノ作品を新しい境地に開拓して<ピアノの詩人>と呼ばれる。 (「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
侘びと寂びですか。晩年の作品という点に引きずられた観想かもしれませんね。
受容の課題だな。ショパンの「生への渇望」を見いだす音楽家もいるぞ。
【追想】再現の芸術。
ヴァイオリンとチェロの名盤が詰まっています。
「ヴァイオリン/チェロの名曲名演奏 弦楽器の魅力をたっぷりと」(渡辺和彦[著] 音楽之友社)です。コレルリの「ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 作品5-12『ラ・フォリア』」からブリテンの「無伴奏チェロ組曲 第1番 作品72」まで、古今の弦楽曲を紹介しています。加えて、推薦CDとして名盤を記載していますので、とても参考になります。
また「CDレーベル略号一覧」は、本書内での「略号」を補説しているだけでなく、レーベルの種類を確認できる機能もあり、とても重宝します。
ショパンのチェロ・ソナタについては、「じっさいこれはショパンの晩年を記念する作品で、その暗い情熱の高まりはすばらしく、チェロの技巧も存分に発揮されている。」(90ページ抜粋)と評しています。
さて、今回紹介したアルバムも紹介されています。「ロストロポーヴィチがマルタ・アルゲリッチと共演した録音の出現によって、この曲に再び光が当てられた。とにかくふたりの技術的な完成度が高いため、作曲者の晩年の孤独や失意より、もっと前向きな生への執着と意志、情熱などがひた押しに押し寄せてくる。」(90ページ抜粋)と記載しています。改めて音楽が再現芸術であることを認識させられますね。
この種の案内書は重宝しますよね。
作品選びの指標にもなるしな。
【雑想】下手の横好き。(第32弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
DAW(Digital Audio Workstation)でクラシック音楽を打ち込んだDTM(DeskTop Music)の作品を制作しています。
DAWで音楽を制作するDTMの楽しさが伝わればと思います。
下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
引き続き、ショパン編でした。
前回の「ピアノ三重奏曲」と同様、ショパンにとっては珍しい室内楽ですね。ただし、今回紹介した「チェロ・ソナタ」は30代後半の作品であり、この世を去る2、3年前という晩年に書かれた楽曲です。
ピアノ一筋といって過言ではないショパンの、到達した音楽観への回答が、室内楽という形でも結実していると思うと感慨深いものがありますね。
では、また。
ショパンの室内楽でも、メジャーな2作品ですね。
ショパンがピアノ以外で扱った独奏楽器はチェロだけだという点も汲み取れば、とても感慨深いアルバムだな。