こんにちは。はーねうすです。
今回は、「ある晴れた日に/ベスト・オブ・オペラ・アリア集(女声篇)」を紹介します。
女声アリアのみの、オペラのガラコンサートような内容のオムニバス・アルバムです。
有名な歌劇や楽劇で使用されているアリアばかりなので、とても耳に馴染みやすい楽曲ばかりです。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
変則回ですね。オペラの女声アリアばかりを集めたアルバムのようです。
オペラ自体も有名な作品ばかりなので、とても豪華なラインナップと言えるな。
目次
【着想】女声アリアの宝庫。
「ある晴れた日に/ベスト・オブ・オペラ・アリア集(女声篇)」のコンテンツです。
モーツァルト、ヴェルディ、プッチーニ、ワーグナー、etc…。古典からロマン主義のオペラのなかでも、とりわけ有名なアリアばかりが集められています。アリアを収めたオペラのタイトルを一覧するだけでも興奮してしまいます。
No. | 作曲家 | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | モーツァルト | 恋とはどんなものかしら (第2幕) | 「フィガロの結婚」より | K.492 |
2 | モーツァルト | 愛と喜びは露と消え (第2幕) | 「魔笛」より | K.620 |
3 | ロッシーニ | 今の歌声は (第1幕) | 「セビリアの理髪師」より | ― |
4 | ベルリーニ | 清らかな女神 (第1幕) | 「ノルマ」より | ― |
5 | ヴェルディ | 慕わしい人の名は (第1幕) | 「リゴレット」より | ― |
6 | ヴェルディ | ああ、そはかの人か……花から花へ (第1幕) | 「椿姫」より | ― |
7 | ワーグナー | 一人寂しく悲しみの日を<エルザの夢> (第1幕) | 「ローエングリン」より | ― |
8 | サン・サーンス | あなたの声に心は開く (第2幕) | 「サムソンとデリラ」より | ― |
9 | ビゼー | 恋は野の鳥<ハバネラ> (第1幕) | 「カルメン」より | ― |
10 | カタラーニ | さようなら、ふるさとの家よ (第1幕) | 「ワリー」より | ― |
11 | プッチーニ | 私の名はミミ (第1幕) | 「ボエーム」より | ― |
12 | プッチーニ | 歌に生き、恋に行き (第2幕) | 「トスカ」より | ― |
13 | プッチーニ | 私のお父さん | 「ジャンニ・スキッキ」より | ― |
14 | プッチーニ | ある晴れた日に (第2幕) | 「蝶々夫人」より | ― |
ちょっとした所感です。
<おすすめ度★★★>
「No.2」:モーツァルト「愛と喜びは露と消え (第2幕)」
絶望感に打ちひしがれる、感傷的な心境の吐露ともいった内容の楽曲です。
悲劇的で感情の昂ぶりが印象づけられる、起伏の激しい歌唱が特徴です。
「No.13」:プッチーニ「私のお父さん」
思いの丈を全部吐ききったかのような、豪快で感動的な楽曲です。
感情の昂ぶりが、次第に感動的な構造に変化するといった典型的なパターンでありながら、無条件に心が撃たれます。
「No.14」:プッチーニ「ある晴れた日に (第2幕)」
哀切と歓喜が入り混じった、複雑な心境を綴った楽曲です。
感動的な一場面を、独唱と管弦楽の起伏で描いた感動的な楽曲です。
歌唱と伴奏のバランスが見事な内容になっています。
<おすすめ度★★>
「No.1」:モーツァルト「恋とはどんなものかしら (第2幕)」
憧憬から来る希望にも似た感情を示した、明るい曲調の楽曲です。
可愛らしい歌唱と、管楽による特徴的なフレーズの組み合わせが特徴です。
「No.4」:ベルリーニ「清らかな女神 (第1幕)」
神々しい存在を、静粛として讃えるかのような楽曲です。
重厚な管弦楽と、高音域で歌われる序奏的な部位が特徴的です。
神聖で清澄な主要部は、合唱が加わることによって、より厳格な雰囲気に変化します。
「No.7」:ワーグナー「一人寂しく悲しみの日を<エルザの夢> (第1幕)」
悲哀と感傷に満ちた、エレジーのような楽曲です。
独唱で歌われるセンチメンタルな旋律と、管楽・ハープによる幻想的な装飾、管弦楽による穏やかな伴奏の組み合わせが素敵です。
「No.10」:カタラーニ「さようなら、ふるさとの家よ (第1幕)」
哀切に満ちた、感情の吐露が見事に旋律に載った楽曲です。
穏やかな線で結ばれる感傷的で悲哀のある旋律が、感情の昂ぶりで一気に爆発するような管弦楽の伴奏が素敵です。
「No.12」:プッチーニ「歌に生き、恋に生き (第2幕)」
哀歌のように、切なさが滲み出た楽曲です。
物悲しい感情の糸が、徐々にほどけていき、感を極めるような構図になっています。
「No.9」:ビゼー「恋は野の鳥<ハバネラ> (第1幕)」
熱量の高い、恋心を歌い上げた楽曲です。
起伏の激しい感情的な独唱と、呼応とも言うべき反響のような合唱との掛け合いがとても熱い内容になっています。
<おすすめ度★>
「No.8」:サン・サーンス「あなたの声に心は開く (第2幕)」
沈鬱な心情が徐々に解かれて、少し前向きになるかのような演出の楽曲です。
重苦しい前半とは対照的に、後編では歌唱、管弦楽の伴奏ともどもが軽やかに、かつ力強い様相に変貌します。
