こんにちは。はーねうすです。
今回は、「ブラームス:ピアノ協奏曲 第2番 & 哀悼の歌」を紹介します。
ドイツ・ロマン主義の魅力をたっぷりと備えた楽曲で、両曲ともに独奏部付きの大管弦楽曲といった様相です。
協奏曲の演奏は、ピアノがヴォルフガング・マインツ氏です。
合唱曲は、合唱指揮がコーネル・グロゼア氏、合唱がクラウゼンブルク・フィルハーモニー管弦楽団アカデミー合唱団です。
総合の指揮は、クリスティアン・マンデール氏、管弦楽は”ジョルジュ・エネスコ”ブカレスト・フィルハーモニー管弦楽団です。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
ブラームスの「ピアノ協奏曲」がメインのアルバムですね。
「哀悼の歌」も秀逸な傑作で、素敵なカップリングのアルバムと言えるぞ。
目次
【着想】極盛期の傑作。
「ブラームス:ピアノ協奏曲 第2番 & 哀悼の歌」のコンテンツです。
「ピアノ協奏曲 第2番」と「哀悼の歌」はともに1881年に完成した、ブラームスにとっては円熟の傑作です。
ドイツ・ロマン主義の最高峰といっても過言ではありません。
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 | I. Allegro non troppo | Op.83 |
2 | ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 | II. Allegro appassionata | Op.83 |
3 | ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 | III. Andante | Op.83 |
4 | ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 | IV. Allegretto grazioso | Op.83 |
5* | 哀悼の歌(悲歌) | ― | Op.82 |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.3」:「ピアノ協奏曲 第2番 第3楽章」
望郷的で郷愁感の強い、ノスタルジックでハートフルな楽曲です。
独奏のチェロで提示される牧歌的な主要主題は、管弦楽も加わりより郷愁感を増します。
そして、さり気なく登場するピアノの音色に胸を打たれます。素敵です。
中間部のピアニスティックな運動と管弦楽の掛け合いは、激情のぶつかり合いのようです。
後半では、ピアノによる独白のような演奏に寄り添う形でチェロが主要主題を奏でます。そこだけ抜き取っても、完成されたデュオの楽曲と遜色がありません。
そして管弦楽も加わり、ピアノによる装飾的な演奏によって優しく綴じられます。最高。
「No.1」:「ピアノ協奏曲 第1番 第1楽章」
雄大で豪胆でありながら、暖かみを感じさせる楽曲です。
伸びやかな管楽に追従するピアノで奏でられる導入部が印象的です。
一転して荒ぶる感情をあらわにしたようなピアノの走駆、管弦楽による豪快な主題の提示、ピアノによる主題の再提示など、協奏的な掛け合いがとても魅力的です。
少し長めのピアノ独奏からの展開部への導線が素敵で、ところどころに散りばめられた、ピアノによるチャーミングな旋律のも愛着が湧きます。
<おすすめ度★★>
「No.5」:「哀悼の歌(悲歌)」
優美な管弦楽に支えられた、合唱の音色に心が揺さぶられる楽曲です。
優しさに満ち溢れた管弦楽によるイントロダクション、女声合唱による夢見心地にさせる歌唱主題の提示、男声合唱の参入による勇壮さの増大など、代わりゆく様の演出に感動します。
シラーの詩の内容を知らなくても、歌唱の音色(声色や雰囲気)から、神聖な存在への畏敬と哀惜といった念が伝わってきます。
<おすすめ度★>
「No.2」:「ピアノ協奏曲 第2番 第2楽章」
ピアノ・ソナタのスケルツォ楽章をそのまま協奏曲に落とし込んだ感のある楽曲です。
ピアノ主導で提示されるスタイリッシュな主要主題や副次主題、ピアノに呼応する管弦楽という構成で一貫してます。
中間部では管弦楽主体による優雅なワルツが登場しますが、すぐさま反抗するようにピアノに受け継がるという演出が面白いです。
「No.4」:「ピアノ協奏曲 第2番 第4楽章」
ブラームスの多様な面を楽しめる楽曲です。
明るくコミカルなメロディーとリズムで構成される部位は、既存のブラームスの作品には見受けられないユニークさがあります。
反面、ハンガリアン・ダンスのような哀愁を感じさせる部位は、いかにもブラームスといった感があります。
いずれにせよ、従来のブラームス作とは一味違ったユニークさがあります。
両曲ともに「独奏部を伴った大管弦楽曲」といった傾向で、いかのもブラームスらしい処理がなされた傑作です。
とりわけ「ピアノ協奏曲 第2番」は、「ピアノ独奏付きの交響曲」といった感じもあります。この点については、ブラームス自身の「協奏曲形式」対する音楽理念が色濃く反映された結果ですね。
