こんにちは。はーねうすです。
今回は、「モーツァルト:歌劇≪魔笛≫(全曲)」を紹介します。
普段とは趣向を変えて、「モーツァルト:歌劇≪魔笛≫(全曲)」の全トラックを数回に分けて紹介します。
今回は、第1幕の「序曲」、「第1場」から「第3場」までを取り扱います。
モーツァルトにとっては、畢竟の作品とも言える歌劇≪魔笛≫です。全編に鏤められた、モーツァルトの音楽語法が堪能できます。
演奏は、指揮がサー・ゲオルグ・ショルティ氏、ウィーン・ハーモニー管弦楽団です。
★打ち込みクラシック
DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。
モーツァルトの「魔笛」ですね。有名な楽曲が多いですよね。
「レクイエム」と並んで、モーツァルト最晩年の大作としても名高いな。
【着想】神童の集大成。
「歌劇≪魔笛≫(全曲)」のコンテンツです。
モーツァルトは35年という短い生涯の中で、21曲もの歌劇を手掛けています。「歌劇『魔笛』」は、その最後を彩る集大成とも言えるオペラになっています。
今回は、「序曲」「第1場」「第2場」「第3場」を収めたトラックを紹介します。
CD1
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | 序曲 | KV.620 |
2 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | タミーノ:助けてくれ、殺される | KV.620 |
3 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | パパゲーノ:俺は鳥刺しさまだ | KV.620 |
4 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | タミーノ:この肖像の魅するような美しさは | KV.620 |
5 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | 夜の女王:慄えないで、私のかわいい息子よ | KV.620 |
6 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | パパゲーノ:フム、フム、フム | KV.620 |
7 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | モノスタトス:かわい子ちゃん、お入り | KV.620 |
8 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | パミーナ:愛を感じる男なら | KV.620 |
9 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | 3人の童子:この道の先に目的地があります | KV.620 |
10 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | タミーノ:あの童子たちの賢い教えを | KV.620 |
11 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | 弁者:どこへ行くつもりか、不適な若者よ | KV.620 |
12 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | タミーノ:ああ、何と強力な魔法の音か | KV.620 |
13 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | パミーナ、パパゲーノ:足は速く、心は勇気 | KV.620 |
14 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | 合唱:ザラストロ、万歳 | KV.620 |
15 | 歌劇≪魔笛≫ 第1幕 | パミーナ:私は悪いことをいたしました | KV.620 |
16 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その1) | 僧侶の行進 | KV.620 |
17 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その1) | ザラストロ:おお、イシスとオシリスの神よ | KV.620 |
CD2
No. | 曲名(1) | 曲名(2) | 作品番号 |
1 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その1) | タミーノ:恐ろしい夜だ。パパゲーノ! | KV.620 |
2 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その1) | 2人の僧侶:女の奸計に気をつけよ | KV.620 |
3 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その1) | 3人の侍女:どうしたのです | KV.620 |
4 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その1) | モノスタトス:誰にも恋の喜びはある | KV.620 |
5 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その1) | 夜の女王:地獄の復讐がこの胸にたぎる | KV.620 |
6 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その1) | ザラストロ:これらの聖なる御堂の中では | KV.620 |
7 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その1) | 3人の童子:もう一度歓迎の言葉を申し上げます | KV.620 |