「No.3」:ロッシーニ「今の歌声は (第1幕)」
好奇の感情を抱いたかのような、明るい曲調の楽曲です。
歌唱上の技術がふんだんに詰め込まれた感のある内容になっています。
「No.5」:ヴェルディ「慕わしい人の名は (第1幕)」
秘めた想いを綴ったかのような、愛らしい楽曲です。
キュートな歌唱旋律が印象的です。
「No.11」:プッチーニ「私の名はミミ (第1幕)」
愛らしい歌唱が特徴の楽曲です。
独り言に合わせて、まるで鳥が相槌を打つような管弦楽とのデュエット的な部位が可愛らしいです。
後半は一転して感動的な合奏になります。
「No.6」:ヴェルディ「ああ、そはかの人か……花から花へ (第1幕)」
力強く、移ろいゆく心境を表わしたかのような、ドラマティックな楽曲です。
アリア単独でも十分に商品として成立するすごさが、オペラという形式にあることを改めて実感する内容でした。
CMやドラマ、映画などでも使用されていた楽曲が多いですよね。
耳に残りやすい、キャッチなフレーズの楽曲が多いからだからだろうな。
【観想】イタリア・オペラのヴェリズモ。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
今回紹介したアルバムには、イタリアの作品が多く収められています。
「オペラ=イタリア」とった音楽史的な見方は大凡誤りではなく、事実「オペラはイタリア語劇かイタリア語に改めたテキスト」という慣例がありました。
その慣例を打ち破ったのがモーツァルトなのですが、それでもなお「オペラ=イタリア」という傾向は、ワーグナーやR.シュトラウスの登場まで強く残りました。
だからといって、悪習という訳ではありません。あくまでオペラの「土壌」としてイタリアがベスト・マッチしていた、という歴史にあります。
イタリアでは音楽のみならず、様々な芸術が花開いた土地でもあり、相互に影響しあっています。
古代ローマ、ルネッサンスについて語るまでもありませんね。そのため、芸術運動の主導的立場にイタリアがあった、という歴史があります。
話が逸れました…。
イタリアの音楽について言えば、19世紀後期に登場した「ヴェズリモ」という文学上の運動に影響を受けています。
その運動や活動を見事に作品へと昇華したのがプッチーニです。
今回紹介したアルバムでも、プッチーニ作が4曲も収められています。
土地柄、地域性に基づく文化も含めて、歌劇や楽劇を楽しみたいですね。
音楽家の略歴です。
<略歴> ジャコモ・プッチーニ
【伊】1858-1924
イタリア・ロマン派歌劇におけるヴェルディに続く世代の最大の作曲家。教会オルガニストを務めながら教会音楽を作曲。のち、歌劇の作曲家として方向を見いだした。19世紀末のヴェズリモの影響も多分にうけながら、リアリティをもった作風を完成。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
ヴェズリモって、何でしたっけ。
芸術におけるリアリズム運動だな。19世紀末のイタリアで隆盛した文学上の理念だな。散文文学での活動が発端だと言われているな。
【追想】オペラの入門ガイド。
原作との比較でオペラという形式美に触れられます。
「おとなのための『オペラ入門』」(中野京子[著]/講談社+α文庫)です。
ドイツ文学・西洋文化史の研究家である中野京子氏による、オペラの入門ガイド的な書籍です。
対象としては、ロッシーニの「チェネレントラ(シンデレラ)」、ヴェルディの「椿姫」、オッフェンバックの「ホフマン物語」、ビゼーの「カルメン」です。
中野京子氏といえば、「怖い絵」シリーズを手掛けたことで知られています。
美術の作品への精密なアプローチも然る事ながら、語り口としての文筆も傑出しています。
本著では、オペラの入門ガイド的なコンセプトもあり、「質疑応答型の構成」といったユニークな仕様になっています。
オペラ初心者と熟練者の会話劇っぽい入りから、徐々に作品をクローズアップしていきます。
何よりも特筆すべきは、原作と歌劇のテキストとの比較ですね。文化史研究家の真骨頂とも言うべき鮮やかな分析がなされています。
それにより、「オペラ」という総合芸術の特異な点であり、醍醐味を露わにしています。
とてもライトな感じで楽しめる著書です。まさに入門には打って付けですね。
Q&A的な形式で入るので、とても読みやすく感じます。
読者の疑問点を代弁するテクニックだな。オペラに抱いていた概念的な「?」を見事に言語化していると言えるな。
【雑想】下手の横好き。(第126弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したプッチーニの「私のお父さん」のピアノ・アレンジ版です。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
今回は変則回でした。
オペラの有名どころを知りたい、といった助平心で購入したアルバムです。
歌劇作曲家の曲想の豊富さに驚かされる、といった結果を得られて大満足でした。
加えて、モーツァルトの歌劇について、興味を抱く切っ掛けにもなりました。
次回は、ブラームスのピアノ協奏曲 第2番を紹介する予定です。
では、また。
歌劇や楽劇は、なかなか手が出せませんよね。
前提として「舞台劇」だからな。舞台や映像で鑑賞することが最適解だからな。結果として、時間と財産を投下する必要があるからな。