確か、「ピアノ協奏曲 第1番」も「ピアノ独奏付きの交響曲」と呼ばれていた気がします。
まさにその通りだな。ブラームスは意図的に独奏楽器と管弦楽を対等な立ち位置で扱ったようだぞ。
【観想】独奏部付きの交響曲。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
ブラームスは、「協奏曲」という形式で4作品を残しています。
作曲年代別に並べると、「ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調」「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調」「ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調」「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調」です。
これらの楽曲について、共通して言えるのは「独奏部付きの交響曲」ということです。
単に管弦楽のパートが重厚といっただけでなく、独奏楽器のパートとのバランスにも関係しています。
ブラームスはあえて、独奏楽器が華やかに演奏技術を繰り広げる「ヴィルトゥオーゾ・コンチェルト」を避けたきらいがあります。(無論、華麗な独奏部を貶めたというわけではありません)
「協奏曲形式」というよりも「交響曲形式で協奏的な楽曲を書く」といった狙いがあったように思います。
顕著に表れたのが、「ピアノ協奏曲 第2番」ですね。
第2楽章に「スケルツォ楽章」を起用し、4楽章形式で構成したのは端的に「交響曲をベースにした作曲」であることを主張しています。
19世紀の音楽美学者ハンスリックの弁でもありますが、このような姿勢も踏まえてブラームスを「絶対音楽・形式主義美学」の急先鋒っぽく捉えるかもしれませんね。
音楽家の略歴です。
<略歴> ヨハネス・ブラームス
【独】1833-1897
大バッハ、ベートーヴェンと並びドイツ音楽の「3B」と称される。初期にはピアノ曲、歌曲、室内楽曲を中心に作曲、後期は交響曲、協奏曲等の大作が多い。ロマン派音楽のなかにありながら純音楽の伝統に固執、歌劇や標題音楽は手掛けなかった。新古典派とも呼ばれ、形式主義美学を主張するE.ハンスリックから強く支持された。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
「絶対音楽」ですか。19世紀のロマン主義時代を特徴づけるキーワードですね。
その対照が「標題音楽」だな。代表的な作曲家としては、ベルリオーズ、ワーグナーが有名だな。
【追想】独奏部が映える交響曲。
ピアノ以外にも独奏的に活躍する楽器があります。
「ブラームス ピアノ協奏曲 第二番 変ロ長調 作品83」(全音楽譜出版社)です。
諸井三郎氏による、濃厚な解説が注目される楽譜です。譜例付きの解説が20ページ近くもあります。
各楽章の構造を、「部→群」といったように細分化して解説しています。
加えて、ブラームスの動機の操作やその展開を、譜例を用いて解説されていますので、とても分かりやすいです。
さて、肝心の譜面です。
「ピアノ協奏曲」なので、ピアノ用に独奏用の五線譜が割り当てられているのは当たり前ですが、ピアノ以外にの「Solo」と明示された楽器もあります。
第3楽章の「チェロ」ですね。「Violoncello Solo」と示されています。
譜面を見るまでもなく、楽曲を聴けばチェロの独奏が活躍していることが分かります。
ですが、譜面で「Soloと記されていること」、「独奏楽器として五線譜が割り当てられていること」を目にして、初めて「ブラームスの意図」が見えてくる気がします。
他にも、オーボエなど木管楽器に独奏的な役割を与えられてい楽章もありますが、「Solo」という割り当てはありません。
いかに第3楽章におけるチェロの存在が大きいかを示す証左ですね。
確かに第3楽章は、チェロの活躍が大きく感じますね。
部分によっては、チェロとピアノのデュエットのような箇所もあるぞ。
【雑想】下手の横好き。(第127弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したブラームスの「ピアノ協奏曲 第1番 第3楽章」のピアノとチェロのデュエットのような箇所の抜粋です。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
今回はブラームスでした。
ブラームスの楽曲の中でも、とりわけ「ピアノ協奏曲 第2番」に惹かれていました。
中でも「第3楽章」は、個人的にブラームス作の最高峰と思っています。
安らぎを感じる、本当に素敵な楽曲です。
次回は、エルガー編を予定しています。
では、また。
第3楽章は、重厚な楽章に設けられた、清涼所といった感がありますもんね。
ブラームスの「優しさ」が全面に現れた感があるよな。