8 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その1) | パミーナ:ああ、私には判る、すべては消え | KV.620 |
9 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その1) | 僧たち:おお、イシス、オシリスの神よ、何たる喜び! | KV.620 |
10 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その1) | パミーナ:私たちは、もう会えないのですか | KV.620 |
11 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その1) | パパゲーノ:かわいい女の子をパパゲーノはほしいよ | KV.620 |
12 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その2) | 3人の童子:間もなく夜明けを告げる太陽が | KV.620 |
13 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その2) | パミーナ:だから、あなたが私の花婿ね | KV.620 |
14 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その2) | 2人の鎧の男:苦難に満ちたこの道を旅する者は | KV.620 |
15 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その2) | パミーナ:ああ、タミーノ、何という幸せ | KV.620 |
16 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その2) | タミーノ、パミーナ:ぼくらは炎の中をくぐり抜けた | KV.620 |
17 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その2) | パパゲーノ:パパゲーナ、パパゲーナ、パパゲーナ | KV.620 |
18 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その2) | パパゲーナ、パパゲーノ:パ、パ、パ、パ | KV.620 |
19 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その2) | モノスタトス:さあ、静かに、静かに | KV.620 |
20 | 歌劇≪魔笛≫ 第2幕(その2) | ザラストロ:太陽の光は夜を追い払った | KV.620 |
ちょっとした所感です。
<CD1_トラック_01>
「CD1_No.1」:「序曲」
物語の開幕を告げる、重要なポジションを占める楽曲です。
厳かな雰囲気を醸すファンファーレのような序奏が印象的です。
忙しなく動き回る管弦楽と、フルートで奏でられる繊細なモチーフで綴られる、どこかユーモラスな主要主題が、物語の特徴を提示します。
中盤では序奏と主要主題が短調に色合いを転換し、進行します。
せかせかと旋回するような管弦楽の上にフルートが載り、終盤では元の位置に回帰して、綺麗に着地します。
これから始まる物語への期待感が否応なく高められます。
<CD1_トラック_02>
「CD1_No.2」:「タミーノ:助けてくれ、殺される」
心理的な恐怖と物理的な滑稽を対照的に演出した、ユーモラスな楽曲です。
脅迫的な重みを載せた管弦楽に合わせて、命の危機感を真に迫った男声独唱で演じる冒頭。幾分柔和な響きの管弦楽に合わせて、コミカルなタッチで綴られる女声独唱と女声重唱で演じる部分。それらで織りなされる対照的な構造がユーモラスです。
<CD1_トラック_03>
「CD1_No.3」:「俺は鳥刺しさまだ」
愉快げな管弦楽と、ユニークな笛の音をお供に、男声独唱で綴られる独白のような楽曲です。
その後は、対話劇で展開されます。
主要なキャラクターである、タミーノ、パパゲーノ、3人の侍女の性格描写のような場面です。
作者、演者および演奏家のリストです。
- 音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
- 台本:エマヌエル・シカネーダー
- 夜の女王:スミ・ジョー(ソプラノ)
- パミーナ:ルート・ツィーザク(ソプラノ)
- タミーノ:ウヴェ・ハイルマン(テノール)
- パパゲーノ:ミヒャエル・クラウス(バリトン)
- パパゲーナ:ロッテ・ライトナー(ソプラノ)
- 第1の侍女:アドリアンヌ・ペジョンガ(ソプラノ)
- 第2の侍女:アネッテ・キューテンバウム(ソプラノ)
- 第3の侍女:ヤルト・ヴァン・ネス(メッゾ・ソプラノ)
- ザラストロ:クルト・モル(バス)
- モノスタトス:ハインツ・ツェドニク(テノール)
- 弁者:アンドレアス・シュミット(バス)
- 合唱:ウィーン国立歌劇合唱団 / 合唱指揮:ヘルムート・フロシャウアー
- 合唱:ウィーン少年合唱団 / 合唱指揮:ペーター・マルシキ
- フルート・ソロ:マインハルトニーダーマイヤー
- 演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- 指揮:サー・ゲオルグ・ショルティ
以上、敬称略。
序曲が華やかで良いですね。
「皆様に楽しいお時間をご提供します。」とモーツァルトから語りかけられている気分になるよな。
【観想】序盤の鉄則。
魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。
今回は、「歌劇≪魔笛≫」の第1幕から、「序曲」「第1場」「第2場」「第3場」を含むトラックを紹介しています。
ここでは、「モーツァルト オペラ≪魔笛≫序曲 KV620」(藤原順[解説] / 全音楽譜出版社)および「オペラ対訳ライブラリー モーツァルト 魔笛」(荒井秀直[訳] / 音楽之友社)を参考に、各場を紹介してみたいと想います。
「第1幕 序曲」
「歌劇≪魔笛≫」のオープニングを彩る「序曲」は、本編の完成後に書かれています。言い換えると、「モーツァルトが生涯の最後に書いた歌劇用の作品」と言えます。
歌劇本編のあらすじを示すように、展開していきます。
開幕を示すようなファンファーレ。楽しげで愉快な調子から、陰を落としたような陰鬱な調子に転じて回帰するという展開を見せます。
歌劇という形をとった物語の、寓意的、暗示的で神秘的な雰囲気を見事に提示しています。
「第1幕 第1場」
導入的な役割を担う場面で、主要なキャラクターであるタミーノと、三人の侍女が登場します。
アリア「助けてくれ、殺される。」が歌われる場面でもあります。
蛇に襲われそうになったタミーノを、三人の侍女が助ける一場面をユーモラスに描いています。
三人の侍女の掛け合いから、「女王様」というキーワードが早くも登場します。
「第1幕 第2場」
主要なキャラクターであるパパゲーノが登場する場面です。
アリア「俺は鳥刺しさまだ。」が歌われる場面でもあります。
後半では、パパゲーノとタミーノの掛け合いがあり、そこでタミーノが「王家の者、王子」という素性が判明します。
パパゲーノとタミーノという対照的なキャラクターを描いた、性格描写的な役割を担った場面です。
また、「星の輝く夜の女王」というキーワードがパパゲーノから発せられます。
「第1幕 第3場」
タミーノとパパゲーノ、そして三人の侍女が登場する場面です。
アリアはなく、会話劇で進行します。
ここで、パパゲーノと三人の侍女が関係性がユーモラスに描かれます。とりわけパワーバランスを表わしたかのような言葉運びが面白いですね。
そして、この物語における「夜の女王」という存在のキャラクター性が、徐々に露わになってゆきます。
キャラクターのちょっとした感想。
- タミーノは、生真面目で、どこか融通の利かないイケメン王子。
- 三人の侍女は、我欲に正直な可愛らしミーハー女子。
- パパゲーノは、トリックスターの素質を持つお調子者。
音楽家の略歴です。
<略歴> ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
【墺】1756-1791
古典派の典型をなす作曲家。早熟の天才であり、35歳で夭逝。'84年フリーメーソンに加盟、その活動が作品にも投影する。1770年代初めまでの初期の作品には前古典派およびイタリア古典派の影響が強く見られるが、中期には典雅なギャラント様式、マンハイム楽派の様式を採り入れ、30歳以後の後期ではバロック音楽への傾倒も加わって、古典美のなかに深遠な表情をもつようになった。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)
「第1幕」の「第3場」までの紹介ですね。いかにも導入っぽい場面設定ですね。
「第1幕」は「第19場」まであるからな。序盤中の序盤ということもあって、登場するキャラクターたちの性格描写を兼ねた役割もあるな。
【追想】モーツァルトのエッセンス。
歌劇の魅力が詰め込まれています。
「モーツァルト オペラ≪魔笛≫序曲 KV620」(藤原順[解説] / 全音楽譜出版社)と「モーツァルト 歌劇≪魔笛≫」(青島広志[解説・ピアノ編曲] / 全音楽譜出版社)です。
前者は、「歌劇≪序曲≫」のフルスコアです。
藤原順氏による丁寧な解説が素晴らしいです。
モーツァルトの生涯を解説する流れから、「歌劇≪魔笛≫」の誕生を見事に溶け込ませています。
「歌劇≪魔笛≫」が、モーツァルトの集大成であることが強く印象づけられる文面に感動します。
また、楽曲解説では、歌劇本編で使用されているモチーフとの結びつきや関連性を、譜例付きで紹介されているので、とても勉強になります。
後者は、青島広志氏の「歌劇≪魔笛≫」に寄せる情熱や愛情が強く印象付けられる内容になった、ピアノ編曲のスコアです。
物語のあらすじや楽曲解説に加え、ピアノ・スコアへのアレンジの工夫点や演奏上の留意点を丁寧に説明されています。
今回紹介した場面からは、「俺は鳥刺しさまだ」(CDアルバムの曲名で、全音楽譜出版社版の曲名は「私は鳥刺し」)が収録されています。
音楽を聴きながら、楽譜を眺めるのは楽しいですね。
「序曲」のようなフルスコアもいいですが、ピアノ用に編曲されたスコアもいいですね。楽曲における要点が集約されているように感じます。
「序曲」とピアノ用にアレンジされた「アリア」ですね。
オペラの場合は、台本を追うのも楽しいぞ。
【雑想】下手の横好き。(第134弾)
クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。
「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。
今回は、第1幕 第1場のアリア「俺は鳥刺しさまだ」*のピアノ編曲版です。
*: 全音楽譜出版社で掲載の曲名は「私は鳥刺し」です。
他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。
・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
・ミュージック(クラシック_03)
クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。
長く続く趣味を持ちたいです。
今回から趣向を変えて、モーツァルトの「歌劇≪魔笛≫」を数回に分けて紹介することにしました。(いずれ通常スタイルには戻ります。)
モーツァルトの歌劇の鑑賞は、「晩年や老後の楽しみに取っておく」と息巻いていたのですが、無理でした。
とりわけ、夜の女王のアリアである「地獄の復讐がこの胸をたぎる」のピアノ・スコアへの編曲版(青島広志氏の編曲版、全音楽譜出版社)を見つけてからは、気が気でなくなりました。
やはり、モーツァルトの音楽史における存在感はすごいですね。
次回も引き続き、モーツァルトの「魔笛」を紹介します。
晩年や老後の楽しみですか。気長な感じがしますね。
クラシック音楽のなかでも、とりわけモーツァルトの音楽は年を重ねるごとにその味わいに奥行きを感じるようになる気がするぞ。